Faurecia S.A. 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率
(%)
要因
売上高 16,190.2 13,795.9 17.4 1)
EBITDA 1104.5 941.2 17.4 -

要因
1)
-2011年12月期の全社売上高は16,190.2百万ユーロで、前年の13,795.9百万ユーロから大幅な増加となった。2011年の売上には、2011年1月に連結対象となったAngell-Demmelの売上(117.4百万ユーロ)と2011年4月に取得した米国ミシシッピー州のMadison工場(シート部門)の売上(108.3百万ユーロ)が含まれている。同社の2011年12月期の連結売上成長率は前年比17.4%増であり、既存事業比では売上高は前年比15.0%増(上期15.5%増、下期14.6%増)相当の成長となった。

顧客別
2011年12月期
売上(単位:百万ユーロ)
2011年12月期
売上増加率(%)*
全社の製品売上高に
占める割合(%)*
地域別成長率
VW Group 3,136.8  15.0 25.3 -欧州:13.7%
-北米:29.6%
-アジア:18.1%
-南米:5.5%
PSA Peugeot Citroen Group 2,061.0 6.1 16.6 -南米:34.5%
-アジア:11.5%
-欧州:3.3%
Renault-Nissan Group 1,424.0 3.6 11.5 -北米:49.8%
-南米:32.8%
-欧州:(0.1%)
-アジア:(0.2%)
Ford Group 1,357.2 11.7 11.0 -北米:28.9%
-欧州:6.0%
BMW Group 1,045.9 5.9 8.4 -北米:11.7%
-欧州:2.8%
GM Group 1,052.8 2.7 8.5 -アジア:22.8%
-北米:4.6%
-欧州:(19.5%)
Daimler Group 584.9 15.6 4.7 -北米:282.4%
(Mercedes M-Class向けシート及び内装部品の供給開始が寄与)
-欧州:6.8%
Fiat-Chrysler Group - 83.3 -

-

Geely-Volvo - 12.9 -

-

現代/起亜(Hyundai/Kia) - 48.7 -

-

トヨタ - (22.3) -

-

*既存事業比ベース

内装モジュール部門
-内装モジュール部門の2011年12月期の売上高は、前年比12.6%増加の8,626.7百万ユーロとなった。既存事業比ベースでは10.8%の増加(上期11.8%増、下期9.8%増)。

1.シート
-2011年12月期の売上高は、前年比9.0%、既存事業比ベースでは7.5%増の4,981.2百万ユーロ。

<欧州>
-2011年12月期の欧州における売上高は、3,131.4百万ユーロと2.2%、既存事業比ベースでは2.3%の増加。

<北米>
-2011年12月期の北米における売上高は、シートシステム事業のMadison工場の売上107.7百万ユーロを含め、前年比38.4%増の880.0百万ユーロ(2011年下期に前年同期比52.5%増)。

-同売上高は、既存事業比ベースでは26.4%増(2011年下期に前年同期比34.6%増)。主な増加要因は、Mercedes 「M-Class」への新規受注とChattanooga工場におけるVolkswagen 「Jetta」、「Beetle」、「Passat」への継続受注。

<南米>
-2011年12月期の南米における売上高は、前年比32.1%増(既存事業比で35.3%増)の265.8百万ユーロ。同年下期は、前年同期比17.7%増(既存事業比で24.1%増)。

<アジア>
-2011年12月期のアジアにおける売上高は、前年比8.8%増(既存事業比で9.4%増)の464.9百万ユーロ。同年下期は、前年同期比8.4%増(既存事業比で8.3%増)。

