Benteler Group (Benteler Automobiltechnik GmbH) 2023年12月期の動向
業績 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年 12月期 |
2022年 12月期 |
増減率 (%) |
要因 |
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全社 | ||||
売上高 | 8,787 | 8,954 | (1.9) | 1) |
-Automotive部門 | 7,331 | 7,138 | 2.7 | 2) |
-Steel/Tube部門 | 1,514 | 1,882 | (19.6) | 3) |
要因
1) 全社売上高
-2023年12月期の全社売上高は、前年比1.9%減の8,787百万ユーロ。Automotive部門の売上高が増加したものの、Steel/Tube部門の売上高は減少した。
2) Automotive部門売上高
-Automotive部門の売上高は、前年比2.7%増の7,331百万ユーロ。主に、顧客からの引き合い増加によるもの。原材料、特に触媒コンバーターに含まれる鉄鋼、アルミニウム、貴金属の価格下落によって相殺された。為替のマイナス影響も全体的な売上高の伸びを減少させた。
-モジュール事業の売上高は、前年比4.3%増の2,912百万ユーロ。ロシアKaluga工場とドイツCologne工場の閉鎖および、米国Spartanburg工場とポーランドWrześnia工場の売上増加によるもの。
-シャシー、ストラクチャー、サーマル&チューブラー事業及び小規模メカニカルエンジニアリング事業を含む、コンポーネント事業の売上高は、前年比1.7%増の4,419百万ユーロ。この増収は、上半期の受注増によるもので、下半期は主力顧客からの受注減の影響を受けた。
3) Steel/Tube部門売上高
-Steel/Tube部門の売上高は、前年比19.6%減の1,514百万ユーロ。欧州および北米における販売量の減少、原材料価格下落(特にエネルギーおよび鉄鋼)の最終顧客への転嫁によるもの。マージンは変動していない。
合弁設立
-北京海納川汽車部件股份有限公司[Beijing Hainachuan Automotive Parts Co., Ltd.](海納川)は、Bentelerとシャシーモジュール分野で提携すると発表した。今回の提携は、将来の電気自動車(EV)向けにシャシーサスペンションモジュール事業を拡大し、シャシー製品ラインの充実を目的としている。(2023年海納川のWechat公式アカウントより)
-欧州委員会は、EU合併規則に基づきBenteler Automotive Investmentと北京海納川汽車部件股份有限公司[Beijing Hainachuan Automotive Parts Co., Ltd. (BHAP)](海納川)が中国で合弁会社2社を設立する取引を承認した。新たに設立される合弁会社は中国国内の自動車顧客向けにシャーシーモジュールの組み立てと販売を行う。欧州委員会は、両合弁事業が欧州経済領域(EEA)で活動しない場合に提案の取引は競争上の懸念を生まないと判断した。この取引は簡易合併審査手続きの下で審査された。(2023年8月24日付ニュースレターより)
事業再編
-同社は、スイスRothristのSteel/Tube部門の生産工場を2023年末までに閉鎖することを発表した。今回の工場閉鎖の決定は、協議の結果、同工場における事業継続の見通しがたたなかったことで行われたもの。工場閉鎖により約300人の従業員が影響を受ける。世界の溶接管市場は輸出規制、エネルギー・スペアパーツ・原材料のコスト高、内燃エンジンのパワートレイン部品の需要減少など、様々な要因からここ数年で厳しい状態が続いている。(2023年4月5日付プレスリリースより)
事業提携
低炭素鋼を使用した持続可能性プロジェクトでArcelorMittalと提携
-同社は、ArcelorMittalとの間で覚書(MoU)を締結したことを発表した。CO2排出量を削減するArcelorMittalの低炭素鋼「XCarb」を使用して複数の持続可能性プロジェクトで協業する。両社は、シャシーおよび構造部品に再生利用鋼XCarbを使用するテストを行っている。ライフサイクルベースでは、従来の高炉方式と比較してCO2排出量を最大70%削減するという。(2023年12月5日付プレスリリースより)
低CO2鋼材でthyssenkrupp Steel Europeと提携
-同社は、thyssenkrupp Steel Europeから自動車部品生産用に気候変動に配慮したbluemint鋼の長期供給を確保する覚書に調印したと発表した。bluemint鋼の生産では予め生産された海綿鉄や特別に準備された鉄スクラップを用いることで、高炉で使用するコークスを削減してCO2強度を大幅に低減する。また、両社は2026年から提携を強化し、鋼材をグリーン水素とグリーン電力を使用する溶融装置と連動した直接還元工場から供給する。BentelerのSteel/Tube部門リンゲン(Lingen)製鉄所でも電気炉でグリーン鋼を生産しているが、同製鉄所の生産量では同社の需要を満たせない。(2023年3月20日付プレスリリースより)
研究開発投資 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年12月期 | 2022年12月期 | 2021年12月期 | |
合計 | 65 | 67 | 75 |
研究開発体制
-2023年12月31日時点、世界中で664人の従業員が研究開発分野に従事している。
HOLON Mover
HOLONブランドの自動運転車をドイツ初公開
