Benteler Deutschland GmbH 2017年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)

要因

全社
売上高 7,856.1 7,423.4 5.8 1)
EBIT 206.8 191.2 8.2
自動車部門
売上高 6,296 5,880 7.1 2)


要因
1) 売上高
-2017年12月期の売上高は、前年比5.8%増の7,856.1百万ユーロ。前年実績の7,423百万ユーロには2016年5月31日にCasper Benteler GbmHに売却された帯鋼事業の182百万ユーロを含む。Benteler Group全部門が売上高増加に貢献した。

2) 自動車部門
-2017年12月期の同部門の売上高は、前年比7.1%増 の6,296百万ユーロ。自動車部門はグループ全体の売上の78.4%を占める。売上増の主な要因は、東欧の成長地域および中国・Shenyangの新モジュール工場。ブラジル市場の回復、Italianaのモジュール向上における売上増(Land Rover向け)も貢献。南欧地域では、ポルトガルPalmelaとスペインVigoでVolkswagenへの売上が増加。西欧での売上も好調。北米では売上減となったが、上記の要因により相殺された。上記に加え、一部の売上増は原料価格の上昇によるもの。

受賞

-同社の中国拠点であるBenteler Automotive Wuhuは、吉利汽車から2017年「Best Quality Improvement」賞を受賞したと発表した。吉利汽車の「CX11」熱間鍛造プロジェクトにおける貢献が評価された。(2018425日付プレスリリースより)

新工場

-同社は、自動車部門であるBenteler Automotiveが、チェコのKlasterec nad Ohriに新たな部品工場を開設したと発表した。開設記念セレモニーには、地元当局幹部や顧客、サプライヤー、同社経営陣らが出席した。チェコで5番目となる新工場の開設は、顧客との関係強化や地域需要への最適な対応が目的。工場は2017年末に稼働を開始し、主要顧客であるVolvoBMWSkoda AutoDaimler向けに鋼製部品の熱間鍛造、ブランキング、溶接、 レーザー切断などを行っている。工場の敷地面積は13万平方メートルで、第1段階における生産設備の面積は23,000平方メートル。現在の新規雇用数は300人だが、2018年末までに400人に増やす予定。(2018412日付プレスリリースより)

-同社は、ブラジルSao Caetano do Sulに工場を新設すると発表した。新工場は広さ8,531平方メートルで、5本の生産ラインを有する。従業員数は65名。ブラジル国内ではCamacariPorto RealJoinvilleItatiaiaに次いで5番目の拠点となる。新工場は顧客の拠点から3kmの距離に位置しており、顧客のニーズに迅速に対応できる。また、Bentelerのブラジル本社とも近接している。(2017713日付プレスリリースより)


工場拡張

-同社は、自動車部門であるBenteler AutomotiveがドイツSchwandorf工場で拡張工事の起工式を行ったと発表した。工場の生産・敷地エリアを1.5倍に拡張し、有名自動車メーカー向けにバッテリートレイを生産する。拡張工事は2018年末に完了し、2019年に稼働を開始する予定。(201835日付プレスリリースより)


Chassix Inc.による事業買収

- Chassixは、先に発表済のBentelerのノルウェーFarsundの自動車用軽量アルミ低圧鋳造事業部門の買収が完了したと発表した。買収完了に伴い、同事業部門は社名をChassix Norway ASに変更する。Farsund工場は高性能自動アルミ鋳造技術により、軽量アルミ鋳造部品を設計・製造している。Bentelerは事業ポートフォリオを詳細に分析した結果、アルミ低圧鋳造事業部門の売却を決定。なお、今後も軽量製品の開発は継続するとしており、アルミ鋳造部品についても必要に応じてChassixの協力の下供給するという。(2018321日付プレスリリースより)

  • Chassixは、BentelerのノルウェーFarsundの自動車用軽量アルミ低圧鋳造事業部門の買収に合意したと発表した。同社の鋳造事業部門は、高級自動車メーカー向けのサブフレーム、スイングアーム、ステアリングナックル、リアハブ等を製造している。Benteler Automotive Farsundの従業員数は約275名。鋳造事業部門はBentelerの中核事業ではなく、Farsundのみで事業展開中で、今後は必要に応じて外部パートナーの協力によってアルミ鋳造部品を供給する予定。(20171026日付プレスリリースより)



株式売却

-同社は、傘下のBenteler Carbon Composites Beteiligungsが保有するBenteler-SGLの株式50%全てを合弁相手SGL Carbonの全額出資子会社SGL Technologies Compositesに売却することで合意したと発表した。売却手続きは2017年末までに完了する予定。2008年に設立されたBenteler-SGLは、自動車産業向けにガラス繊維や炭素繊維を用いた軽量複合材部品を開発・製造する主要メーカーの1つ。2016年の売上高は約33百万ユーロで、従業員は221人。同社の製品には、複合材製のルーフやリアスポイラー、リーフスプリングなどがあり、AudiBMWPorscheVolvoにも供給している。(2017118日付プレスリリースより)