2.内装システム
-2011年12月期の売上高は、3,645.5百万ユーロとなり、前年比17.9%の増加(既存事業比で15.6%増)。

<欧州>
-2011年12月期の欧州における売上高は、前年比14.0%増(既存事業比で8.4%増)の2,056.5百万ユーロ。

<北米>
-2011年12月期の北米における売上高は、前年比29.9%増(為替変動を考慮しない場合は35.6%増)の622.3百万ユーロ。

<南米>
-2011年12月期の南米における売上高は、前年比17.6%増(既存事業比で19.8%増)の192.2百万ユーロ。

<アジア>
-2011年12月期のアジアにおける売上高は、前年比0.3%減(既存事業比で0.2%減)の137.8百万ユーロ。2011年下期は、前年同期比7.1%増(既存事業比で6.5%増)。


その他モジュール部門
-その他モジュール部門の2011年12月期の売上高は、前年比23.3%増加の7,563.5百万ユーロとなった。触媒コンバーター用担体分を除く既存事業比ベースでは、17.5%増(同年上期17.0%増、同年下期17.9%増)。

1.排気コントロール技術

-排気コントロール部門の2011年12月期の売上高は前年比20.9%増の5,779.3百万ユーロ。為替変動を考慮しない、かつ、触媒コンバーター用担体分を除くと20.5%の増加。

-触媒コンバーター用担体分を除いた2011年12月期の地域別売上高は、欧州で11.9%増(既存事業比11.7%増)、北米で26.4%増(既存事業比32.0%増)、アジアが27.8%増(既存事業比28.7%増)、南米が5.7%減(既存事業比3.9%減)となった。

-2011年下期の売上高は、欧州で前年同期比6.7%の増加(既存事業比6.8%増)、北米で25.8%増(既存事業比31.9%増)、アジア地域で26.9%増(既存事業比27.3%増)、南米が9.4%減(既存事業比4.5%減)となった。

2.自動車外装
-外装部門の売上高は、1,784.2百万ユーロと前年比32.1%の増加となった(2011年上半期のPlastal Germanyの売上135.9百万ユーロおよび2011年1-9月間のPlastal Spainの売上121.6百万ユーロを含む)。既存事業比では12.1%の増加。

-2011年下期の売上高は、前年同期比17.4%の増加(既存事業比12.5%)。

企業買収

-デンマークのAmminex A/Sの株式21.2%を1億4,640万デンマーククローネ (約1,960万ユーロ)で取得した。Amminexは窒素酸化物(NOx)処理用のアンモニア貯蔵・供給装置(Ammonia Storage and Delivery System: ASDS)メーカー。ASDSは液体の代わりにガスを使用したSCRシステム。排気システム内の触媒に適量のアンモニアを供給し、乗用車・商用車のディーゼルエンジンから排出されるNOxの効率的な除去を行う。また同社とAmminexは、ディーゼルエンジンを共同で開発・製品化することにも合意した。既に自動車メーカー数社との間で、開発前段階の活動を開始している。(2011年1月17日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社と中国の寧波華衆塑料製品有限公司(Ningbo Huazhong Plastic Products Co., Ltd.)は、折半出資により新会社を設立することで合意した。新会社の名称は長春華翔佛吉亜汽車塑料件製造有限公司(Changchun Huaxiang Faurecia Automotive Plastic Components Co., Ltd.)で、自動車用外装部品の生産を行う。寧波華衆塑料製品の子会社である長春華翔汽車塑料件製造(Changchun Huaxiang Automotive Plastic Manufacture)の既存工場を拠点とする。長春華翔汽車塑料件は現在、一汽VWの長春工場で生産中の「Passat」(中国名Magotan)向けにバンパーシステムを納入中。この契約を新会社が引き継ぐ計画。また、新会社は一汽VWより「Audi A6」向けの外装部品も受注している。なお、新会社はFaureciaにとって、中国初の外装部品事業の合弁会社となる。(2011年1月24日付プレスリリースより)

事業提携

-同社は関連会社である中国部品メーカーの旭陽工業集団(長春)と、内装部品に関する提携を拡大すると発表した。長春にシートおよびインテリアシステムの技術開発拠点を旭陽と共同で設立する。一汽フォルクスワーゲン汽車(FAW―VW)向けに、佛山に旭陽と合弁会社を設立し、シート、インテリア、ソフトリムの計3工場を建設する。(2011年6月20日付日刊自動車新聞より)

