車とスマートグリッド(2):日産/三菱自が「放電対応EV」を開発

使用済のEV用電池を、住宅用蓄電池などに二次利用する実証計画も進行

2011/04/26

要 約

 スマートグリッド構築では、各事業所や家庭に蓄電機能を持たせることが重要なステップであり、蓄電機能付き住宅の供給や、EV/PHEVが搭載する電池からの放電を可能とし、家庭用蓄電池として利用する試み(本レポートでは「放電対応EV」または「V2H(Vehicle to Home)」と呼ぶ)が進んでいる。

 先に4月14日付け掲載「車とスマートグリッド(1)」で、トヨタグループの住宅会社が蓄電機能付住宅供給を計画し、また2010年から豊田市で行っている実証実験でトヨタがEV/PHEV搭載蓄電池の電力活用「V2H」の検証を進めている状況をレポートした。

 本レポートは、"車とスマートグリッド(2)"として、日産と三菱自動車が進める「放電対応EV」および必要な関連システム構築の計画を中心にレポートする。

 さらに、EV用リチウムイオン電池は、EVでの使用を終了した後も住宅用など定置用途蓄電池としての使用が可能で、EV販売での初期電池コストを引き下げる効果も期待されている。日産と住友商事、三菱自動車他3社、伊藤忠商事などが具体化する計画を進めている。

 また、EV/PHEVの普及を促進する充電システムやカーシェアリングのシステム構築も進んでいる。

 なおホンダは、2010年12月から、日米でフィットEVとインスパイアをベースに開発したPHEVを使用する実証実験を開始した。

住宅に蓄電機能を持たせる計画(EV用電池の二次利用を含む)

蓄電機能
付き住宅
トヨタ
グループ
 トヨタグループのトヨタホームは、2011年に蓄電機能とHEMS(Home Energy Management System)を備える住宅を実用化する。トヨタホ-ムが27.8%出資するミサワホームも、早期の商品化を目指す。
住宅各社  住宅各社も、EV/PHEVの普及を見込み、蓄電機能付き住宅の発売を計画。
EV用電池から
住宅に放電
(放電対応EV)
トヨタ  2010年に開始した豊田市の実証実験で、V2H技術を検証。
日産  2010年に開始した横浜市の実証実験で、放電対応EVを開発。
 2010年4月から、GEとEV用電池の効率的な充放電技術について共同開発。
三菱自動車  2010年に開始した京都府けいはんなプロジェクトで、V2H対応EV技術を開発。
 2010年12月、EVが搭載する電池およびリユース電池を使用する実証実験を開始。EVとしての使用に支障がないようにしながら動力源として活用するシステムを開発。
シャープ  EVの電池を、住宅の蓄電池として利用可能にするコンディショナを開発。
EV用リチウム
イオン電池の
二次利用
日産  2010年に開始した北九州市の実証実験で、EV用電池のリユースを実証。
 2010年9月、住友商事と共同で、EV用電池の二次利用事業化を調査する会社を設立。
三菱自動車  2011年1月、京都市でEV用電池二次利用の実証実験を開始。
伊藤忠商事  2010年5月につくば市と共同で開始した実証実験で、EV用電池二次利用の事業モデル構築を目指す。
 2010年11月、米国インディアナ州で現地電力会社と提携し、使用済みEV用電池を定置用途に二次利用する場合の性能を検証する計画を開始。
(注) 1. 共同事業の場合、一部提携するパートナーを省略した。
2. トヨタと住宅各社の計画については、4月14日付掲載レポート「車とスマートグリッド(1)」をご参照ください。
3. EVの駆動用電池であって、かつ電力を貯蔵し、必要に応じて放電できる機能を持たせた電池またはEVは、「放電対応EV」、「充放電対応EV」、「充放電EV」、または「V2H(Vehicle to Home)」などと呼ばれている。


