Faurecia S.A. 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2014年
12月期
2013年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 18,828.9 18,028.6 4.4 1)
営業利益 673.3 538.3 25.1 -
部門別売上高
-シート 5,309.1 5,218.9 1.7 -
-排気コントロール 6,747.4 6,350.5 6.2 -
-内装システム 4,709.3 4,560.0 3.3 -
-外装 2,063.1 1,899.2 8.6 -

要因
1) 売上高
-2014年12月期の売上高は、前年比4.4%増の18,828.9百万ユーロ。世界の自動車生産台数が前年比で3.3%増加したことが寄与。

納入先別製品売上高

2014年12月期
売上 (単位:百万ユーロ)
2014年12月期
売上増加率 (%)*
全社の製品売上高に
占める割合 (%)*
VW Group 3,464.4 3.4 24.6
Ford Group 2,059.2 4.5 14.6
PSA Peugeot Citroen 1,934.4 2.4 13.7
Renault-Nissan 1,555.9 8.8 11.1
GM Group 1,145.8 6.4 8.1
Daimler 1,029.3 23.2 7.3
BMW 850.6 (12.8) 6.0
Fiat-Chrysler (Fiat除く) - (9.9) 4.3
Geely-Volvo - 4.7 -
現代 (Hyundai)/起亜 (Kia) - 3.1 1.6
トヨタ - 9.1 -
*既存事業比ベース

中期計画

中国事業での売上高を2018年までに14年比倍増
-2014年11月、中国事業の売上高を2018年までに14年比約2倍の40億ユーロ以上 (約5,920億円) に引き上げる中期目標を発表。今後5年間に総額4億ユーロ (約592億円) を投資し、生産拠点の増設とエンジニアの増員を図る。中国国内の生産拠点を38カ所から今後5年間に55カ所に増やす。エンジニアは800人から1,200人以上へ5割の増員を図る。排出ガスコントロールシステム、シートフレーム・同機構のほか、内装製品でも売り上げが増加する見通し。 (2014年11月26日付日刊自動車新聞より)

2016年12月期、全社財務目標 (2014年11月発表)
  • 売上高: 21,000百万ユーロ *年率5%の伸び
  • 営業利益率: 4.5%~5.0%
  • NETキャッシュフロー: 約300百万ユーロ
  • ROCE: 20%以上        *ROCE: Return On Capital Employed, pretax including goodwill.

合弁事業

-豊和繊維工業とメキシコに合弁会社を設立すると発表。Renault-Nissan向けに内装システムを生産する。新会社 「Faurecia Howa Interiors (FHI)」 は、Faurecia Interior SystemsのPuebla工場が管理し、日産のAguascalientes工場に納入する予定。2014年9月より、日産 「Navara 4x4 (北米名= Frontier)」 向けにドアパネルと内装部品の生産を開始する。なお、同社と豊和は2012年4月に日本で初めて合弁会社を設立し、FHIは両社の2番目の合弁会社となる。メキシコ、タイ、スペイン、ブラジル、南アフリカにおいて日産からの受注拡大を見込んでいる。 (2014年1月29日付プレスリリースより)

受注

-日産自動車とルノーの部品共用化構想 「コモンモジュールファミリー (CMF)」適用車向けにシートフレームの供給を開始。CMFの第1弾 (CMF1) となったC・Dセグメント車用をグローバルで受注したもので北米、アジア、欧州の各地で生産・供給する。 (2014年7月4日付日刊自動車新聞より)

