Huizhou Desay SV Automotive Co., Ltd.[恵州市徳賽西威汽車電子股份有限公司] 2020年12月期の動向

業績

(単位:百万元)
2021年12月期 2020年12月期 増減率 (%)
売上高 9,569.43 6,799.06 40.75
営業利益 856.67 535.59 59.95
売上総利益 860.72 533.77 61.25
純利益 831.84 518.19 60.53

 

株主変更

-中国国内での国有企業の変革の動きに伴い、同社の株主は広東徳賽集団有限公司から恵州市創新投資有限公司となった。実質的な支配は引き続き恵州市人民政府国有資産監督管理委員会。

 

新ブランド「智行」(Beyond Mobility)

-新ブランドとして「創領智行」(Beyond Mobility)を掲げた。徳賽西威の企業理念である「イノベーションで未来をリードする」に従い、革新的技術、インテリジェント製品、優れた品質へのこだわりなどで中国のカーエレクトロニクス産業の発展を推進するという。(2021年11月8日付リリースより)

 

カーボンニュートラル

-カーボンニュートラル目標を発表し、気温上昇1.5℃目標(今世紀末までに気温上昇を2℃に抑え、1.5℃に抑える努力をするというパリ協定の気温上昇抑制目標)に対する計画を開始した。国際的な検査、認証機関であるTÜVと提携し、指導意見や専門的な方法を取り入れカーボンニュートラルに取り組む。(2021年11月11日付リリースより)

 

新規事業

-2022年からシステムインパッケージ(SIP、System in Package)事業を展開し、8月から生産を開始する。徳賽西威によると、SIPとは異なる機能を持つ能動部品と受動部品、およびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、光学(Optic)部品、プロセッサ、メモリなどの機能チップを一つの標準パッケージ部品に統合し、複数の機能を持たせて完全な機能サブシステムを形成することであるとしている。徳賽西威は今後も数億円の設備投資を行い、全自動SIPラインを構築し、その年間生産能力は2年以内に150万個を超える見込みである。(2022年3月11日付リリースより)

 

研究開発動向

-初のICP(Intelligent Computing Platform)製品「Aurora」の発売を発表。「Aurora」は、大型演算チップを搭載し、総演算能力2,000TOPS以上のハードウェアを持つ量産可能な車載用インテリジェント・コンピューティング・プラットフォーム。このソフトウェアは、インテリジェント・コックピット、インテリジェント・ドライビング、コネクテッド・サービスなどのコア機能ドメインを統合し、クロスドメインコンバージェンスを可能にし、高い演算性能、高い機能安全性、継続的なハードウェアのアップグレード性という、将来のE/Eアーキテクチャのマルチレイヤーニーズに対応するものである。(2022年4月29日付リリースより)

-徳賽西威恵南スマート工場でNVIDIAのAIチップOrin Xを搭載したドメインコントローラーIPU04の量産を開始した。IPU04は、254TOPSの演算能力、16の高帯域幅LVDSインタフェース、12の高速CAN、2のFlex Ray、6の100Gigabit、6のGigabit、2の10Gigabit Ethernetインタフェースを搭載している。HDカメラとミリ波レーダー、LiDAR、超音波センサーなどと連携し自動運転システムを構成する。(2021年9月28日付リリースより)

-2021年の上海モーターショーでスマートモビリティソリューション「Smart Solution」を発表した。このソリューションはSmart Home、Smart Mobility、Smart Leisureの3つで構成され、都市型スマートライフを提案するもの。(2021年4月27日付リリースより)

 

受注

-長城汽車、広汽埃安 (GAC Aion)、奇瑞汽車 (Chery)、理想汽車 (Li Auto)など向けに第3世代インテリジェントコックピットを受注。

-インフォテインメント・システムおいて、一汽-VW、上汽-WV、長城汽車、吉利汽車、広汽乗用車、奇瑞汽車などから新規案件を受注。ディスプレイモジュール・システム事業では、東風日産、小鵬汽車などの新規顧客を獲得、LCD計装事業では、BYD、吉利汽車、長城汽車、広汽乗用車などの顧客からプロジェクトの確定を得たという。

