(株) ケーヒン 2018年3月期の動向

業績

(IFRS基準、単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
売上収益 351,494 325,550 8.0 -北米での四輪車製品の販売減少はあったが、日本と中国での電動車用製品を含む四輪車製品の販売増加とアジアでの二輪車汎用製品の販売増加により増収。売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも過去最高を更新。
-二輪車、汎用製品 96,104 82,869 16.0
-四輪車製品 255,390 242,681 5.2
営業利益 28,313 22,954 23.3 -減価償却費の増加や研究開発費の増加などはあるものの、増収や合理化効果などにより増益
税引前利益 27,145 20,729 31.0 -
親会社の所有者に帰属する当期利益 17,824 11,084 60.8 -前期の為替差損が反転

地域別動向

日本
-二輪車・汎用製品は、主にインドネシアやタイ、国内向け製品の販売が増加。
-四輪車製品は、主に国内、中国向け製品の販売が増加。
-これらに為替換算上の増収影響により、売上収益は1,571億6千万円と前年度比202億2千万円の増収。

米州
-二輪車・汎用製品は、南米での販売が増加。
-四輪車製品は、北米での販売が減少し、全体で販売減少となった。
-売上収益は為替換算上の増収影響があるものの991億4千3百万円と前年度比96億9千万円の減収。

アジア
-二輪車・汎用製品は、主にインドやインドネシア、タイでの販売が増加。
-四輪車製品はインドネシアやマレーシアなどで販売が減少。
-売上収益は為替換算上の増収影響により1,094億9百万円と前年度比125億2千8百万円の増収。

中国
-二輪車・汎用製品や四輪車製品の販売が増加。
-売上収益は為替換算上の増収影響により827億1千7百万円と前年度比87億8千7百万円の増収。

国内事業

ーパワーコントロールユニットの生産能力を年間5万台から10万台へと倍増させ、電動車の需要拡大に向けた対応を推進。

ー完成車メーカーが担っていたエンジンシステムの上流開発領域を担えるようになるために、高度な制御技術をもつプログレス・テクノロジーズ株式会社をはじめとした開発パートナーと提携、取り組みを強化。

ー将来に向け自動運転やコネクテッドカーなど新たな領域に関するリサーチおよび技術イノベーションの強化を図るため、東京・台場に新たな開発拠点の新設を決定。

2018年3月期の主な受注

OEM モデル 納入製品
ホンダ

日本「ステップワゴン」
中国「CR-V」
北米電気自動車「Clarity Electric」

新型パワーコントロールユニット (PCU)
北米「アコード」 直噴エンジン用システム
「N-BOX」 新型空調ユニット
マツダ 日本:「CX-8」 ハイレックスコーポレーション経由でパワーリアゲート用電子制御ユニット

受賞

-スズキから「2017年度 海外貢献優秀取引先」に選定され、静岡県で開催された「2018年賀詞交換会」で表彰されたと発表した。ケーヒンのインド子会社であるKeihin India Manufacturingが生産している天然ガス自動車用の製品が、マルチスズキの原価低減、品質向上、安定調達などに貢献したことが評価された。(2018126日プレスリリースより)

第13次中期経営計画 (2018年3月期~2020年3月期)

-電動化に向けた組織力強化
・xEV(エックスイーブイ)事業戦略室を新設
・BMS開発部を新設
・パワーモジュール領域の生産技術力強化
-燃料供給技術領域の進化
・上流開発を推進
-新規顧客開拓に向けた体制強化
・社長直轄の拡販事業部を新設

-設備投資総額: 700億円規模(第12次中期480億円)
・インドでの二輪車のFI化やxEV関連の投資に加え、上流開発に向けた試験設備などを導入
・対連結売上収益設備投資額比率5% →7%

-研究開発費総額:670億円規模(第12次中期576億円)
・開発フロー改革による効率の向上を図りながら、新規分野へ開発資源を追加
・対連結売上収益研究開発費比率6% →7%

