Aptiv PLC (旧 Delphi Automotive PLC) 2019年12月期の動向

業績

 (単位:百万ドル)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 14,357 14,435 (0.5) -GMのストライキに伴うマイナス影響
-為替影響および販売価格低下
営業利益 1,276 1,473 (13.4)

 

合弁事業

-9月23日、現代グループと自動運転の合弁会社を設立すると発表した。新会社は2020年に無人運転システムのテストを開始し、2022年にロボタクシープロバイダー、フリートオペレーター、自動車メーカーに自動運転プラットフォームを提供する予定。Aptivと現代グループが折半出資する新会社は、40億ドル規模の企業価値となる見込み。Aptivは拡大縮小可能な自動運転ソリューション開発のために自社の自動運転技術と知的財産および約700名の従業員を送るという貢献を行う。現代自動車と起亜自動車、現代モービスは現金16億ドルを出資するほか、エンジニアリングサービス、研究開発、知的財産権の共有などに4億ドル分の貢献を行う。新会社の韓国事業は技術センターとしてだけでなく、車両改造の拠点として、また自動運転モビリティサービスプラットフォームのテストベッドとしても機能するという。
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業務提携

-Affectivaとの商業提携契約を発表した。Affectivaは米国ボストンのMITメディアラボのスピンオフ企業で、知覚AI分野の開発を行っている。提携により、高度な学習アーキテクチャから派生した革新的でスケーラブルなソフトウェアを提供し、先進的な安全ソリューションにおける知覚能力の強化を図る。Affectivaの特許取得済みソフトウェアは、リアルタイムで車両乗員の複雑な認知状態を識別するためのマルチモードの車内センシングソリューション。また、商業的提携をさらに支援するために、AptivはAffectivaへの少数投資を行った。(201913日付プレスリリースより)

 

受賞

-アウディと共同で取り組む「Automated Driving Satellite Compute Platform」が、Automotive Newsの「2019 Innovation Partnership Award」を受賞したと発表した。ほとんどのシステムでは、計算能力がセンサーに統合されており、各センサーの構築や損傷時の交換に費用がかかるが、Automated Driving Satellite Compute Platform」は、個々のセンサーからプロセスと電子機器を取り出し、代わりに中央プラットフォームに情報を送信するため、センサーを小型化、低コスト化、軽量化し、車両への搭載を容易にし、質量と体積の減少により、センサーの熱放散の問題も解消される。このプラットフォームは基本的なADASからレベル4の自動運転車まで、自動運転レベルの向上と複雑な要求に対応するための拡張性があるという。(201949日付プレスリリースより)

 

研究開発費

(単位:億ドル)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 1,165 1,155 882

  

研究開発施設

-2019年12月時点で、全世界に15の主要研究拠点を保有。

  • 北米:8拠点
  • 欧州、中東およびアフリカ:2拠点
  • アジア太平洋:5拠点

-米国ペンシルバニア州のHazelwood GreenMill 19の新オフィスにピッツバーグ技術センター (Pittsburgh Technology Center)を移転すると発表した。移転により同社の自動運転モビリティ部門はロボタクシープロバイダー、フリート管理者、自動車メーカー向けの安全で信頼できる自動運転プラットフォーム開発を促進する。70,000平方フィートの3フロアの新オフィスでは200名が従事する見込み。2019年9月、同社は現代自動車グループとの合弁事業を開始すると発表、2020年第2四半期の完了を目指している。新合弁会社の一部となるピッツバーグ技術センターは、2020年第2四半期にオープン予定。同社6年にわたってピッツバーグで自動運転をテストしている。同社は、ボストン、シンガポール、ラスベガスでも自動運転関連事業を展開中。(2019124日付プレスリリースより)

 

研究開発活動

-自動運転車向けのオープンソースのデータセットとなる「nuScenes」を公開したと発表した。同社はnuScenesを通して安全上重大になるデータを公共とシェアすることで、コンピュータビジョンおよび自動運転に関する研究を、開発者や学者などから幅広く集めるねらいだ。初の大規模な公開となるデータセットは、世界で最も複雑な交通場面として代表されるボストンとシンガポールから集められた1000場面でのセンサーデータ一式となる。同社はデータを公開することによって、自動運転技術が飛躍的に進歩すると伝えている。(2019年3月28日付プレスリリースより)

 

