Stellantis(上):FCAとPSAの経営統合が2021年1月に完了

2025年には全グローバルモデルに電動車を設定、Waymoとの自動運転技術の提携拡大

2021/03/19

要約

FCA とPSAの統合により地域バランスが向上
FCA とPSAの統合により地域バランスが向上 (出典:Stellantis)

  Fiat Chrysler Automobiles (FCA) とPSA Group (PSA) は2019年12月に対等合併することで正式に合意し、準備を進めていたが、2021年1月16日に経営統合が完了し、新会社Stellantisが発足した。統合により、世界販売台数は年間約595万台(2020年)となり、VWグループ、Renault日産三菱アライアンス、トヨタグループ、GM、現代グループに続いて世界第6位の自動車メーカーが誕生した。

  統合後の新会社は14のブランドを擁し、高級車、量産車、SUV、ピックアップトラック、小型商用車まですべての主要セグメントをカバーする。北米に強いFCAと欧州に強いPSAが統合され、販売台数・売上高ともに地域バランスが向上する。

  2020年の業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、FCAの売上高は前年比19.7%減の867億ユーロ、調整後EBITは44.8%減の37億ユーロ。PSA(Faureciaを除く)の売上高は19.2%減の477億ユーロ、調整後営業利益は22.7%減の34億ユーロ。単純合計したStellantisの2020年の売上高は1,344億ユーロ、調整後営業利益は71億ユーロ、調整後営業利益率は5.3%となった。2021年の業績見通しは営業利益率のみを発表しており、新型ウイルスに関連するロックダウンがないことを条件として5.5-7.5%を見込んでいる。

  統合効果(シナジー)としては、プラットフォームやパワートレインの集約、規模の拡大による購買コストの低減等により、年間50億ユーロが節減できる見込み。シナジーの80%は統合後4年目までに得られるとしている。一方、統合を実施するための一時費用は40億ユーロと見込んでいる。

  統合により、CASE(コネクティビティ、自動運転、シェアリング、電動化)関連の研究開発への投資も拡大できると見込んでいる。電動化戦略では、2021年に電動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、レンジエクステンデッド車)を10車種追加して電動車ラインナップを39車種に拡大する。自動運転技術では、Alphabet傘下のWaymoおよびフランスの自動運転開発会社EasyMileとの提携領域を拡大する。モビリティサービスでは、FCAの子会社LeasysとPSAのモビリティサービスブランドFree2Moveのサービス事業を拡大する。


  なお、Stellantis (旧FCAと旧PSA)の2020年の詳細な販売台数、業績、新型車投入計画、各市場の動向については、続報の「Stellantis(下)」をご覧ください。

 

関連レポート:
CES 2021:EVおよび電動化テクノロジー (2021年2月)
OEM各社の米国事業動向(2020年) (2020年12月)
ドイツでバッテリーセルを生産 ~障害を乗り越えて~ (2020年7月)
米国OEM各社のSUV、ピックアップトラック拡販策 (2020年5月)
FCAとPSAの経営統合(下):CASE関連投資を拡大、全新型車に電動化バージョン設定へ (2020年2月)
FCAとPSAの経営統合(上):対等合併で正式合意 (2020年1月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 4 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。