日産:EVからの放電を可能にする技術を開発

 2010年4月、横浜市と日産を含む民間企業が行った「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」の提案が、経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証計画」の全国で4つの計画の1つに選定された。日産はEV Leaf 2,000台の導入を目指し、また「EVが電力貯蔵可能な社会的インフラとして活用できる」という仮説を検証する。EVとしては使用を終了した電池の、住宅への二次利用も検証する。

 また日産は、EV用電池の効率的な充放電技術について、GEとの共同開発を開始した。

横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の概要

取組項目  (1)大規模な再生可能エネルギーの導入、(2)個々の需要地点でのエネルギーマネジメントシステムの確立、(3)地域エネルギーマネジメントと大規模ネットワークの相互補完関係の構築、(4)次世代自動車、鉄道等も活用した交通システムにおけるエネルギーの効率的利用、(5)ライフスタイルの革新。
目標・予算  2014年までに、実証エリアでCO2を約6.4万トン削減。5年間の総事業費は740億円。
導入する規模  太陽光発電約27メガワット、HEMS(Home Energy Management System)を装備するスマートハウス4,000戸、BEMS(Building Energy Management System) を装備するスマートビル/集合住宅(総床面積160万㎡)。充電インフラを拡充し、2014年度までにEV累計 2,000台の導入を目指す。
主な実証内容  (1)地域エネルギーマネジメント(CEMS: Community Energy Management System)の導入: 定置型電池と、HEMS、BEMSと連携し、地域内で集中導入された再生可能エネルギーの出力変動を吸収する。さらに需要家サイドも含めて制御し、定置型蓄電池のみで出力変動を吸収するよりも効率的な手法を探る。
 (2)充放電EVを用いたエネルギーマネジメントの導入: EVからの放電を可能にする技術を日産が開発し、太陽光発電等の再生可能クリーン電力の蓄電設備として活用することを実証する(現在市販されている日産Leafや三菱i-MiEVは、電池に貯蔵した電力をEVの駆動以外の目的に放電する機能は持たない)。
参加主体  横浜市と民間企業5社(日産、アクセンチュア、東芝、明電舎、パナソニック)が中心となる。
対象地域  当初は"みなとみらい21地区"に集中する。その後、港北ニュータウン(都筑区)や、横浜グリーンバレー構想の対象地区である金沢区臨海部のような重点施策地域へ展開する。対象地域の人口は42万人(約17万世帯)、合計面積は約60k㎡。
資料:日産広報資料 2010.4.8/2010.9.2、横浜市広報資料 2010.8.11
(注) 1. 2010年9月、日産、日立製作所、オリックス、オリックス自動車の4社は、4社がYSCPで推進する「放電対応EVを用いたエネルギーマネジメントシステム」のプロジェクトが、NEDOが支援する「蓄電複合システム化技術開発」の採択を受けたと発表した。日立製作所は太陽光発電関連、オリックスとオリックス自動車はカーシェアリング関連システムの開発を担当する。
2. NEDOの同開発プロジェクトは、家庭・ビルでの太陽光発電など、分散型電源の大量導入を可能にするため、家庭・ビルに設置する蓄電池およびその利用技術開発、エネルギーマネジメントシステムの実証、評価技術開発、標準化を行う事業。
日産:EVのスマート充電技術を、GEと共同開発
 2010年4月、日産と米GEは、3年間の計画でEVのスマート充電技術(効率的に、EVの蓄電機能を活かして家庭やビルに電力を供給したり、EVに充電したりする技術)を共同開発すると発表した。GEは、エネルギー分野における世界的リーダーで、送電網技術分野においても幅広い顧客を持ち、日産はゼロ・エミッション車のリーダーを目指しており、両社のノウハウを結合する。
 具体的には、次の2つの分野に関して共同開発を進める。(1)EVの蓄電機能を活かした、家庭およびビルにおける電力需給コントロール技術、(2)大規模な電力供給網を利用し、今後市場に出回る大量のEVへ効率的に充電する技術。

資料:日産広報資料 2010.4.26

 

