【ものづくり】第12回大田区加工技術展示商談会:自動車部品の量産品・試作展示

最安価ダイカスト金型、切削レスコストダウン、プラスチックワーキングモデルなど

2019/07/11

要約

  第12回大田区加工技術展示商談会(会期:2019年7月5日(金)、会場:大田区産業プラザPio)は、大田区産業振興協会と大田工業連合会の共催で、今年は102社が出展し、ものづくりネットワークを活かした展示商談会がおこなわれた。ものづくりのまち大田区は、高度な加工技術を有する中小企業が集積する。会場では、機械加工、樹脂成形、溶接、表面処理、開発設計組立などの分野の展示が行われていた。本稿ではその中から自動車部品の量産や試作に対応している企業の展示品を取材した。

入場口風景 会場風景
第12回大田区加工技術展示商談会
入場口風景
第12回大田区加工技術展示商談会
会場風景


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量産工場:最安価ダイカスト金型、切削レスコストダウン、キャパシタ用ゴム、光メーターパネル

  自動車部品の生産においては、Q(品質)C(コスト)D(デリバリー)に優れることはもとより、月産数万個の大量生産ができることが条件となる。また、金型代や治工具費は支払われても、設備は自前であることが原則のため、設備を購入する資金力も必要とされる。こうした条件をクリアして自動車部品の量産に対応できる企業の展示を取材した。

 

(出展会社概要)

会社名 展示品 工法 生産拠点
太陽パーツ㈱
創業1980年
(大阪府堺市)
量産:エコダイカスト
ダイカストカセットシステム
国内最安値ダイカスト金型
全工法 国内3拠点:堺、小松、金沢
海外2拠点:中国上海、大連
㈱葵精螺製作所
創業1962年
(東京都大田区)
量産:自動車用ファスナー各種
切削レスで原価低減
冷間鍛造 国内2拠点:大田区、山梨県笛吹市
自動車依存度60%
海外2拠点:中国深セン(2006年~)、タイ(2013年~)
自動車依存度90%
㈱オーレックス
創業1986年
(東京都大田区)
量産:自動車キャパシタ用ゴム
市販:板ばね付きオイルシール
ゴム 国内1拠点:岩手県宮古市
自動車依存度10%以下
日洋工業㈱
創業1966年
(東京都大田区)
試作:光メーターパネル
量産:アミューズメントパネル立体印刷
印刷 国内1拠点:山梨県
自動車依存度10%以下

 

国内最安値ダイカスト金型・ダイカストカセットシステム(太陽パーツ)

  太陽パーツは1980年創業。メーカー機能と商社機能を併せもつ企業で、あらゆる工法のパーツを受注する。工場は国内3工場と中国に2工場(上海市、大連市)に展開する。自動車業界のみならず、機械系全般に対応している。


  展示品はエコダイカストと呼ぶ金型のアルミダイカスト鋳造型で製作した部品群。ダイカスト金型を共用ベース部と専用のキャビティ部に分割。新規部品はキャビティ部だけを製作して、ベース部は共用金型を使用する。カセット金型は樹脂の射出成形金型では一般的だが、アルミダイカスト用では難しく、太陽パーツが構造特許を取得している。これにより、金型費は半額以下になるが、金型寿命や製品精度は同等という。

量産品:エコダイカスト品 展示パネル:ダイカストカセットシステム
エコダイカスト品 ダイカストカセットシステム
ダイカストカセットシステム(特許)
量産金型費50万円
展示パネル:太陽パーツ㈱ 生産拠点 / 設備状況
金型代は従来方式の約半額
金型寿命、製品精度は従来方式と同等
鋳造ロットは50個からOK

 

自動車用ファスナー・切削レスで原価低減(葵精螺製作所)

  葵精螺は1962年創業。東京都大田区の自動車用ファスナーメーカー。自動車部品の依存度は非常に高く、国内の工場は大田区と山梨県笛吹市、海外は中国深セン、タイに展開している。

  展示品は自動車用ファスナー各種。どんな難題にも積極的に取り組んで切削レスを達成したコストダウン商品ばかり。最多量産品はシート部品で月産30万個という。

量産:自動車用ファスナー各種 量産:シート部品
自動車用ファスナー各種 シート部品
展示パネル:切削レスで原価低減へ
中国深セン、タイでも供給できる
自動車部品の最多生産品 月産30万個

 

展示パネル:オリジナル・オイルシール
オリジナル・オイルシール
<オリジナル商品(自社開発品)>
FS:非ゴム・フッ素オイルシール
MGS:組付け容易・割型オイルシール
SCF:耐熱・フッ素焼付オイルシール
SAS:耐偏心・板バネ付オイルシール

自動車キャパシタ用ゴム(オーレックス)

  オーレックスは1986年創業。東京都大田区のゴムメーカー。工場は岩手県宮古市に展開している。他のゴムメーカーが引き受けにくい難加工品など、自動車用途の製品も積極的に受注するという。

  展示品は自動車キャパシタ用ゴムキャップ。ゴムにしては深絞り形状のため成形性が悪いが、多数個取金型で対応させ、自動車向けの価格を実現している。キャパシタ用途には、ほかにもガス透過性の防爆ゴムシールも生産しているという。

