FCAとPSAの経営統合(上):対等合併で正式合意

2021年に折半出資の新会社設立、年間37億ユーロのシナジー創出

2020/01/15

要約

  Fiat Chrysler Automobiles (FCA) とPSA Group (PSA) は2019年12月18日、対等合併することで正式に合意し、拘束力のある覚書を結んだ。統合により、世界販売台数は年間約870万台となり、VWグループ、Renault日産三菱アライアンス、トヨタグループに続いて世界第4位の自動車メーカーが誕生する。両社の株主と独占禁止法等の規制当局の承認を得て、統合が完了するまで12~15カ月を要する見込み。

  統合後の新会社は、高級車、量産車、SUV、ピックアップトラック、小型商用車まですべての主要セグメントをカバーする。北米と中南米におけるFCAの強みと、欧州におけるPSAの強みを組み合わせ、販売台数・売上高ともに地域バランスが向上する。

  対等合併の基本条件は、出資比率50対50の新会社を設立する、本社はオランダに、運営上の本拠地はフランス、イタリア、米国に置く、新会社の会長にFCA会長のJohn Elkann氏、CEOにPSAのCEOであるCarlos Tavares氏が就任する、等である。

  統合後の業績は、売上高が1,690億ユーロで自動車メーカーでは世界第3位となる見込み。財務状態では流動性の合計が422億ユーロとなり、統合後の新会社は戦略的計画を実行し、新技術に投資する十分な余裕があるとしている。

  統合効果(シナジー)としては、プラットフォームやパワートレインの集約、規模の拡大による購買コストの低減等により、工場を閉鎖せずに年間37億ユーロが節減できる見込み。シナジーの80%は統合後4年目までに得られるとしている。一方、統合を実施するための一時費用は28億ユーロと見込んでいる。

  FCAとPSAの統合について、「理にかなった組み合わせ」と評価する声がある一方、両社が統合しても補えない部分があるとして、「両社ともに足りないのは中国での存在感と電動化技術」と指摘する声も出ている。また、対等合併のため、ブランドの統廃合や工場閉鎖の必要が出た場合に意思決定が困難だろうと予測する声もある。


  なお、統合後のCASE(コネクティビティ、自動運転、シェアリング、電動化)関連の計画については、続報の「FCAとPSAの経営統合(下)」で取り上げる。

FCA とPSA:統合で販売台数世界第4位に 統合により販売の地域バランスが向上

資料:PSA and FCA Proposed Merger (Presentation) December 18, 2019

 

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