日産:EV用電池の二次利用を計画

 日産は、北九州市の実証実験で、電池リユースの実証実験を行う。

 日産・住友商事は、2010年9月、EV用リチウムイオン電池二次利用の事業化調査を行うフォーアールエナジーを設立した。また旭化成・日産・オムロンと住友林業は、フォーアールエナジーから調達する日産Leafの使用済み電池を利用して家庭用蓄電システムの構築を目指す。

 EV用リチウムイオン電池は、EVでの使用を終了した後も、住宅用に20年程度使用可能とされる。

日産:北九州市で、電池リユースの実証実験

 日産は、北九州市の実証実験で、EV用リチウムイオン電池リユースの実証実験を行う。2010~2011年にリユース蓄電池を二次利用する住宅・ビル・公共施設などを選定して関係者と調整し、2012年から実証実験を行い、効果を検証する。リユースすることでEVの低価格化を実現し、EV普及を促進する。

資料:北九州スマートコミュニティ創造協議会発表(2010年8月) 、北九州地区は、2010年4月に経済産業省が全国の応募から実証実験に選定した4地域の一つ。

日産・住友商事:EV用電池二次利用に関する調査会社を設立

 2010年9月、日産と住友商事は、EV用リチウムイオン電池の二次利用に関する実証実験、事業化調査などを行うフォーアールエナジー株式会社(4R Energy Corporation)を共同で設立した。資本金は4億5千万円で、日産が51%、住友商事が49%出資。日本および北米市場を事業対象地域とする。
 両社は、2009年10月から、再生可能な高性能リチウムイオン電池の二次利用を「4R」事業と銘打ち、EV用電池の再利用(Reuse)、再販売(Resell)、再製品化(Refabricate)、リサイクル(Recycle)の分野において共同で検討を進めてきた。

資料:日産・住友商事共同広報資料 2010.9.15

日産Leafの電池を、住宅用蓄電池に二次利用
旭化成・日産・
オムロン
 旭化成・日産・オムロンは、EV用電池を家庭で二次利用するシステムを開発する。今後大量発生が予想される使用済リチウムイオン電池を再利用し、料金の安い夜間電力を蓄えたり、家庭に設置した太陽光発電により発電した電力を蓄えるシステムを構築する。
 旭化成は当初は新品のリチウムイオン電池を使った蓄電システムを開発し、2012年度に旭化成ホームズを通じて発売する。当初の価格は100~200万円の見込みだが、順次フォーアールエナジーから調達する使用済電池に切り替え(劣化した部品は交換する)、数十万円程度に下げていく計画。試算では、料金割引のある夜間に貯めた電力で全てを賄えるようにすると、一般的な家庭で月額3,000円程度電気代を節約できる。
 オムロンは、電池に蓄えた直流の電力を家庭で使う交流に変換し、充放電の状況を管理・制御する機器を開発する。
住友林業  住友林業は、2011年2月、家庭用蓄電池を搭載する住宅 13棟のモニターを募集した。日産Leafに搭載されている電池を使用する。当面は新品の電池を利用するが、フォーアールエナジーと共同の実証実験を実施中で、将来は電池のリユースを目指す。
 住友林業の太陽光発電システム付住宅購入者を対象とし、電池システム本体(蓄電池容量は12kWhでEV Leafの1/2)、同工事費、東芝製ホームITシステムを無償提供する。5年間継続し、データを提供することが条件。

資料:住友林業広報資料 2011.2.1、日経産業新聞 2011.2.4、日本経済新聞 2011.3.1

 



三菱自動車:放電対応EVやEV用電池二次利用の技術を開発

 三菱自動車、三菱重工、ルネサスエレクトロニクスの3社は、京都府の「けいはんなエコシティ次世代エネルギー・社会システム」実証プロジェクト(経済産業省が選定した4地域の一つ)に参加し、放電対応EV技術の開発を行う。