2019年3月期の見通し

(IFRS基準、単位:百万円)
2019年3月期
(予想)
2018年3月期
(実績)
増減
(%)
売上収益 340,000 351,494 (3.3)
営業利益 20,000 28,313 (29.4)
税引前利益 19,000 27,145 (30.0)
親会社の所有者に帰属する当期利益 10,000 17,824 (43.9)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 22,771 19,404 19,559


-2019年3月期の研究開発費は、23,600百万円を予定。

研究開発拠点

日本 台場R&Dオフィス
(東京都江東区青梅)
日本 栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
日本 角田開発センター
(宮城県角田市)
米国 Keihin North America, Ltd.
(インディアナ州アンダーソン)
タイ Keihin Asia Bangkok Co., Ltd.
(バンコク)
インド Keihin India Manufacturing Pvt. Ltd.
(ハリヤナ州 グルガオン)
中国 Dongguan Keihin Engine Management System Co., Ltd.
(広東省東莞市)
中国 Keihin R&D China Co., Ltd.
(上海市)
ドイツ Keihin Sales and Development Europe GmbH
(バイエルン州)

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系及び吸気系製品の開発 (商品化)
-ガソリン直噴インジェクター及びポートインジェクターの開発 (商品化)
-トランスミッション油圧制御系製品の開発 (商品化)
-代替燃料供給系製品とシステムの開発 (商品化)
-エンジン及びパワーリヤゲート用電子制御ユニットの開発 (商品化)
-電動車用モーター/バッテリー制御ユニットの開発 (商品化)
-リチウムイオンバッテリー用セル電圧センサーユニットの開発 (商品化)
-電動車用パワーコントロールユニットの開発 (商品化)
-カーエアコンシステム製品の開発 (商品化)
-カーエアコン用熱交換器の開発 (商品化)
ー電動車対応カーエアコンシステム、部品の開発

コネクテッドカーへの対応
ー電子制御ユニット (ECU) のソフトウエアを無線で更新する「オーバー・ザ・エアー (OTA) 」に必要な専用ユニット「リプロマスター」の開発に着手した。リプロマスターは、テレマティクスユニットで受信したソフトウエアの書き換えデータを、セキュリティーを確保しながら各ECUに配信するユニット。これまで手がけてきたECU関連技術を生かして開発する。OTAの普及が本格化する2020年代前半の実用化を目指す。(2018年1月18日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 18,873 16,575 14,593
地域別 日本 7,455 6,355 3,519
     米州 3,476 3,973 3,898
     アジア 2,038 1,320 2,072
     中国 1,092 1,720 1,610

2018年3月期の設備投資

-投資対象別:生産投資 14,062百万円、研究開発投資 946百万円、その他投資 3,866百万円

設備の新設計画(2019年3月期)

(2018年3月31日現在)
セグメントの名称 投資予定金額 (百万円)
日本 12,012
米州 4,409
アジア 22,248
中国 3,329
合計 41,998

-投資対象別:生産投資 33,300百万円、研究開発投資 1,800百万円、その他投資 7,198百万円

-インドで小型二輪車用フューエルインジェクションシステム製品の本格量産にむけた準備を開始するため「アジア」セグメントの投資予定金額が増加。

ー欧州と中国で熱交換機用コンデンサーの生産能力拡大を決定。
独フォルクスワーゲン(VW)グループからの受注拡大に対応するため。コンデンサーの生産能力増強でケーヒンのグローバル生産能力は現在と比べて約1割増の1100万台になる。投資額は非公表。チェコでは現地法人ケーヒン・サーマル・テクノロジー・チェコの工場に新たに1ライン追加して、2018年夏に年間生産能力を285万台に引き上げる。中国では佛山にある京濱大洋冷暖工業(大連)の佛山工場の年間生産能力を30万台増やす。大連にある京濱大洋冷暖工業(大連)と合わせて18年夏には生産能力が300万台になるという。 同社はVWグループの「MQB」プラットフォーム適用車種や、アウディ「MLB」プラットフォーム適用車種にコンデンサーが採用されている。(2017年10月12日付日刊自動車新聞より)