上海汽車:2010年のグループ販売が350万台を突破、2011年は400万台へ

乗用車・商用車の新ブランドを投入、企業競争力の強化に向けグループ組織の再編を開始

2011/06/30

要 約

 2010年は政府による消費刺激策と新モデルの積極投入が奏効し、上海汽車のグループ販売台数が中国メーカーとしては初となる350万台を突破した。同社の2大合弁メーカー、上海VWと上海GMは、前年の上汽GM五菱に続き年間販売台数がそれぞれ100万台を突破、グループ販売の増加に貢献した。

 上海汽車の2010年の連結売上高は、中国市場の急速な成長と同年2月から連結対象子会社となった上海GMの売上が貢献し、前年比2.24倍の3,133.76億元と大幅な増収を記録した。

 2010年半ばから乗用車と商用車の新ブランドが相次いで発表された。先ず2010年に上汽GM五菱が自主乗用車ブランド「宝駿(Baojun)」を発表。さらに2011年2月には上海汽車が新商用車ブランド「MAXUS大通」を立ち上げた。

 上海汽車は新エネルギー車の供給体制を整備し、2015年に国内の新エネルギー車市場で約20%のシェアを獲得するとしている。2011年にも自主ブランド乗用車「栄威(Roewe)750」のハイブリッド車(HEV)が市場投入される見通し。

 2011年5月末にグループの組織再編計画が臨時株主総会で承認された。これに伴い、グループ内の自動車部品事業、サービス・貿易事業、新エネルギー車事業が上海汽車傘下に集約される運びとなった。

上海汽車 主要傘下メーカー概要

企業名 レポート略(注) 概要 *下段は生産ブランド
統括会社
上海汽車工業(集団)総公司
Shanghai Automotive Industry
Corporation (Group)
上汽集団 国有自動車企業グループ。上海市国有資産監督管理委員会が100%出資する。傘下に完成車事業を統括する上海汽車と、サプライヤー事業を統括する華域汽車系統股份有限公司などを擁する。
上海汽車集団股份有限公司
SAIC Motor Corporation Limited
上海汽車 上汽集団の完成車事業を統括。親会社である上汽集団が72.95%を出資する(2010年12月31日時点)。
乗用車メーカー
上海汽車集団股份有限公司乗用車公司
SAIC Motor Passenger Vehicle Co.
上海乗用車 自主ブランド乗用車を生産。上海汽車の完全子会社。
栄威(Roewe)、名爵(MG)
上海大衆汽車有限公司
Shanghai Volkswagen Automotive Co., Ltd.
上海VW 上海汽車とVWが50%ずつ折半出資する合弁メーカー。
VW、Skoda
上海通用汽車有限公司
Shanghai General Motors Co., Ltd.
上海GM 上海汽車とGMによる合弁メーカー。出資比率は上海汽車が51%(直接50%、間接1%)、GMが49%。
Buick、Chevrolet、Cadillac
上汽通用五菱汽車股份有限公司
SAIC-GM-Wuling Automobile Co., Ltd.
上汽GM五菱 乗用車と商用車を生産する合弁メーカー。上海汽車が50.1%、通用汽車(中国)公司(GMの中国統括拠点)が44%、柳州五菱汽車有限責任公司が5.9%を出資している。
楽馳(Chevrolet Spark) 、乗用車ブランド宝駿(Baojun)、商用車ブランド五菱(Wuling)
商用車メーカー
上汽依維柯紅岩商用車有限公司
SAIC-IVECO HONGYAN Commercial
Vehicle Co., Ltd.
上汽Iveco紅岩 重型トラック・トレーラーメーカー。上汽依維柯商用車投資有限公司(上海汽車とFiat Industrial S.p.A傘下のIveco S.p.A.が折半出資する投資会社) が67%、重慶重型汽車集団有限責任公司が33%を出資する。
紅岩(Hongyan)、斯太爾(Steyr)
南京依維柯汽車有限公司
Nanjing Iveco Automobile Co., Ltd.
南京Iveco トラック、バン、オフロード車、専用車などを生産する商用車メーカー。南京汽車集団有限公司(上海汽車の完全子会社)とIveco S.p.A.が50%ずつ折半出資する。
躍進(Yuejin)、Iveco
上海申沃客車有限公司
Shanghai Sunwin Bus Co., Ltd.
上海申沃 中・大型バスメーカー。上海汽車、Volvo (China) Investment Corp.、Volvo Bus Corp.の3社が共同出資する。出資比率は上海汽車が50%、Volvo側が50%となっている。
申沃(Sunwin)
上海匯衆汽車製造有限公司
Shanghai Huizhong Automotive
Manufacturing Co,. Ltd.
上海匯衆 シャシーや部品を製造する上海汽車の完全子会社。これまでは重型トラック「匯衆(Huizhong)」や軽型バン「伊斯坦納(Istana)」も生産していたが、同社の商用車事業は2011年3月に設立された商用車メーカー「上海汽車商用車有限公司 」に移管された。
匯衆(Huizhong)、伊斯坦納(Istana) *2011年4月に生産停止
上海汽車商用車有限公司
SAIC Motor Commercial Vehicle Co., Ltd.
上海商用車 2011年3月21日、上海汽車の完全子会社である上海匯衆汽車製造有限公司(上海匯衆)の資産を分割する形で設立された。
MAXUS大通(MAXUS Datong)