 2010年12月、三菱自動車、三菱電機、三菱商事の3社は、三菱自動車名古屋製作所に太陽光発電システム、EV、EVから回収された蓄電池を設置し、エネルギーマネジメント最適化の取り組みを開始した。

 また2011年1月、三菱自動車他3社は、京都市でi-MiEV用電池(LEV50)二次利用の実証実験を開始した。

三菱自動車など3社:名古屋製作所で、EV用電池の二次利用を検証

 2010年12月、三菱自動車、三菱電機および三菱商事の3社は、三菱自動車の名古屋製作所に、太陽光発電システム、EVが搭載する電池、EVから回収したリユース電池を設置した。太陽光による電力供給とともに、EVおよびリユース電池に蓄えられた電力を必要に応じて充放電することで、名古屋製作所におけるエネルギー収支の最適化に寄与するEMS(Energy Management System)の開発、有効性の検証に着手した。(注)
三菱自動車など:EVが搭載する電池の充放電量を適切に設定する技術を開発
 同時に、EVの蓄電池を動力源として使用するにあたり、EVとしての利用に支障がなく(EVとして使用する時間に、走行可能な充電状態としておく)、かつ電力供給制御等に有効に活用できるよう、充放電量を適切に設定していく技術EIS(Electric Vehicle Integration System)を開発する。

資料:三菱自動車・三菱電機・三菱商事共同広報資料 2010.12.2
(注)本開発計画は、NEDOの「蓄電複合システム化技術開発」に採択され、NEDOが研究開発費用の2/3を負担する。

三菱自動車・GSユアサなど:EV用電池の二次利用実証実験を開始

 三菱自動車、GSユアサ、三菱商事、Lithium Energy Japanの4社は、2010年6月、「三菱i-MiEVが搭載するリチウムイオン電池「LEV50」は、車載用電池としての役割を終えた後も自然エネルギー貯蔵などの二次利用を期待できることが分かった」と発表した。2011年1月、リチウムイオン電池再利用事業開発のための実証実験を京都市で開始した。
 GSユアサが開発したPV-EVシステムを使用する(PVはPhotovoltaicの略で太陽光発電の意味、PV-EVは、太陽電池で発電した電力をリチウムイオン電池に貯蔵し、貯蔵した電力でEVに急速充電するシステム)。電池は三菱i-MiEVで使用済みとなったリチウムイオン電池「LEV50」を使用し、システムのコスト低減を図るとともに、「LEV50」電池の幅広い二次利用用途を開拓する。
 京都市内のローソンの店舗の屋上に設置した太陽電池を利用し、余剰電力は店舗の照明などに利用する。また太陽電池での発電、蓄電からEVへの充電まで全て直流電流を使用するため、電力の利用効率が高い。

資料:三菱自動車・GSユアサ等4社広報資料 2010.6.28/2011.1.25

 



ホンダ:日米で、EVやPHEVを使用する実証実験を実施

 ホンダは、2010年12月に、フィットEVやインスパイアをベースとするPHEVなど次世代パーソナルモビリティーを用いた実証実験を埼玉県で開始した。都市部、住宅地など地域によるEV/PHEVの使われ方、将来のパーソナルモビリティのあり方を探り、ソーラーパネルやコージェネレーションなどの商品を持つ強みを活かし、家庭やコミュニティーで完結できる「トータル・エネルギー・マネジメント」を実証する。

