ホンダ: 2011年6月末までの国内生産は約5割減、4~9月期業績に影響
中国で2012年からEVを生産、HEV現地生産の準備も開始
2011/05/10
要 約
本レポートは、ホンダの2010年度決算、5月上旬までに判明している東日本大震災の影響、および電動車両拡充計画について報告する。
ホンダの2010年度決算は、売上高は8兆9,368億円と4.2%増、営業利益は5,697億円と56.6%増、当期純利益は5,340億円に倍増した。ホンダの最大市場である北米市場の回復とアジアでの拡大が貢献した。
ホンダは、3月11日の東日本大震災後国内での生産を休止し、4月11日までに全ての生産拠点での生産を再開したが、6月末までは5割程度の操業にとどまり、年内にフル生産を目指すとしている。国内減産の影響は海外生産にもおよび、北米での4月生産は4割減で夏まで最大5割減産し、通常の生産に戻るのは2011年末になるとされる。
ホンダは、2011年度の業績見通しは現時点では算出が困難であるとして、発表していない。5月後半をめどに2011年度事業計画と業績見通しを発表する予定。減産は7~9月期の業績にも影響する見込み。
商品計画では、電動車両(HEV、EV、PHEV)の新型車や今後の計画を相次いで発表している。2010年10月にフィットHEVを国内で発売、2011年にフィットシャトルHEVも発売予定。2011年4月に米国でリチウムイオン電池を搭載する新型シビックHEVを発売した。
2012年に、日米でフィットEVとインスパイアベースのPHEVを発売する。
中国市場にも、2012年にインサイト、フィットHEV、CR-ZのHEV 3モデルを新たに投入し、2012年を目標にEVの現地生産を開始すると発表した。
ホンダ:2010年度決算の営業利益は57%増、純利益は5,340億円に倍増
ホンダの2010年度販売台数は、北米とアジア・その他地域が貢献し、2009年度の339万台から358万台に増加した。売上高は8兆9,368億円と4.2%増。円高と東日本大震災の影響を吸収し、ほぼ予定通りの利益を確保し、営業利益は5,697億円と56.6%増、当期純利益は5,340億円と99.0%増加した。
ホンダは、2011年度の業績見通しは、3月11日に発生した東日本大震災の影響により現時点では合理的な算出が困難であるとして発表していない。5月後半をめどに、部品調達やホンダの生産の見通しが立った段階で2011年度業績見通しを発表する予定。
ホンダの世界販売台数 |
(1,000 台) |
2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 1月に発表 した予想 | |
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国内 | 696 | 672 | 615 | 556 | 646 | 582 | 595 |
北米 | 1,682 | 1,788 | 1,850 | 1,496 | 1,297 | 1,458 | 1,475 |
欧州 | 291 | 324 | 391 | 350 | 249 | 198 | 205 |
アジア | 521 | 620 | 755 | 793 | 950 | 1,008 | 1,040 |
その他 | 201 | 248 | 314 | 322 | 250 | 266 | 265 |
世界 | 3,391 | 3,652 | 3,925 | 3,517 | 3,392 | 3,512 | 3,580 |
資料:ホンダ連結決算報告書 | |
(注) 1. | 世界販売台数は、ホンダ及び連結子会社の、完成車と持分法適用会社への生産用部品の販売台数の合計。 |
2. | 「1月に発表した予想」は、2011年1月末、2010年度4~12月期決算内容と同時に発表した2010年度通期の業績予想。 |
3. | 2011年4月の国内販売台数は27,089台で前年比46.3%減。業界全体(大型トラックと軽自動車を含む)は、185,673台で47.3%減。 |
ホンダの連結業績 |
(100万円) |
2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 1月に発表 した予想 | |
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売上高 | 9,907,996 | 11,087,140 | 12,002,834 | 10,011,241 | 8,579,174 | 8,936,867 | 8,900,000 |
営業利益 | 868,905 | 851,879 | 953,109 | 189,643 | 363,775 | 569,775 | 620,000 |