製品開発

<Volvo 新型「Polestar2」向けインフォテインメントシステム>
-継続的インテグレーション (Continuous Integration)を活用してVolvoの高性能電気自動車(EV)のポールスターの新型EV「ポールスター2 (Polestar 2)」向けインフォテインメントシステムを開発したと発表した。継続的インテグレーションは、アジャイル開発方法論に基づいて、複数のプログラムのステークホルダーで作業する新しい方法で、事前に定義された一連の機能ではなく、機能に基づいてパートナーシップを確立することで迅速な開発を促進する。この新方法のために、Aptivはすべてのプログラムステークホルダーをサポートするために必要なツールとインターフェースを備えた無駄のないソフトウェアファクトリーを作成した。これには高度自動化、全レベルでの高速フィードバックループ、品質とバグ修正に対する透過的な組み込みアプローチなどが含まれるという。(2019年12月30日付プレスリリースより)

 
-Google Automotive Services (GAS)を使用した車両インフォテインメントソリューション強化を発表した。Volvoの高性能電気自動車(EV)のポールスターの新型EV「ポールスター2 (Polestar 2)」は、Volvo「XC40」に続いてGoogle MapsGoogle Assistant Google PlayなどのGASを実装する。Googleのリードデバイスおよび開発パートナーとして、Aptivはプラットフォームの開発と統合をリードする一方で、Androidアップデートと機能に迅速にアクセスする。車両インターフェース、快適性、制御などの重要なソフトウェア要件をサポートし、プラットフォームを改善した。GASとOTAの更新を組み合わせることで車両は時間の経過とともに進化、改善され、工場出荷時にピークに達するのではなく、車両の寿命にわたって新ソリューションを維持できるという。(2019129日付プレスリリースより)

<ロボタクシー・サービス>
-配車サービスのLyftと共同で展開するラスベガスでの自動運転ロボタクシーサービスが開始から1年で5万回を達成したと発表した。利用客の評価は、自動運転車の知性、快適性、同乗するオペレーターの専門知識などの点において5点満点で4.97点と高かったとしており、92%の乗客は「非常に安全」または「極めて安全」と回答したという。このサービスは現在、ネバダ州、ラスベガス市、地域交通委員会の協力のもと、ラスベガスストリップおよびダウンタウンを含む2,100カ所を超えるホテル、娯楽施設、レストラン、および人気の目的地へのアクセスが可能となっている。(2019531日付プレスリリースより)

 

部門別設備投資額

 (単位:百万ドル)

2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
シグナル&パワーソリューションズ 495 534 477
先進安全&ユーザーエクスペリエンス 250 245 196
排除およびその他 36 67 25
合計 781 846 698

 

地域別設備投資額

 (単位:百万ドル)

2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
北米 257 314 301
欧州/中東/アフリカ 292 300 234
アジア太平洋 218 220 151
南米 14 12 12
合計 781 846 698

 

国内投資

-米Affectivaは、26百万ドルを資金調達したと発表した。同社はマサチューセッツ工科大学メディアラボのスピンオフ企業で、人の感情を認識するAI (Human Perception AI)を専門としている。Aptiv及びTrend Forward Capital、Motley Fool Ventures、CACが主導した投資ラウンドにより、Affectivaへの投資総額は53百万ドルとなった。Affectivaはこの調達資金を量産車に搭載する感情認識AI技術の開発加速化に充てる。主要OEM、Tier 1サプライヤー、ライドシェア企業、フリート管理会社、自動運転開発に携わる企業が、Affectivaの自動車用AIソリューションを利用して、ドライバーや乗客の状態や感情を把握しようとしている。Affectivaの技術はフォーチュン・グローバル500に入る大企業の25%で使われており、広告、ビデオ、テレビ番組に対する消費者の反応を評価している。(Affectiva press release on April 11, 2019)

 

海外投資

<中国>
-中国に「China Autonomous Mobility Center」を設立し、業界をリードする自動運転機能の拡充を中国市場向けに行うと発表した。同センターは、上海に位置し、同社のL4自動運転技術の開発や応用に焦点を当てるとしている。同社は検証と同時進行で、中国での同社システムを搭載した自動車のマッピングや商業展開を図るために有望なパートナー企業との協議を積極的に実施している。これにより、同社は一般大衆を巻き込んだ現実世界での検証を行うことができ、また広範囲にわたる技術やIP開発のサポートを行うことができることで、商業展開や将来のモビリティーソリューションの発達に非常に重要な要素を進化させることができる。(2019年4月17日付プレスリリースより

<メキシコ>
-Mexico-Nowは、HellermannTyton30百万ドルを投じて2019年末までにヌエボレオン工場を拡張し、生産能力を45%増強すると報じた。同工場は300名の新規雇用を見込み、絶縁およびケーブル保護用フランジやケーブルファスナーなどを製造する予定。さらに2022年までに10百万ドルを投資して200名を追加雇用し、生産稼働率を80%に引き上げる計画。(2019年6月3日付 Mexico-Nowより)