 2010年12月から、米国カリフォルニア州トーランス市でも、Fit EVとAccord PHEVの実証実験を開始した。

ホンダ:次世代パーソナルモビリティの実証実験を開始

全体像・目的  埼玉県と共同で、EVやPHEVなど次世代パーソナルモビリティーの電動化技術、情報通信技術、太陽光発電によるエネルギー供給などを用いた総合的なアプローチにより、将来のパーソナルモビリティのあり方やCO2削減効果の検証を行う。家庭やコミュニティーで完結できる「トータル・エネルギー・マネジメント」により、低炭素で豊かなライフスタイルの創造を目指す。
実験車両  FitベースEV、InspireベースPHEV、スクータータイプの電動二輪車"EV-neo"、電動カート"モンパルML200"(運転免許は不要で、歩道を走行する一人乗り車)。
太陽発電  ホンダ和光本社ビル(埼玉県和光市)に「ソーラー充電ステーション」を設置し、ホンダソルテック(ホンダの子会社で太陽電池を生産する)製の太陽電池モジュールを活用した充電ステーションと、情報通信技術との提携により、様々な検証を行う。
情報通信技術  四輪車向けに展開している情報ネットワ-クサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」の機能を活用し、実証実験車両の充電サポートサービスなどを検証する。充電ステーションの検索や目的地設定、車両の状態などを、従来のカーナビ画面に加え、スマートフォンでも確認できる。
実証を行う
地域と、その目的
<さいたま市>
・都市部の駅周辺を拠点とした、電動二輪車EV-neoやEVの共同利用など、都市型移動スタイルの検討。
・住宅地における電動車両の低騒音価値の検討。
<熊谷市>
・大都市近郊の都市という特徴を活かし、籠原駅を拠点にパーク&ライドに対するEVやPHEVの適合性の検証と移動利便性の実証。
<秩父市>
・市の目指す「市民協働型のまちづくり」と提携し、モンパルを用いて高齢者の移動機会の創出と利便性の向上策を検討。

資料:ホンダ広報資料 2010.12.20、日刊工業新聞 2010.12.21
(注) 実証実験を、国内では埼玉県と熊本県で行う。期間は2年をめどに進める。

ホンダ:米国カリフォルニア州で、EV/PHEVの実証実験を開始
主な内容  FitベースEVおよび米国仕様Accord(日本名Inspire)ベースPHEVのテスト走行を行い、電動車両導入に伴う課題を十分に把握し、解決策を探る。
各参加者と
担当
・トーランス市:市の業務にEV/PHEVを使用し、充電インフラの準備と評価、電動車両導入についての共通社会認識の醸成を検討する。
・Stanford大学:車の実際の走り方とEVの使いやすさの確認。
・Google:Information Centerの役割を担う、地図情報の活用、エネルギー効率の確認。
資料:ホンダアメリカ広報資料 2010.12.15
(注) 1. 実証計画の英文表記は、Electric Vehicle Demonstration Program。
2. Stanford大学は、Behavior and Usability(EV/PHEVの走り方と使い勝手)を調査する。

 



伊藤忠商事:日米で、リチウムイオン電池二次利用事業モデルを構築

 伊藤忠商事は、2010年5月から3年間の予定で、茨城県つくば市と共同の低炭素社会実現のための複合的(Crossover)な取組みを開始した。国内初の民間主導の実証プロジェクトで、EV用リチウムイオン電池の二次利用事業モデルを構築し、EV用電池の初期費用低減を目指す他、実証計画の各プロセスについてビジネスモデルを構築する。

