分析レポート CVT (日本・欧米市場編)

主要サプライヤーの事業動向

2016/07/08

関連企業

ジヤトコ アイシンAW


Ⅰ. はじめに

エンジンを主とした動力源の出力軸より希望する出力、つまり運転状況に適した回転速度・トルク・回転方向を得るためのユニット部品が変速機=トランスミッションであり、動力源とともに走行性能・燃費やドライブフィーリングなどモデルの商品性を左右する重要な製品である。そのため、エンジンや動力モータと同様に自動車メーカーがイニシアティブをとるために内製されるものが多く、トランスミッションユニットを供給できるサプライヤーは一部の大手に限られている。よって、可能な限り自動車メーカー内製とサプライヤー製とを区分し、また搭載されるエンジンやモデルとの関係を踏まえて述べていく。
本稿で扱う範囲は、オートマティックトランスミッションのうち以下の連続可変型変速機である。

  • 動力伝達ベルトやチェーンを用いた摩擦式無段階変速機 (以下、CVTと称す、ステップ機構付を含む)
  • 動力分割機構を介して内蔵モータ・ジェネレータによる無段階変速を行うハイブリッド車変速機 (以下、ハイブリッドトランスミッションまたは電気式CVTと称す。電気式CVTは、ベルトとプーリーを用いた機械式CVTとは全く構造が異なるが、機能的に分類し無断階変速のものは含める)

以下のオートマティックトランスミッションは本稿の対象外となる。

  • トルクコンバーターと遊星歯車を用いた有段式オートマティックトランスミッション(以下ATと称す、MTモード付ATを含む)
  • ハイブリッド車変速機のうち有段式AT機構にモータとクラッチを組み込んだ構造のもの (日産FRハイブリッド車、欧州を中心としたZF社製変速機を搭載するモデル)
  • MT機構に準ずるDCT(デユアルクラッチ・トランスミッション)やAMT

特にことわりが無い限り、以降本稿で扱うオートマティックトランスミッションという言葉はAT、CVT、電気式CVTまたはハイブリッドトランスミッションを含む。



Ⅱ. 概要

近年、CVTを含むオートマティックトランスミッションが増加していると云われているが、依然グローバル市場ではマニュアルトランスミッション(以下、MTと称す)が半数近くを占めており、主要市場・メーカーによって、オートマティックトランスミッションについては以下のような特徴が見られる。

  • 日本メーカー・市場: オートマティックトランスミッションは80~90%程度である。
    • オートマティックトランスミッションのうちCVT比率が高いことが特徴である。これはモード燃費への寄与や都市部での頻繁なストップ&ゴーが主要因と考えられる。
    • メーカー内製だけでなく、ATと同様にATサプライヤー2社がCVTも生産している。
    • CVTのうち摩擦式CVTは、マツダを除く各メーカーが軽自動車を含むおおよそ2.5L以下のFF/4WD(FFベース)に多く設定している。なかでも日産車の全CVTを生産するジヤトコは3.5Lクラスのエンジンまで対応するCVTを生産し、日産のV6-3.5Lエンジン搭載のFF/4WDモデルに採用されている。ジヤトコは世界最大のCVTサプライヤーとなっている。
    • 電気式CVT/ハイブリッドトランスミッションはCVTとともに日本メーカー・市場で毎年増加している市場を特徴づけるユニットである。特にハイブリッド市場シェアトップ(日本・グローバルとも)のトヨタでは、FF/FR/4WDとも多くのモデルに内製およびアイシン・エィ・ダブリュ製(以下、アイシンAWと称す)の電気式CVT (THS-Ⅱ: Toyota Hybrid System)を搭載し、電気式CVTではトップである。
  • 米国メーカー・市場: オートマティックトランスミッションは90%程度である。
    • 日本市場と同様にオートマティックトランスミッション主体の市場である。
    • 日本メーカー・市場とは異なり、北米は大型車が多い市場のため、CVTよりも多段式ATが主流である。
    • 米国メーカーのCVTの採用は、ハイブリッドトランスミッションを除くと、GMのスパークなど、極一部の小型車のみである。
    • GM、FordのHV、PHVには、それぞれ自社製のハイブリッドトランスミッション(電気式CVT)を搭載されている。
  • 欧州メーカー・市場: オートマティックトランスミッションは10%程度である。
    • 米国・日本市場と正反対の市場が特徴である。
    • 縦置きトランスミシッションを含むD~Eセグメント以上のモデルはオートマティックトランスミッションの比率が増加してきている。しかし、モデルチェンジを機にCVTから多段式ATへ移行するモデルもあり、今後もCVTはマイナーな立場であると思われる。
    • 変速機の自動化では7速以下に代わり8~9速の多段式ATとVWなどにみられるDCTが主流となりつつある。
    • 欧州や中国では、米国やASEAN/インドがAT/CVTが主流なのに対し、今後もDCTが主流になる予想される。これは、DCTは、マニュアルトランスミッションの構造をベースとしており、MTの生産設備があれば容易にDCT化が実現できるためである。また、エンジンもMTとの組み合わせを前提とした特製を持たせており、DCTとマッチングを図ることも比較的容易であることも挙げられる。そのため、欧州車は、現在でも圧倒的にMTが主流なので、生産効率を考えれば、DCTが増加していくのが自然な流れであると予想できる。
    • DCTは、湿式と乾式があるが、ハイパワー車ではエンジンの大トルクをトランスミッションが受け止める際に発生する熱を冷却するためにオイル回路を持たせた湿式DCTが採用されることが多いが、一方、小型車を中心に採用される乾式タイプは、その冷却回路が無い分、構造をシンプルにでき効率を向上できる。