-2014年12月期の主な採用実績
OEM モデル 製品
Citroen 「C4 Picasso」 -フロントシートストラクチャー、シートリクライニング機構、ハイトアジャスター、シートトラック
-エキゾーストシステム (ホットエンド・コールドエンド)、SCRコンバーター
-インストパネル、センターコンソール、防音製品
「DS6」 -フロントシートの骨格および機構部品
-エキゾーストシステム (ホットエンド・コールドエンド)
-インストパネル (パウダースラッシュ表皮およびレザートリム)、センターコンソール、ドアパネル
「C4 Cactus」 -シートフレームおよびメカニズム
-排気システム全般
-防火防音のフロント・リア用アンダーレイ、フロントカーペット
-フロントバンパー、トランクの外部トリム、フロント/リアバンパー・リアスポイラー用の保護クラッディング
Daimler Mercedes-Benz 「S-Class」 -インストパネル、センターコンソール、ドアパネル
Audi 「A3」 -シートシステム一式
-インストパネル、ダッシュボード内側の防音材
Volkswagen 「Golf」 -シート、パワーシート部品、マニュアル機構
-ドアパネル、パネルインサート
-フロントエンドモジュール用キャリア
日産 「Qashqai」、「Rogue」 -フロントシートフレーム
Peugeot 「308」 -インストパネル、センターコンソール、ドアパネル
Ford 「EcoSport」 (Thailand) -インストパネル、センターコンソール、ドアパネル   *Summit Auto Seatsとの合弁会社より納入

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
合計 955.9 916.5 943.0
売上に占める割合 (%) 5.1 5.1 5.4

研究開発体制

-6,000名のエンジニア・技術者が在籍。11カ国に30カ所のR&Dセンターを保有。

研究開発拠点

<米国>
-米国ミシガン州のAuburn Hillsに、北米本社および自動車用シートの技術センター 「Automotive Seating TechCenter」 を開設した。面積は25,000平方メートル超で、従業員700名以上が勤務する。技術センターには、試作品用金属加工設備、トリム開発、ジャストインタイム (JIT) 生産、構造試験、環境試験、NVHおよび電気系統などに関する実験室のほか、音響試験のための半無響室などが備えられている。 (2014年7月16日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-メキシコMexico Cityの研究開発センターで、シートカバーおよびシートフォームの設計・開発を行う研究室を新たに開設したと発表。約20名の研究者・技術者が勤務する。この研究室の開設により、Automotive Seating部門はVolkswagen、日産、Chryslerなど、メキシコに拠点を持つ顧客のニーズをより詳しく把握し、迅速に対応していく意向。 (2014年5月5日付プレスリリースより)

<インド>
-排気コントロールシステムに特化した技術センターをインドに開設したと発表。敷地面積は2,800平方メートルで、約200名の技術者が勤務する。グローバルで生産される自動車向けに、排気コントロールシステムの設計・検証を行う予定。Faurecia Emission Control Technologies (FECT) は同国において、Pune、Chennai、Bangaloreに3工場を保有しており、エキゾーストシステム用ホットエンドおよびコールドエンドを生産している。今回開設した研究開発センターは、FECTのインド4カ所目の拠点となる。 (2014年2月4日付プレスリリースより)

製品開発

リアシートを自動で折り畳めるワンタッチ機能
-リアシートを自動で折り畳めるワンタッチ機能を発表。Renaultのクロスオーバー 「Espace」 は、この機能を搭載したRenault初の量産モデルとなる。トランク内の制御ユニットまたはインストパネルのマルチファンクションディスプレイを使用して、2列目・3列目のどのシートでも折り畳むことができる。シートとヘッドレストは、自動でフロアにほぼ完全に平らに折り畳まれ、高い安全・快適性基準を維持しながら、積載スペースの拡大や好みに合わせた内装のリフォームなども可能にする。シートの使用時や車が動いている時は、電子システムがこの機能をロックする。 (2014年10月2日付プレスリリースより)

