ZF Friedrichshafen AG 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 36,444 35,166 3.6 1)
営業利益 1,723 1,614 6.8 2)
部門別売上高
パワートレインテクノロジー 8,725 7,981 9.3 3)
シャシーテクノロジー 6,484 6,447 0.6 4)
商用車テクノロジー 3,172 2,960 7.2 5)
E-Mobility 924 862 7.2 6)
アクティブ&パッシブセーフティテクノロジー 13,970 13,645 2.4 7)
ZF アフターマーケット 3,007 2,815 6.8 8)

要因

1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比3.6%増の36,444百万ユーロ。営業活動の変更や為替の影響により6%の組織的成長であった。売上はアフリカを除き全ての地域で伸びた。

2) 営業利益
-2017年12月期の営業利益は、前年比6.8%増の1,723百万ユーロ。増収理由は、主に全社的な生産性向上によるもの。

3) パワートレインテクノロジー部門
-2017年12月期の売上高は、前年比9.3%増の8,725百万ユーロ。主な増収理由は、乗用車用ATの継続的な高い需要によるもの。

4) シャシーテクノロジー部門
-2017年12月期の売上高は、前年比0.6%増の6,484百万ユーロ。売上増はアジア太平洋地域での偏った高い販売で、北米での販売減や為替の影響で一部相殺された。

5) 商用車テクノロジー部門
-20176年12月期の売上高は、前年比7.2%増の3,172百万ユーロ。中国、ロシア、ブラジル市場での強い成長が部門の成長のドライバーであった。

6) E-Mobility部門
-2017年12月期の売上高は、前年比7.2%増の924百万ユーロ。部門としては会計年度を通じ9%を超える成長であった。主にAT制御システムやハイブリッドモデュールの高い需要が主な要因。


7)アクティブ&パッシブセーフティ部門
-2017年12月期の売上高は、前年比2.4%増の13,970百万ユーロ。部門としては約6%の成長率であった。売上は2016年7月のファスナー&コンポネント事業の売却や2017年度での部門のアフターマーケット事業の再編などにもかかわらず伸びた。

8) ZF アフターマーケット
-2017年12月期の売上高は、前年比6.8%増の3,007百万ユーロ。この部門はパッシブセーフティ技術部門のアフターマーケット事業とZFサービス事業部の融合。



買収

-同社は、エンジニアリング会社BeeSpeed Automatizari S.R.L. (BeeSpeed) との間で、同社がBeeSpeedの自動車部門を買収することを最終目標に投資・協力していくことで合意した。BeeSpeedはルーマニア西部にあるTimisoaraに本拠におき、過去10年間ZF TRWブレーキシステム事業部に75名の開発者および技術者を派遣してきた。今回の合意によって同社は彼らの技能を長期にわたって確保する。2018年初めまでにBeeSpeedから自動車部門をスピンオフして、2019年1月1日付けで同社に移行する予定。買収額は非公開。 (2017年5月16日付プレスリリースより)

-同社は、ドイツOttobrunnに拠点を置くAstyx Communication & Sensorsの株式約45%を取得したと発表した。Astyxは1997年設立、超高周波レーダーセンサーなどの開発・生産を行う企業。同社とAstyxは今後共同で次世代型短距離・長距離レーダーセンサーの開発を進める。同社のアクティブ&パッシブセーフティテクノロジー部門は2015年5月にTRWの事業を統合し、距離および自動速度調整に焦点を当てたADAS向けレーダー技術の開発、供給を行っている。(2017年3月30日付プレスリリースより)



再編

-同社は、グローバル・ボディコントロールシステム事業を、香港に本拠を置くLuxshareに売却すると発表した。Luxshareはグローバル・ボディコントロールシステム事業を独立企業として運営し、これまでと同様にドイツRadolfzellに本拠を置く意向で、現在の経営陣が引き続き事業を主導する。ボディコントロールシステム事業は世界11カ国に16拠点を有し、従業員数は約6,000名、また5カ国11カ所に営業所やエンジニアリングオフィスを有する。同事業は自動車向けインターフェイスソリューションの開発および製造を担っており、複合スイッチ、ステアリングコラム制御モジュール、電子制御パネル、HVAC制御、電子式・機械式ステアリングコラムロック、リモートキーレスおよびパッシブエントリーアクセスシステム、タイヤ圧監視システム、雨/照明/湿度/太陽光センサー等を供給する。今回の取引は2017年末までに完了する見込み。(2017年8月30日付プレスリリースより)