Ⅲ. 主要CVTメーカーと納入先カーメーカー

サプライヤーは日本のジヤトコとアイシン・エィ・ダブリュの2社で独占している。ハイブリッドトランスミッションとしてはドイツのZF(Zahnradfabrik)もサプライヤーであるが、CVTは生産していない。
一方、自動車メーカの内製状況については、日系乗用車系ではホンダ、富士重工、ダイハツは完成車のOEM供給モデルを除きすべて内製としていることに対し、三菱、日産、およびスズキは内製を行っていない。これは、ジヤトコ自体が日産のオートマティックトランスミッション工場であった旧日産吉原工場を母体に設立した経緯があり、また三菱自動車は2002年に京都・水島・八木の各工場で生産していたATとCVTをすべてジヤトコへ生産統合したためである。欧米乗用車系では、米系ではFord、欧州では独Daimlerと独Audiが内製を行っているが、他社はアイシン・エィ・ダブリュやジヤトコから供給を受けている。

ジヤトコ

AT、CVT、ハイブリッドトランスミッションを生産するオートマティックトランスミッション専門サプライヤーであり、CVTでは世界トップシェアを持つ。メーカー内製を除くとCVTとATを合わせたオートマティックトランスミッションの2012年世界シェアはアイシン・エィ・ダブリュに続く第二位で11%である。2020年までに世界シェア15%・第一位を目標に掲げている。

