J. Eberspaecher GmbH & Co. KG 2011年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2011年
12月期
2010年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,590.5 1,933.8 34.0 1)
EBITDA 182.4 114.1 59.9 -
エキゾーストテクノロジー部門
売上高 2,141.6 1,599.2 33.9 2)
クライメートコントロールシステム部門
売上高 448.8 334.7 34.1 3)

要因
1) 全社
-2011年の全社売上高は、前年比34%増の2,590.5百万ユーロとなり、金融危機前の2008年の売上水準を上回った。商用車および乗用車用製品がともに好調であったことが寄与。

2) エキゾーストテクノロジー部門
-同社最大の事業部門となるエキゾーストテクノロジー部門は、前年比33.9%増加の売上高2,141.6百万ユーロ。景気上昇と、ほぼ全ての製品市場において優位なポジションを確立したこと、さらに自動車メーカーの輸出向けの市場シェアが高かったことが寄与。

3) クライメートコントロールシステム部門
-クライメートコントロールシステム部門の売上高は、前年比34.1%増の448.8百万ユーロ。同事業の全製品の売上が堅調に推移。特にヒーターの年間売上は過去最高となった。さらに、燃料および電気自動車用ヒーター、バスエアコンシステムの売上が好調であったことが主な増収要因。

受注

-同社傘下のPrototechnik GmbH & Co. KGは、Porscheの新型「911 GT3 RS 4.0」にチタン製エキゾーストシステムを納入している。Porsche 「911 GT3」に使用されているステンレス製のものに比べて、40%超の軽量化を実現。またPrototechnikは、Eberspaecher製「ActiveSound/ActiveSilence」にも部品を提供している。アクチュエーターをエキゾーストシステムに統合することで、アコースティックエミッション(音響放出)を軽減する。「ActiveSound」を採用した初のモデルAudi 「A6 Avant」にも、同社製アクチュエーターが搭載された。なお、2011年フランクフルトモーターショーにおいて、同社はチタン製およびアルミ製アクチュエーターを展示する。スチール製に比べて、チタン製は最大26%、アルミ製は最大37%の軽量化を実現した。(2011年8月30日付プレスリリースより)

-同社の電子制御ユニット(ECU)が、Daimler 「Mercedes-Benz SLK」のエレクトロクロミック式自動ガラスルーフに採用されていると発表。Mercedesが「Magic Sky Control」と呼ぶ同ガラスは、ボタン操作によってガラスの色を透明~濃色に調整することができる。(2011年8月11日付プレスリリースより)

-サウンドアクチュエーター「ActiveSound」が、Audi 「A6 Avant」の3.0L TDIエンジンに採用されたと発表。Audi 「A6」の「Audi drive select」オプションパッケージに含まれている。これによりドライバーは、異なる特徴を持つ排気音を選択することが可能になる。なお、「ActiveSound」を搭載したモデルが量産されるのは、今回が初めて。(2011年8月10日付プレスリリースより)

-Fordの2011年型「Focus C-Max」と「Focus Grand C-Max」にパーキングヒーターがオプション搭載されていると発表した。このヒーターはE85燃料(エタノール85%、ガソリン15%)に対応している。同社は初代「Focus」の頃からFordに製品を納入している。(2011年2月9日付プレスリリースより)

海外事業

-ロシア子会社Eberspaecher Exhaust System Rusは、エキゾーストシステムの生産を2011年6月より開始すると発表した。年間42,000ユニットのエキゾーストシステムを、ロシアで生産する日産 「X-Trail」および「Teana」へ納入する計画。(2011年4月11日付プレスリリースより)

企業買収

-同社傘下のJ. EberspaecherはHexadex Limitedとの間で、Hexadexが所有するSwenox AB株式の大部分を取得する契約を締結した。英国のHexadex Group傘下のSwenoxは、大型・中型商用車向けにエキゾーストシステムの開発・生産を行っている。従業員数は約570名。スウェーデンNykopingを本拠とし、Gothenburgにテクニカルセンターを保有している。2010年の年間売上額は約40百万ユーロを記録。今回の契約により、Swenoxへの出資比率はJ. Eberspaecher 76%、Hexadex 24%となる。(2011年11月10日付プレスリリースより)

新会社

-中国上海市の浦東(Pudong)新区に子会社「Eberspaecher Exhaust Technology (Shanghai) Co. Ltd.」を設立したと発表。同社はこれまで、遼寧省大連(Dalian)と吉林省長春(Changchun)の合弁会社を通じて、中国市場に供給を行ってきた。新会社では、乗用車用マフラーアッセンブリーおよび触媒コンバーター、商用車用エキゾーストシステム一式の開発・生産・販売を行う。(2011年9月21日付プレスリリースより)

合弁会社

-同社と韓国のWooshin Industrialは、韓国の華城(Hwaseong)市に合弁会社「Wooshin Eberspaecher AG」を設立すると発表した。新会社は韓国市場において、現代・起亜向けに粒子フィルターや触媒コンバーターなどを供給する。Wooshin Industrialは、マフラーアッセンブリーやエキゾーストマニホールドを現代・起亜へ納入している。新会社は今後更に合弁会社を設立し、現代・起亜の海外工場(米国、インド、ロシア、チェコ、スロバキア、ブラジルなど)にもエンジン部品の供給を行っていく計画。(2011年3月31日付プレスリリースより)

受賞

-Porscheより「Supplier Award 2011」を、生産資材部門で受賞したと発表。なお、同社は、Porsche 「Carrera」および「Boxster」へエキゾーストシステムを納入している。(2011年8月9日付プレスリリースより)

-Volvo Powertrainより「Best Innovation award」を受賞したと発表。同社はVolvoと共同で、欧州排ガス基準「Euro 6」に対応する排ガス後処理システムの開発を行ってきた。また米国では既に、排ガス基準「EPA 10」対応の商用車用排ガス後処理システムを、Volvoへ納入している。(2011年6月28日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 120.1 97.7 79.2

-2011年の研究開発費は、前年比22.9%増加の120.1百万ユーロ。社内製品開発への投資に加えて、設計、CAE (computer-aided engineering)、試験サービスなどの外部企業に対する研究開発活動にも投資。

研究開発拠点

-研究開発活動は、以下7拠点で実施されている。
  • Esslingen (ドイツ)
  • Unna (ドイツ)
  • Schwabisch Gmund (ドイツ)
  • Paris (フランス)
  • Novi (米国)
  • Pune (インド)
  • Gothenburg (スウェーデン)

製品開発

電気自動車用 新型燃料ヒーター
-バイオエタノールを用いた電気自動車用の新型燃料ヒーターを開発。ウォーターヒーター「Hydronic E4S」は、法定基準値より90%の排出ガス削減を可能にした。1時間あたりに必要なバイオエタノールは0.4-0.5リットルと、大幅な燃費向上も実現。また、同社のエアヒーター「Airtronic」も100%バイオエタノールを燃料とする。「Airtronic」および「Hydronic」は、純粋バイオエタノールのほかに、E85燃料(エタノール85%、ガソリン15%)でも作動させることが可能。(2011年7月14日付プレスリリースより)

PTCヒーターおよびエアベント
-ドイツ子会社Eberspaecher catemは、Rinspeedによる電気自動車のコンセプトカー「Bamboo」向けに、PTCヒーターおよびエアベントを開発した。この車両は2011年3月のジュネーブモーターショーで展示される予定。(2011年2月16日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2011年12月期 2010年12月期 2009年12月期
合計 109.5 33.9 38.1

国内投資

-ドレスデン近郊 Wilsdruffに工場を新設。製造開始は2012年を予定。