受注

-2012年モデルのVolkswagen 「Passat」へ様々な部品を供給すると発表。「Passat」は、米国テネシー州Chattanooga新工場で生産される。同社の排気システム部門はこの車両の3つのエンジン向けに、エキゾーストシステム一式を供給する。対象エンジンは2.5Lガソリンエンジン、2.0L TDIクリーンディーゼルエンジン、3.6L VR6エンジン。また同社のシート部門は、マニュアルフロントシートストラクチャーおよびフロントシート電動バックレストを「Passat」へ納入している。さらに、内装には同社のインストパネルが採用された。外装部門は、軽量型フロントエンドキャリアを供給。なお同社にとってVolkswagenグループは、売上の24.4%を占める世界最大の顧客となっている。(2011年2月22日付プレスリリースより)

受賞

-同社の中国合弁会社が神龍汽車有限公司(Dong Feng Peugeot Citroen Automotive: DPCA)より「Best Suppliers 2010」を受賞したと発表。対象は、佛吉亜全興(武漢)汽車座椅有限公司(Faurecia GSK Wuhan Automotive Seating Co.: FGW)と武漢佛吉亜通達排気系統有限公司(Faurecia Tongda Exhaust System (Wuhan) Co. Ltd.: FTES)。 (2011年2月7日付プレスリリースより)

事業展望

-2015年までに売上額200億ユーロの達成を目指すと発表。これは、2011年比で25%の増加となる。また、現在開発中の製品に関する供給契約は総額約340億ユーロで、2011年に見込まれる製品売上高の2.7倍超に達する見込み。(2011年11月7日付プレスリリースより)

-2012年12月期の売上は、前年比1-3%増の163-167億ユーロと予想。売上高増加の要因は以下の通り。1) 北米の2011年および2012年に開始される新規生産とマーケットシェアの拡大、2) 中国において新規製造拠点の操業開始による、新規自動車メーカーとの事業を見込む。

-2012年12月期の営業利益は、610-670百万ユーロと予想。南欧の自動車生産量が減少するが、北欧の見通しがポジティブであることと、柔軟なコスト構造に転換することで相殺できると見込む。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 759.6 689.1 493.2

研究開発体制

-5,000名のエンジニア・技術者が在籍。R&Dならびに設計開発センターは40ヶ所。

-エンジニアリングソフトウエアの米ビスタジーは、自動車シート、排ガス規制技術などを手がける仏フォルシアがビ社のシートデザインエンバイロメント(SDE)ソフトウエアを導入し、シートトリムカバーの試作品製作期間を20%削減したと発表した。SDEを導入したことで試作製作期間短縮のほか、シートトリムエンジニアのニーズにあったマスターモデルを提供、入札の精度を向上させプロセス全体のコストを削減したとしている。SDEでは、サプライヤーや自動車メーカーのコストモデルに直接データを送るユーティリティーを利用することで入札プロセスを簡素化、それらのパラメーターや要件に基づく入札を迅速に算出することを可能にしている。早くて正確なコスト計算が行えることで、収益面の損失リスクを少なくするとともに競合との優位性が発揮できるとしている。(2011年7月15日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点

-フランスのBrieres-les-Scellesに新たに技術センターを開設したと発表。自動車用シートの開発を行う。投資額は約5百万ユーロ。「Seats」、「Innovation Plateau」、「Seating Engineering Academy」、「TechForum」、「FrameTech」の5つの主要分野で構成される。このBrieresセンターは、Stadthagen(ドイツ)、上海(中国)、Troy(米国)、Caligny(フランス)の技術センターとともに、FAS TechCenterのグローバルネットワークを構築する。(2011年10月6日付プレスリリースより)