資料:各社HPなど
(注) 当レポートでは、表中のメーカーについては略称で表記する。



2010年の年間販売台数が中国メーカー初の350万台を突破

 2010年はグループ全体で好調な売れ行きを記録し、年間販売台数が中国メーカーとしては初となる350万台を突破した。

 売上増加の背景として、自動車取得税の減額措置や1.6L以下の低燃費車補助金制度など、政府主導による一連の内需拡大政策が奏功し、中国市場全体が目覚しい成長を遂げたことが挙げられる。2010年、中国は生産・販売台数ともに過去最高の1,800万台を突破し、2年連続で米国を抜いて世界最大の市場となった。

 上海GMはChevroletブランド初の現地開発モデル「Chevrolet New Sail」やOpel Astraをベースとする「Buick Excelle XT」、「Buick Excelle GT」など新モデルを積極的に投入した。上海VWも初の都市型SUV「Tiguan」を投入したほか、「New Polo」やSkodaブランド車「New Octavia」等の販売を開始。市場の追い風も影響し、2010年は両社の販売台数がそれぞれ100万台を突破した。

 一方、自主ブランド車を生産する上海乗用車でも、「栄威(Roewe)350」や「MG6 Saloon」など新モデルの積極投入により製品ラインナップを拡充、前年比78%増の16万台超となった。

上海汽車 各社販売台数

(単位:台)
  2009年 2010年 前年増加率 2010年1-5月
累計
2011年1-5月
累計
乗用車
1,606,266 2,278,771 41.9%
上海乗用車
90,396 160,626 77.7% 64,227 68,380
栄威(Roewe)
75,088 88,627 18.0%
名爵(MG)
15,308 71,999 370.3%
上海VW
728,239 1,001,357 37.5% 362,685 478,828
VW
599,664 811,057 35.3%
Skoda
128,575 190,300 48.0%
上海GM
727,631 1,038,988 42.8% 408,216 507,600
Buick
447,012 550,014 23.0%
Chevrolet
272,773 471,575 72.9%
Cadillac
7,276 17,366 138.7%
Saab
570 33 -94.2%
上汽GM五菱(乗用車のみ)
60,000 77,800 29.7% (注1) 581,017 (注1) 557,490
商用車
1,118,759 1,304,086 16.6%
上汽GM五菱(商用車のみ)
1,005,050 1,156,708 15.1%
上海匯衆
3,897 3,672 -5.8% (注2) 1,797 (注2) 373
匯衆(Huizhong)
694 369 -46.8%
Istana
3,203 3,303 3.1%
上海申沃
3,106 3,098 -0.3% 1,510 970
上汽Iveco紅岩
19,609 30,509 55.6% 16,296 20,268
南京Iveco
87,097 110,099 26.4% 50,831 52,806
躍進(Yuejin)
62,060 78,018 25.7%
Iveco
25,037 32,081 28.1%
販売台数合計
2,725,025 3,582,857 31.5% 1,486,579 1,686,715
資料:上汽集団の2010年度決算報告書、販売台数データ、上海汽車の2010年5月期・12月期生産・販売台数速報(2010.6.8/2011.1.7)、2011年1-5月期生産・販売台数速報(2011.2.12/2011.3.8/2011.4.12/2011.5.10/2011.6.8)
(注) 1. 上汽GM五菱の2010年、2011年1-5月累計は乗用車と商用車の販売台数の合計。
2. 上海匯衆は2011年4月から完成車の生産を停止した。同社の「2011年1-5月累計」欄の数値は、同年1-3月までの販売台数の合計。

