車とスマートグリッド(2):日産/三菱自が「放電対応EV」を開発
使用済のEV用電池を、住宅用蓄電池などに二次利用する実証計画も進行
2011/04/26
- 要 約
- 日産:EVからの放電を可能にする技術を開発
- 三菱自動車:放電対応EVやEV用電池二次利用の技術を開発
- ホンダ:日米で、EVやPHEVを使用する実証実験を実施
- 伊藤忠商事:日米で、リチウムイオン電池二次利用事業モデルを構築
- 充電インフラや、カーシェアリングシステムの整備が進展
要 約
スマートグリッド構築では、各事業所や家庭に蓄電機能を持たせることが重要なステップであり、蓄電機能付き住宅の供給や、EV/PHEVが搭載する電池からの放電を可能とし、家庭用蓄電池として利用する試み(本レポートでは「放電対応EV」または「V2H(Vehicle to Home)」と呼ぶ)が進んでいる。
先に4月14日付け掲載「車とスマートグリッド(1)」で、トヨタグループの住宅会社が蓄電機能付住宅供給を計画し、また2010年から豊田市で行っている実証実験でトヨタがEV/PHEV搭載蓄電池の電力活用「V2H」の検証を進めている状況をレポートした。
本レポートは、"車とスマートグリッド(2)"として、日産と三菱自動車が進める「放電対応EV」および必要な関連システム構築の計画を中心にレポートする。
さらに、EV用リチウムイオン電池は、EVでの使用を終了した後も住宅用など定置用途蓄電池としての使用が可能で、EV販売での初期電池コストを引き下げる効果も期待されている。日産と住友商事、三菱自動車他3社、伊藤忠商事などが具体化する計画を進めている。
また、EV/PHEVの普及を促進する充電システムやカーシェアリングのシステム構築も進んでいる。
なおホンダは、2010年12月から、日米でフィットEVとインスパイアをベースに開発したPHEVを使用する実証実験を開始した。
住宅に蓄電機能を持たせる計画(EV用電池の二次利用を含む)
蓄電機能 付き住宅 |
トヨタ グループ |
トヨタグループのトヨタホームは、2011年に蓄電機能とHEMS(Home Energy Management System)を備える住宅を実用化する。トヨタホ-ムが27.8%出資するミサワホームも、早期の商品化を目指す。 |
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住宅各社 | 住宅各社も、EV/PHEVの普及を見込み、蓄電機能付き住宅の発売を計画。 | |
EV用電池から 住宅に放電 (放電対応EV) |
トヨタ | 2010年に開始した豊田市の実証実験で、V2H技術を検証。 |
日産 | 2010年に開始した横浜市の実証実験で、放電対応EVを開発。 | |
2010年4月から、GEとEV用電池の効率的な充放電技術について共同開発。 | ||
三菱自動車 | 2010年に開始した京都府けいはんなプロジェクトで、V2H対応EV技術を開発。 | |
2010年12月、EVが搭載する電池およびリユース電池を使用する実証実験を開始。EVとしての使用に支障がないようにしながら動力源として活用するシステムを開発。 | ||
シャープ | EVの電池を、住宅の蓄電池として利用可能にするコンディショナを開発。 | |
EV用リチウム イオン電池の 二次利用 |
日産 | 2010年に開始した北九州市の実証実験で、EV用電池のリユースを実証。 |
2010年9月、住友商事と共同で、EV用電池の二次利用事業化を調査する会社を設立。 | ||
三菱自動車 | 2011年1月、京都市でEV用電池二次利用の実証実験を開始。 | |
伊藤忠商事 | 2010年5月につくば市と共同で開始した実証実験で、EV用電池二次利用の事業モデル構築を目指す。 | |
2010年11月、米国インディアナ州で現地電力会社と提携し、使用済みEV用電池を定置用途に二次利用する場合の性能を検証する計画を開始。 |
(注) 1. | 共同事業の場合、一部提携するパートナーを省略した。 |
2. | トヨタと住宅各社の計画については、4月14日付掲載レポート「車とスマートグリッド(1)」をご参照ください。 |
3. | EVの駆動用電池であって、かつ電力を貯蔵し、必要に応じて放電できる機能を持たせた電池またはEVは、「放電対応EV」、「充放電対応EV」、「充放電EV」、または「V2H(Vehicle to Home)」などと呼ばれている。 |
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