クラリオン (株) - フォルシア クラリオン エレクトロニクス 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上収益 183,056 194,841 (6.0) -アジア・欧州でのOEM製品の売上伸長が顕著であったものの、日本、米州におけるOEM製品の売上減少により、減収。
営業利益 7,353 11,241 (34.6) -売上減少と、事業構造改革による関連費用2,521百万円の計上により減益。
税引前当期利益 4,515 10,992 (58.9) -
親会社株主に帰属する当期利益 2,079 7,727 (73.1) -


要因
<日本>
-日本国内の完成車検査問題等の影響によりOEM製品の売上が減少、前期比18.1%の減収。

<米州>
-米国での自動車販売が前年を下回っている環境下において、特に搭載率の高い乗用車販売が大きく減少したため前期比8.1%の減収。損益面では固定費低減、変動費改善等により7.6%の増益

<欧州>
-好調な自動車販売を背景にOEM製品が売上増となったため前期比2.3%の増収。調整後営業利益は31.9%減。

<アジア・豪州>
ー中国での民族系メーカー向け事業の拡大、アジア諸国のOEM製品の売上回復によりセグメント収益前期比32.8%増。

 

受注

オーディオ・ナビゲーション
-オーディオ・ナビゲーションが日産自動車の新型「インフィニティQX50」に採用されたと発表した。今回採用されたオーディオは、中型プレミアムSUVとして市場投入されるQX50のエマージェンシーコールなどの機能を実現する新しい電源構成に対応する製品として新たに開発したもの。QX50は日産とダイムラーのメキシコにある合弁会社「コンパス」で製造するモデルで、生産1号車に製品を納入した。クラリオンはメキシコの生産拠点エレクトロニカ・クラリオンにQX50向けオーディオ・ナビゲーションを生産する専用ラインを新設し、供給体制を整えた。(2018年3月15日付日刊自動車新聞より)

自動駐車用ECUナビゲーションシステム
ー自動駐車用ECU(電子制御ユニット)、ナビゲーションシステムが日産自動車が10月に販売した新型電気自動車(EV)「リーフ」に採用されたと発表した。自動駐車用ECUはクラリオンと日産が共同開発してきた「アラウンドビューモニター」の技術をベースとする画像認識技術とソナー信号を自動駐車用ECU内でフュージョン処理することで、自動駐車システムの高精度な駐車空間認識を実現した。また、ナビゲーションシステムはディスプレーに高精細ワイドVGA7インチディスプレー&タッチパネルを採用、スマートフォンのような操作が可能。自動的に更新される充電スポット情報や到達可能予想エリアの表示など、EV専用のサポート機能を搭載する。(2017年10月16日付日刊自動車新聞より)

観光バス向け新型システム
ー様々な機能を集中操作できる観光バス向け新型システムが日野自動車といすゞ自動車の大型観光バスに採用されたと発表した。フルデジタルサウンドシステムも初めて標準採用された。今回採用されたクラリオンの新型システムは、オーディオビジュアル、マイクアンプ、地デジ、ラジオ、ナビゲーションなどの機能を、一つのユニットにまとめて運転席モニターのタッチパネルで集中操作できる。システムはカメラを最大3台接続できる入力機能を備え、車両後方・側方の安全確認サポートカメラなどを運転席モニターで操作できる。ガイド席モニターは、オーディオ、マイクなど、ナビ機能以外を操作できる。USBメモリに記録されている観光情報や写真などを客席モニターを通し乗客に提供することも可能。(2017年7月20日付日刊自動車新聞より)

ー様々な機能を集中操作できる観光バス向け新型システムを開発したと発表した。この新型システムは、日野自動車「セレガ」及びいすゞ自動車「GALA」に採用された。新型システムを装着する大型バスはジェイ・バスが製造。発売日は201773日。
・別々の機器として装着していたAV、マイクアンプ、地デジ、ラジオ、ナビゲーション等の機能を一つのユニットにまとめて省スペース化を実現。
・運転席モニターのタッチパネルで集中操作する事で操作性の向上を実現。
・カメラを最大で3台まで接続できる入力機能により、車両後方・側方の安全確認サポートカメラなどの操作も運転席モニターで行える。
・クラリオン独自のフルデジタルサウンドシステムが初めて標準装備された。
(2017628日付プレスリリースより)

SurroundEye3+1
ートレーラー向け安全走行支援カメラシステム「SurroundEye3+1」を開発した。本システムは、花見台自動車が発売する「超低床ダンプトレーラ」(2017年6月発売) に標準装備として採用された。「SurroundEye」は、車両の前後左右に取り付けた4つのカメラによる俯瞰映像で安全走行を支援する車載カメラシステム。「SurroundEye3+1」は「SurroundEye」の改良版で、サイドミラーやサイドカメラではカバーできないトレーラー特有の死角をカバーする。車体左右と後方に3つのカメラを取り付け、残りひとつのカメラ (プラス1) は、ドライバーが不安を感じる位置に自由に取り付けることができる。 (2017年5月19日付プレスリリースより)

 

事業拡大

-ロシアで自動車メーカー向けの事業の強化に乗り出す。フォード・モーターのロシア生産車に供給する車両緊急通報システム用テレマティクスコミュニケーションユニット(TCU)の売り上げを、2017年度に倍以上に伸ばす。TCUの最終組立を委託するロシア企業とモノづくりや品質向上に対する考え方を共有するため、経済産業省の支援事業を活用してロシア人技術者の訪日研修も実施。自動車メーカーの現地調達要求に応えるとともに、TCUを中心に周辺監視カメラなど安全安心機器の事業領域を拡大する。(2017年6月28日付日刊自動車新聞より)

