アルプス電気株式会社 2006年度の動向

ハイライト

業績
単位: 百万円 2007年3月期 2006年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 708,126 709,613 (0.2)

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営業利益 22,077 45,471 (51.4) HDD用ヘッドが大幅に減少したことなどにより、減益
経常利益 24,631 46,402 (46.9)
当期純利益 4,918 18,870 (73.9) 減損損失に伴う特別損失を計上
電子部品事業
売上高 403,181 416,629 (3.2) 磁気デバイス事業の売上減少を、他の4つの事業で補えず、減収減益
営業利益 5,264 28,441 (81.5)

電子部品事業内の自動車部品関連業績
1. コンポーネント事業
・部門の売上高は、92,600百万円
・自動車の安全性や燃費向上に貢献するセンサやスイッチなどが増加。

2. 車載電装事業
・部門の売上高は、97,100百万円
・多機能化の要請に応えたステアリングモジュールや前面操作用パネルモジュールなどの特長ある製品が伸長、加えて為替が前年度に比べて円安に推移したことなどから、売上が増加。

車載電装品事業を大幅に拡充する。多機能入力装置やエアコンパネル、キーレスエントリーシステムなど、独自技術を盛り込んだ製品を中心に拡販、部門売り上げを今後3年間で、4割増の年間950億円に引き上げる。今後、電子制御の領域が拡大する自動車ニーズを取り込み、収益拡大に結び付ける。(2006年5月27日付日刊自動車新聞より)

業務提携
東光と業務提携すると発表した。限度額5億円で、東光株を取得する。半導体分野において技術提携することで製品開発での補完関係を構築する。販売チャンネルの相互利用でも相乗効果を見込む。提携の対象は、センサーICの共同開発など。(2007年3月22日付日刊自動車新聞より)

事業譲渡
TDKにHDD用ヘッド事業を譲渡することで基本合意したと発表した。対象は設備、特許権・ノウハウなどの知的財産で、交渉を開始した。早期の締結および実行を目指す。これまで蓄積した薄膜形成・微細加工関連の設備や技術、人材などを新たな事業に集中させ、競争力の強化を図る。(2007年3月22日付日刊自動車新聞より)

開発動向

研究開発費用

単位: 百万円

2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
全社 46,804 42,829 42,466
電子部品事業 18,002 16,604 19,897

電子部品事業
英ケンブリッジ大学、米マサチューセッツ工科大学を始め、国内外の大学や研究機関等とのコラボレーションを図るとともに、プロセス・電子部品の技術開発等を行う事業開発本部と、各製品事業領域で市場密着型の製品開発を行う事業部の開発・技術部門を中核とし、研究開発を展開している。

車載電装事業部
固有技術・要素技術を応用した製品を通じて、HMI (Human Machine Interface)領域において、入力、コミュニケーション、センサの各デバイスを機軸に部品からシステム製品に関する研究開発を行っている。
主な成果として、「事故ゼロ」に向け自動運転をも可能にする先進安全車両の実現に向けた技術・製品開発を進めている。
具体的には、インパネ、ステアリング、センターコンソール、オーバーコンソールの四つのエリアにハプティック技術、静電容量検出技術、カメラ技術等の独自技術を応用したAI (ALPS Innovative)コックピットの開発、バイワイヤ技術の先行開発、車体制御機能に対応する磁気応用高精度舵角センサの開発、バッテリーレスタイヤ空気圧モニタリングシステムの基礎開発を行っている。

2007年3月期の開発実績
微細加工などの先端技術を応用した高感度磁気センサーを開発したと発表した。新型の磁気センサーは、微細加工やナノマテS(マイクロメカトロニクス)など、最先端技術を受け持つ部門が開発した。名称は「GMRセンサ」。高感度、大出力な素子を利用しているため、回路の簡略化(小型化)と信号精度の向上が期待できる。製品ごとの特性にばらつきが少なく、電子機器製造現場での選別、ランク分けなどの作業が不要となる。また、熱や経時変化に対する耐久性を高め、自動車など、過酷な環境下でも利用しやすいようにした。(2006年5月19日付日刊自動車新聞より)

自動車用入力デバイスの最新技術を盛り込んだ「AIコックピット」(アルプスイノベーティブ・コックピット)を発表。機械系コントロールからバイワイヤ方式への移行を踏まえ、ステアリングやシフトレバー、多機能スイッチ、大型モニターなどを実車に搭載。AIコックピットは、同社の車載電装品事業部を中心に最新の技術、装置を実際の車両に搭載したもの。「ヒューマン・マシン・インターフェース」をコンセプトに、車室内の入力操作エリアをオーバーコンソール(天井)とインパネ、センターコンソール、ステアリングの四つに分け、それぞれのエリアに最適な操作入力方式を具体化した。(2006年5月25日付日刊自動車新聞より)

地上デジタル放送「ワンセグ」受信用の車載用チューナー「TSLシリーズ」を開発、量産を開始したと発表した。小型・薄型化したことが特徴で、車載環境での温度変化や振動に対応できる信頼性を確保した。性能面では、高速移動中に受信状態が不安定になることに対応するため、搭載ICを最適化し高速チャンネルサーチも可能とした。実装面では、はんだパターンを基盤側面に設けることで広いはんだ面積を確保した。(2006年11月21日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費用

単位: 百万円

2007年3月期 2006年3月期 2005年3月期
全社 45,307 50,061 47,127
電子部品事業 29,525 37,170 33,066

電子部品事業
車載用センサ・スイッチ等の増産へ設備投資を実施。

電子部品事業における投資計画を大幅に見直す。原材料価格の高騰や販売価格の低下を受けての措置で、2006年度の設備投資及び研究開発費で計42億円を削減、2007年度以降に先送りする。同社は、携帯電話などのモバイル機器や自動車電装品向けの関連需要が世界的に拡大していることから、2006年度は電子部品分野で積極的な投資を計画していた。ところが、各種スイッチやステアリングセンサーなどの自動車向けが好調で売り上げを伸ばすものの、チューナーなどは価格競争の激化で減収。利益も原材料価格の高騰の影響が大きくなると見込まれる。このため、当初の投資計画における個別案件を精査し、優先度の低い項目から金額の削減または実行時期を先送りする。(2006年11月14日付日刊自動車新聞より)

海外投資
中国の高周波機器生産拠点である上海アルプスが移転の上、新工場を開設。今後は最新の設備、手法を持つ生産拠点として、車載用ラジオチューナーやテレビ用チューナーなどの事業を拡大する。上海アルプスは、中国の国策として進められていたVTR生産プロジェクトへの参画を狙いに、93年に設立された合弁会社。放送系の高周波部品の生産を主力としている。新工場は、中国の電子産業の発展を踏まえ、建設したもので、2006年1月に稼働を開始した。(2006年9月19日付日刊自動車新聞より)

中国・浙江省のオーディオ部品関連会社が新工場を開設、移転した。新工場を開設したのは、現地合弁の寧波アルプス(浙江省寧波市)で、2005年10月に操業を開始。寧波アルプスは、カーオーディオ及びホームオーディオ用部品の生産を93年にスタート、現在は、ハードディスク用ヘッドや小型スイッチも世界各地に供給するグローバル生産拠点として活動している。(2006年9月21日付日刊自動車新聞より)

設備の新設

事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了予定
アルプス電気 コンポーネント事業部
(宮城県大崎市)
(宮城県遠田郡涌谷町)
コンポーネント部品の製造設備等 6,900 2007年4月 2008年3月
本社、関西支店他
(東京都大田区)
(大阪府吹田市)他
本社・支店設備等 4,282 2007年4月 2008年3月