合弁

-Brakes Indiaと合弁パートナーである同社は、OEM向けに電動パーキングブレーキ(EPB)の生産を開始したと発表した。インド市場へのEPB投入は初めて。EPBは、ブレーキ性能やドライバーの安全性・快適性の向上を目指す同社の取り組みの一環。(2017年10月6日付プレスリリースより)

-同社と北京海納川汽車部件股份有限公司[Beijing Hainachuan Automotive Parts Co., Ltd.] は2017年9月13日、了解覚書(MOU)に調印した。両社は合弁会社を設立し、中国市場向けに電気自動車部品を生産することで合意した。(2017年9月15日付け各種リリースより)

-同社は、小型電動車の開発に向けて、二輪用部品の技術やサービス、バッテリー技術を手がけるサプライヤー3社と合弁事業を開始したと発表した。都市部でのヒトやモノの輸送手段として需要拡大が見込まれる電動式の超小型車両の開発と製造・販売に本格的に取り組む。同社の合弁相手は、二輪車部品を手がける独マグラと独ブレーキフォースワン、バッテリーを製造する独ユニコーン・エナジーの3社。同社が昨年9月に設立したベンチャー投資会社のツークンフト・ベンチャーズが合弁会社に48%出資して筆頭株主となる。各社の得意事業を組み合わせて小型電動車両を開発し、今夏の終わり頃に製品の市販を目指す。(2017年6月21日付日刊自動車新聞より)

-同社は、子会社であるZukunft Venturesを通じて、e.GO Mobile AGとの合弁企業「e.GO Moove」を立ち上げることを発表した。「e.GO Moove」は、Aachenを拠点におき、自動運転の乗客・貨物輸送車の開発、生産、販売を目指す。先日、初の試作車がアーヘン工科大学で公開された。同社は、電気駆動装置、ADAS、シャシー、センサー統合技術に併せて、スーパーコンピュータレベルの拡張性の高い制御ユニット「ZF ProAI」を「e.GO Moove」に提供する。「ZF ProAI」は、クラウドでのアップデートが可能な統合車両システムで、インフラ間 (V2I: Vehicle-to-Infrastructure) 通信アプリケーション向けの人工知能アルゴリズムをベースとし、学習能力を備える。他の車両や周辺環境と通信し、スワームインテリジェンスという形で車両の安全性と効率性を向上させる。同社とe.Go Mobileに加えてNvidiaが、e.GO Moverの自動運転機能の開発及びテストに協力する。(2017年5月18日付プレスリリースより)



業務提携

-NVIDIAは、Deutsche Post DHL Group (DPDHL)と同社が提携し、自動運転配送トラックの試験運用を2018年に開始すると発表した。DPDHLは、「NVIDIA DRIVE PX」をベースにした「ZF ProAI」自動運転システムを搭載したEVトラックを荷物の自動輸送や配送に使用する予定。DPDHLが現在保有しているEV配送車「StreetScooter」3,400台に、同社の各種センサーを搭載すれば、人工知能(AI)を使った周囲の環境の理解や安全な経路の計画や走行、自動停車が可能になり、より正確で安全、低コストな配達が実現できるとしている。(2017年10月10日付プレスリリースより)



最近の動向

-同社は7日、シュテファン・ゾンマー最高経営責任者(CEO)が退任したと発表した。監査役会が後任を指名するまで財務担当取締役兼CEO補佐役のコンスタンチン・ザウアー氏が暫定CEOを務める。ゾンマー氏は2012年5月にCEOに就任し、車両の電動化や自動運転技術など次世代技術の開発を推進するとともに、安全技術に強い米TRWを買収するなど、同社をメガサプライヤーの一角に成長させてきた。ただ、一部メディアは拡大路線を進めるゾンマー氏と、負債を減らして配当金を引き上げたいオーナー財団との確執が辞任の理由と報じている。(2017年12月9日付日刊自動車新聞より)

-同社は、2015年5月に買収した米TRWの同社への統合が、当初の予定より早くほぼ完了したと発表した。「see. think. act : 見て、考えて、動かす」という新しい指針のもと、デジタル化や電動化、自動運転といった将来のトレンドに向けて、インテリジェントなメカニカルシステムの商品ラインナップを拡充していくという。同社は、「安全、効率、電動化」をテーマに、最新技術や製品を米ジョージア州Atlantaで開催される北米商用車ショー(NACV)に出展する予定。(2017年9月25日付プレスリリースより)