 



2010年の連結売上高は前年比2.24倍の大幅増収、上海GMの連結が貢献

 上海汽車の2010年の連結決算は、営業総収入(総売上高)が前年比2.24倍の3,133.76億元、純利益が同2.82倍の228.32億元と大幅な増収増益を記録した。

 上海汽車は同年2月に完全子会社の上海汽車香港投資有限公司を通じて上海GM株1%を新たに取得、既存保有株50%と合わせ、計51%の上海GM株を保有することとなった。同社はそれに伴い上海GMに対する主導権を獲得、同月1日から上海GMを連結対象子会社として財務諸表に連結した。

上海汽車 連結決算

(単位: 億元)
  2008年 2009年 2010年 2010年Q1 2011年Q1
営業総収入
1,058.9 1,396.4 3,133.8 628.3 967.3
自動車製造業
1,054.1 1,388.8 3,124.9
主要業務
1,033.0 1,359.5 3,074.5
完成車業務
849.4 1,149.1 2,790.6
部品業務
183.6 210.4 283.9
その他の業務
21.1 29.3 50.3
金融業
4.9 7.6 8.9
営業利益
(9.7) 84.3 270.1 54.8 94.6
利益総額
(4.8) 86.0 266.8 55.1 95.5
純利益
(8.5) 81.1 228.3 47.3 78.2
資料:上海汽車の2010年/2009年/2008年度決算報告書、2010年第1四半期/半年/第3四半期決算報告書、2011年第1四半期決算報告書
(注) 1. 上海汽車の財務諸表は2006年に財政部が公布した「企業会計準則」に基づく。
2. 営業総収入(Total Revenues): 総売上高
3. 営業利益(Operating Profit): 営業総収入-総経費(売上原価、販管費その他)+(公正価値変動収益、投資損益、為替損益)=営業利益
4. 利益総額(Income Before Tax): 営業利益+営業外収入-営業外支出=利益総額
5. 純利益(Net Profit): 利益総額-法人税=純利益
6. 会計年度(西暦)は当該年の1月1日~12月31日まで。
7. 上海乗用車、上海GM、上汽GM五菱、上海匯衆は連結対象子会社。上海GMは2010年2月1日から連結。上海VW、上海申沃、上汽依維柯商用車投資有限公司(上汽Iveco紅岩の親会社)、南京Ivecoの収益については持分法で反映している。

 



2011年のグループ販売目標を400万台に設定

 上海汽車は2011年の目標として、グループ全体で販売台数400万台超を達成するとしている。同社は目標達成に向けた課題として、引き続き自主開発能力の向上を目指すとともに、グローバル経営力を積極的に強化していく方針という。

 2010年末時点の投資計画によると、自主ブランド乗用車事業に60.471億元、自主ブランド商用車事業に11.785億元を拠出する予定となっている。

2011年度の経営課題

①市場情勢に対応し、年間販売目標400万台超を達成
②合弁メーカーによる市場の開拓を強化
③自主開発能力の向上。「栄威(Roewe)」と「MG」ブランドの新モデルを多数投入、自主ブランドの販売台数を拡大する。
④新エネルギー車の事業化を推進。量産モデルの市場投入を実現する。
⑤商用車セグメントの競争力を向上
⑥グローバル経営力を向上

資料:上海汽車の2010年度決算報告書

 



自主ブランド「宝駿」の立ち上げなどグループ各社で乗用車事業を強化、海外進出も推進

 上海汽車のグループ各社では、新モデルの現地開発や自主ブランドの新設など、乗用車事業における新たな展開が相次いでいる。

 2010年は上海GMが初めてChevroletブランドの現地開発モデルを投入したほか、上汽GM五菱がグループ内の合弁メーカーでは初となる自主乗用車ブランド「宝駿(Baojun)」を発表した。