  • 2002年に旧日産自動車吉原工場のAT製造部門を母体にマツダおよびFordとの合弁で設立された経緯から日産向けが主流でありスズキ、三菱自動車(2002年よりAT・CVT事業移管)へも納入を行っている。また、日産と関係するRenaultへCVTを、東風日産、Renault Samsung、Auto VAZの一部のモデルへATを納入している。しかし合弁設立当初の参加企業であったマツダ向けは日産・スズキからのOEMモデルを除いて現在は納入が行われていない。
  • 軽自動車から3.5LクラスのFF普通乗用車まで、現在6種類のCVTをフルラインアップで揃えている。2009年には世界初の副変速機付ベルト式CVT(JF015E)をラインアップに加え、日産、三菱自工、スズキ、Chrysler、Renault、GMなどに供給している。
    1. CVT7 小型車FF車用 JF015E 日産ノート、ジューク、マーチなど、三菱ミラージュなど、スズキスイフトなど
    2. CVT7 W/R 小型FF車用 JF020E 新開発副変速機付CVT
    3. CVT8 JF016E/JF017E 中・大型 (2.0~3.5L)FF車用CVT 日産セレナ、エクストレイル、NYタクシー、ティアナ
    4. CVT JF009E 小型FF車用 日産ウィングロード
    5. CVT JF011E 中型FF車用 ルノーメガーヌ、三菱アウトランダー、デリカD:5、RVRなど
    6. CVT JF010E 大型FF車用 (3.5L) 日産エルグランド、ムラーノ
  • 2012年には1モーター/2クラッチを内蔵したFFハイブリッド車用CVT(JF018E)の生産を開始し、日産の北米モデルPathfinderとInfinitiQX60のハイブリッドモデルから搭載が始まり、エクストレイルのハイブリッドモデルに搭載されている。
  • 国内生産6拠点のうちCVTユニットの生産は4拠点、海外はメキシコ(JATCO Mexico, S.A. de C.V.)、中国(ジヤトコ(広州)自動変速機有限公司)、タイランド(JATCO (Thailand) Co., Ltd.)の3拠点体制である。同社は、2018年に売上高1兆円の達成を目指し、海外でのCVT供給体制の強化を行った。同社の海外拠点の動きは、次の通り。
    1. 中国: 2013年4月、中国での無断変速機(CVT)の累計生産台数が100万台を達成。現地生産会社のジヤトコ広州は、2009年に中型車用CVTの生産を開始し、2011年には小型車用副変速機付の「CVT7」の生産を始めた。2013年3月には「CVT8」の生産を開始し、東風日産の「TEANA」向けに供給している。年間90万台の生産能力。
    2. メキシコ: 2014年9月、メキシコ第2工場を稼働したと発表。同工場はアグアスカリエンテス州に総額2億2千万ドル(約205億円)投じて建設していた。この新工場の稼働により、同社のメキシコでの生産能力は第一工場と合わせて年間170万台となった。新工場は、年間40万台の生産能力で、中・大型車用の無断変速機「CVT8」と、ハイブリッド車用トランスミッション「CVT8ハイブリッド」を生産する。CVT8は、日産が北米で販売している「Altima」、「Rogue」、CVT8ハイブリッドは、「Pathfinder Hybrid」に搭載されている。
    3. タイ: 2013年9月、タイの生産子会社、JATCO (Thailand) Co., Ltd.の開所式を実施。タイ工場は、中国、メキシコに次ぐ3番目の海外工場で、日産自動車がタイで生産する「Micra」(日本名=March)、「Sylphy」に搭載される副変速機付きCVT「CVT7」を生産する。生産能力は年間50万台。

アイシンAW

トヨタグループ企業であるアイシン精機の子会社であり、世界最大のオートマティックトランスミッションサプライヤである。2014年同社調べによるAT市場シェアは、14.5%であった。オートマティックトランスミッション事業とカーナビゲーション事業で構成されているが、売り上げ比率は単価の違いもあるが過去5年(2011年3月期~2015年3月期)でオートマティックトランスミッションが90%前後と高い売上構成比となっている。

  • 2002年に、1.3Lのヴィッツ向けCVTの生産を開始し、CVT事業に参入を開始した。
  • 現在、CVTはステップATに比べると生産量は少なく、ライバルのジヤトコとは異なり摩擦式CVTよりもAT及びハイブリッドトランスミッション/電気式CVTが主流となっている。これは3.5L級に搭載される大容量仕様CVTをラインナップしておらず、ジヤトコとの摩擦式CVTシェア差の要因の一つと考えられる。今後、新興国向けにCVTを強化していく考えを示している。
  • CVT生産拠点は日本国内の田原工場と岡崎東工場、ハイブリッド車用のハイブリッドトランスミッション(THS-Ⅱ)は、日本国内の岡崎工場と岡崎東工場である。
  • CVT、ハイブリッドトランスミッションともトヨタ・マツダへ納入しているが、マツダ向けは、マツダがオートマチックトランスミッションをステップATへの置き換えを進めたため、現在ではマツダ唯一の量産ハイブリッド車であるアクセラハイブリッドにハイブリッドトランスミッションを供給しているのみである。
  • 生産するCVTは少容量仕様と中容量仕様である。小容量のうちXB-20LNは、トヨタ自動車北海道が生産するK310と同一機種(トルクコンバーターの容量違い)で、アイシンAWが1.5Lクラス、トヨタ自動車北海道が1.8Lクラスの生産分担としている。
  • ハイブリッド車用のハイブリッドトランスミッションは、FF用2種とFR用2種を生産している。かつてはFord向けも生産していたが順次Ford内製へ切り替わり、現在は前述のトヨタ車FFの一部とFRの全数およびマツダ向け1モデルのみである。
  • CVT用ベルトは子会社のシーヴイテックで生産。シーヴイテックは、2002年7月にボッシュと合弁(折半出資)で設立、その後、2006年12月に、ボッシュとの合弁を解消、アイシンAWが子会社化するとともに、トヨタ自動車が資本参加している。(アイシンAW: 66.6%、トヨタ自動車: 33.4%)