軽量化
-フロントシート、フロア、エキゾーストシステムがRenaultの低燃費コンセプトカー 「Eolab」 に採用されたと発表。
  • シートフレームは、後部座席の乗客の膝や脛、足により広いスペースを作り出す設計であるとともに、複合材料や非鉄合金、アルミニウムなど新たな素材を使用することで軽量化を実現。また、「Cover Carving」とよばれるカバーに彫刻模様を施す技術も、フロントシート背部の重量を40%削減した。これらの技術を用いることで、車両の重量を11kg削減したという。
  • フロント・リア用フロアに使用した複合材料も軽量化に貢献している。このフロアは、従来のスチール製フロアに比べて合計で16.5kgの軽量化 (質量で33%減) を実現。
  • 構造の再設計や複合材料の採用、スチール部品の薄厚化により、従来のエキゾーストシステムに比べて長さを1.5m、重量を2.3kg削減。
  • (2014年9月17日付プレスリリースより)
-Peugeotのコンセプトカー「208 Hybrid Air」に、同社製品が採用されたと発表。
  • テールゲートは、プラスチックとガラス繊維を組み合わせることで、従来のスチール製部品に比べて約20% (2.8kg) の軽量化を実現。
  • 排気システムの構造を再設計し、全てのスチール製部品を薄厚化。マフラー用パイプおよびケースを平均で0.4mm、バッフルを最大で0.6mm薄くしたことで、排気システム全体の重量を20% (1.9kg) 削減。
  • (2014年9月15日付プレスリリースより)

設備投資

部門別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
シート 152.6 117.9 113.1
排気コントロール 139.5 126.4 152.7
内装システム 158.7 187.1 179.6
外装 45.5 60.9 88.8
その他 22.9 25.7 23.1
合計 519.2 518.0 557.3

地域別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
フランス 73.7 79.2 72.5
ドイツ 54.4 51.2 55.0
その他欧州諸国 160.0 113.9 152.3
北米 123.0 132.2 104.7
南米 21.3 57.0 87.2
アジア 83.8 81.1 82.6
その他 2.9 3.4 3.0
合計 519.2 518.0 557.3

海外投資

<米国>
-米国ミズーリ州のWentzvilleに自動車用シート工場を新たに開設したと発表。投資額は13百万ドルで、GM向けに生産する。面積81,844平方フィートの新工場は、2014年9月に生産を開始しており、現在の従業員数は180名。GMのピックアップトラック 「Chevrolet Colorado」 および 「GMC Canyon」 向けに2直体制で生産を行っている。新工場は、Faureciaにとって北米で47番目の生産拠点となる。 (2014年12月18日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-メキシコのプエブラ州Huejotzingoにおいて、自動車用シート工場を開設したと発表。日産向けにフロントおよびリアシート一式を生産する。投資額は338百万ペソ (約25.2百万ドル)。面積は38,000平方フィートで、2017年に拡張が予定されている。2016年までに従業員810名を雇用する計画。新工場は、Faurecia Automotive Seating (FAS) にとってメキシコで12カ所目の拠点であり、同国でジャストインタイム生産を行う初の工場となる。 (2014年9月23日付プレスリリースより)

<韓国>
-韓国子会社Faurecia Automotive Seating Korea Ltd.は、慶尚北道の永川 (Yeongcheon) 市でシートフレーム工場の竣工式を開催。今回の設備投資額は約220億ウォン (22億円)。この新工場で生産する製品は現代自動車、ルノー三星、GM等に供給される予定。なお、Faureciaグループが永川 (Yeongcheon) 市に工場を設立するのは、2011年に完成したマフラー工場に続いて2拠点目となる。 (2014年7月17日付プレスリリースより)

<ベルギー>
-ベルギーBrusselsにあるAudiの生産拠点内に新工場を開設したと発表。工場面積は9,000平方メートル超。2014年1月に生産を開始した。ジャストインタイム生産システムにより、Audi 「S1」 および 「S1 Sportback」 向けに、フロントバンパー、リアバンパー、フロントエンドモジュールを納入している。バンパーの射出・塗装、フロントエンドモジュールの射出はFaureciaのドイツ工場で行い、新工場に納入して組み立てている。 (2014年3月10日付プレスリリースより)