Recticel 2006年度の動向

ハイライト

業績 (単位:百万ユーロ)

(単位:百万ユーロ)

2006年度 2005年度 増減率
要因
全社
売上高 1,474.4 1,391.6 6.0% 下記要因(1)参照
EBITDA 106.0 82.1 29.0%
営業利益(EBIT) 16.0 11.1 44.0%
純利益 (19.1) (25.4) -
自動車
売上高 426.9 484 (7.6%) 下記要因(2)参照
EBITDA 26.0 21.4 23.8%

要因
(1)全社
売上高
・米国の内装事業を除き構造的な収益性回復が2006年度の主要課題。
・米国の内装関連資産の減損処理をがなければ、2006年度は順調。
・売上は6%増加したが、実質的な成長は、5.4%。殆どの事業が、増収に寄与。高騰した原材料費の価格転嫁だけでなく、販売量も増加。
・フレキシブルフォーム部門では、トリムフォームの良好市場価格に支えられ、売上が伸張。
・2005年の下半期に、既に兆候が現れていた収益性の改善傾向は、ほぼすべての事業で2006年度も持続。

・EBITDAは、106.0百万ユーロ(2005年比29%増)で、対売上比率7.2%(2005年度5.9%)。 
・米国内装部門の減損処理費用(31.1百万ユーロ)の結果、営業利益(EBIT)は、16.0百万ユーロ(2005年度比85.3%増)で、売上対比1.1% (2005年度0.6% )。
・税引き後利益は、2005年度28百万ユーロの損失に対し、21.2百万ユーロの損失。 
・一過性減損処理費用の発生がなければ、2006年度の純利益は9.9百万ユーロ。

(2)自動車部門
売上高

・売上の低迷は2005年上半期に実施されたガラスモジュール事業の一部売却(-4.9百万ユーロ)、及び内装部門での成型品の販売低迷が要因。一方シート部門(Proseat)は売上が伸張。

収益
・自動車部門全体の収益性は、伸張。
・主に欧州工場が寄与し、内装部門は全体としては、EBITDA(営業利益+償却費)は若干プラスとなった。
・チェコ工場ではVolvo S80の生産を開始。欧州の4工場では、Mercedes C-classの内装部品生産を開始。
・中国では寧波工場でSkoda Octaviaの生産を開始。
・2006年中に新しいインテリアスキン(Colosense R)を投入し、市場より好反響で受け止められた。
・シート部門(Proseat)は、2006年度売上は伸ばしたが、原材料費の値上りの価格転嫁がおくれたことと、チェコの新規工場の操業開始の影響で収益はあがらず。
・外装部門の売上は、一部ガラスモジュール事業の売却の結果減収となったが、一定の収益は確保した。

合弁事業
2006年9月、同社とカナダ企業グループWoodbridgeは、モールドフォーム事業(自動車用シートクッション)を行っているWoodbridgeの英国工場を、既存の合弁会社Proseatに統合することで協力関係を強化することを決定した。

売却の失敗

2,006年9月、同社とドイツの投資会社グループNordwind Capital社との間で、同社の一部インテリアソリューション部門(自動車用インテリアトリム)の売却交渉が開始されたが、2007年2月にこの交渉は決裂した。

展望
Proseatシートクッション
近年、事業の拡大を図っている2000年より開始したカナダWoodbridge社との協力関係は、年々強化され、現在では欧州の両者のシートクッション事業は、合弁会社のProseatに引き継がれている。2007年度からは、Woodbridgeのシートクッション事業をおこなっている英国工場は、同合弁会社(Recticelの持ち分51%)に引き継がれる。
今後5年間で、欧州の自動車生産は17.1百万から19百万台に拡大することが見込まれ、その大部分は中央及び東欧で生産されると予測されている。Proseatはまず収益性の回復と、売上の緩やかな伸長を目指している。

内装部門

内装部門の売却は不成立ではあったが、同社は今後数年以内の事業拡大は可能と考えている。多くの自動車メーカーより同社のパテントである技術に対する期待が寄せられている。
この事業の成長機会の極大化と、それに見合う投資の必要性から、同社はベストな解決方法として、将来的に同部門をドイツの投資会社グループNordwind Capitalに委ねることを考えていた。この選択肢は、一旦白紙となったが、同グループはこの部門の成功する可能性を確信している。欧州でのこの事業は、引き続き順調であり、将来にわたって選択肢を否定する理由はない。一方、米国での事業は、注意深く見守ってゆく必要がある。

外装部門
耐色/耐光堅牢度の高いColdfastの開発によって従来の素材に替わりうる新しいポリウレタン製品を提案している。これら商品は、特に自動車産業界より注目されている。パテントを保有している、耐光性のColofast素材は、当初、自動車用ガラスモジュール用の素材として利用された。その後、自動車用内装トリム生産のためのColdfast Spray工程で脂肪族の素材が使われた。2005年にガラスモジュール事業を売却してからも、同社はベルギー及び米国でポリウレタンRIM(PU-RIM)コンパウンドの製造を継続し、全世界に販売してゆく予定。

開発動向

研究開発費用 (単位:百万ユーロ)

(単位:百万ユーロ)

2006年度 2005年度 2004年度 2003年度 2002年度

研究開発費用

18.2 16.4 15.7 17.2 14.9
売上対比 1.4% 1.1% 1.2% 1.4% 1.3%


研究開発体制

- ベルギーWetterenに国際開発センター(IDC)を所有。
- 2006年度のR&D投資は18.2百万ユーロ。
- 研究開発予算の71.7%が自動車事業のために使用される。

新製品開発
Colofastスプレー技術
- Colofastスプレー技術は、科学特性と基礎技術そのものについて、全部で16の特許で保護されている。
-Colofastスプレー技術を使って、色の褪めないウレタン製部品を業界で初めて供給できるようになった。これは乗用車内装について画期的な新技術。