第2回EV・HEV駆動システム技術展 (2)

電池・充電器関連の新製品・新技術

2011/02/17

要 約

第2回EV・HEV駆動システム技術展(EV Japan 2011)(2011年1月19日~21日に東京ビッグサイトで開催)における二次電池/次世代電池、充電器、関連部品・材料に関連する注目すべき19社の製品/技術の概要を紹介する。

昨年に比べ、電池関連の出展が少なく、日本でのCHAdeMO規格が決まったことを受けて充電器関連の企業が大幅に増えている。CHAdeMO型急速充電器は、日産リーフの販売がけん引力となって米国でも設置されつつあり、440ボルト直流急速充電器用規格として米国でも普及する可能性が高まっている。

なお、駆動システム、モーター[部品・材料、巻線機]、加工技術については前編で紹介している。


分野 企業名 製品・技術
二次電池/次世代電池関連 東レ リチウムイオン電池用フィルム
東レ・ダウコーニング リチウムイオン電池用放熱/負極材料
ビートソニック プラグス40+:プリウスプラグイン改造キット
充電器関連 ニチコン 車載充電器、急速充電器
JFEエンジニアリング 超急速充電器
富士電機システムズ 急速充電器、IGBTモジュール
ハセテック 急速・中速充電器
高岳製作所 急速充電器
菊水電子工業 急速充電器
アルバック 急速充電器
安川電機 急速充電器
アイティティキャノン 充電コネクター
矢崎総業 急速充電コネクター、普通充電コネクター
関連部品・材料 東レエンジニアリング 車載LAN用プラスティック光ファイバー
沖電線 動力ケーブル、充電器用ケーブル
デュポン 機能性樹脂・フィルム
太陽金網 金属メッシュ
ロジャースコーポレーション AlSiC放熱材
若井産業 おもしろナット


二次電池/次世代電池関連

  東レ(リチウムイオン電池用フィルム) 

東レ本体として、リチウムイオン電池用の絶縁テープ基材、外装フィルム等のフィルム素材として、製品名トレファン(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、ルミラー(二軸延伸ポリエステル[PET]フィルム)、トレリナ(PPS[ポリフェニレンサルファイド樹脂]フィルム)を展示した。東レグループとしてはセパレーターや負極材が話題になるが、電池製造の基礎素材であるこれらのフィルム製品も重要な部材である。
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
   
リチウムイオン電池用フィルムの製品構成 リチウムイオン電池用フィルム「トレファンBO」の
サンプル展示

   東レ・ダウコーニング(リチウムイオン電池用放熱/負極材料) 

シリコン(Si)分野と高分子分野に強い同社は、リチウムイオン2次電池向けの高放熱Si材料とSi含有高容量負極材料を展示した。開発したSi含有負極材料は山北工場(神奈川県)で製造し、自動車メーカーや電池メーカーが既に評価中である。現在主流のグラファイトに比べて2倍以上の蓄電容量を実現し、Si系負極材の欠点である充放電に伴う負極材料の体積変化を20%程度に抑えた。
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リチウムイオン電池用放熱/負極材料の特長 リチウムイオン電池用放熱/負極材料のサンプル展示

   ビートソニック(プラグス40+:プリウスプラグイン改造キット  

自動車用品製造・販売の同社は、トヨタ「プリウス」の駆動用バッテリーを製品「プラグス40+」に置換することで、家庭用100V電源から充電して電気モーターだけで約40km走行(時速56km定速走行時)が可能になる改造キットを展示。「プラグス40+」は、大容量ニッケル水素電池(GP Batteries International[シンガポール]製造のGPバッテリー)と専用充電器、補機用充電器等で構成され、2代目プリウス専用。価格は144万9000円、ほかに約15万円の取付費が必要。
(注2)以下の画像はクリックすると拡大します。
   
プラグス40+ の特長 プラグス40+用ニッケル水素電池の展示


充電器関連

  ニチコン(車載充電器、急速充電器) 

パワー半導体の大手メーカーである同社は、デバイスからモジュール部品へ事業を拡大する方向性を見せる。今回は、EV用車載充電器、EV用車載充電器一体型DC/DCコンバーター、太陽光発電及び系統電力連結型蓄電バンク付きEV用急速・普通充電併用器をアピール。EV用車載充電器は日産リーフと三菱i-MiEV、DC/DCコンバーターモジュールは三菱i-MiEVと富士重プラグインステラ、さらにインバーターモジュールは富士重プラグインステラに採用済。また、EV用急速・普通充電併用器は既に京都府庁に設置(2010年7月)され、このシステム1台で急速充電1台、普通充電2台の合計3台のEVが同時に充電可能という特長を有する。(プレスリリース
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EV用車載充電器の特長
(日産リーフ)
EV用車載充電器一体型DC/DCコンバーターの特長
(三菱自i-MiEV)
   