-小鵬汽車のP7とP5に同社初の高演算能力自動運転コントローラープラットフォームを供給。

-合創汽車の「合創Z03」に徳賽西威の藍鯨OS4.0エコシステム、10.25インチデジタルメーター、コックピットドメインコントローラーが搭載されていると発表。藍鯨OS 4.0は徳賽西威のIoV開発チームが今年リリースした、Atomic Design をコンセプトとするスマートコックピットインタラクティブオペレーティングシステム。(2021年11月3日付リリースより)

 

新会社

-富奥汽車零部件股份有限公司[Fawer Automotive Parts Limited Company]と合弁会社設立の契約に調印したと発表した。長春市の富賽汽車電子有限公司[FulScience Automotive Electronics Co., Ltd.]に続く、2社目の合弁会社設立となる。主に富賽汽車電子製品向けコア部品の生産を行うほか、スマートコックピット及びインテリジェントドライブ関連の事業を行い、製品およびサービスの提供を行うという。(2021年5月21日付プレスリリースより)

-子会社広東省威匯智能科技有限公司[Guangdong Weihui Intelligent Technology Co., Ltd.](威匯公司)が営業を開始したと発表した。製造の最適化、自動化設備の開発と産業用人工知能 (AI) の応用開発などの分野で事業を展開する。また、車載エレクトロニクスの製造や基盤に注力。(2021年1月29日付プレスリリースより)

-自動車エレクトロニクス分野における製造工程等強化のため、同社は3社と共同出資し新規に合弁企業を設立した。2020年12月、富賽汽車電子有限公司[FulScience Automotive Electronics Co., Ltd.]、恵州市徳賽自動化技術有限公司[Huizhou Desay Automation Technology Co., Ltd.]、恵州市徳賽西威智能交通技術研究院有限公司[Huizhou Desay SV ITS Technology Research Institute Co., Ltd.]と共同出資し、合弁会社広東省威匯智能科技有限公司[Guangdong Weihui Intelligent Technology Co., Ltd.]を設立。徳賽西威とその完全子会社は合計82.85%の株式を保有する。(2020年アニュアルレポートより)
 

戦略的提携

クアルコム (Qualcomm)
-同社とクアルコムは第4世代驍龍コックピットプラットフォームをベースにした徳賽西威の第4世代インテリジェントコックピットシステムを共同で構築する。徳賽西威第4世代のインテリジェントコクピットシステムは、マルチスクリーン連携、音響処理、AR技術に対応し、ユーザーに没入感のあるインタラクティブな体験を提供するという。(2022年1月5日付リリースより)

智駕科技 (MAXIEYE)
-インテリジェントドライブ技術などを提供する、上海智駕汽車科技有限公司[Shanghai Maxieye automotive technology co., Ltd.](智駕科技, MAXIEYE)と戦略的パートナーシップを締結した。両社はコンピューティングを使用し高度自動運転の研究開発に取り組み、レベル1から4までのソリューション開発・運用サービスの構築に関して協力するという。同時に両社は「九逵計画」を発表した。「九逵計画」は安全、高効率、カーボンニュートラルな輸送を共通のビジョンとして設定し、プラットフォームベース、シナリオベースのTaaS(Transport as a Service)ビジネスモデルを構築、国内の主要輸送道路を中心に大型トラック向けレベル4の自動運転技術、運用シナリオの開発を目指す。(2021年12月9日付リリースより)

Texas Instruments
-Texas Instrumentsと覚書を締結し、新たなインテリジェント・ドライビング・ソリューション「IPU02 Intelligent Driving Domain Controller」を共同で市場投入すると発表した。IPU02はTexas Instrumentsの次世代車載用プロセッシング・プラットフォーム「Jacinto TDA4」をベースにした、徳賽西威にとって3世代目となるインテリジェント・ドライビング・ドメイン・コントローラーで、L2+の自動運転を実現するものである。(2021年11月15日付リリースより)