 また伊藤忠商事は、米国で大手電力会社と提携し、EV用電池の二次利用事業モデル検証を開始した。

伊藤忠商事:Green Crossover Projectをつくば市で開始

Project名の由来  太陽光などのグリーンエネルギーと、リチウムイオン電池の用途開発を通した、低炭素社会実現のための複合的(Crossover)な取組みを、Green Crossover Projectと称する。
協力企業・団体  伊藤忠商事、ファミリーマート、伊藤忠エネクス、マツダ、オリエントコーポレーション、EnerDel、Th!nk、つくば市、他。
Green Crossover Projectの概要
主な目的  EV用リチウムイオン電池を、定置用途として二次利用する事業モデルの構築。リサイクルまで視野に入れた電池ビジネスを構築し、EV普及阻害要因の1つとされる電池コストの低減を目指す。
 実証を進める各プロセスでの、世界に通じる汎用性のある環境ビジネスモデルの構築を目指す。
交通インフラ  ファミリーマートの「つくば研究学園店」と、伊藤忠エネクスのガソリンスタンド「学園東大通りCS店」を交通インフラの中心として展開する。
太陽光発電/
蓄電システム/
認証・課金
機能付き充電
 上記の2拠点に、太陽光発電システムとEnerDel製車載用リチウムイオン電池を設置し、太陽光発電システムで発電した電力を蓄電の上、急速充電器によりEVに供給する。
 発電した電力は、交通システム側で使用されない場合は、自動的に店舗で使用できるようエネルギーマネジメントシステムを構築し、最適モデルを検証する。
 2つの拠点に、認証・課金機能付き急速充電器を設置する。現在まだ普及していない認証・課金機能を付加することにより、事業性を追求する。
EV  3台のEV(マツダDemioを改造し、容量12kWhのEnerDel製リチウムイオン電池を搭載)を用意し、つくば市の公用車、ファミリーマートの営業車、およびつくば市民のカーシェア用に使用する(カーシェア用途には、今後さらに2台を配備し合計3台とする)。
カードシステム  カーシェアや急速充電器利用時の認証や利用料金の課金を1枚のクレジット機能付非接触ICカードで行い、新規カードビジネスや事業モデル構築を目指す。
エネルギー
統合管理
 リチウムイオン電池の劣化状況や使用状況の遠隔監視、カーシェア管理、急速充電器管理、店舗エネルギー管理などをデータセンターで集中管理するシステムを開発した。

資料:伊藤忠商事広報資料 2010.5.12

伊藤忠商事:米国でリチウムイオン電池二次利用の事業モデル検証を開始

 伊藤忠商事は、2010年11月、米国の大手電力会社Duke Energy社(本社はノースカロライナ州)と提携し、EV用リチウムイオン電池二次利用事業モデルの検証を開始した。伊藤忠商事によると、電池性能が初期値の80%まで低下するとEV用電池としては交換の必要があると言われているが、家庭用補助電源としては二次利用が可能。
 両社は、Duke Energy社の電力供給地域の一部であるインディアナ州での官民共同のEV普及プロジェクトであるProject Plug-INに参加し、伊藤忠商事は、Th!nk社製EV 約80台が搭載していたEnerDel製リチウムイオン電池を、家庭用・地域用・商業用などの定置用途において二次利用する場合の性能を評価する。両社は、電池の二次利用によりEVの販売において初期電池コストの低減も目指す。
資料:伊藤忠商事広報資料 2010.11.24、日本経済新聞 2010.11.24
(注) 1. Duke Energyは米国電力小売第3位で、約400万世帯に電力を供給する。
2. 伊藤忠商事は、EnerDelの親会社であるEner 1とTh!nkとに出資し、EnerDel製リチウムイオン電池とTh!nk製EVの日本における独占販売権を持つ。

 

シャープ:EV用電池を家庭用蓄電地として活用するコンディショナを開発

 シャープは、EVの蓄電池を、家庭用蓄電地として使用可能にするコンディッショナを開発した。太陽電池、電力会社からの電力やEVの電池など複数の電源を同時に制御し、余剰電力があればEVの電池に貯蔵し、また家庭に安定した電力を供給する。

シャープ:EVの蓄電池を、家庭用蓄電池として使用可能にするコンディショナを開発

 シャープは2011年2月、EVを家庭用蓄電地として利用するためのパワーコンディショナ"Intelligent Power Conditioner (power inverter/controller)"を開発した。太陽電池、EVの蓄電池、電力会社から送電される電力を統合制御する。価格を数万円程度に抑え、2014年にも実用化したい考え。
 実証実験では、三菱i-MiEVの駆動用電池から、家庭へ8kWの電力(一般家庭での実用に耐える電力)供給に成功し、また家庭からi-MiEVの電池に4kWhのエネルギーを約30分で充電した(i-MiEVの総蓄電容量は16kWh)。

資料:シャープ広報資料 2011.2.22、日経産業新聞 2011.2.23

 



