パナソニック (株) 2020年3月期の動向
業績 |
(米国基準、単位:百万円) |
2020年 3月期 |
2019年 3月期 |
増減率 (%) |
備考 | |
全社 | ||||
売上高 | 7,490,601 | 8,002,733 | (6.4) | 1) |
営業利益 | 293,751 | 411,498 | (28.6) | 2) |
税引前利益 | 291,050 | 416,456 | (30.1) | - |
当社株主に帰属する 当期純利益 |
225,707 | 284,149 | (20.6) | - |
オートモーティブ | ||||
売上高 | 1,482,379 | 1,523,176 | (2.7) | 3) |
営業利益 | (46,637) | (12,117) | - | 4) |
要因
1) 全社売上高
-国内売上は、車載インフォテインメントシステム等が増収となるも、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により減収。海外売上は、車載電池が大きく伸長したが、車載機器等の不振や為替、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により減収。
2) 全社営業利益
-北米の円筒形電池工場での取り組みによる合理化はあった一方、新型コロナウイルス感染症拡大による減販損の影響等により減益。
3) オートモーティブセグメント売上高
-車載機器事業では、自動車の情報化に対するニーズの高まりを受け、コックピットシステムなどの成長製品は伸長したものの、中国自動車市況の悪化に加え、製品サイクル移行期の影響を受けたこと、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大による影響もあり減収。車載電池事業では、角形リチウムイオン電池が電動車の需要拡大を受けた増産投資の効果により増収、円筒形リチウムイオン電池も米国電気自動車メーカーの生産拡大に伴う増産もあり、全体として大幅な増収。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響として、需要面では、顧客の世界各拠点における工場稼働休止などに伴い、日本、欧米、中国、アジア地域において影響が顕在化。供給面では、中国等での外出規制や一部の部品供給難により、限定的に生産・稼働への影響が及んだ。
4) オートモーティブセグメント営業利益
-車載機器事業では開発難易度が高い受注済の欧州充電器件名の開発費が増加するとともに、市況悪化の影響などを受けたFicosa Internationalののれん減損を計上。また、車載電池事業では角形リチウムイオン電池における国内姫路工場での高容量セルの生産開始に伴う固定費増などがあり、車載電池事業の増販益はあったものの、セグメント全体では減益となった。
2021年3月期の見通し
-新型コロナウイルス感染症拡大の影響により未定。
新会社
プライム プラネット エナジー&ソリューションズを設立
-トヨタが51%、パナソニックが49%出資。東京と関西の2カ所に本社を置き、2020年4月1日から事業を開始。車載用角形リチウムイオン電池、車載用全固体電池及びその他の車載用次世代電池の開発・製造・販売を手掛け、パナソニックを通じてトヨタのみならず広く自動車メーカーへ供給していく。従業員数は約5,100人。
研究開発費
-2020年3月期における研究開発費は、全社では475,005百万円、オートモーティブセグメントでは約134,300百万円。
研究開発活動
1) カンパニー・事業部を横断した取り組み
本社敷地内で自動運転ライドシェアサービスを運用開始
-ディープラーニングによる高精度な人認識技術、低遅延無線通信による遠隔監視・制御技術を開発し、これらをシステムにまで統合した自動運転ライドシェアサービスを、本社の敷地内で社員向けに本格運用を開始。人が行き交うリアルな環境において、自動走行を複数台の同時運行で実現。
2) オートモーティブセグメント
日産向け次世代電子ルームミラー
-2020年春に発売する車種に搭載。8K同等の画素密度とし、映像をより精細にした。また、異なる明るさの画像を組み合わせるHDR (ハイダイナミックレンジ) によって、夜間などでの視認性も高めた。画素密度は現行の100ppiから、162ppiへと8K同等に高めた。明暗差の大きなシーンでも画像の黒つぶれを補正するHDRは、合成する画像の枚数を増やした。現行品は明暗差の異なる画像を1フレーム当たり3枚組み合わせて補正していたが、次世代品は4枚にしてより見やすい映像にした。レバーによって、電子ミラーと、従来の光学式ミラーを切り替えることができる。
小型HUDが日産「Skyline」(改良型) へ納入
-この小型HUDは、「Skyline」において世界初のインテリジェント高速道路ルート走行を実現した運転支援システム「プロパイロット2.0」のインテリジェントインターフェースの一つとして採用された。システムから送信される車線変更タイミングの提案等の重要な情報をドライバーの視界の中心付近で表示することで、視線移動によるドライバーの負担を軽減し、ドライバーとシステムとの快適なインタラクションに貢献する。デジタルカメラの開発で培った光学技術を応用したフル自由曲面ミラー、薄型PGU (Picture Generation Unit) を活用した。
大画面AR-HUD(Augmented Reality Head Up Display)を開発
-デジタルカメラや監視カメラ、プロジェクター、テレビなどのAV製品の開発で培った光学技術や手振れ補正技術、精密金型技術を応用し、表示距離7m~41mの奥行き感ある高品位な大画面表示技術と、車両の振動等による現実空間と表示映像のズレを低減する高精度な重畳表示技術を搭載。これにより、ドライバーがフロントガラス越しに見ている風景に、注意喚起(車線、標識など)や経路案内などの運転支援情報を立体的にわかりやすく表示し、ドライバーの視線移動が少ないナビゲーションを提供する。この技術は、トヨタのコンセプトカー「LQ」に搭載される。
無人自動バレーパーキングシステムを開発
-車両や駐車場に専用の高価なセンサーを設置することなく、限定された領域での高度運転自動化(SAEレベル4) を実現する無人自動バレーパーキングシステムを開発。車両に搭載された複数のカメラ、ソナー、レーダーと、駐車枠や停止線といった簡単な2次元路面マップを用いることにより、ドライバーが駐車場入口で降車後、車は自動で駐車スペースを探し、狭い場所でも車両間隔20cmの高精度な自動駐車が可能。車載カメラと監視カメラがディープラーニングによる人検知を行い、駐車場内の歩行者を検知して、人の飛び出しに対する高性能な緊急ブレーキシステムも提供する。
79ギガヘルツ帯3次元型ミリ波レーダーを開発
-衝突被害軽減ブレーキなどに使われるミリ波レーダーは、カメラなどの光学系センサーに比べ悪天候に強い半面、対象物の形状を識別することは難しかった。新開発のレーダーは対象物の形状を識別でき、OEMの反応を見ながら製品化の可能性を探る。
設備投資
-2020年3月期の全社設備投資額は、前年度の3,005億円から316億円減少し2,689億円。オートモーティブセグメントの設備投資額は前年比4.8%減の1,035億円で、その主な投資内容は、二次電池の増産、車載、インフォテインメント関連の新製品生産及び増産。なお、2021年3月期の設備投資計画は、新型コロナウイルス感染症拡大の為未定。