太陽光発電及び系統電力連結型蓄電バンク付きEV用
急速・普通充電併用器の展示

    JFEエンジニアリング(超急速充電器)   

3分で50%充電できる超急速充電器(定格出力 24kW)の技術開発に成功し、2010年6月1日付けで商品化・事業化を推進する超急速充電器プロジェクトチームを発足させた同社は、まず低圧受電契約(3相AC200V)のまま30分で80%を充電(DC50V~500V)する製品RAPIDAS(CHAdeMO規格準拠)を商品化し、次いで3分で50%充電できるSUPER RAPIDASを提案営業中。ただし、SUPER RAPIDASはCHAdeMO規格準拠ではなく、超高速充電するにはEV側の制御ソフトなどを変更する必要がある。(プレスリリース
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。

 
3分50%充電の超急速充電の仕組み 30分80%充電の急速充電器RAPIDAS

    富士電機システムズ(急速充電器、IGBTモジュール)   

EV用急速充電器FRCシリーズ(CHAdeMO規格準拠)の拡充を図る(プレスリリース)と共に、インバーターモジュールまたはパワーコントロールユニット(PCU)の中核部品であるIGBTモジュールを重点的にアピール。IGBTとは絶縁ゲート型バイポーラトランジスターの略で、高耐圧、大電流に適した半導体。少ない電力で高電力を駆動できる。従来はIGBTモジュールとドライブ回路を組み合わせていたが、ドライブ回路、保護回路、ブレーキ回路を内蔵したIPM(インテリジェントパワーモジュール)の開発でインバーター/PCUの小型化、機能向上が進んだ。

(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
   
EV/HEV用直接水冷式IGBTモジュールの概要 EV/HEV用IGBT-IPM(インテリジェントパワーモジュール)
の概要
 
IGBT-IPMを搭載したデンソー製HEV用パワーコントロール
ユニットのカットモデルの展示
 

    ハセテック(急速・中速充電器)   

2005年に東京電力といち早くEV用急速充電器の共同研究を開始した同社は、充電器(CHAdeMO規格準拠)を事業の柱とすべく製品群を拡充中。今回は、同社従来比30%の小型化を図ったEV用急速充電器(定格出力 50kW)、中速充電器(定格出力 30kW)、中速充電器(定格出力 12.6kW)を展示。

   高岳製作所(急速充電器

電力機器事業を主力とする同社は、2009年7月から積極的に急速充電器(CHAdeMO規格準拠)の事業化を進めている。今回は50kW急速充電器を展示。

なお2010年4月には、米国EATON社とEV用急速充電器に関する技術提携契約を締結した。EATON社は、米国、カナダ、メキシコ向けにCHAdeMO規格準拠の急速充電器を製造販売する。これにより、米国でCHAdeMO規格が普及する可能性が高まった。

 菊水電子工業(急速充電器)

産業用電源/電子計測器メーカーである同社は、EV事業へ参入すべくEV用急速充電器Milla-E50(定格出力 50kW  CHAdeMO規格準拠)を開発。スタンド部と電源部の一体型として設置面積は業界最小(2010年12月現在 同社調べ)である点が特徴。

 アルバック(急速充電器)

真空技術に強く半導体製造装置で知られる同社は、新型急速充電器(25分80%充電)と太陽光発電を活用した電気自動車用急速充電システムを展示。この太陽光を利用したシステムは、2011年2月に神奈川県から「かながわ地球温暖化対策大賞温室効果ガス削減技術開発部門賞」を受賞した。受賞理由は、太陽光発電パネルとEV用急速充電器を組み合わせたシステムの開発は県内初であり、すでに2010年3月には茅ケ崎市市営駐車場に導入されるなど、EVの普及に不可欠な充電インフラの整備と自然エネルギーの普及に貢献したこと。(プレスリリース

 安川電機(急速充電器)

インバーター事業部はインバーター応用製品としてEV用急速充電器(CHAdeMO規格準拠)を事業化。昨年は展示がなかったが、今回は新モデル「Enewell-CEV」を展示。スタンド部と電源部を分離し、このスタンド部は最大2台まで増設可能である点が特徴。
プレスリリース

 アイティティキャノン(充電コネクター)

電気コネクター専業メーカーの同社は、充電器用コネクターへ製品を拡大し、EV用急速充電コネクター(JEVS G 105規格適合の車両側インレット)と普通充電コネクター(SAE J 1772規格適合の車両側インレット/スタンド側カプラー)を展示。これらのコネクターはUL2251認証を取得済。

 矢崎総業(急速充電コネクター、普通充電コネクター)