-同社は、統合型インテリジェントシステムのポートフォリオを拡大する。同社のスローガン 「見て、考えて、動かす」を基に、商用車の完全自動運転を目指す。またバス等の商用車向け電動化システムを取り揃え、安全性・効率性の向上を後押しする。さらに同社のハイブリッドと完全電動ドライブは、量産可能な段階にあるという。また同社は、他社への投資、株式保有、提携を通して完全自動運転の実現に向け能力拡大に努めるとしている。Nvidiaと共同開発した制御プラットフォーム「ZF ProAI」、レーダー事業に特化したAstyx Communication & Sensors GmbHの株式取得もその一環である。(2017年5月23日付プレスリリースより)

-同社の日本法人は、本社を東京都から横浜市中区に移転したと発表した。ビジネス環境や利便性に加え、自動車関連企業やエレクトロニクス、IT(情報技術)企業が集積していることから、次世代技術に対応する人材確保につなげる。新本社には、2015年5月に買収を完了した米TRWオートモーティブの日本法人であるTRWオートモーティブ・ジャパンの本社機能も統合し、生産性向上とシナジー効果を追求する。(2017年3月27日付日刊自動車新聞より)

-同社とPlug and Playは、戦略的パートナーシップの締結に合意した。同社は今後更にスタートアップ企業との提携ネットワークを拡大する意向。Plug and Playは、2006年に設立され、本社をカリフォルニア州Silicon Valleyに置く。スタートアップ企業を既存企業に結びつける業務で世界的に有名で、毎年100社以上の企業に投資。同社は今回の提携により、コネクテッドモビリティに関連する新しいトレンドを扱う設立間もない企業と、一層親密な関係を構築することができる。また、2016年秋に設立された自社のベンチャーキャピタル「Zukunft Ventures GmbH」を通して、長期直接投資を模索することも可能になる。Plug and Play Germany GmbHは以前にも同社と契約を結んでおり、既に自動車ビジネスに深く携わっている。(2017年2月22日付プレスリリースより)



受注

-同社は、小型商用車用の電動パーキングブレーキ(EPB)がFordの2018年型「F-150」に搭載されると発表した。燃費の改善や省スペース化など様々な機能を持つEPBが大型車に搭載されるのは初めて。同社は、子会社化したTRWが2001年にEPBを市場に投入して以来、100百万台以上の小型乗用車やトラック、商用バン、SUVにEPBを提供している。 (2017年9月26日付プレスリリースより)

-同社は、米国で発売された新型となる2017年型「Jeep Compass」に、同社初のコラム式電動パワーステアリング (C-EPS) が搭載されていると発表した。このC-EPSは、安全と自動運転機能の強化、燃費の向上、二酸化炭素ガスの削減に貢献している。また、レーンキーピングアシスト、レーンセンタリングアシスト等のシステムと融合することが可能。更に、横風安定機能、駐車等を対象にした低速度での軽い操作、高速運転時の重い操作などの運転アシスト機能を提供することができるという。同社は、2001年のEPSの生産開始以来、世界中の顧客に3,000万個以上を供給してきた。今回「Jeep Compass」に搭載されたC-EPSは、グローバル規模でFCAに供給され、メキシコ、ブラジル、中国、ポーランドで生産される。 (2017年8月8日付プレスリリースより)

-同社は、上汽大通汽車有限公司[SAIC MAXUS Automotive Co., Ltd.]と戦略的提携協定書を締結した。同社は上汽大通の最先進モデルに最新の8速オートマチックトランスミッション8HP50を提供する。トランスミッション以外にもシャシー部品、ショックアブソーバー、パワートレイン、ベルトドライブ式ステアリングシステム、電動パーキングブレーキ (EPB)などで提携することになっている。(2017年7月31日付け各種リリースより)

-同社は、北汽福田汽車の長距離トラック「Auman EST-A」にTraXon オートマチックトランスミッションを供給すると発表した。TraXonは、ドイツFriedrichshafenで生産された後、北汽福田汽車の北京工場に直接納入される。同社はまた、AIRTRACエアスプリング・リアアクスルを北汽福田汽車の重型トラックに供給する。AIRTRACは、積み荷や道路表面へのダメージ防止と運転時の快適性向上に貢献。北汽福田汽車へは初めての供給となり、中国で生産して納入する。 (2017年3月27日付プレスリリースより)

-同社は、Porscheと共同で新型8DTに採用するスポーツカー向けのハイブリッドトランスミッションモジュールを開発したと発表した。この新型トランスミッションは、後輪駆動車および全輪駆動車用で、迅速なシフトチェンジ、燃費効率に優れている。現行の7DTと比較して、トランスミッションの全長を増加させずに100 kWハイブリッドモジュールとの統合を可能にしている。ドイツのBrandenburg工場で生産され、Porsche「Panamera」に初採用される。 (2017年2月16日付プレスリリースより)

