吉利汽車:2017年に新ブランドLYNK & COを投入、2020年の販売目標200万台

生産能力の拡充、新エネルギー車事業を加速

2017/03/29

要約

(資料:吉利汽車股肦年次報告書及びメーカー発表よりMarkLinesが作成、
Volvo Carsの販売台数除く)

 浙江吉利控股集団有限公司(以下、吉利グループ)は、乗用車及び商用車を生産/販売する中国で販売台数(工場出荷台数)第8位(2016年)の自動車グループ企業。民族系では長城汽車に続く第2位の販売台数を誇る。

 吉利グループの前身は創業者でグループのトップである李書福氏が、1986年に浙江省で起こした冷蔵庫部品工場である。1997年には自動車製造許可証を入手後、浙江省台州市臨海で操業を開始した。

 2005年にグループ傘下のGeelyブランドを有する吉利汽車控股有限公司(以下、吉利汽車控股)が香港証券取引所に上場した。上場後、2009年にはオーストラリアの自動変速機メーカーのドライブトレイン・システムズ・インターナショナル、2010年には、フォード傘下の乗用車部門のVolvo Cars、2013年にはロンドンタクシー等、海外企業の買収を積極的に行い、吉利グループ傘下に収めた。

 吉利汽車控股は2014年にブランドと販売チャネルの見直しを図った。その結果、現在吉利グループ傘下で生産している主なブランドは、GeelyとVolvoに統一されている。2016年には、吉利汽車控股のグローバルブランドとして若者をターゲットとした新ブランド「LYNK & CO」が発表された。なお、合弁会社(JV)のEVシティーコミューター及び小型EVモデルの康迪(KANDI)やJVのEVシティーコミューターの知豆 (ZD)は、2016年に吉利汽車控股から切り離され吉利グループ傘下のJVとなった。

 吉利汽車控股の2016年にGeelyブランドの車型構成の見直しにより、SUVモデルを増やすことで、前年比50%増の76万台を販売。売上高は前年比78%増の537億元、純利益は前年比126%増の51.7億元といずれも過去最高を達成した。2017年は、新型SUVやMPVそして、HybridやPHVの導入、グローバル市場を見据えた新ブランドのモデル「LYNK & CO 01」の発売により、目標販売台数を100万台と設定している。さらに、2020年までに新エネルギー車を増やし、200万台(LYNK & CO 含む、Volvo Cars、KANDI、ZD除く)を目指している。吉利汽車控股は、目標販売台数達成のために、グループ本部のある浙江省の既存工場の拡充や新エネルギー車生産のための新工場建設/稼働を急ピッチで進めている。

 本レポートは、吉利グループ傘下の吉利汽車控股を中心に、Volvoブランドに関しても一部報告する。



関連レポート:

中国の販売予測と自動車メーカーの計画:2017年末まで減税策が継続し、4.9%増の2,940万台へ(2017年2月)

2016年中国市場:排気量1.6L以下の乗用車の減税で過去最高の2,803万台を達成 (2017年1月)

このレポートは有料会員限定です。 残り 11 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。