トヨタ内製

2000年8月、Opaの2.0Lにトヨタ初のCVTを搭載、以後、FFミドルクラス以上を内製している。但し、コンパクトクラス(1.0L~1.5L)は、アイシン・エィ・ダブリュから調達している。
CVTのトヨタ内製化率70% (2014年)

  • 1.5~1.8L向け: トヨタ自動車北海道 (国内向31万台/年、北米向24万台/年、タイ向24万台/年)
  • 2.0~2.4L向け: 衣浦工場
  • 中国国内仕様車1.6~1.8L向け: トヨタ自動車(常熟)部品有限会社

ホンダ内製

1995年9月にホンダマルチマチックの名称で、シビック/シビックフェリオから実用化した。以来、現在までCVTはすべて内製である。CVT用ベルトの一部は2001年10月から自社生産している。
同社のCVTの生産拠点は、日本(浜松製作所、鈴鹿製作所)とインドネシア(P.T.Honda Precision Parts Manufacturing)及び、メキシコ(ホンダ・デ・メキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイ)である。
同社のメキシコのトランスミッション工場は、グアナファト州セラヤ市に位置し、「フィット」を生産する4輪車組立工場と同じ敷地内にある。2015年後半に年間生産能力35万基の規模でCVTの生産を開始し、将来的に70万基に倍増させる計画である。
同社は、2013年に日本国内で、スポーツハイブリッドi-MMD(インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)と称す、電気式CVTを搭載したアコードハイブリッドを発売した。トヨタTHSが動力分割用の遊星ギアを用いてシリーズ・パラレル運転を行っているのに対し、アコードハイブリッドは、エンジン軸と車輪駆動軸の間にクラッチをもち、基本はそのクラッチをオフとしてシリーズハイブリッド運転を行い、エンジン運転効率が高くなった領域ではクラッチを接続しエンジン直結運転をさせる、クラッチ切換え型のシリーズ・パラレルハイブリッドである。

富士重内製

スバルはオートマチックトランスミッションの本流として、CVTを選択、ステップATからの置き換えを進め、2016年現在までに、BRZなど一部のモデルを除き、同社のオートマチックトランスミッションはCVT化し同社の大泉工場で内製している。「リニアトロニック」と称し、プーリー間のトルク伝達に通常の金属ベルトではなくチェーンを用いていることを特徴としている。チェーン採用の主なメリットは、レシオカバレッジのワイド化と、伝達効率の向上である。
同社は、1987年に量産車世界初のベルト式CVTを開発し、Justyに搭載したCVTの老舗的メーカーで、生産拠点は群馬製作所大泉工場である。スバル車の特徴である水平対向エンジンとAWD(全輪駆動)を組み合わせた独自性の高いパワートレーン構造にマッチングさせるべく、縦置きチェーン式CVTを自社開発した。2009年のLegacy、Exigaへの搭載以降、現在もすべて自社生産車用のCVTを内製している。

ダイハツ内製

軽自動車をはじめ、一部のモデルを除いた殆どのCVTを内製している。2006年6月に、世界初の「インプットリダクション方式3軸ギアトレーン構造」を採用した軽自動車用CVTを開発し、Sonicaから搭載。 生産拠点は、滋賀(竜王)工場。2009年10月、子会社の明石機械工業が九州工場でCVTの生産を開始し、ダイハツ九州に供給を開始した。2010年2月には、軽自動車用CVTをベースに1.0Lエンジンに対応する小型車用CVTを開発し、Boonに搭載 このモデルは、トヨタとの共同開発によって誕生したPassoと姉妹関係にあるコンパクトカーでPassoにも搭載(Boonの1.3L車のCVTは、アイシンAW製であったが、2014年4月のMMCで、1.3Lモデルは、廃止された)。同社は、2016年4月、新型Boonを発表している。新型「Boon」は、ダイハツが開発し、「ミラ・イース」などに採用した「sSテクノロジー」を取り入れて開発された。1.0L直列3気筒の1KR-FEエンジンとCVTが組み合わされる。