-同社は、同社のAKC(アクティブ・キネマティクス・コントロール)システムが複数のモデルに採用されていると発表した。
・Porsche「911 Turbo」:デュアルアクチュエーターシステム
・Porsche「911 GT3」:デュアルアクチュエーターシステム
・Ferrari「GTC4Lusso」:デュアルアクチュエーターシステム
・Porsche「Panamera」:シングルラージ・アクチュエーターシステム
・Audi「Q7」:シングルラージ・アクチュエーターシステム
・Cadillac「CT6」:シングルラージ・アクチュエーターシステム
・BMW「7 Series」:シングルラージ・アクチュエーターシステム
同社では2014年からAKCシステムを生産しており、初年度の年間生産量は約1万2,000ユニット、2017年2月10日に累計生産10万ユニットを達成。今後年産25万ユニット超まで引き上げる計画。(2017年2月10日付プレスリリースより)

-2016年12月28日、武漢初のBRT(Bus Rapid Transit バス高速輸送システム)が開通した。この路線を走る全長18mのEVバスに同社のフロントアクスル RL85A、タグアクスル AVN132、ポータルドライブリアアクスル AV132を含む低床バス用アクスルシステムが採用された。この低床バス用アクスルシステムは高強度でメンテナンスが容易などの利点がある。乗降口の段差を無くすことで、バスの停留時間を短縮しBRTの運行効率を大幅に向上することができる。同社は製品のモジュール化、軽量化により、車両重量の軽量化、メンテナンスの簡便化を実現している。(2017年1月12日付け各種リリースより)



受賞

-同社は、日産から「2017 Nissan Global Supplier Award for Innovation」を受賞したと発表した。日産「セレナ」に搭載されている「ProPILOT」採用のフロントカメラが受賞の対象となった。「ProPILOT」は、高速道路の単一レーン上を走行するために設計された自動運転技術で、道路や交通状況を理解し、自動で運転を制御する。同社のカメラ技術が日産から受賞するのは、2014年以来2度目となる。(2017年9月5日付プレスリリースより)



見通し

-2018年12月期の売上高は、約36,500百万ユーロとなる見通し。



研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
合計 2,230 1,948 1,390

-年間売上高の6%以上を研究開発費に投資する予定。

-2018年12月期、対2017年比で研究開発費増を計画している。



研究開発体制

-2017年12月期で、全世界で約16,250名が研究開発業務に従事。



研究開発拠点

-20の主な研究開発拠点

  • ドイツ: Friedrichshafen、Alfdorf、Auerbach、Dielingen、Duesseldorf、Koblenz、Passau、Radolfzell、Schweinfurt
  • チェコ共和国: Pilsen
  • ポーランド: Czestochowa
  • 英国: Soliull
  • 中国: 上海、安亭鎮
  • 米国 (ミシガン): Northville、Livonia、Farmington Hills、Washington
  • インド: Hyderabad
  • 日本: 横浜

-同社は、中国市場の更なる成長を見込み、上海のエンジニアリングセンターを拡張したと発表した。松江区の既存施設に50百万ユーロを投資して54,000平方メートルに拡張した。同センターでは、2022年までの今後5年間で600名のエンジニアを新規雇用し、現在の約2倍となる1,000名に増員する計画。同センターではドライブラインおよびシャシーシステム技術を開発する。松江区の施設は、同社のアジア市場向けアクティブ/パッシブセーフティ技術に焦点を当てた安亭鎮技術センターに近接している。(2017年4月18日付プレスリリースより)

-同社は、インドのHyderabadに技術センターを開設すると発表した。当初の従業員数は1,000名で、2020年までに2,500名に増員する見込み。同センターの従業員の4分の3はエレクトロニクスおよびソフトウェアソリューションの開発に注力する。同社は同センターに今後5年間で15百万ユーロを投資すると表明している。(2017年3月2日付プレスリリースより)



研究開発活動

-同社は、自動運転分野における開発力を強化すると発表した。2017年12月1日付で、ドイツのオーバーバイエルンを拠点とするIEE Sensing Germanyのソフトウエア開発者20人が同社グループに加わり、「Zukunft Mobility」という名のチームとして、同社の子会社「Zukunft Ventures」で勤務することになるという。IEE Sensing Germanyは、自動運転車のためのソフトウエア開発のスペシャリスト。20人はセンサーやソフトウエアの開発を中心に、実用化に向けたシミュレーションなども手掛ける予定。(2017年11月24日付プレスリリースより)