 上海乗用車の自主ブランド「栄威(Roewe)」や「MG」は2011年も引き続き新モデルを積極投入していく方針。すでに新型の「栄威750」や「MG3」が市場販売を開始している。さらに「MG」ブランドでは中級ファストバック「MG6 Fastback」が英国市場へ投入された。

栄威(Roewe)ブランド:新モデルを積極投入

栄威W5 2011年の第14回上海モーターショーに出展された「栄威(Roewe)」ブランド初のSUVモデル。駆動方式は2WDまたはパートタイム式4WD。車体構造は剛性に優れたセパレートフレームを採用。後部座席を倒せば1,146Lもの荷室スペースを確保できる。同年7月に発売される予定。
新型 栄威750 2011年5月に発売されたBセグメントの新型セダン。パワートレインに1.8Lターボエンジンと2.5L V6エンジンを搭載。1.8Lは5速MTまたは電子制御式5速AT、2.5Lは電子制御式5速ATのみを組み合わせる。90km/hで等速走行する場合、燃費はそれぞれ6.1L/100km、6.4L/100kmとなっている。

資料:栄威専用サイトのニュースリリース(2011.4.22/2011.4.28/2011.4.18/2011.5.11/2011.5.20/2011.6.10)、栄威専用サイトの関連資料、中国ニュースサイト

MGブランド:英国市場に参入 新型「MG3」も販売開始

新型 MG3 2011年3月に発売されたA0セグメントの5ドア小型ハッチバック。2010年6月に設立した上汽集団MG英国設計中心(MG UK Design Center)の最新プラットフォーム「Global Zero」をベースに開発された。パワートレインに1.3Lまたは1.5Lエンジンを搭載。イタリアの部品メーカー、Magneti Marelliが生産した3代目e-Shift AMTまたは5速MTを組み合わせる。
MG6 Fastback 中級5ドアファストバック。2011年4月に英バーミンガム(Birmingham)のロングブリッジ(Longbridge)工場でラインオフし、6月に同国市場に投入された。2009年末に発売された中国仕様車を欧州の排出ガス基準や衝突基準に基づいて改良したほか、内外装にも調整を加え欧州仕様に仕上げている。ボディは中国で製造するが、設計と組立は英国で行うという。英国名は「MG6 GT」
MG6 Saloon 2011年1月に中国で発売されたMG6のスポーツセダン。6月26日に英ロングブリッジ工場でラインオフ式が開催された。Fastbackタイプと同様、設計と組立は英国で行う。英国では7月に発売される見通し。英国名は「MG6 Magnette」

資料:上汽集団ニュースリリース(2011.5.3)、上海汽車ニュースリリース(2011.1.14)、MGニュースリリース(2009.12.22/2011.3.27/2011.6.22)、MG専用サイトの関連資料、中国ニュースサイト
(注) 2005年7月、南京汽車集団有限公司が英MG Roverを買収した。その後、2008年に上海汽車が南京汽車の株式100%を取得して同社を完全子会社化。これにより「MG」ブランドは上海汽車傘下の自主ブランドの一つとなった。

上海GM:Chevroletブランドから初の現地開発モデルを投入 海外市場への輸出も開始

 2010年1月、上海GMはChevroletブランド初の現地開発モデル「Chevrolet New Sail (中国名:新賽欧)」を発表した。同モデルは上海汽車と通用汽車(中国)公司(GMの中国統括拠点)が共同で設立した設計・開発センター、泛亜汽車技術中心有限公司がGMのグローバル基準に基づいて開発した低価格小型車。パワートレインに1.2Lまたは1.4Lエンジンを搭載。燃費はそれぞれ5.7L/100km、5.9L/100kmとなっている。同年10月にはチリとリビアに向けて輸出された。国際ブランドの現地開発モデルが海外に輸出されるのはこれが始めてという。

資料:上汽集団ニュースリリース(2010.1.18)、上海汽車ニュースリリース(2010.1.11/2010.10.21)、上海GMサイトの「New Sail」情報