税引き前利益 | 829,904 | 792,868 | 895,841 | 161,734 | 336,198 | 630,548 | 665,000 |
関連会社持分利益 (内)アジア | 99,600 73,000 | 103,400 72,600 | 118,900 86,100 | 99,000 97,500 | 93,200 90,800 | 139,700 111,100 | 130,000 |
当期純利益 | 597,033 | 592,322 | 600,039 | 137,005 | 268,400 | 534,088 | 530,000 |
設備投資 減価償却費 研究開発費 | 457,800 262,200 510,300 | 627,000 361,700 551,800 | 654,000 417,300 587,900 | 599,100 408,200 563,100 | 329,700 366,600 463,300 | 311,300 325,200 487,500 | 330,000 330,000 500,000 |
為替レート(1米ドル) 為替レート(1ユーロ) | 113円 138円 | 117円 151円 | 114円 162円 | 101円 142円 | 93円 130円 | 86円 114円 | 85円 112円 |
資料:ホンダ連結決算報告書 (注)東日本大震災に係る2010年度連結決算への影響は45,720百万円で、内訳は売上原価に17,450百万円(国内生産拠点の一時的な操業休止期間中の固定費15,062百万円を含む)と、一般管理費28,270百万円(有形固定資産の損壊に関する損失15,647百万円を含む)。2011年度以降に発生すると見込まれる金額は計上していない。
ホンダの営業利益増減要因 |
(100万円) |
増減額 | 売上変動・ 構成差等 | コストダウン 効果等 | R&D費の 増減 | 販管費の 増加 | 震災影響 | 為替影響 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2010年度 | 2,060 | 3,222 | 1,533 | (242) | (620) | (457) | (1,376) |
2010年度1~3月 | (498) | 357 | 241 | 141 | (342) | (457) | (440) |
資料:ホンダの2010年度決算説明会 2011.4.28
2011年3月の国内生産は63%減、6月末まで5割程度の操業
2010年度通期の国内生産は1.2%増、海外生産は10.9%増、世界生産は3,576,362台で8.2%増加した。しかし2011年3月の国内生産は34,754台で前年比62.9%減、海外生産は17ヵ月ぶりに減少し(3.2%減)247,500台。世界生産は282,254台(19.2%減)。
ホンダは3月11日の大震災後国内生産を停止し、4月11日までに全ての生産拠点での生産を再開したが、完成車と海外生産用部品の生産は、6月末まで5割程度の操業となり、年内にフル操業を目指すとしている。7月以降生産は回復に向かうがまだ詳細な見通しは立たず、最悪のシナリオでは年末まで生産が正常化しないケースも想定している。
ホンダの世界生産台数 |
(台) |
2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 2011年3月 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 前年比 | ||||||
国内 | 1,348,085 | 1,296,682 | 1,148,361 | 901,775 | 912,307 | 34,754 | △62.9% |
海外 | 2,354,307 | 2,658,801 | 2,425,936 | 2,402,755 | 2,664,055 | 247,500 | △3.2% |
世界生産 | 3,702,392 | 3,955,483 | 3,574,297 | 3,304,530 | 3,576,362 | 282,254 | △19.2% |
輸出 | 645,203 | 695,678 | 573,561 | 230,010 | 310,254 | 20,699 | △26.2% |
海外生産の地域別内訳 |
(台) |
2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 2011年3月 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 前年比 | ||||||
