中国自動車メーカーの海外進出:上海汽車、長城汽車

上汽はタイとインドで電動化を推進、長城はタイでHV生産を開始するもインドプロジェクトは遅延

2021/06/29

要約

 2021年1月28日の中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると2020年の完成車の輸出は前年比13.2%減の108.2万台で輸出金額は157.4億ドルとなった。上位10社の輸出台数は合計89.5万台。トップは上海汽車の32.3万台で、長城汽車は5位で7万台となった。なお、2021年1-5月の完成車の輸出は前年同期比99.7%増の75.3万台で輸出金額は116.4億元と好調である。

 中国の国家戦略の1つである「国際化」が大手中国自動車メーカーを中心に加速している。本レポートでは、中国の自動車グループ企業で販売台数No.1を誇る上海汽車集団(以下、上汽集団)と中国自動車メーカーとして初の海外独資工場を建設した長城汽車の海外進出動向を報告する。

 上汽集団と長城汽車は、アジア事業を縮小したGMからタイやインドの工場を買収後、改修を行い完成車の生産を行っている。上汽集団が海外で展開する主なブランドは乗用車のMGと商用車のMaxus。2014年にタイで生産を開始したMGブランド車は2020年10月に累計10万台の販売を達成。タイ投資委員会のEVに対する促進策や中国とタイ二国間の優遇税制などを活用し攻勢をかけ、2020年のタイにおけるEV販売はトップ。また、インドでもEVを導入するとともに充電インフラサービス充実させる方針。欧州市場では乗用車および商用車ともに電動車を積極的に展開する。長城汽車は、3月のバンコクモーターショー2021でSUVモデルのHaval H6 Hybridを華々しく発表し、6月にはかつてGMの工場だったRayong工場で同モデルの生産を開始した。ロシアでは2019年に工場が稼働し、2022年末にはエンジン組立工場の稼働も予定されている。インドでは当初はGMのTelegaon工場移管が2020年に完了する予定であったが、プロジェクトは着実に進んでいるとの報告はあるものの未だ移管完了には至っていない。


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