-同社は、乗員保護分野におけるパートナーとしてEU主導の「プロジェクト・ベヒクル(BEHICLE)」に参画し、同車両向けに4点式シートベルトとサイドおよびカーテンエアバッグを開発したと発表した。BEHICLEは3人乗りのEVで、ベスト・イン・クラス・ビークル(BEst-in-class veHICLE:クラス最高の車)を意味している。このカテゴリーで初めて、ユーロNCAPの5つ星評価獲得を目指して設計された。(2017年9月18日付プレスリリースより)

-2017年3月31日期、同社の子会社ZF Steering Gearsが研究開発のため45.3百万インドルピーを投資した。それは機能テスト用の新しいテスト装置を含む。またツーバレルパワーステアリングギアー、バルブブロックやラジアルピストンポンプの開発も行う。ZF Steering Gearsはまた品質向上のためピストンサブアッセンブリーの新しい自動化ラインやトラックボール入りの輸入した研磨盤を設置した。

-同社は、同社の最先端技術を搭載したコンセプトカー「Vision Zero Vehicle」を発表した。このコンセプトカーに採用された技術が将来の事故ゼロ、排ガスゼロに役立てられるとしている。「Vision Zero Vehicle」は150kW電動アクスルドライブシステムを搭載。一体型パワーエレクトロニクス内蔵の駆動システムは、革新的で省スペースのリアアクスルシステム「mSTARS (modular Semi-Trailing Arm Rear Suspension)」を採用している。このアクスルにより、量産プラットフォームの電動化を容易にする。「mSTARS」は業界の主流となる製品で、リアアクスルシステムは無公害運転の役割を果たすだけでなく、安全性も改善されているという。(2017年6月21日付プレスリリースより)



技術提携

-同社は、イタリア企業のZAPIとの戦略的提携に合意したと発表した。トラックやバス、建機・農機などの利用者に、より早く、より最適なEVやハイブリッドシステムを提供するのが目的。技術提携として、両社はそれぞれの専門知識を持ち寄り、新たなドライブトレインの開発を加速させる。同社は、トランスミッションやアクスル、ステアリングシステムといったシステム設計やメカニカルコンポーネント分野における専門技術を提供する。同社の既存の量産向け電動ドライブ製品は、ZAPIの電気モーター、インバーター、交流モーター向けインバーターなどの電気部品によって補完される見通し。 (2017年11月12日付プレスリリースより)

-同社は、2017年5月に提携を発表したフォルシアと共同開発した新しいコンセプトのシートを独フランクフルトで開催中の2017年国際モーターショー (IAA)で発表する。柔軟で、快適性と安全性を追求したというシートは、両社のブースで展示される。また、将来の乗用車向け統合安全システムに関する長期的なロードマップも発表する予定。両社の提携は、運転支援から自動運転のレベル3、レベル4さらにレベル5へと進化する車の機能に対応できる「コックピット2025」の開発を目的としているという。(2017年9月19日付プレスリリースより)

-同社は、中国のインターネット関連企業の百度(バイドゥ)と戦略的提携関係を結んだと発表した。両社は自動運転およびテレマティクス分野で協力し、中国で広範囲な技術ソリューションを開発する。両社はそれぞれ特化したノウハウを持ち寄り、中国市場において新たなビジネスモデルの確立を目指す。百度は2013年から自動運転システムの研究開発への投資を拡大しており、2017年4月にはオープンで安全なプラットフォーム「Project Apollo」を発表し、自動車メーカー各社による独自の自動運転システム開発をサポートしている。(2017年9月12日付プレスリリースより)

-同社は、シリコンバレーのイノベーションハブ参入のため、戦略的研究の提携を強化すると発表した。同社はカリフォルニア大学Berkeley校と協力して、自己学習機械を利用して完全自動運転車両の開発を目指す。今回の協力により、環境、学習能力、開発ペース、安全性の飛躍的な向上を図るとしている。(2017年8月31日付プレスリリースより)

-米エヌビディア(NVIDIA)は、同社、Hellaと戦略的パートナーシップを締結し、量産用自動運転車に搭載する人工知能(AI)の開発で連携すると発表した。NVIDIAの自動運転車向けAIを開発するためのプラットフォーム「ドライブPX」を供給し、同社とHellaが共同開発する自動運転車向け画像処理技術、レーダーやセンサー技術を統合した運転支援システムの実現をサポートする。乗用車に加えて、商用車やオフハイウエイ用への対応も目指す。NVIDIAのドライブPXは、自動車アセスメントに対応した安全性と自動運転機能を実現できるソフトウエアを開発できる。(2017年6月30日付日刊自動車新聞より)