-同社は、2023年8月末までHamburgのHafencityで開催されるAutomuseum PROTOTYPで、HOLONブランドの自動運転車をドイツ初公開したことを発表した。2022年にはHOLONと運輸会社Hochbahnが公共交通機関向け自動運転シャトルの開発について意見表明の合意が発表されていた。2024年末には、「Hamburg-Takt」 構想の一環として、Hamburgで複数のHOLONブランドの自動運転車の運用を開始する計画。2030年までにHamburg市民は朝から夕方にわたり、5分以内に自動運転公共サービスを利用できるようになり、今回のシャトルがそれに貢献するとしている。(2023年7月6日付プレスリリースより)
オーストリアのシンポジウムでHOLONブランドの自動運転車に関して講演
-同社は、4月末にオーストリアで開催のVienna Motor Symposiumで次世代の自動運転車に関する基調講演を行ったことを発表した。自動運転車ブランド「HOLON」のCEOであるMarco Kollmeier氏が講演を行い、新しいタイプのモビリティに対する関心と需要は大きいと述べた。HOLONは早ければ2024年までに初の自動運転車をウィーンで走行させる計画。HOLONの自動運転車は2023年1月のCESで初めて発表された。(2023年5月9日付プレスリリースより)
新ブランド「HOLON」の自動運転車を初公開
-同社は、ラスベガスで開催のCES 2023に新ブランド「HOLON」の自動運転車を出展することを発表した。最高速度最高時速60km、航続距離約290kmで、ライドシェアや配車サービスなどのオンデマンドサービスのみでなく、通常の定期運行での使用にも適しているという。最大15名を収容できるゆとりのある空間コンセプトで設計されており、シートアレンジはあらゆる安全要件を満たしながら、プライバシーを確保することもできる。Mobileye DriveをベースとするSAE自動運転レベル4対応のこの自動運転車は、光電センサー付電動ダブルウイングドアや自動昇降機能付スロープを標準装備し、バリアフリーにも対応している。さらに点字による案内や視聴覚ガイドも提供する。このほか、さまざまな冗長センサーを利用した高度センシングシステム、マッピング技術、運転方針の形式手法などを活用している。(2023年1月5日付プレスリリースより)
CliMore
-同社は、新ブランド「CliMore」の導入を発表した。スチール/チューブ事業部門は将来的にCO2削減鋼とチューブ製品をCliMoreブランドの下に統合する。CliMoreは 「climate」と「more」を合成した用語で、持続可能性と品質に対する同社の主張を統合したもの。同社はCliMore製品を3つの持続可能性カテゴリーで提供する。これらのカテゴリーは、スチールやチューブがどのように生産され、どのエネルギー源がそれらに使用されたかを示している。CliMoreのカテゴリーには、Advantage、Ambition、Excellenceの3つのレベルがあり、3段階とも電気アーク炉でスクラップから低排出鋼を製造している。リサイクルにより従来の高炉で鉄鉱石から製造される新鋼と比較してCO2排出量を最大75%削減でき、Ambitionレベルでは、チューブミルや電気アーク炉の運転にグリーン電力を使用し、CO2排出量を最大85%削減している。最高レベルのExcellenceでは、将来的には工場の電化や、鉄鋼の製造やチューブへの加工におけるプロセス熱源としてのグリーン水素の利用を視野に入れているという。(2023年9月26日付プレスリリースより)
特許
-2023年、38件の優先権特許を出願。
設備投資 |
(単位:百万ユーロ) |
2023年12月期 | 2022年12月期 | 2021年12月期 | |
Automotive部門 | 317 | 203 | 146 |
Steel/Tube部門 | 38 | 38 | 25 |
その他 | 5 | 4 | 7 |
合計 | 360 | 244 | 177 |
-Automotive部門の投資額は3億1,700万ユーロ。前年度比1億1,400万ユーロの増加は、現在進行中のHOLONプロジェクトの開発に関連する3,700万ユーロの開発費の資産計上が一因である。
オーストリア国外での投資
<南アフリカ>
-南アフリカ貿易産業競争省は、Benteler GroupのPort Elizabeth工場拡張を発表した。今回の投資で工場は9,000平方メートル超拡張されることとなり、南アフリカで3番目の熱間成形工場となるという。50名の雇用が創出され、従業員数は697人から743人となる。同工場の開発は、南アフリカの好調な自動車製造業における重要なマイルストーンとして、同国の成長軌道と、特に東ケープ州における自動車生産のハブとしての地位を再確認するものだとしている。(2023年9月12日付ソーシャルメディアより)
<ブラジル>
-同社は、ブラジル・サンパウロ州Campinas工場で最新の冷間成形ラインの稼働を開始したことを発表した。新ラインは最大3,200トン、毎分30ストロークの負荷で成形でき、幅広い板金を加工することが可能。 (2023年8月15日付ソーシャルメディアより)
<ドイツ>
-同社は、ドイツSchwandorfに4つのベイを備える新生産ホールを開設したことを発表した。新ホールの全システムの構築の完了次第生産が開始され、2023年9月から最初の顧客に製品を納入する予定。自動車部門に属する新工場ではバッテリートレイに加え、ドイツの自動車メーカー向けの構造部品やシャシー部品なども生産する。新ホールは11,000平方メートル超となり、約120人の雇用のほか、約140台のロボットも導入される。新ホールの建設と並行して、同社は既存の工場ホールを訓練・教育センターに改修した。従業員はここでロボットや溶接技術など様々な分野の訓練を受ける。(2023年5月8日付プレスリリースより)
<スロバキア>
-同社はスロバキアで、顧客の拠点から1.5kmの距離にある5,000平方メートルの新工場を開設した。これにより、欧州地域での競争力が強化されるという。同工場では2023年10月からリアモジュールを生産している。フル稼働時には、約90人の従業員が従事する予定。