北米 (内)米国 | 1,394,025 981,172 | 1,441,265 1,019,135 | 1,251,029 857,802 | 1,152,009 827,946 | 1,291,556 963,911 | 113,060 89,483 | △10.5% △4.4% |
欧州 | 190,538 | 247,189 | 174,535 | 99,346 | 139,114 | 12,912 | △7.0% |
アジア (内)中国 | 670,705 378,359 | 819,251 492,008 | 828,851 512,076 | 991,999 652,596 | 1,085,457 687,632 | 108,997 73,032 | 9.8% 11.9% |
その他 | 99,039 | 151,096 | 171,521 | 159,401 | 147,928 | 12,531 | △22.7% |
海外生産 | 2,354,307 | 2,658,801 | 2,425,936 | 2,402,755 | 2,664,055 | 247,500 | △19.2% |
資料:ホンダの四輪車生産・販売・輸出実績(広報発表), (注)国内生産は自工会報告ベース(CBU)、海外生産はラインオフベース速報値、輸出は自工会報告ベース(CBU)。
2010年度に北米事業の収益性が回復したが、2011年夏まで最大5割の減産
ホンダの最大市場である北米事業は2009年度を底に回復し、2010年度決算に貢献した。売上高は4兆1,478億円で6.1%の増収、営業利益は売上増および商品ミックス改善、増産に伴う台当り固定費負担減などにより3,009億円に27.3%増加した。
2011年4月に新型シビックとリチウムイオン電池を搭載する新型シビックHEVを発売した。
しかし日本からの生産用部品供給不足から、ホンダは3月末から北米の完成車工場で減産を実施し、4月の北米生産は4割減、2011年夏まで最大5割減産する見込みで、生産が通常のレベルに戻るのは2011年末とされる。また北米での生産と雇用を守るために、日本国内では北米向け輸出車(完成車)の生産を絞って、その分を米国生産車の生産用部品に振り向け、北米では、日本からの輸入車の受注を停止したとされる。
ホンダの北米事業業績 |
(台) |
2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 営業利益 | (単位:100万円) | 6,172,644 456,827 | 6,265,263 432,628 | 4,779,124 79,702 | 3,908,216 236,379 | 4,147,897 300,922 |
生産台数 | 北米 (内)米国 | 1,394,025 981,172 | 1,441,265 1,019,135 | 1,251,029 857,802 | 1,152,009 827,946 | 1,291,556 963,911 |
販売台数 | 北米 | 1,788,000 | 1,850,000 | 1,496,000 | 1,297,000 | 1,458,000 |
日本からの輸出 | 北米 (内)米国 | 366,252 337,911 | 413,914 391,115 | 295,951 271,378 | 133,479 124,405 | 208,696 199,696 |
資料:ホンダ決算発表資料 | |
(注) 1. | 北米売上高と営業利益は、所在地別セグメント情報による(次項のアジア事業も同様)。 |
2. | ホンダの2010年度米国販売台数は128.2万台で9.0%の増加。この期間の米国のLight vehicle全体需要は1,210.5万台で12.4%の増加。ホンダのシェアは2009年度の10.9%から10.6%に下降した。シェアダウンは、Detroit 3が体力を回復し、競争力のある新モデルを投入していること、ホンダの量販モデルであるシビックがモデルサイクル末期であったことなどによるとされている。 |
3-1. | ホンダの2011年4月北米(米国、カナダ、メキシコ)の生産台数は67,346台で39.9%減(オートモーティブ・ニューズによる、一部推定を含む速報値)、Light vehicle全体は 1,044,656台(4.7%増)。 |
3-2. | ホンダの2011年4月の米国販売台数は 124,799台で前年比9.8%増、米国のLight vehicle全体(1,157,928台)の伸び率17.9%を下回った。ホンダを含む日本自動車メーカーは一定水準の在庫を持っていたが、在庫の目減りを防ぎ収益を確保するためにインセンティブを抑えたとされる。 |
2010年度、アジアの業績が拡大、タイでブリオ、中国で「理念S1」を発売