-同社とHELLAは、フロントカメラシステム、イメージングおよびレーダーシステムなどのセンサー技術分野において提携したと発表した。初のカメラ技術の共同開発プロジェクトは間もなく開始予定で、2020年の市場投入を目指す。同社はハードウェアおよび機能、システム、統合面などに貢献し、HELLAと子会社のHELLA Aglaia Mobile Visionはイメージングソフトウェアの供給やアプリケーション開発を行う。中長期計画では、商用車およびオフハイウェイ車両の自動運転用カメラシステムも開発する予定。レーダーシステム分野において、両社は共同で製品を構築することにより、短中期的なソリューションの確立を目指す。HELLAの360°サラウンドビューレーダーシステムとZFの中長距離レーダーシステムを組み合わせることにより、新しい包括的なシステムソリューションを創り出すとしている。(2017年6月20日付プレスリリースより)

-同社は、仏の大手部品メーカーのフォルシアと自動運転車向けの技術開発で戦略的パートナーシップを締結したと発表した。自動運転車に搭載する統合安全システムや、将来のコックピット向け先進安全技術の開発などで協力する。同社は自動車の内装部品に強みを持つフォルシアと協力し、高いレベルの安全技術を搭載しながら柔軟性と快適性を備えるインテリアの開発を目指す。特にシートでは、多くの安全装置の統合や、リクライニングや回転、自動運転から手動運転モードへの効率的な切り替えが可能な製品を開発する。また、車外とのネットワーク接続など、次世代車のインテリアに求められるさまざまな機能を共同開発する。今回のパートナーシップではノウハウの交流や共同作業が目的で資本提携は行わない。両社は従来通り、顧客の要望に応じて取引先と個別にプロジェクトに取り組む場合もあるとしている。(2017年5月9日付日刊自動車新聞より)

-同社は、UBSおよびinnogy Innovation Hubと共同で、様々な支払い機能を提供する「Car eWallet」を開発した。Car eWalletは、セキュリティを保証するためのブロックチェーン (blockchain) 技術を利用した支払いシステムであり、外出先で電気自動車 (EV) を充電する際の支払いを容易にする。Car eWalletの実地試験は2017年に行う計画。ユーザーはこのシステムを利用することで、高速道路、駐車場、充電料金の支払いが容易になるほか、カーシェアリング、電力システムへのエネルギー供給、配車サービスに対する料金回収も可能になる。また、ユーザーはブロックチェーンに登録された充電インフラに素早く簡単にアクセスできる。ブロックチェーンとは、すべての取引の記録を格納するためのバーチャルで暗号により保護されたデータブロックの連鎖を指し、すべてのユーザーアカウントの残高リストを作成することができる。このリストは多数のコンピュータに保存され、すべてのユーザーが監視することができるため、非常に安全なシステムとされている。(2017年1月5日のプレスリリースより)

-同社は、米ラスベガスで開催されたCES 2017で、NVIDIAと人工知能 (AI) システムの開発で協力していると発表した。乗用車およびトラックの自動運転や自律走行システムを含む輸送産業向け、ならびに産業用アプリケーション向けのAIシステムを開発する。ハイウェイ自動運転用の 「ZF ProAI」 は、同社がNVIDIAのAI技術を使用して開発する最初のシステム。複数のカメラ、LiDAR、レーダー、超音波センサーからの入力データを処理するNVIDIAのAIコンピューティングプラットフォーム 「DRIVE PX 2」 は、車両周辺の360度の視界を把握し、適切な処理を計画するために必要とされる膨大な演算能力を提供する。「ZF ProAI」 は、車両周辺で何が起こっているのかをリアルタイムで把握して、HDマップ上に正確に表示し、事前に安全なルートを計画する能力を備えている。V2Xアプリケーションにも対応しているため、他の車両や周辺のインフラと通信することも可能。同社は、「ZF ProAI」 を車載システムとして提供、車両の寿命まで無線更新で新機能を追加することができる。量産開始は2018年以降を予定している。(2017年1月4日付プレスリリースより)