GM内製

GMの変速機の開発・生産はGM Powertrain (GMPT)が担当しているが、現在は摩擦式CVTを生産していない。かつては、欧州で摩擦式CVTを生産していたが、現在GMPTで生産しているCVTはプラグイン・ハイブリッド車 Chevrolet Volt / Opel Ampera、Cadillac ELRに搭載されているハイブリッドトランスミッション(電気式CVT)である4ET50型のみ。生産工場は米国Flintと現在はOpelの工場となっているオーストリアAspern工場。

  • 2002年、Opel Hungary Powertrain Ltd.のSzentgotthard工場でVTiと呼ばれるCVTを生産開始
  • 搭載モデルを拡大し、2003年末までに約8.2万台のCVT搭載車を生産
  • 2004年に生産中断・再開を経て、Saturn Vueの2005MYを最後に生産中止

その後10年近くはGM車から摩擦式CVTの搭載モデルは無くなっていたが、Chevrolet Sparkの2014MYよりCVTを採用した。このCVTはGMとしてM4Mという型式を持っているが、ジヤトコからのJF015E型の供給品である。
さらに、日産OEMのシボレーシティー・エクスプレス・バン(NV200)がジヤトコ製のCVTを生産している。

Ford内製

Fordは、GMと同じく、現在は摩擦式CVTを生産しておらず、HV、PHVの前輪駆動車向けに電気式CVTであるハイブリッドトランスミッションを生産している。このトランスミッションの型式は、「HF35」と称し、フォードとして初めて社内開発したHV用変速機であり、以前はアイシンAWの日本より調達していたハイブリッドトランスミッションを米国国内自社生産化し、開発コストも2割削減したとした。工場は、ミシガン州スターリングハイツ近郊のヴァンダイク・トランスミッション工場にて生産され、通常の6速オートマチック・トランスミッションである「6F」と同じ生産ラインで製造される。このハイブリッドトランスミッションは、ハイブリッド車であるFord「フュージョン・ハイブリッド」、「C-MAXハイブリッド」、リンカーン「MKZ」や、プラグイン・ハイブリッド車である「C-MAX Energi」、「フュージョン Energi」に搭載されている。

  • 1999年、オハイオ州にZFと合弁(Ford: 49%、ZF: 51%)でZF Batavia LLCを設立
  • 2003年、欧州Ford のFocus C-MAX用CVT(ベルトドライブ式CFT23)の生産を開始
  • 2004年に、FordはZFの持株を買い取り、100%子会社化(Batavia Transmission LLC)
  • 2005MYからFordの米国車初のCVT(チェーンドライブ式CFT30)搭載車としてFord Five Hundred、Mercury Montego、Ford Freestyleを投入
  • 2007MYでCVT搭載車はすべて打ち切った
  • 2009MYから投入のハイブリッド車(Ford Escape、Ford Fusion)用にアイシンAW製のハイブリッドシステムを搭載
  • 2012年、フルモデルチェンジとなったFusion 2013MY、新登場のC-MAXの各々のハイブリッドモデルへ搭載される前輪駆動車用ハイブリッドトランスミッション(電気式CVT)であるHF-35型の生産開始

Audi内製

以前は、Multitronicと称するCVTが同社のオートマチックトランスミッションが主流であったが、最近の新モデルでは、オートマチックトランスミッションの形式は、同社がSトロニックと称するDCT及びステップATのトランスミッション形式しかみられなくなっている。
Multitronicと称するAudiのCVTはクラッチの大手サプライヤーLuK社(Schaefflerグループ)と共同開発、3.0Lクラスのエンジンに対応できるよう駆動力伝達にチェーンを採用したことが特徴である。LuK社からチェーン/プーリー/油圧ポンプを調達し、VolkswagenのKassel Plantで組立。但し、油圧ポンプ(ベーンタイプ)はドイツのixetic社が生産している。
以前は、3.0L以下のFF用にCVTの搭載を拡大してきたが、モデルチェンジを機にステップAT/DCT(S-tronic)へ置き換えが進められてきた。2010年に発売されたA1、及び2012年にフルモデルチェンジしたA3からもCVTの設定は消滅し、オートマチックトランスミッションの設定は、DCTとステップATになっていた。モデル末期のB8型A4と、A4のクーペ版であるA5、およびC7型A6にCVTが搭載されていたが、最近発表されたA4、A5、A6のトランスミッション形式は、MT、7速DCT、8速ステップATのみで、CVTのモデルは消滅した。