北米市場とともに、アジア市場での拡大が2010年度業績に貢献した。売上高は1兆8,411億円に21.2%の増収、営業利益は1,506億円に33.3%増益となった。アジアでは中国事業を中心に関連会社持分利益が2009年度の908億円から1,111億円に拡大した。
2011年3月に、タイやインドなどアジア地域向けエントリーカーBRIO(ブリオ)を発表、5月下旬に発売し、インドでも年内に生産開始する予定。しかしホンダは、生産用部品の供給不足から、タイでのブリオ新規受注を休止したとされる。
中国では、2011年4月、広汽ホンダの自主ブランド「理念S1」を発売した。
中国でも、4月の販売は約43,000台で22%減少し、生産・販売への影響は2011年末まで続くとされる。
ホンダのアジア事業業績 |
(台) |
2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | ||
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売上高 営業利益 持分利益 | (単位:100万円) | 1,271,403 | 1,638,290 | 1,608,231 | 1,518,580 | 1,841,167 |
77,153 | 130,724 | 103,603 | 113,006 | 150,637 | ||
72,600 | 86,100 | 97,500 | 90,800 | 111,100 | ||
生産台数 | アジア (内)中国 | 670,705 378,359 | 819,251 492,008 | 828,851 512,076 | 991,999 652,596 | 1,085,457 687,632 |
販売台数 | アジア | 620,000 | 755,000 | 793,000 | 950,000 | 1,008,000 |
資料:ホンダ決算発表資料 | |
(注) 1. | ホンダの中国事業のうち、広汽ホンダと東風ホンダは持分法適用会社のため、上表の売上高と営業利益には含まれず、純利益相当分が関連会社持分利益に計上されている(輸出専用車を生産・販売する本田汽車(中国)は連結子会社)。 |
2. | 東風ホンダと広汽ホンダの5月の生産は、4月末から5月前半に定期点検のため10日程度生産を停止したこともあり(ホンダは、日本の震災の影響ではなく当初からの計画としている)、前年比5割減の見込みとされる。また日本からの部品供給不足は、2011年末まで影響するとされている。 |
タイ:新型小型車「BRIO(ブリオ)」を発表
ホンダは、2011年3月、タイで新型小型車ブリオを発表した。ブリオは、タイやインドなどアジア地域で拡大するエントリーカー市場に向けて開発したスモールカーで、タイでは5月下旬に発売する。発売から1年間で4万台の販売を計画し、将来は周辺国への輸出も行うとしていた。 |
タイ仕様は、1200cc i-VTECエンジンを搭載し、タイ政府のエコカー認定基準である5L/100km以上の燃費性能やEuro4排出ガス規制値に対応した環境性能を実現した。価格は399,900バーツ(約107万9,730円)と、タイ市場で求められる性能と手頃な価格を両立させた。 |
2011年後半から、インドでの生産・販売・周辺国への輸出を計画。インドではコストをより重視し、ホンダとして初めて鋼板も現地調達するなど、インド国内で部品の8割を調達するとされる。価格は50万ルピー(90万円強)以下を想定している。 |
資料:ホンダ広報資料 2011.3.17、日経産業新聞 2011.3.18、日刊工業新聞 2011.4.22
中国:広汽ホンダの自主ブランド「理念S1」を発表
ホンダは2011年4月に広汽ホンダの自主ブランド「理念S1」を発表し、上海モーターショーに出展した。ホンダの旧型Cityをベースに開発したとされ、販売価格は1300cc MT車で69,800元で、中国市場で最安値のフィットの価格約9万元より低価格に抑えた。2011年に5万台生産する計画とされる。 |
主要諸元は、全長4420mm、全幅1690mm、全高1495mm。1300cc/1500ccエンジンを搭載し、1300cc MT車の燃費は6.1L/100km(16.4km/L)。新車購入時から3年間または10万キロまでの品質保証を実施する。 |
資料:ホンダ広報資料 2011.4.18/2011.4.19、日刊自動車新聞 2010.12.20 | |
(注) 1. | ホンダは、中国の顧客のニーズを、これまで以上に商品に反映できるように、新たに研究開発と商品企画の機能を中国に設けた。2011年4月に、北京市に市場調査を担当する拠点を新設し、中国の消費者ニーズに対応した商品企画機能を拡充する。 |