製品開発

インテリジェントダイナミックドライビングシャ―シー
-同社は、自動運転のEV向け汎用プラットフォーム「Intelligent Dynamic Driving Chassis (IDDC)」を、Rinspeedの最新アーバンモビリティコンセプト「Snap」に提供すると発表した。IDDCは、環境センサーやインテリジェントコントロールユニット、コネクテッドメカニカルシステムで構成され、コアとなっているのはモジュラー式のリアアクスルシステム「mSTARS (modular Semi-Trailing Arm Rear Suspension)」」。リアアクスルに「AKC(アクティブ・キネマティクス・コントロール)」を搭載し、ステアリングアングル最大14度を、フロントアクスルに「EasyTurn」を搭載し同最大75度を実現した。ほかに、都市での自動運転向けに設定されたセンサークラスターも搭載。同クラスターは、レーダーシステムや、Ibeo Automotive Systemsと共同開発したLIDAR技術、カメラシステムで構成されている。将来的には、すべてのコンポーネント、システム、センサーからのデータが、NVIDIAと共同開発したスーパーコンピューター「ZF ProAI」で分析・処理される見通しだという。(2017年12月20日付プレスリリースより)

自動ステアリングホイールコンセプト
-同社は、レベル3以上の自動運転機能をサポートするステアリングホイールのコンセプトモデルを開発したと発表した。ディスプレイを通じて行うジェスチャーコントロールや、最新のハンズオン検出技術を採用している。また、このステアリングに合わせたエアバッグも設計、リムを通してステアリングの後ろ側からエアバッグを展開して中央のディスプレイをカバーすることにより、衝突時にドライバーを保護する仕組みになっている。(2017年12月13日付プレスリリースより)

バス・コーチ向け製品をバスワールド2017で紹介
-同社は、ベルギーKortrijkで開催される「Busworld 2017」で、eモビリティ技術を中心に、バス向け最新製品を披露すると発表した。シティバス向け完全電動セントラルドライブ「CeTrax」や電動アクスル「AVE 130」、大型商用車向けハイブリッドモジュール「TraXon Hybrid」に加え、都市バス向けアイドリングストップ機能付6速オートマチックトランスミッション「ZF-EcoLife」や、同製品の長距離バス向けバージョン「ZF-EcoLife Coach」なども出展される予定。(2017年10月20日付プレスリリースより)

座席一体型センターエアーバッグ
-同社は、座席一体型のセンターエアバッグを開発したと発表した。シートに内蔵した車内の中心側のエアバッグを展開することで側面衝突時の頭部の横揺れと乗員同士の衝突を防ぐ。同社は今年5月、シート開発などで仏フォルシアとパートナーシップを結んだ。提携後、初の安全技術となる。同社によると、欧州の衝突安全基準「ユーロNCAP」は、2020年から側面衝突時の耐衝撃性評価の重視を検討中で、これらに備える。(2017年6月14日付日刊自動車新聞より)

商用車の電動化製品
-同社は、商用車向け電動化製品を発表した。
・CeTrax: 大型輸送車の中でもとりわけ市内の路線バス向けに開発された完全電動セントラルドライブ。シングルリアのドライブアクスル及び従来の低床バスのアクスルと結合することが可能で、出入口のステップが低いバス及びあらゆる種類の低床バスに搭載することができる。
・AVE 130 電動ポータルアクスル: 低床の路線バス向けソリューション。内装や構造をフレキシブルに設計することが可能。
・TraXon Hybrid: 大型商用車向けモジュールで、搭載場所は内燃機関とトランスミッションの間に設置される。
・マイクロバス向けセントラルアクスルドライブ: 2018年に乗用車向けに量産される予定。電動モーターが、2段1速トランスミッション、ディファレンシャル、パワーエレクトロニクスと融合され、コンパクト設計を実現。性能はマイクロバスに要求される最大出力150kWに対応する。
(2017年5月23日付プレスリリースより)

エンジン停止・スタート機能付きEcoLife 6速オートマチックトランスミッション
-同社は、アイドリングストップ機能付6速オートマチックトランスミッション「ZF-EcoLife」を発表した。「EcoLife」は、都市バスに適した製品であり、オランダのバスメーカーVDLが路線バス「Citea LLE」2台に搭載し、試験段階にあるとしている。この新機能は、バスが停止すると自動でエンジンを停止させ、燃料消費をゼロにする。ドライバーがブレーキからアクセルに足を移動した際、エンジンとトランスミッションがすぐに再始動できる状態になる。このアイドリングストップ機能は、都市バスに要求される最大エンジントルク1,600 Nmに対応する。 (2017年5月23日付プレスリリースより)