上汽GM五菱:新乗用車ブランド「宝駿(Baojun)」を発表

 2010年7月、上汽GM五菱はグループ内の合弁メーカーでは初となる自主乗用車ブランド「宝駿(Baojun)」を発表。同年11月にはGMの技術をベースに開発した第1弾モデル「宝駿630」(中級セダン)を広西チワン族自治区柳州市の西部工場でラインオフした。全長4,597mmx全幅1,736mmx全高1,462mm、軸距2,640mm。パワートレインに同社が新開発した1.5L DOHCエンジン(最大出力81kW/5800rpm、最大トルク146Nm/4200rpm)を搭載。燃費は6.9L/100km。欧州排出ガス基準「ユーロⅣ」に適合する。2011年7月末に発売される見通し。

資料:上汽集団ニュースリリース(2010.7.26)、上海汽車ニュースリリース(2010.7.22/2010.11.20)、上汽GM五菱ニュースリリース(2010.7.22/2010.11.24/2011.4.18)、「宝駿」専用サイト、中国ニュースサイト

上海汽車とVW:上海VWへの開発支援で提携強化

 2011年4月、上海汽車とVWは両社の合弁メーカー、上海VWへの開発支援について共同声明と協議書を締結した。具体的には、①中国市場に特化したCセグメントハイエンド乗用車の開発支援、②自主ブランドを含む電気自動車(EV)の開発支援、③VWの新型プラットフォーム「Modularen Querbaukasten(MQB)」をベースとする次世代モデルの開発支援を行う予定。両社は上海VWの技術力を向上し、研究開発能力の現地化を推進するとしている。

資料:上汽集団ニュースリリース(2011.5.3)

 



グループ内で生産能力拡張の動き、南京市の生産拠点を100万台規模に増強

 グループ内で生産能力の拡張を求める動きが強まっている。2010年末には上海汽車が今後5年間で南京市の生産能力を100万台規模に増強すると発表。同計画のために100億元を拠出すると表明した。

 また、上汽GM五菱も2012年に同社の生産能力を131万台に拡大するとしている。同社は同年7月に自主乗用車ブランド「宝駿」を発表しており、拡張工事には自主ブランド事業を推進するとの狙いもあるという。

上海汽車:2015年に南京市の生産拠点を100万台規模に拡大

 上汽集団は2010年末に南京市政府と覚書を締結。南京市の生産拠点に100億元を投じ、5年間で100万台の生産能力を整備すると表明した。同計画によると、上海乗用車が保有する自主ブランド工場(南京浦口工場)の生産能力を現在の15万台から30万台、上海VWの第4工場(南京分公司)を10万台から30万台、南京Ivecoを30万台(現在の生産能力は不明)にそれぞれ拡大する予定という。

資料:上汽集団ニュースリリース(2010.3.22/2010.12.27)、上海汽車ニュースリリース(2007.12.26/2008.4.3/2010.3.17/2010.12.24)、中国ニュースサイト
(注) 同計画には江蘇省無錫市の工場(現在は上海商用車の商用車工場)も含まれると見るメディアもある。無錫市の工場では、2015年までに10万台の生産能力を整備するとしている。

上汽GM五菱:2012年に生産能力を131万台に拡大

 2010年6月、上汽GM五菱は山東省青島市の支社工場「上汽通用五菱青島分公司」で第2期拡張工事を開始、生産能力を現在の30万台から51万台に拡大すると表明した。同社は同年初めにも広西チワン族自治区柳州市の本社工場で生産能力の拡張に着手しており、2012年には現在の59万台から80万台に引き上げる予定としている。全ての工事が完了した後、同社全体の生産能力は89万台から131万台に拡大する見込み。

資料:上海汽車ニュースリリース(2010.6.25)、上汽GM五菱ニュースリリース(2010.6.25)

 



新メーカー設立で商用車事業を加速、上海モーターショーに第1弾モデル「V80」を出展

 上海汽車は商用車セグメントの強化を進めている。同社は2011年3月、完全子会社の上海匯衆を分割し、新商用車メーカー「上海汽車商用車有限公司」を設立した。さらに同年4月には商用車の新ブランド「MAXUS大通」の第1弾モデルを上海モーターショーに出展。同モデルはグローバル戦略車として世界販売されるという。