1990年代初めより充電コネクターを手掛けてきた同社は、日米欧で使えるEV用急速DC(直流)充電コネクター(CHAdeMO規格準拠)とEV/PHV用普通AC(交流)充電コネクター(SAE J 1772規格適合)の新モデルを展示。エルゴノミクスデザイン(人間の身体特性に適合させ、快適に使えるように設計)により、グリップが握りやすく、挿抜時に少ない力で抜き差しできるようにハンドルの傾き等を新しく設計した。
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新デザインのAC充電コネクターの展示(日本初) 軽量化した米国使用を前提としたDC充電コネクターの展示


関連部品・材料

 東レエンジニアリング(車載LAN用プラスティック光ファイバー)

プラント建設から太陽電池・リチウムイオン電池製造装置へ事業を拡大してきた同社は、車載LAN用プラスティック光ファイバー(製品名 レイテラ)を自動車業界にアピール。情報系のMOST/IDB1394と制御系のFlexRayに対応。
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車載LAN用プラスティック光ファイバーの概要 車載LAN用プラスティック光ファイバーのサンプル展示

 沖電線(動力ケーブル、充電器用ケーブル)

インバーターを使用したモーター駆動システムにおけるモーター損傷やノイズ発生などの悪影響を及ぼすマイクロサージを電線のみで抑制するケーブル(製品名 ecoサージEV)、従来品と比べて同径で電力損失10%削減を実現したインバ―ター用低消費動力ケーブル(首都大学東京との共同開発、製品名 EneSave)とEV用急速充電器用ケーブルの新製品(製品名 急速チャージャーケーブル)を参考展示。EneSaveは、同社の独自のケーブル技術(ケーブル内の心線間の実効誘電率を従来VCTケーブルに比べバラツキ無く大幅に低減出来るケーブル技術、特許出願中)を活かしたもの。(プレスリリース

 デュポン(機能性樹脂・フィルム

樹脂メーカーの同社は、トヨタ 3代目プリウスに搭載されたザイテル® HTN やクラスティンPBT をアピール。機能性樹脂「ザイテル® HTN」は、脂肪族アミンと芳香族酸から構成される半芳香族ナイロン樹脂を主ポリマーとし、ガラス繊維などで機械的特性を強化した芳香族ナイロン樹脂コンパウンド。金属や熱硬化性樹脂の代替、あるいは厳しい環境下で使用される部品に適す。「クラスティン® PBT」は、ポリブチレンテレフタレートをベースとした熱可塑性材料ポリエステル樹脂製品である。
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
   
ザイテル® HTNの特長 クラスティン® PBTの特長
   
ザイテル® HTNを使ったHEV用動力ケーブル用コネクター他
(トヨタ 3代目プリウスに搭載)の展示
クラスティン® PBTを使ったHEV用インバーター内の高電圧
対応バスパー(トヨタ 3代目プリウスに搭載)の展示

 太陽金網(金属メッシュ)

金網・金属繊維の技術商社である同社は、二次電池の集電体等に使われる新エネルギー用精密エキスパンドメタル(同社独自製品)と、「メリヤス編み」と呼ぶ製造方法で作られた特殊金属メッシュ(製品名 FMメッシュ)をアピール。延性のある金属や樹脂を素材として製造工程でスクラップが発生しないために材料に無駄がない精密エキスパンドメタルは、燃料電池用電極に採用実績あり。FMメッシュは、軽量で電磁波シールド効果が高く、ケーブルシールド材や金属多孔質体、耐熱ガスケットとして注目される。
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
   

FMメッシュの概要①

(出典)同社新エネルギー関連製品カタログ

FMメッシュの概要②

(出典)同社新エネルギー関連製品カタログ

 ロジャースコーポレーション(AlSiC放熱材)

米国Rogers Corporation 100%出資の同社は、高電圧用バスバー(製品名 RO-LINX®)、アルミ・シリコン・カーバイド(AlSiC)複合放熱材料(製品名 HEATWAVE®)を展示。これらは主に高電圧のため高温になりやすいパワーモジュールの部材に使用される。
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
 
金属マトリックス複合放熱材「HEATWAVE®」の
サンプル展示

 若井産業(おもしろナット)

東大阪市に創業した同社は、事業の多角化を図り、工業用ファスナーの中空ナットを「おもしろナット」と名付けて自動車業界に提案。作業員の手が入らない中空の箱モノやパイプに入るナットで、特長は専用工具が不要で取り付けが簡単、強力な固定、コスト低減が可能な点。実際に試したところ、差し込むだけで本当に簡単に取り付けられた。車両保守時やコンバートEV(EV改造)製作時に使えるナットである。
(注)以下の画像はクリックすると拡大します。
   

おもしろナット「ターンナット」の概要

(出典)同社パンフレット

おもしろナット「インプルナット」の概要

(出典)同社パンフレット
                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>