  • 1999年にA6に搭載して市場初投入、2011年のFMC後も継続、次期モデルにCVTの設定無
  • 2000年にA4に搭載、2008年のFMC後も継続、次期モデルにCVTの設定無
  • 2003年にA8に搭載、現在はCVT搭載モデルなし
  • 2007年にA5に搭載、現在も継続、、次期モデルにCVTの設定無
  • 2010年にA7に搭載、現在はCVT搭載モデルなし

Daimler内製

2012年までAUTOTRONICの名称でCVTを内製していた。Aクラス、Bクラスに搭載されていたが、フルモデルチェンジを機にステップDCTへ置き換えられてきている。
ドイツのStuttgart近郊にあるHedelfingen Plantで生産、可変(2ステージ)油圧ポンプは、ドイツのixetic社が供給している。

  • 2004年秋、A-Classに初搭載、2012年のFMC(W169型からW176型)でDCTに置き換え
  • 2005年夏、B-Classに搭載、2011年のFMC(W245型からW246型)を機に日本市場向けB180を除きDCTに置き換え、日本市場向けB180も後にDCTへ置き換え

カーメーカーの搭載CVTメーカー(カーメーカーの内製を含み、OEMを除く)

  ジヤトコ アイシンAW トヨタ
(内製)
ホンダ
(内製)
富士重工
(内製)
ダイハツ
(内製)
Ford
(内製)
Audi
(内製)
Daimler
(内製)
トヨタ              
日産                
ホンダ                
マツダ                
三菱                
富士重                
ダイハツ              
スズキ                
Ford                
Chrysler                
Audi                
Mercedes                
Renault                


Ⅳ. モデル別CVT設定状況とサプライヤー

カーメーカー モデル CVTサプライヤー
Toyota Allion トヨタ内製
Toyota Alphard トヨタ内製
Toyota Alphard Hybrid トヨタ内製
Toyota Aqua トヨタ内製
Toyota Auris アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Camry Hybrid アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Corolla Axio アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Corolla Axio Hybrid トヨタ内製
Toyota Corolla Fielder アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Corolla Fielder Hybrid トヨタ内製
Toyota Crown Majesta アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Estima トヨタ内製
Toyota Estima Hybrid アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Harrier Hybrid トヨタ内製
Toyota Isis トヨタ内製
Toyota ist トヨタ内製
Toyota Noah トヨタ内製
Toyota Noah Hybrid トヨタ内製
Toyota Passo アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Porte アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Premio トヨタ内製
Toyota Prius トヨタ内製
Toyota Prius α トヨタ内製
Toyota Ractis アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota RAV4 トヨタ内製
Toyota SAI トヨタ内製
Toyota Sienta トヨタ内製
Toyota Spade アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Vellfire トヨタ内製
Toyota Vellfire Hybrid トヨタ内製
Toyota Vitz アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Voxy トヨタ内製
Toyota Voxy Hybrid トヨタ内製
Toyota Wish アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Lexus CT200h トヨタ内製
Toyota Lexus GS450h アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Lexus HS250h トヨタ内製
Toyota Lexus IS300h アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Lexus LS600h アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Lexus RC300h アイシン・エィ・ダブリュ
Toyota Lexus RX450h トヨタ内製
Daihatsu Boon ダイハツ内製
Daihatsu Cast ダイハツ内製
Daihatsu COPEN Cero ダイハツ内製
Daihatsu COPEN Robe ダイハツ内製
Daihatsu COPEN XPLAY ダイハツ内製
Daihatsu Mebius ダイハツ内製
Daihatsu Mira Cocoa ダイハツ内製
Daihatsu Mira e:S ダイハツ内製
Daihatsu MOVE ダイハツ内製
Daihatsu MOVE Conte ダイハツ内製
Daihatsu Tanto ダイハツ内製
Daihatsu WAKE ダイハツ内製
Nissan Cube ジヤトコ
Nissan Dayz ジヤトコ
Nissan Dayz Roox ジヤトコ
Nissan Elgrand ジヤトコ
Nissan e-NV200 ジヤトコ
Nissan Juke ジヤトコ
Nissan Leaf ジヤトコ
Nissan Moco ジヤトコ
Nissan Note ジヤトコ
Nissan Ratio ジヤトコ
Nissan Serena ジヤトコ
Nissan Sylphy ジヤトコ
Nissan Teana ジヤトコ
Nissan Wingroad ジヤトコ
Nissan X-Trail ジヤトコ
Honda Acoord Hybrid ホンダ内製
Honda CR-V ホンダ内製
Honda CR-Z ホンダ内製
Honda Fit ホンダ内製
Honda Freed Hybrid ホンダ内製
Honda Freed Spike Hybrid ホンダ内製
Honda Freed Spike Hybrid ホンダ内製
Honda Grace ホンダ内製
Honda N-BOX ホンダ内製
Honda N-BOX Slash ホンダ内製
Honda N-ONE ホンダ内製
Honda N-WGN ホンダ内製
Honda Odyssey ホンダ内製
Honda S660 ホンダ内製
Honda Shuttle ホンダ内製
Honda Step WGN ホンダ内製
Honda Step WGN Spada ホンダ内製
Honda Vezel ホンダ内製
Suzuki Alto ジヤトコ
Suzuki Alto Lapin ジヤトコ
Suzuki Hustler ジヤトコ
Suzuki Landy ジヤトコ
Suzuki MR Wagon ジヤトコ
Suzuki Solio ジヤトコ
Suzuki Spacia ジヤトコ
Suzuki Swift ジヤトコ
Suzuki SX-4 ジヤトコ
Suzuki Wagon R ジヤトコ
Mazda Axela Sedan Hybrid マツダ内製
Mitsubishi Delica D:2 ジヤトコ
Mitsubishi Delica D:5 ジヤトコ
Mitsubishi eK Custom ジヤトコ
Mitsubishi eK Space ジヤトコ
Mitsubishi eK Wagon ジヤトコ
Mitsubishi Outlander ジヤトコ
Mitsubishi Outlander PHV ジヤトコ
Mitsubishi RVR ジヤトコ
Mitsubishi RVR Roadest ジヤトコ
Subaru Exiga Crossover スバル内製
Subaru Forester スバル内製
Subaru Impreza G4 スバル内製
Subaru Impreza Sport スバル内製
Subaru Legacy B4 スバル内製
Subaru Legacy Outback スバル内製
Subaru Levorg スバル内製
Subaru Pleo スバル内製
Subaru WRX スバル内製
Subaru XV スバル内製