Rightware
-フィンランドの自動車向けソフトウェア開発企業Rightwareと、ユーザーインターフェース(UI)の分野において協力を行っている。徳賽西威はRightwareのヒューマンマシンインターフェース(HMI)ツールである「Kanzi」を使用し、ソフトウェアの開発を行っているという。徳賽西威の第3世代スマートキャビンはレベル4の自動運転、5Gクラウドコンピューティングプラットフォーム、V2X車両ネットワーク技術をベースとしたもので、様々なハードウェアを統合し、インタラクティブな体験や様々な運転モードに基づいたディスプレイ構成を提供するという。動的ネットワークやエネルギーの消費曲線などの特殊な視覚効果に対応した3Dの都市マップをKanziによって簡単に構築することができ、RightwareはKanzi Particlesを使用して気象条件などをシミュレート、それをさらに徳賽西威が開発したAIアルゴリズムを用いて最適化することでより没入感のある車室内体験を提供できるという。(2021年8月19日付プレスリリースより)

地平線 (Horizon)
-北京地平線機器人技術研発有限公司[Beijing Horizon Robotics Technology R&D Co., Ltd.](地平線)と戦略的提携を締結。スマートコックピット領域の開発と技術提携を行い、インテリジェントドライブ技術の革新と応用を推進する。調印式で公開された共同開発のスマートコックピットは、間もなく量産に入る予定だという。(2021年4月26日付プレスリリースより)


華為 (ファーウェイ)
-ファーウェイの子会社である華為終端有限公司[Huawei Device Co., Ltd.] (Huawei Device) とフルシナリオ・スマートモビリティ・エコソリューションに関する提携合意書に署名。HiCarソリューションプラットフォーム、テスト、車載エコロジーにおけるイノベーションなどで特に協力する。徳賽西威の車載プラットフォームはHUAWEI HiCarに統合され、ファーウェイのフルシナリオ・スマートモビリティ・エコリューションをベースに共同開発を行う。これに伴う研究開発を共同で立ち上げ、HUAWEI HiCarのテストも行う。(2021年4月26日付プレスリリースより)

奇瑞汽車
-本社は、奇瑞汽車から「優秀サプライヤー賞」を受賞したと発表した。徳賽西威は奇瑞汽車の「ティゴ (Tiggo、瑞虎) 」シリーズ、「アリゾ (Arrizo、艾瑞沢) 」シリーズ、「星途 (Exeed)」シリーズなどにインフォテインメントシステム、運転情報表示システム、360度サラウンドビューパーキングシステム、自動パーキングアシスト (APA: auto parking assist) システムなどの製品や技術ソリューションを提供している。そのうち、「瑞虎8 PLUS (Tiggo8 Plus)」には、ルネサスエレクトロニクスM3 Hypervisorをベースにしたインテリジェントコックピットドメインコントローラーを提供している。(2021年3月20日付プレスリリースより)

BlackBerry
-本社は、BlackBerryと協業し、運転の安全性向上を目的としたデュアルディスプレイ・バーチャルスマートコックピット・ドメインコントローラーを開発したと発表した。このドメインコントローラーはQNX Hypervisorと QNX Neutrino リアルタイムオペレーションシステムを採用しており、すでに奇瑞ブランドの「瑞虎8 Plus (Tiggo8 Plus)」と「捷途X90 (Jetour X90)」に採用されている。(2021年3月9日付プレスリリースより)

 

事業再編

欧州拠点
-
事業の再編を目的として、徳賽西威欧洲汽車電子有限公司、徳国先進天線技術公司とANTEBB社の3法人を徳賽西威汽車電子欧洲有限公司 [Desay SV Automotive Europe GmbH] として統合した。本社はワイマールにあり、約110名が従事。今後数年にわたって、最先端の自動車試作研究・技術パークが建設される予定で、第1期としてR&Dセンターを建設予定。2021年の第1四半期に完成し、その後アンテナ試験室が建設されるという。(2021年1月21日付プレスリリースより)