2. | また2007年4月に設立した、研究開発拠点の「広州本田汽車研究開発有限公司(Guangzhou Honda Automobile Research & Development)」では、2012年に本格的なテストコースが完成し、自主ブランド車開発や部品の評価などに活用する。 |
ホンダ:HEVのラインアップを強化、2012年にEV/PHEVを発売
ホンダは2010年7月、7月からの1年間をめどに、小型車を中心に複数の軽量・コンパクトなIMAシステムを搭載するHEVモデルを国内市場に投入すると発表した。
2010年10月にフィットHEVを発売、2011年にはフィットシャトルHEV、フリードベースHEVを投入する。
2011年4月米国で、ホンダ初のリチウムイオン電池を搭載する新型シビックHEVを発売した。
2012年に日米でフィットEVとインスパイアをベースとするPHEV(米国では、姉妹車である米国仕様アコードベース)を発売する。今後複数の中型車以上にPHEVを設定する計画。
ホンダの電動車両発売と発売計画
フィットHEV | 2010年10月 | 最高出力65kWの1300cc i-VTECエンジンと軽量・小型なIMA(Integrated Motor Assist)を組み合わせ(モーター最高出力は10kW)、10・15モード燃費30km/L(JC08モード燃費26km/L)を達成。時速15~40kmの巡航時には、モーターのみのEV走行が可能。 |
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販売価格は、ホンダのHEVとして最も低価格となる消費税込み159万円から。2010年10月8日に発売し、10~12月の3ヶ月で、フィット総販売台数45,258台のうち24,498台(54.1%)がハイブリッド車だった。 | ||
シビックHEV | 2011年4月 (米国で発売) | 2011年4月のニューヨークオートショーで、新型シビックとシビックHEVを発表・発売した。HEVは、1500cc i-VTECガソリンエンジンとリチウムイオン電池 + モーターを搭載する。一定の走行条件では、時速45マイルまでEV走行が可能。 |
ハイブリッドシステムはIMAを継続し、EPA燃費はcity/highway/combinedとも 44 mpgで、2011年モデルの40/43/41より向上したが、トヨタ プリウスの51/48/50 mpgには及ばない。 | ||
日本では、新型シビックは発売せず、在庫がなくなり次第販売を終了する(一時HEVのみ発売すると報道されたが、HEVも発売しないこととした)。国内での輸出車の生産は継続する。 | ||
フィットシャトル HEV | 2011年 | フィットシャトルは、2011年3月17日に発表・発売を予定していたが、東日本大震災の影響で発売を延期した。連休明けから、工場を埼玉製作所から鈴鹿製作所に移して生産を再開するが、既存車種のバックオーダー解消もあり、発売日は今のところ未定。 |
フィットシャトルは、全長がベース車のフィットより510mm長い4410mmのワゴンタイプ車で、フィットと部品の70%を共有する。1500ccガソリンエンジン車と、1300cc i-VTECエンジンとIMAを搭載するHEVを設定する(10・15モード燃費はフィットHEVと同じ30km/L、価格は22万円高い181万円から)。 | ||
フリードHEV | 2011年秋 | 2011年秋に、フリード(フィットをベースとするミニバン)、同派生車フリードスパイクにもHEVを設定するとされる。 |
資料:ホンダ広報資料 2010.7.20/2010.10.8//2010.11.18、米国ホンダ広報資料 2011.4.21 | |
(注) 1. | フィットHEVのHEVシステムは、2009年2月に発売したインサイトと同じ。両モデルのサイズは多少異なるが(フィットHEVの全長×全幅×全高は3,900mm×1,695mm×1,525mm、インサイトは4,390mm×1,695mm×1,425mm)、インサイトのHEVシステムは、開発時からフィットHEVにも搭載可能な設計にしたとされる。フィットシャトルとフリードのHEVも同じシステムを搭載し、量産によるコスト低減を目指す。 |
2. | もともとIMAは、ガソリンエンジンによる駆動を主とし、モーターでアシストするシンプルなシステムで、ホンダは、他社のフルHEVシステムより低コストで、多くのモデルに設定が可能としている。 |
3. | フィットHEVの燃費は30km/L(10・15モード)で、トヨタ プリウスの38km/L(同)におよばないが、「フィットHEVは、プリウスとは別の、価格と燃費性能の両立を目指すコンセプトに基づくHEVであり(消費税込み価格は、フィットの159万円からに対して、プリウスは205万円から)、まずHEVの商品群を充実させよう」との判断から発売したとされる。 |
