(株) ケーヒン 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)

  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 259,994 278,490 (6.6) -
営業利益 10,818 21,598 (49.9) -販売減に伴う利益の減少、労務費や研究開発費などの増加および為替の影響。
経常利益 11,458 21,694 (47.2)
当期純利益 4,239 12,324 (65.6)

地域別動向

<日本>
-四輪車製品は、ハイブリッド車用製品の販売増加はあったが、東日本大震災の影響などにより、国内向け製品に加えアジア向け製品の販売が減少した。
-売上高は1,449億8千1百万円と前年度に比べ14億7千6百万円の減収となった。

<米州>
-為替換算上の影響や北米での四輪車製品の販売減少により、売上高は660億9千6百万円と前年度に比べ69億7千5百万円の減収となった。

<アジア>
-タイの水害の影響などによるタイやインドでの四輪車製品の販売減少に加え、為替換算上の影響などにより、売上高は713億6千9百万円と前年度に比べ92億8千6百万円の減収となった。

<中国>
-為替換算上の影響はあるものの、四輪車製品において部品の有償支給化による売上げ増加があり、売上高は347億2千1百万円と前年度に比べ5億7千3百万円の増収となった。

<欧州>
-主に四輪車製品の販売減少により、売上高は44億4千4百万円と前年度に比べ13億4千7百万円の減収となった。

企業買収

-2012年1月1日付けで、昭和電工より自動車空調用熱交換器会社サーマル・テクノロジーの株式60%を取得すると発表。これにより、社名を「株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー」へ変更する。さらに、2014年1月には完全子会社化する予定。なお、今回の買収により昭和電工が米国・タイ・チェコ・中国で行っている同事業を、ケーヒン・サーマル・テクノロジーの子会社として承継する計画。(2011年12月26日付プレスリリースより)

-同社と昭和電工は2011年9月21日、昭和電工の自動車空調用熱交換器事業会社をケーヒンに譲渡する予定を、当初の10月1日から来年1月1日にすると発表した。譲渡するサーマル・テクノロジーが、中国での競争法に基づく手続きの遅れが見込まれるためで、譲渡を3カ月延期する。両社は6月6日、昭和電工の自動車空調用熱交換器と自動車空調用配管事業を新会社に継承、その新会社株式の60%を10月にケーヒンが取得、2年以内に全株を取得する予定と発表していた。株式譲渡後の新会社の名称はケーヒン・サーマル・テクノロジーに変更する予定。(2011年9月24日付日刊自動車新聞より)

-同社は昭和電工の自動車空調用熱交換器事業を取得することについての最終契約を結んだと発表した。昭和電工が内外の関連事業を分離して子会社化、ケーヒンは同子会社株式の60%を取得する。さらに2年後をめどに、全株式を取得して完全子会社化する。総取得額は約80億円を見込んでいる。ケーヒンと昭和電工は昨年10月、同事業の譲渡について基本合意していた。今回の譲渡対象はアルミ製エバポレーターを中心とする自動車空調用分野の製品で、レーザー製品関連のアルミニウムシリンダー事業は含まれていない。昭和電工はこれまで、日本のアルミニウム事業部門熱交換器事業部のほか、米国、タイ、チェコ、中国の各地で自動車空調用熱交換器事業を展開してきた。2010年12月期における同事業の売上高は約280億円だった。昭和電工はまず6月中に、譲渡対象事業を分社し、新会社「サーマル・テクノロジー」を設立する。資本金は4億円で、全額を昭和電工が出資する。本社は栃木県小山市に置く。代表者は未定となっている。10月には新会社株式の60%をケーヒンが取得する。この時点で、社名を「ケーヒン・サーマル・テクノロジー」に変更する予定。ケーヒンは新会社を子会社として運営にあたるとともに、13年中には残る40%の株式を昭和電工から取得して完全子会社化する。(2011年6月7日付日刊自動車新聞より)

経営計画

-2012年4月1日付の組織改正を発表した。第11次中期経営計画(2011年度~13年度)で掲げる「グローバル競争に打ち勝つ事業体質の確立」に向け、自然災害やコンプライアンス(法令順守)強化も踏まえた組織体制に変更する。四輪分野での事業拡大に向け、事業統括本部に「拡販営業推進室」を新設する。購買本部には、全世界でのコスト競争力強化やサプライチェーンマネジメントの強化を目指し「調達戦略室」を新設する。グローバル購買室は、海外の廉価サプライヤーの開拓を実行し推進する。グローバル調達拡大による品質、物流分野の課題に対応するため「調達QD保証部」を新設する。生産・品質分野では、工場内での品質保証体制を確立するため、品質保証本部にある品質技術領域を生産本部に移管する。開発本部では、開発効率の向上を狙いに「第八」「第九」開発部と技術企画部を新設する。(2012年2月23日付日刊自動車新聞より)