-中国に排気系部品のアジア本社と研究開発センターを開設したと発表した。投資額は約500万ユーロ。中国で排出ガスに関する規制強化を受けて中国を始めとしたアジア市場向け車両の部品開発を強化するのが狙い。同社は排気系部品で約25%のシェアを獲得している。今後大きな成長が見込まれる中国で事業を拡大することで売上増につなげる。(2011年4月16日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

-同社は特殊化学品メーカーの仏ローディアと共同で、樹脂製骨格を採用した軽量シート構造部品を開発すると発表した。次世代の軽量型シートに適用する考えで、高張力鋼板を用いる従来品に比べ大幅な軽量化を狙う。(2011年5月28日付日刊自動車新聞より)

-GMとシートフレームおよびシート機構、PSAとディーゼル粒子フィルターおよびヒートリカバリーシステムの共同開発を実施。

製品開発

-同社は、米国で開催されるロサンゼルスオートショー2011で様々な製品を展示する。「Performance Seat」は、従来のシートに比べて30%薄型化および20%軽量化を実現。このシートには「compliant shell」と呼ばれるシェルが付属している。様々な姿勢・体格に対応しており、乗員の体の動きに合わせて形状が変化することで、腰部・肩上部・骨盤をサポートする。また同社は、「SmartFit」シート向けのアプリ「GPSFit」も発表する予定。「SmartFit」は、スマートフォンのアプリに入力した身体測定値をもとに、シートの調整を行うシートアジャストシステム。この「GPSFit」ではGPSのデータを利用し、道路・運転状況が変化する前に、前もってシートの再調整を行う。さらに同社は、新型内装システム「Pret-a-Porter」デモンストレーターや、レンジエクステンダー型ハイブリッド向けのエキゾーストシステム、歩行者安全システムなどを展示する。(2011年11月16日付プレスリリースより)

-同社は、開催中の「第81回ジュネーブ国際モーターショー」に、欧州車用に開発した内装システムモジュールや排気系部品などを展示した。展示した製品は「アウディA6」や「BMW1シリーズMクーペ」など、新型車両10モデルに対応したシステム部品。この中で、アウディA6用の「ハイコンフォートシート」は、10個の圧縮空気ユニットを使用し、乗員に対してマッサージ機能を備えている。このほか、アルミニウム調のインストルメントパネルやインテリア、フロントエンドモジュール、マフラーを含む排気系システムなどを展示している。(2011年3月8日付日刊自動車新聞より)

設備投資

セグメント別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
内装モジュール 247.7 172.5 114.6
その他モジュール 190.4 124.4 45.9
その他 13.3 7.4 8.6
合計 451.4 304.3 169.1

国・地域別設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
フランス 85.2 63.2 68.7
ドイツ 49.2 27.1 18.0
その他欧州諸国 106.8 52.6 43.4
北米 76.1 72.4 23.2
南米 43.9 23.2 10.0
アジア 65.3 42.6 15.6
その他 24.9 23.3 11.2
合計 451.4 304.4 190.1

海外投資

<韓国>
-同社のEmissions Control Technologies部門が韓国に3番目となる工場を開設したと発表。コールドエンド・ホットエンドを生産する。永川(Yeongcheon)市に位置し、蔚山(Ulsan)工場をはじめとする現代自動車の拠点へ供給を行う計画。同工場の従業員数は140名。2011年8月より生産を開始している。(2011年11月16日付プレスリリースより)

<中国>
-中国江蘇省の塩城(Yancheng)経済技術開発区に、シートメカニズムを生産する自動車用シート工場を建設すると発表した。投資額は42百万米ドル(30百万ユーロ)の見込み。年間で、最大4百万セットのシートメカニズムを生産する。工場面積は22,000平方メートルで、2011年末より建設を開始する予定。フル稼働は、2013年夏を見込んでいる。(2011年7月18日付プレスリリースより)