Ⅴ. CVTメーカー(カーメーカー内製を含む)の生産拠点

CVTメーカー 拠点名 ロケーション
ジヤトコ 日本 富士地区 富士 (静岡)
日本 掛川地区 掛川 (静岡)
日本 京都地区 京都 (京都)
日本 八木地区 南丹 (京都)
メキシコ JATCO Mexico, S.A. de C.V. Aguascalientes
中国 ジヤトコ(広州)自動変速機有限公司 広州
タイ JATCO (Thailand) Co., Ltd. Chonburi
アイシンAW 日本 田原工場 田原 (愛知)
日本 岡崎東工場 岡崎 (愛知)
日本 岡崎工場 岡崎 (愛知)
日本 株式会社シーヴイテック (注) 田原 (愛知)
トヨタ内製 日本 衣浦工場 碧南 (愛知)
日本 トヨタ自動車北海道株式会社 苫小牧 (北海道)
中国 トヨタ自動車(常熟)部品有限会社 江蘇省
ホンダ内製 日本 浜松製作所 浜松 (静岡)
日本 鈴鹿製作所 鈴鹿 (三重)
インドネシア P.T. Honda Precision Parts Manufacturing Karawang
メキシコ Honda De Mexico, S.A. De C.V. El Salto, Jalisco
富士重内製 日本 大泉工場 (群馬製作所) 大泉 (群馬)
ダイハツ内製 日本 滋賀(竜王)工場 竜王 (滋賀)
日本 明石機械工業株式会社 九州工場 朝倉 (福岡)
Audi内製 ドイツ Kassel Plant (VW) Kassel
Daimler内製 ドイツ Hedelfingen Plant Stuttgart

(注) シーヴイテックは、2002年7月にボッシュとアイシンAWが、CVT用ベルト生産の合弁会社(折半出資)として設立。2006年12月に、ボッシュとの合弁を解消、アイシンAWが子会社化するとともに、トヨタ自動車が資本参加。(アイシンAW: 66.6%、トヨタ自動車: 33.4%)
各社広報資料、聞き取り調査等から作成

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