 


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

中期事業戦略

「車両情報システムソリューションプロバイダーとしてグローバルに成長」を掲げ、2021年3月期に
売上収益 2,000億円以上
連結調整後営業利益率 5%以上 を目指す。

1、事業ポートフォリオ変革・事業シフト加速
CASE対応に向けた事業改革に着手、快適空間・シームレスな情報・運行管理・安心安全技術等によってモビリティ―社会へ貢献する。

2、グローバル市場でのビジネス拡大
日・欧・米では、SI/コネクテッド
中・亜+中南米では、Audio/IVI  に注力

3、経営資源の選択・集中・合理化
中国のアモイ開発センター強化、自動駐車ビジネス拡大など

 

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 16,716 17,338 19,509

 

研究開発活動

(1) コックピット向け統合HMIの開発
-車載情報システム、カメラをはじめとする安全技術、Smart Accessを軸としたクラウドサービスをシームレスに融合し、変化に対応。
車載情報システムの大画面化に対応し、画面を4分割して利用可能なHMI「Quad View」を開発、カーナビゲーションNXV977Dで2017年に製品化。運転席に組み込ん振動デバイス、スピーカー、マイクロフォンによるHMI「Info Seat」、ジェスチャー操作技術、ドライバーモニタリング技術などの開発を進めている。

(2) 自動車向けクラウド型テレマティクスサービス「Smart Access」の拡充
-日立グループの協力を得て立ち上げ運用する独自の自動車向けクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」の拡充を継続して行う。
-2017年度にはドライブレコーダーの映像管理に対応したクラウド活用型車両管理ソリューション「SAFE-DR]を開発。

(3) セーフティアンドインフォメーション事業における技術、商品開発
画像処理ECU、カメラ等による運転支援技術

-画像認識や制御連携技術に加え、単体カメラを使った高度な物体検知技術や、映像信号のデジタル伝送による高精細「SurroundEye」画像を用いた精度向上型の認識技術を追加して、自動駐車システムの実用化に取組む。

ー2017年11月、ポテンシャル顧客より世界初のカメラソナーフュージョン技術を適用した自動駐車システムを製品出荷。

-2016年3月期では本格的な量産開発、2017年のCES(Consumer Electronics Show)に日立オートモティブシステムズと共同でドライバーが車外で操作するリモート自動駐車を出展。

<パーク・バイ・メモリー>
ー同社と日立オートモティブシステムズ は、自宅駐車場の周辺環境を記憶する自動駐車技術「パーク・バイ・メモリー」を開発したと発表。自動車メーカーなどに提案し、早期実用化を目指す。車両に装着したクラリオンのカメラシステム「サラウンドアイ」によるふかん映像と、ソナー信号による周囲構造物の検知情報、GPSの位置情報を統合して自宅駐車場の周辺環境と駐車パターンを記憶する。パーク・バイ・メモリーを搭載する車両は、記憶した駐車場に近づくと自動駐車が可能なことを運転者に通知し、車内やスマートフォンアプリのボタンを押すだけで自動駐車が可能となる。(2018年1月17日付日刊自動車新聞より)

ー2018年CESには「Park by Memory」を出展。業務用車両、またグローバルな商品展開を進める。

<カラーナイトビジョンカメラ>
ー夜間運転の安全性向上に車載用カラーナイトビジョンカメラを開発したと発表した。夜間の運転で歩行者、自転車、車、車線、標識、信号機などの認識対象を広げることが可能となり、ドライバーへの警告や自動ブレーキをはじめとする車両制御など、様々なアプリケーションに適用できるとしている。今回開発したカラーナイトビジョンカメラは、近赤外感度を持つCMOSカラーセンサを採用し、可視光によるカラー映像と近赤外線による白黒映像を独自開発の画像処理装置で合成する。これによって昼夜を問わずカラー映像を表示する。物体認識機能を持つECU(電子制御ユニット)を一体化しながら、ルームミラーの裏側に配置可能なサイズに小型化した。(2017年11月21日付日刊自動車新聞より)

車載通信技術

-将来の交通環境下では車両間あるいは車両と道路インフラ間で通信して安全情報を提供する機能も計画されており、車両側でこれを実現するC2Xプラットフォームの開発を日立グループと連携して進めている。

ー2017年度には、2016年度に開発した高速通信実現のためのLTE通信機能を有する欧州規格対応プラットフォームの試作機の米国規格対応を試作。

(4) 多様化する車室内音響技術への取り組み
-独自の音響処理技術「Intelligent Tune App」を開発に注力。これまで圧縮オーディオの音質、重低音の再生能力、ボーカルの音像定位、サラウンド感やビート感などを制御する音響信号処理技術を製品に搭載。

ーオーディオ再生の高音質化に加えヘッドレスト内部に搭載したスピーカー、シート内部に埋め込んだ振動デバイス等を用いた新しいHMI「InfoSeat」の開発に取り組む。

(5) フルデジタルスピーカー
-車載ハイエンド市場においてハイレゾ対応ツィーターをラインナップに追加、2018年6月末より販売を開始。

 

技術導入契約

(2018年3月31日現在)
相手先 国名 内容 契約期間
一般財団法人道路交通情報通信システムセンター 日本 VICS技術情報の使用に関する契約 1995年11月28日-
両当事者での
終了確認日
Google Inc. 米国 音声認識および検索技術の使用に関する契約 2016年09月1日-
2019年08月31日

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
日本 1,103 1,549 1,527
米州 747 761 547
欧州 192 258 374
アジア・豪州 1,434 1,295 1,439
合計 3,478 3,865 3,888