SIAT 2017での展示製品
-同社は、インドで開催されるSIAT 2017でセミトレーリングアームリアサスペンション「MStars」、商用車向け自動マニュアルトランスミッション「Ecotronic」およびアルミニウムコントロールアームなどを出展すると発表した。同社は現地にエンジニアリングチームを置き、自動車関連および自動車関連以外の顧客に製品開発とアプリケーションエンジニアリングのサポートを行っている。また同社は、Hyderabadにソフトウェアと機械工学を専門とするテクノロジーセンターを開設する計画についても発表した。(2017年1月12日付プレスリリースより)

リンスピード「オアシス」コンセプトの製品
-同社のIRC(Intelligent Rolling Chassis)を搭載したRinspeed「Oasis」がNAIAS2017で発表された。IRCは、車軸一体型の電動パワーステアリングシステムを採用。また、同社のヒューマンマシンインターフェイス(HMI)機能を装備。シングルスポークのステアリングホイールにHOD(Hands ON/OFF Detection)が統合されているため、ボタンやノブのかわりに、ステアリングホイールに触れることによって一部の操作を行うことが可能。自動運転モードの時には、ステアリングホイールを折り畳んで格納することができる。更に、同社のOasis専用シートベルト機能「リラックスモード」を装備。自動運転モードの時には、バックルとアンカープレートが上にあがり、同乗者は、安全を確保された上で、自由に車内を動くことができる。(2017年1月10日付プレスリリースより)

インテリジェントローリングシャシー
-同社は、2017年デトロイトモーターショー (NAIAS) で、都市型電気自動車 (EV) に採用可能なプラットフォームのコンセプト 「インテリジェント・ローリング・シャシー (IRC)」 を発表する。このプラットフォームは、車軸一体型の電気駆動装置、先進ステアリングシステムを備えた極めて俊敏なシャシーと、全てのシャシー機能を連動させる電子制御ユニットを組み合わせたもの。また、フロント/リアアクスルに挟まれた完全にフラットな床構造は、あらゆるボディデザインの車両に対応できる。この特徴によってIRCは、乗用/物資輸送用を問わず、都市型EV開発においてフレキシブルで理想的なプラットフォームになりうるとしている。(2017年1月6日付プレスリリースより)



特許

-2017年で、同社は2,161の特許を申請(1,455が最初の申請)。



設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 1,350 1,185 1,290

-2017年12月期、設備投資額の66.2%が先払いと建設仮勘定。15.1%が設備・工場・事務所や他の設備での投資。3.6%が土地・建物。主な投資は既存製品の生産能力拡大、新製品の立ち上げに関連するもの。

-地域的には、2017年12月期の設備投資は、ドイツ、米国、中国、メキシコに集中していた。

-2018年12月期は、売上の約4%あるいは1,460百万ユーロが設備投資に向けられると予想している。



海外投資

<中国>
-2017年9月2日、福田采埃孚(Foton-ZF)ハイエンド自動トランスミッションプロジェクトの着工式が浙江省嘉興(Jiaxing, Zhejiang) で行われた。このプロジェクトの総投資額は50億元。敷地面積は約253,000平方メートル。軽型商用車用トランスミッション、重型商用車用トランスミッションなど、ハイエンド知能化トランスミッションを生産する。福田汽車集団とZFは、福田采埃孚軽型自動変速箱(嘉興)有限公司[Foton-ZF Light Automation Transmission (Jiaxing) Co., Ltd.] と采埃孚福田自動変速箱(嘉興)有限公司[ZF-Foton Automation Transmission (Jiaxing) Co., Ltd.]を設立。福田采埃孚は主に軽型商用車用トランスミッションを、采埃孚福田は主に重型商用車用トランスミッションを生産する。軽型商用車用プロジェクトは2019年1月1日に生産開始、年産能力は16万台を見込む。その後第2期建設を行い、2020年1月1日生産開始、年産能力32万台を目指す。重型商用車用プロジェクトは2019年1月1日に生産開始、年産能力は重型商用車用トランスミッション11.5万台とリターダー2万台を見込む。その後第2期建設を行い、2022年1月1日生産開始、年産能力は重型商用車用トランスミッション19万台とリターダー4万台を目指す。(2017年9月4日付け各種リリースより)

<インド>
-インドの子会社 ZF Steering Gears Indiaは自動車部品の第二製造事業の設立を視野に入れMadhya Pradesh, Dhar地区, Pithampurにリースで産業地区を取得した。計画作業は進行中で工場の操業開始は18-24か月後に予定されている。