-四輪車用スロットルボディーの構成部品の調達先を2013年度までに日本から中国に切り替える。二輪車用の部品を調達している現地サプライヤーから四輪車用を調達し、中国国内向けのほか、アジアの各生産拠点に供給する。スロットルボディーの構成部品はこれまでは日本からアジアに供給していたが、昨今の超円高を背景にコスト競争力が一段と低下している。中国を中心に一部タイからも供給し、価格競争力を高める。エンジンの吸気系部品であるスロットルボディーの生産は鋳造や機械加工、組み立てを現地化しているものの、アクセルの開き具合を検知する開度センサー、シャフト、スプリングといった構成部品は、日本から供給している。これらの部品の調達を、中国のほか一部タイで現地化するとともに、アジアの各工場にも供給する。(2012年2月7日付日刊自動車新聞より)

-四輪部品の調達体制を見直す。スモールカーや軽自動車用の部品を対象に、現在は平均50%強にとどまる日本製以外の部品、原材料の採用比率を90%以上に拡大する。今年度から2013年度までの中期計画の期間中に目標達成を目指す。このため今年度中に購買部門内にグローバル調達の専門部署を新設して海外サプライヤーの選定機能を強化する。アジアの新興地域を中心に品質とコストを両立した部品を調達、グローバルに活用する体制を整えて競争力を高める。当面は中国、アジアで現地調達率を高めるとともに、それぞれのコスト競争力の高い部品を各地で相互活用することに力を入れる。米州ではメキシコやブラジルのサプライヤーの開拓に取り組むほか、一部をアジア製で補完することを検討する。日本ではハイブリッド車やミドルクラス以上の高機能部品を中心に生産する。(2011年9月30日付日刊自動車新聞より)

会社設立

-2012年1月31日に開いた取締役会で、メキシコ・サンルイスポトシ州に完全子会社「ケーヒン・デ・メキシコ S・A」を2月に設立することを決めたと発表した。敷地面積は10万平方メートルで、資本金は5億メキシコペソ(約26億7千万円)。四輪車向け製品を2013年9月に量産開始する。従業員数は14年時点で約650人を予定している。(2012年2月2日付日刊自動車新聞より)

-2011年4月28日、ベトナムとインドに二輪車/四輪車用部品を生産・販売する子会社を設立すると発表した。ホンダを中心とする客先からの需要増に対応することを狙いとしている。ベトナムでは「ケーヒン・ベトナム」を6月に設立する。ハノイ近郊に工場を置き、機械系の機構部品を生産する。資本金は5852億ベトナムドン(2800万米ドル)で全額をケーヒンのアジア統括会社が出資する。インドでは「ケーヒン・オートモーティブ・システムズ・インディア」を8月に設立する。同社はすでに、デリー近郊に四輪車用部品工場と二輪車用部品工場の2社をもっており、インド国内では新会社が3社目となる。工場はハリヤーナー州のグルガオン近郊に設ける。資本金は200万ルピーで、ケーヒンが70%、アジア統括会社が30%を出資する。(2011年4月30日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 16,547 15,086 14,150

研究開発施設

栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
-システム開発を合言葉に、ソフトウェアの開発・検査から実車レベルでの研究・解析をトータルに実施。
-ステム開発の主要拠点。システム化、集積化による領域拡大と電子制御ユニット(ECU)を主体とした先端技術を開発。
角田開発センター
(宮城県角田市)
-システムを支えるコア製品の開発を担い、同時に生産技術と連動し、品質向上を基盤とする性能、機能、耐久、経済性を追求。
-種データ解析を行う解析棟、振動実験、耐温測定などを行う耐久棟、システム構成部品として二・四輪の実車レベルでの評価が行えるシャシー棟で構成。

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系および吸気系製品の開発
-トランスミッション油圧制御系製品の開発
-代替燃料対応燃料供給系製品とシステム製品の開発(商品化)
-高性能、小型カーエアコンシステム製品の開発(商品化)
-エンジンおよびトランスミッション電子制御ユニット製品の開発(商品化)
-ハイブリッド車用モーター/バッテリー制御ユニット製品の開発(商品化)

-リチウムイオン電池用の電圧センサーを開発し、今夏から供給を始める。ホンダが日米で発売する電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)に搭載されるもので、電圧センサーの製品化は、ハイブリッド車(HV)用を含め同社として初めてとなる。EV・PHV用部品に参入することで、車の電動化時代を視野に入れた事業構造の構築につなげる。生産は二輪車・四輪車・汎用向けの電子製品を生産する角田第3工場(宮城県角田市)で行う。(2012年3月30日付日刊自動車新聞より)

-同社はDaimler「Mercedes-Benz」向けにガスインジェクターを開発・供給することで、Daimlerと合意したと発表。(2011年6月14日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 13,013 12,518 9,366
投資対象別:生産投資88億4200万円、研究開発投資10億6100万円、その他投資(無形固定資産含む)31億900万円
地域別:日本28億1300万円、米州25億5300万円、アジア28億1900万円、中国6億3600万円、欧州2100万円

設備の新設

セグメントの名称 投資予定額金額(百万円)
日本 13,362
米州 3,430
アジア 10,669
中国 2,706
欧州 28
合計 30,198