事業計画

- 同社は、持続的な成長に向け2017年に策定した「Strategy 2022」を実行に移すと発表した。同戦略は、コアビジネスの発展、成長目標達成、企業風土醸成の3本柱。事業展開に関しては、コアビジネスにフォーカス。自動車部門では、熱成形スチールやアルミ部品の生産に重点を置く。また、中国における電動モビリティ事業を大きなチャンスと捉え、新技術や成長市場に投資する。同社は2017年度、電気自動車(EV) 向けの「Benteler Electric Drive System」を世界に先駆けアジアで発表している。さらに、同社の成長の根幹は「勇気、大志、尊敬」を重んじる企業風土にあるとして、今後も重要視していく。同社の収益は2022年までに113億ユーロを超える見通し。(2018316日付プレスリリースより)


新拠点

-Benteler Automotiveは、英Coventryにエンジニアリング、プログラムマネジメント、セールスの活動拠点を開設した。Coventryは、1996Corbyに建設された部品工場に次いで英国では2番目の拠点となる。このCoventry拠点の開設は、Corby部品工場と併せて、1980年代後半からの重要な顧客であるJaguar Land Roverとの関係を強化するためであるという。Bentelerは欧州、ブラジル、インド、中国においてもJaguar Land Roverに製品を供給している。Coventryは、ウェストミッドランズ州に位置しており、Birminghamに近い場所にある。またBentelerのグローバル拠点や本社にもアクセスが良く、顧客のニーズに即座に対応することが可能な位置にある。Bentelerは、2019年までにCoventryで、フルタイム換算12人に相当する人員を雇用する予定。 (2017613日付プレスリリースより)

見通し

2021年までに売上高で11億ユーロを見込む

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 87.4 94.2 94.1



研究開発体制

-R&D要員は1,200名超。18カ国32カ所にR&D拠点を保有。

-研究開発活動は、複合骨格部品およびアルミ部品の開発・設計・製造を通じた軽量化に注力。自動車部門においては、製品開発及び製造工程での構造の軽量化技術、改善、安全等に集中している。


研究開発活動

-同社は、同社の自動車部門であるBenteler AutomotiveがドイツPaderborn市のAn der Talle工場で「BOOST 4.0」を実施すると発表した。「BOOST 4.0」は、欧州でのビッグデータ活用の推進を目的として2018年初頭に発足、16カ国50社の企業が参加するプロジェクト。プロジェクト実施に際して、BentelerFraunhofer Instituteをパートナーとして迎え入れ、欧州委員会(EC)から予防保守費用として資金提供を受ける。また、Bentelerが参画する企業間ネットワーク「it’s OWL」もプロジェクト実施に向けて経験を活かしたサポートを行うという。(2018313日付プレスリリースより)

-同社は、Plug and Playのイノベーションプラットフォーム「STARTUP AUTOBAHN」への参加を発表した。STARTUP AUTOBAHNの主な創立メンバーは、Daimler、シュトゥットガルト大学、Arena2036など。このプラットフォームでは、将来のモビリティとデジタル化のためのアイデアを持ち寄る。Bentelerは現在、Plug and Playの欧州子会社と協業中。(2017718日付プレスリリースより)

製品開発

-電気自動車用フロントアクスルプロトタイプ (Front axle prototype for electric vehicles)
-ドイツで第1回スチール/チューブ軽量化構造会議において電気自動車用フロントアクスルビームの試作品を展示。新しいスチールコンセプトを利用することにより、従来のフロントアクスルビームに比べ35%重量を低減。また、成形性は維持しつつ、より高硬度な新しいタイプのスチールを使用した。

-サスペンションシステム用超高硬度チューブ (Ultra high-strength tubes for electric suspension system
-サスペンションシステムに使われる超高硬度のチューブ開発。この超高硬度チューブは従来のチューブ比で30%まで重量減になる。

設備投資額 (単位:百万ユーロ)

2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
全社 429 440 455
-自動車部門 386 338 210

-2016年12月期の自動車部門の投資額386百万ユーロの内、約289百万ユーロが個別プロジェクトの投資、工場や生産設備への投資。2017年に実施された主な投資は、チェコKlasterec、 中国Chongqing、 ドイツTalle、トルコGebze、スペインVigoの熱成形ラインが挙げられる。またノルウェー、米国、メキシコ、中国の個別プロジェクト、チェコのKlasterecのインフラへも投資。

ドイツでの投資

-同社は、ドイツのPaderborn、Schloss Neuhaus、Lingen、DinslakenとBottropの工場に、2021年までに計200百万ユーロを投資する計画を発表した。この投資は、将来に対するコンセプト「Job security Germany」の一環で、ドイツの工場を、変化の激しい市場環境に対応させ、将来の成功を確実にするのが狙い。Paderborn工場では、エアバッグチューブ生産用の新しい高性能な溶接設備に投資し、2018年から、年間の生産能力を50百万個に増強する。Schloss Neuhaus工場では、2018年に新しい亜鉛めっきシステムに投資し、市場の需要増に対応する。パイプ分野では、欧州連合(EU)内を中心に環境に優しい製品の重要性が増しているのがその理由だという。(2017年10月25日付プレスリリースより)