4. | ホンダは、現行IMAとは別の、2モーター式でより燃費効率の高いハイブリッドシステムを開発中とされる。既に発表したPHEVは、開発中の2モーター式ハイブリッドシステムをベースとしている。 |
ホンダの、ハイブリッド国内販売台数 |
(台) |
2009年 | 2010年 | 備考 | |
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シビック | 3,766 | 2,542 | 国内での販売は近く終了する。 |
インサイト | 93,283 | 38,080 | 2009年2月発売 |
CR-Z | 22,372 | 2010年2月発売 | |
フィット | 24,498 | 2010年10月発売 | |
合計 | 97,049 | 87,492 |
資料:自販連の新車登録台数年報
ホンダが発売予定の、EV/PHEV主要諸元
フィットEV | インスパイアPHEV | |
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エンジン | - | 4気筒2000ccアトキンソンサイクル i-VTECエンジン |
トランスミッション | - | ECVT(電動CVT) |
モーター | ギアボックス同軸モーター | 2モーターシステム (駆動および回生・発電用) |
電池 | リチウムイオン電池 (東芝製) | 6kWhリチウムイオン電池 (ブルーエナジー製) |
EV航続走行距離 | 160km以上 | 25km (JC08モード) |
EV最高速度 | 時速144km | 時速100km |
充電時間 | 100V=12時間以下 200V=6時間以下 急速充電=30分(80%) | 100V=4時間以下 200V=1.5時間以下 |
資料:ホンダ広報資料 2010.12.20 (注)ホンダが、2010年12月から埼玉県で開始した実証実験に使用するEV/PHEVの主要諸元。
中国市場に新たなHEV 3モデルを投入、2012年目標にEVを現地生産
ホンダは、2007年11月に、中国の東風ホンダからシビックHEVを発売した。2011年4月の上海モーターショーで、
(1)2012年に、インサイト、CR-Z、フィットのHEVを日本から輸入し発売する。中国での現地生産の準備も進めている。 (2)広州市で、EVを用いた次世代パーソナルモビリティの実証実験を行う、 (3)2012年を目標に、中国でEVの生産を開始する、 と発表した。
中国市場に新たにHEV 3 モデルを導入、EVを現地生産
ハイブリッド車 | 現在販売しているシビックHEVに加え、2012年にインサイトを東風ホンダから、CR-ZとフィットHEVを広汽ホンダから発売する。 |
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当面日本から輸入するが、中国の顧客により早く、安価で提供するために、ハイブリッド車のコア部品である電池やモーターの現地調達を含め、中国での生産の準備を進めている。 | |
ホンダは、中国での部品調達機能を強化し、グローバルで活用する体制を構築する。現地の研究開発体制を強化し、ハイブリッド車の現地生産に向けた準備や、現地部品メーカーからの部品調達を拡大できるよう調査・研究を強化する計画。 | |
EV | 広州市、広州汽車集団と、EVを用いた次世代パーソナルモビリティ実証実験を行うことで基本合意した。ホンダが開発中のEVの実用性・利便性や、普及に向けた社会インフラのあり方などを検証する。 |
2012年を目標に、中国でEVの生産を開始すると発表。武漢市(東風ホンダ)と広州市(広汽ホンダ)の2拠点で生産し、またコスト削減の一環として電池とモーターの一部を現地調達することも検討中とされる。 |
2011年4月開催の、上海モーターショーへの電動車両・技術の出展
HEV技術 | リチウムイオン電池を搭載したIMAハイブリッドシステムの技術展示モデル(世界初公開) |
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HEV | フィットHEV、インサイト、CR-Zの3モデルを出展 |
EV | フィットEVコンセプトモデル(中国初公開) |
PHEV技術 | 次世代PHEVの技術展示モデル(中国初公開) |
資料:ホンダ広報資料 2011.4.7/2011.4.18/2011.4.19、日本経済聞 2011.4.19、日刊自動車新聞 2010.12.20 (注)中国でのEV生産を正式表明した自動車メーカーはホンダ 1社のみ。トヨタ、日産、三菱自動車は、インフラ基盤整備を確認しながら現地生産を検討するとされる。
<自動車産業ポータル、マークラインズ>