上海汽車:新商用車ブランド「MAXUS大通」を発表

新商用車
ブランド
2011年2月、上海汽車は英LDV社から買収した「MAXUS」ブランドの知的所有権と技術プラットフォームをベースに新商用車ブランド「MAXUS大通」を発表。さらに翌月には同社の完全子会社である上海匯衆の資産を分割して新商用車メーカー「上海汽車商用車有限公司」(以下、上海商用車)を設立した。
第1弾モデル 新商用車メーカー、上海商用車は第14回上海モーターショーに「MAXUS大通」の第1弾モデルとして商用MPV「V80」を出展した。同モデルはショートホイールベース(軸距3,100mm)とロングホイールベース(軸距3,850mm)の2タイプを用意。パワートレインにイタリアのディーゼルエンジン・メーカー、VM Motori S.p.A.に基づく最新エンジン「Eco-D 2.5L ディーゼルエンジン」を搭載する。TDCi(Turbo Diesel Common rail direct injection)技術を採用し、欧州排出ガス基準「ユーロⅣ」に適合。また、欧州の衝突安全基準に基づき、衝撃吸収性能を備えた衝突安全ボディ(Energy Absorbing Body)を採用している。
生産拠点 2011年5月、上海商用車は江蘇省無錫市に「MAXUS大通」ブランドの生産工場「上海汽車商用車有限公司無錫分公司」を設立した。6月末には同ブランドの第1弾モデル「V80」をラインオフする予定。同モデルは8月末に国内外に向けてグローバル販売される見通しとなっている。
資料:上海汽車ニュースリリース(2011.2.28/2011.3.21/2011.4.19)、上海汽車第4回22次取締役会決議公告(2011.1.12)、上汽集団ニュースリリース(2011.5.26)、上海汽車商用車有限公司サイトの関連資料、中国ニュースサイト
(注) 1. 上海匯衆は新メーカーの設立に伴い商用車事業から撤退、2011年4月から完成車の生産を停止した。同社の軽型バンブランド「伊斯坦納(Istana)」は新会社に移管されるもよう。重型トラックブランド「匯衆(Huizhong)」の撤退後の詳細については不明。
2. 「上海汽車商用車有限公司無錫分公司」は上海汽車が2008年に完全子会社化した南京汽車集団有限公司の無錫工場を改修して設立された。2015年には10万台の生産能力を整備するとしている。

 



2015年に国内の新エネルギー車市場でシェア20%を獲得

 上海汽車は2015年に国内の新エネルギー車市場で約20%のシェアを獲得する計画。同社は新エネルギー車事業を推進する国家戦略に基づき、ハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)の事業化を加速するほか、燃料電池車の研究開発とテスト運行を促進するという。

 事業化の一環として、2010年末に生産を開始したHEV「栄威750」を2011年にも発売する予定。また、2012年にはPHEV「栄威550」、EV「栄威350」等を投入するとしている。

2012年投入予定の新エネルギー車

栄威550 PHEV 「栄威550」をベースに自主開発したPHEVセダン。1.5L VCTエンジンを搭載。燃費は2.7L/100kmで、ベースモデルより50%以上向上した。中国排出ガス基準「国Ⅴ」に適合。2012年に量産開始の予定。
栄威350 EV 「栄威350」をベースに自主開発したA級EVセダン。動力源にリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載。充電時間は6~8時間で、急速充電の場合は30分以内に80%をチャージできる。
E1 EV
コンセプトカー
2010年の上海万博、2011年の第14回上海モーターショーで披露された。3ドア4人乗りの1Boxカー。リン酸鉄リチウムイオン電池を採用。急速充電の場合、30分以内に80%をチャージできる。2012年に量産モデルが発売される見込み。

資料:上海汽車の上海モーターショー専用ページ、上海汽車ニュースリリース(2011.3.9/2010.4.19/2011.5.20)

 



グループ内の組織再編計画を始動、主要3事業を上海汽車に集約

 上海汽車は2011年4月にグループ内の組織再編計画を発表。同計画は5月末の臨時取締役会で承認され、自動車部品事業、サービス・貿易事業、新エネルギー車事業に関連するグループ各社が上場企業である上海汽車に全て統括される運びとなった。

 上海汽車は組織再編によりグループ内の自動車産業チェーンを整理統合するほか、自主開発能力の向上や新エネルギー車事業における供給体制の構築などを推進していく計画という。