-2021年11月、ワイマールラガーフェルド基地に、統合テクノロジーパークが竣工した。パーク内には試作車開発センターを備える。徳西威は2025年までに徳賽西威汽車電子欧洲有限公司の従業員数を2倍以上の300人にする計画。(2021年11月22日付リリースより

-2022年3月、第二工場と物流センターの稼働が開始となった。2,700平方メートルの第二工場はワイマールラガーフェルド基地にあり、今年1月上旬に準備作業を終え、6の生産ラインが生産を開始する。計画では今後3次元アンテナ測定室が建設されるという。(2022年3月3日付リリースより

 

受賞

-広汽埃安の「優秀サプライヤー賞」を受賞。2022年1月21日付リリースより)

-一汽-VWが開催した2022年サプライヤーパートナー大会で、「卓越したパートナー賞」を受賞。2022年1月11日付リリースより)

-広汽乗用車「トップ10サプライヤー賞」を受賞。2022年1月10日付リリースより)

-以上のほか、理想汽車の「理想TOP賞、理想精神賞」、長城汽車の「テクノロジーリーダーシップ賞」、広汽伝祺の「トップ10サプライヤー賞」、BYDの「ベストパートナー賞」、東風乗用車の「サプライチェーンへの特別貢献賞」、上汽GMの「先駆革新賞」、佩卡/DAFの「NGDプロジェクトベストサポート賞」を受賞。

 

特許

-ドメインコントローラ・プロジェクトにおいてAutomotive SPICE CL2認証を取得。今回認証となったのは、G6SHプラットフォーム。QNX Hypervisor 2.0をベースとし、QNX OS 7.0とAndroid OS 9.0の両方を搭載している。(2021年8月3日付リリースより

-「企業知的財産権管理規範」(GB/T29490-2013)の認証を得、中国知識産権(北京)認証有限公司が発行した「企業知的財産権管理システム認証書」を取得した。認証範囲は、自動車用インフォテインメントシステム(オーディオシステム、マルチメディアナビゲーションシステム、車載インテリジェント通信システム、コンビネーションメーター、車載ディスプレイシステム、車載充電器、運転支援システム、エアコンコントローラー、コネクテッドシステム)の設計、製造、販売に関する知的財産権の管理。(2021年6月9日付リリースより

 

研究開発費

(単位:百万元)
年度 2021年12月期 2020年12月期 2019年12月期
研究開発費 962.49 816.99 655.71
売上高研究開発比率(%) 10.06 12.02 12.29
研究開発人員数(人) 2,257 1,748 1,868
研究開発人員比(%) 42.25 40.69 41.46

-1992年、技術研究開発センターを設立。シンガポール、欧州、及び中国南京、成都、上海、深圳などに研究開発部門を保有。

 

研究開発拠点

-2019年12月に発表していた、一汽、富奥股份との合弁会社 富賽汽車電子有限公司[FulScience Automotive Electronics Co., Ltd.]において、生産が正式に開始となったと発表。富賽電子研究開発センターは、総面積2,700平方メートル、総投資額約7500万円、研究開発スタッフ約70名、年間試験能力1,500回以上の国家試験センターを建設する予定である。将来的には複数の研究開発拠点が計画され、総勢1000人以上のスタッフが配置される予定である。(2021年9月30日付リリースより)

-智能網聯恵南工業園 (インテリジェントネットワーク恵南工業団地) の運用を開始したと発表した。インダストリー4.0に基づくベンチマーク工場、立体倉庫、コネクテッド研究開発センター、国家レベルの実験センターおよび自動運転テストセンターを持つ。徳賽西威の既存生産能力のボトルネック解消や、製品ラインの拡張、生産の自動化レベルと製品開発能力の向上を図るという。(2021年5月21日付プレスリリースより)

-上記のほかCNAS ISO/IEC17025の認定を受けた研究所を保有。設備能力、研究所規模ともに中国有数の規模であるという。RF及び電気性能、機械・環境信頼性、EMCに関する試験を行うことができ、カーエレクトロニクス試験規格の試験要件の90%以上を満たすことができるという。