充電インフラや、カーシェアリングシステムの整備が進展

 住宅や駐車場にEV/PHEV向け充電設備を整備する計画が進んでいる。日産、住友商事、日本電気の3社は、EV向け会員充電サービスを事業化すると発表した。

日産、住友商事、日本電気:会員制充電サービスを事業化

 2010年12月、日産自動車・住友商事・日本電気の3社は、EVユーザー向けに全国規模で会員制充電サービスの事業化を推進する覚書きを締結した。場所や用途に合わせて普通充電設備と急速充電設備を配置し、充電インフラの事業モデル確立を目指す。
 3社は、多くのノウハウを結集することで事業化に向けたシナジー効果を得るために、業種・メーカーを問わず広く協力を求めていく。まずは2011年度の早い時期に神奈川県および県内自治体と提携し、実証サービスを展開し利便性を検証する。その結果を基に、全国規模で本格サービスを開始する。
資料:日産、住友商事、日本電気 3社の共同広報資料 2010.12.21
(注) 1. 2010年12月、経済産業省と国土交通省は、EV充電事業を電気事業法における事業規制の対象外とし、電力会社以外でも充電サービスを行い課金することができる、との判断を示した。
2. 日本電気は、2010年11月、充電インフラの広域展開を可能にするクラウド型EV充電システムを開発したと発表した。利用者には多様な認証・電子マネー決済機能を提供し、事業者には、例えば店舗における電力管理システムと連係して、契約電力を超えない範囲で充電器を経済的に運用するなど、スマートグリッド時代に向けた適切なエネルギー管理が可能になる。


 この他に、賃貸集合住宅(日産・横浜市・UR都市機構が計画)、分譲済みマンション(日産と大京が共同で計画)、戸建て住宅(積水ハウス、伊藤忠都市開発)、立体駐車場(三菱重工)など様々なタイプの住宅や駐車場に、充電インフラを整備する計画が進んでいる。積水ハウスは、2011年2月の新規契約分から、戸建て住宅にEV充電コンセントを標準装備すると発表した。住宅各社は、環境配慮型住宅としてアピールする方針。

 

EVを利用するカーシェアリング、レンタカー、タクシーなども進展

 オリックス自動車は、これまでも三菱i-MiEV 20台をレンタカー車両として導入しているが、2011年1月に、日産Leaf 130台をレンタカーおよびカーシェアリング事業用に導入すると発表した。日産は、EVタクシー導入について神奈川県と協力し、また三菱自動車とともに「箱根EVタウンプロジェクト」に参加し、EV観光タクシー、EVカーシェアリング、EVレンタカーの導入を促進する。

 

NTTグループ:法人のEV導入を支援する事業に参入

 NTTグループ7社は、2011年2月、EVカーシェアリング実証実験を開始した。EVの導入・活用に関するノウハウを蓄積し、EVカーシェアリングと充電インフラネットワークをパッケージ化し、法人向けワンストップサービスとして提供する方針。

NTTグループ:法人のEV導入を支援する事業に参入

 NTTグループ 7社は、2011年2月、EVを使用するカーシェアリングシステムを開発し、事業性検証に向けた実証実験(EV Car Sharing Eco Project)を開始した。NTT東日本埼玉支社(さいたま市)とNTTデータ九州(福岡市)をEVの貸し出し拠点とし、それぞれに日産Leaf 2台と三菱 i-MiEV 1台を配備し、NTTグループの主要事業者が利用者として参加する。
 EVのカーシェアリングにおいては、充電時間を考慮したスケジュールの検討や充電量の管理など、通常のカーシェアリングとは異なるオペレーションや充電のためのインフラが必要であり、NTTグループとしてEVや周辺インフラ導入のノウハウを構築、蓄積する。2年以内に、法人向けEV導入支援事業への参入を目指す。

資料:NTTグループ 7社共同広報資料 2011.2.28、日刊工業新聞 2011.3.1

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>