組織再編計画の概要

計画 上海汽車が上汽集団(親会社)と上海汽車工業有限公司(上汽集団の完全子会社)に対して第三者割当増資を行い、2社が保有する自動車部品事業、サービス・貿易事業、新エネルギー車事業など評価額291.2億元の資産を自社に一括して再編する。
背景 国家による自動車産業の育成。中国は第12次5ヵ年計画期間(2011年~2015年)の目標として、完成車と部品事業における自主開発能力の強化、省エネルギーや環境対応、安全性能に関する技術力向上、新エネルギー車事業の推進などを掲げている。
目的 ・調達や販売、物流業務まで網羅した自動車産業チェーンの構築
・完成車と部品事業における自主開発能力の向上
・新エネルギー車事業における供給体制の構築 ほか
再編方法 上海汽車が上汽集団と上海汽車工業有限公司に対し1株16.53元で計17.61億株を発行。これに対し2社は傘下企業の株式や不動産資産などを現物出資する。上海汽車はこの取引を通じて2社が保有するグループ内の主要3事業を自社傘下に集約する。
再編対象資産 自動車部品事業、サービス・貿易事業、新エネルギー車事業に関連する傘下企業計20社の株式、土地使用権や建築物、関連設備等の不動産資産、フランチャイズ権、商標権、特許権、招商銀行の株式など。

資料:上海汽車の臨時公告(2011.4.6/2011.5.12/2011.5.28) 、上海汽車ニュースリリース(2011.5.31)、「中華人民共和国国民経済・社会発展第12次5ヵ年計画要綱」(2011年3月16日公布)

組織再編計画における3事業再編の意義

自動車部品事業
  再編の効果と意義 ・自動車産業チェーンの整理統合。
・完成車と部品の同時開発を推進。完成車と部品事業で情報の共有化を図り、多様化する市場ニーズをいち早く製品開発に反映させる。
・自主開発能力の向上。
・再編対象企業が持つ国際的サプライヤーとの提携経験を活かし、市場における優位性を確保する。
主要再編対象企業 華域汽車系統股份有限公司(注2)、南京南汽模具装備有限公司、及び東華汽車実業有限公司傘下の商用車サプライヤーなど。
サービス・貿易事業(注1)
  再編の効果と意義 ・完成車と部品事業に対する調達、販売、物流等のサービスを一本化。コスト削減、時間短縮、安全確保等の効果が見込まれる。
・既存の販売・サービス網の改善、サービス・貿易全体の集約化と事業拡大。
・企業の総合競争力の向上。
主要再編対象企業 安吉汽車物流有限公司、上海汽車集団(北京)有限公司、上海汽車工業銷售有限公司、上海国際汽車零部件采購中心有限公司、中国汽車工業投資開発公司、上海汽車進出口有限公司、上海汽車資産経営有限公司、及びサービス・貿易事業を行う東華汽車実業有限公司の傘下企業など。
新エネルギー車事業
  再編の効果と意義 ・新エネルギー車事業における供給体制の構築。
・国内外の新エネルギー車市場で優位性を確保。
主要再編対象企業 新源動力股份有限公司、華域汽車系統股份有限公司(注3)
資料:上海汽車の臨時公告(2011.4.6/2011.5.12/2011.5.28) 、上海汽車ニュースリリース(2011.5.31)
(注) 1. サービス・貿易:物流、販売、リース、情報サービス、国際貿易など
2. 華域汽車系統股份有限公司は内外装部品や組立部品、熱加工部品等を取り扱う上汽集団傘下のサプライヤー統括会社。投資先サプライヤーは20社以上に上り、国内最大のサプライヤーチェーンを構築している。供給先は上海VWや上海GMなど上海汽車グループ傘下の完成車メーカーのほか、一汽VW(FAW-VW)や神龍汽車(Dongfeng-Peugeot-Citroen)、北汽福田(Beiqi Foton)、北京現代(Beijing Hyundai)、東風日産(Dongfeng Nissan)、奇瑞汽車(Chery Automobile)といった多数の国内大手メーカー。また、欧米や韓国、オーストラリア、東南アジア市場への輸出も行っている。
3. 新源動力股份有限公司は主にプロトン交換膜燃料電池(proton exchange membrane fuel cell、略称PEMFC)と関連部品の研究開発、製造を行っている。 また、華域汽車系統股份有限公司でも駆動モーターや電動ステアリング、Start/Stop 機能など環境対応関連の製品を製造している。

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