  もうひとつの展示品は民生用オイルシールでSAS型と呼んでいる。通常シールリップ部はゴム単体で形成されるが、板ばねをリップに同時モールドしている。それにより、偏心追従性が改良され、ガータースプリングも外れないため、振動の多い場所で使用することができる。オイルシールやシールなどの機能品の高機能モデルが得意で、民生向けには特殊シールをカタログ販売している。

市販品:SAS型オイルシール 量産品:自動車キャパシタ用ゴムキャップ
SAS型オイルシール 自動車キャパシタ用ゴムキャップ
シールリップ部の背面に板バネをモールドしているのが特徴で、偏心に強い。 深絞り形状のゴムは難加工で不良が出易い課題をクリア

 

光スピードメーター(日洋工業)

  日洋工業は1966年創業。東京都大田区のスクリーン印刷メーカー。スクリーン印刷と特殊なホットスタンプを得意としている。「ローラー式ホットスタンプ」の工法は製造特許を取得している。

  展示品はスピードメーターの自主試作品。特殊なインクで透明パネルに印刷し、光が当たると文字盤が浮き出てくる。もうひとつの展示品はアミューズメント用パネルの量産品。得意のホットスタンプ工法で、立体的な印刷を形成して、ボリューム感がでている。どちらも自動車での用途展開を期待している。

試作:光メーターパネル(表示状態) 試作:光メーターパネル(非表示状態)
光メーターパネル 光メーターパネル
バックライトで可視化する
工法:特殊インクのスクリーン印刷
バックライトなしで透明
工法:特殊インクのスクリーン印刷

量産:アミューズメント用パネル 展示パネル:設備状況
アミューズメント用パネル 設備状況
材料:透明アクリル
裏面:シルクスクリーン4色+盛上げホットスタンプ+シルクスクリーン特色3色+NC加工
スクリーン印刷半自動機、スクリーン印刷大型印刷機、シリンダープレス全自動印刷機、ホットスタンプ機、UVインクジェット印刷機、ビク抜き加工機


試作工場:プラスチック・実験評価用ワーキングモデル

  自動車部品開発は1次試作、2次試作、量産試作、量産のステップを踏む。設計者の立場では1次試作でも量産にできるだけ近似した材質にしたいと願っている。そうすることで、性能試験だけでなく、強度や摩耗を確認することもできる。一方、試作には多額の費用がかかるので、できるだけコストを抑えたいという管理サイドからの要求もあり、スピード試作とコストダウンを兼ね備える対応が必要になっている。

  本展では、自動車ビジネスで十分な実績のある2社を紹介する。

 

(出展会社概要)

会社名 展示品 生産拠点
㈱功電社
創業1972年
(東京都大田区)
試作:自動車ライト部品
実験評価用ワーキングモデル
切削工法&簡易金型射出成形
国内2拠点(大田区、長野県坂城町)
プラメックス㈱
創業1949年
(東京都大田区)
「試作から量産までの1ストップ生産」 国内4拠点(大田区2、横浜市1、新潟県長岡市1)
海外1拠点(タイ)

 

切削工法&簡易金型射出成形(功電社)

  功電社は1972年創業。東京都大田区のプラスチックとアルミの試作専門企業。切削加工、簡易金型射出成形、樹脂注型、3Dプリンターなどの工法で対応する。

  展示品は切削加工で削り出した自動車のライト用部品。ワーキングモデルとよばれ、実験部門で評価ができる。量産品と同じ材質で製造できるため強度は強く、寸法加工精度は量産以上になる。また、50個~10,000個の量産試作には射出成形用に簡易金型を作成し対応できるという。

  電気部品やOA部品の依存度が高いが、自動車メーカーの試作も積極的に受注している。

展示品:プラスチック・ワーキングモデル各種 試作:自動車レンズ部品
プラスチック・ワーキングモデル各種 自動車レンズ部品
工法:切削工法、簡易金型射出成形
得意分野は切削加工、数量が多い物は試作金型で対応
展示パネル:試作専門樹脂精密部品加工
量産と同等の高透明度を確保している。

 

展示パネル:試作から量産の1Stop生産
試作から量産の1Stop生産
<試作・少量生産> デザインイン・3Dデータ作成→ 光造形・切削加工→ 二次加工→ モック品形状確認
<量産> 金型製作→ 射出成形→ 二次加工→ 製品

試作から量産までのワンストップ生産(プラメックス)

  プラメックスは1949年創業。樹脂部品の製造とプリント配線基板の表面処理を行う専門企業。東京都大田区に2拠点、神奈川県横浜市、新潟県長岡市の国内4工場と、海外1工場(タイ)に展開している。主力製品はプリント配線基板の表面処理だが、本展では樹脂部門が出展し、「試作から量産までの1Stop生産」の商談を展開していた。

  試作や少量生産の場合には、お客様のスケッチを基に設計3Dデータの作成~試作品の完成まで行う。お客様は設計部門の設計工数が削減できる。プラメックスは、切削、3Dプリンター、注型、射出成形カセット金型など、適切な加工方法で試作品を完成させる。その後、量産展開に至った場合も金型製作~射出成形~各種二次加工~量産品の完成までワンストップで対応できる。

  自動車部品開発では、1次試作や2次試作で問題となった事柄ひとつひとつが重要なノウハウとなる。その対策を供給部品メーカーと共有することが量産における品質の安定につながるため、量産まで対応できることは強みとなる。

 

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キーワード
ものづくり、大田区、コストダウン、ダイカスト、鍛造、鋳造、樹脂成形、ファスナー、オイルシール、メーター

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