インド(上):自動車産業を10年間で4倍に拡大する構想

Automotive Mission Plan 2026

2015/12/21

要 約


Maruti Suzukiがインドで生産し世界で販売する戦略車Baleno
(東京モーターショー2015から)

 本レポートは、インド自動車産業全体の動向について報告する。各自動車メーカーの最近の動きや計画については、別途報告する予定。

 インド政府とインド自動車工業会(SIAM)は、2015年9月、インド自動車産業の今後10年間にわたる総合的なビジョン "Automotive Mission Plan (AMP 2026)" を発表した。インド自動車産業の規模(年間生産高)を、10年間で現状(2014年4月~2015年3月期)の3.5~4倍に拡大する構想。インドでは、海外からの投資を促進する "Make in India" プログラムを進めており、AMP 2026は、そのエンジンの役割を果たすことが期待されている。

 インドの国内市場は、2013-2014年度に減少したが、2014年5月にモディ首相就任後上向き、2015年4~11月期には前年同期比8.7%増加した。

 LMC Automotive社によると、インドでの生産台数は2018年に500万台規模に到達する。レポート末尾に、同社の2018年までの生産台数予測を掲載した。

 各自動車メーカーは、多くの新興国市場で減速が懸念されているなか、インドを特に有力な市場として注力する方針。


関連レポート:
インド(上):国内販売は2014年6月から前年超え、4~9月期は1.2%増の回復 (2014年10月)
インド(下):OEMの戦略:市場の将来性をにらんで、新型車を積極投入 (2014年10月)



Automotive Mission Plan (AMP 2026):自動車産業を10年間で4倍増

 インド政府とインド自動車工業会(SIAM;The Society of Indian Automobile Manufacturers)は、2015年9月、2006~2016年の期間で実施されているAMP 2016 に続く第2弾の長期構想、"Automotive Mission Plan (AMP 2026)を発表した。2026年3月までに、自動車産業の年間生産高を現在の4.64兆インドルピー(約8.4兆円)から、その3.5~4倍となる16.16兆インドルピー(約29兆円)~18.9兆インドルピー(約34兆円)へ成長させることを目指す。

 規模の拡大と同時並行で、乗用車に車検制度や廃車制度 "End of Life" を導入し、安全性・環境対策を強化するとともに新車需要を喚起する。また、排ガス規制を強化していくことなどが計画されている。

AMP 2026(自動車産業の規模を3.5~4倍増とする構想)

FY 2015(現状)
2014年4月~2015年3月
FY 2026(最終年度)
2025年4月~2026年3月
生産高
(部品生産および輸出を含む)(注1)
4.64兆インドルピー
(約8.4兆円)
16.16兆~ 18.9兆インドルピー
(約29兆~約34兆円)
GDP平均成長率 5.8%~7.5%(注2)
自動車産業の全インドGDPに占める比率 7%強 12%
輸出比率 約18% 35~40%
雇用者数 6,500万人を新規雇用
資料:SIAM
(注) 1. 生産高の円換算値は、1インドルピー=1.8円で算出した。
2. ベースシナリオである、FY 2026の生産高16.16兆インドルピーを達成する場合のGDP平均成長率は5.8%、バラ色シナリオの18.9兆インドルピーを達成する場合のGDP平均成長率は7.5%と想定している。
3. 現在進めている第一次長期構想 AMP 2016では、多くの目標を最終年度であるFY2016(2015年4月~2016年3月)までに達成、または達成に近づく見込み。(上表の(現状)は、AMP 2016最終年度の1年前になる)
-1. 生産高は、ベースシナリオの目標5.49兆インドルピーを、FY 2016に達成する見込み。
-2. 新規雇用者2,500万人を既に達成した。

 

Make in Indiaプログラムの「エンジン」の役割を担う

 インドでは2014年秋に、モディ首相の主導で、海外からの投資を促進する「Make in India」プログラムを開始した。自動車産業は、多くの製造業やサービス業の母親(Mother)のような存在であり、他の産業への影響が大きいとして、AMP 2026は「Make in India」プログラムの「エンジン」の役割を担うことが期待されている。成熟した自動車産業を持たずに成長してきた先進国は存在しない、としている。

 「Make in India」では25の重点分野を指定しているが、自動車および自動車部品産業はその筆頭に挙げられている。

「Make in India」プログラム

 モディ首相が、2014年9月に発表した方針で、「Come, Make in India(インドに来て、インドで作ってほしい)」の意。そのために、これまで世界がインドに対して持っていた「官僚主義的な」イメージを一掃し、外国資本からの投資を盛大に歓迎すると宣言。また、自由な競争や公平な取引を促すような環境を、世界の企業や投資家に提供することを強調した。
 新しい海外からの投資を促進するため、「インドにおける事業開始手続きの簡素化」、「各産業における投資規制の緩和」、「高速鉄道他の産業インフラの整備」、「人材のスキル向上」などを進める。インドおよび各州政府は、この目的に向けて、簡素で効率的な行政を実現するとしている。

 

日本政府と企業が、インドへの投資に積極姿勢

 "Make in India" プログラムに呼応するかのように、日本政府と企業は、インド投資へ積極姿勢を示している。国際協力銀行の調査によると、日本製造業の海外投資先として、インドが2年連続でインドネシア、中国を抑えて第1位になった。

 また、2015年12月にインドを訪問した安倍首相は、高速鉄道計画とは別枠で、インドに1.5兆円の投融資枠を設定すると表明した。

日本政府・企業が、インド投資に積極姿勢

インドが2年連続で
日本製造業の
最有力投資先に
 国際協力銀行が2015年12月に発表した調査結果によると、海外に製造拠点を持つ製造業は、2年連続でインドを中期的、長期的の両面で有力投資先の第1位に選んだ。2位はインドネシア、第3位は中国(2位、3位も2年連続)。
 インドを有望市場と考える理由としては、多くのメーカーが「現地マーケットの今後の成長性」を挙げている。約13億人を抱える巨大市場への期待感を示している。また、課題としては、「インフラが未整備」「法制の運用が不透明」とする意見が多い。
インドに1.5兆円の
投融資枠を設定
 日本政府は、日本企業のインド進出を後押しするため、新たに総額1兆5,000億円の投融資枠を設ける方針。2015年12月に正式合意した、ムンバイ(Mumbai)~アーメダバード(Ahmedabad)間を結ぶ高速鉄道事業とは別枠で設定する。
 発電所や工場建設の資金の一部を国際協力銀行が融資するなどして、大型案件に日本企業が関与できるようにする。民間のプロジェクトを、政府が資金援助する仕組みを強化する。自動車や電機などのメーカーが、部品を輸出する際の損害を補償する輸出保険の体制も整備する方針(独立行政法人日本貿易保険の活用など)。

資料:国際協力銀行プレスリリース 2015.12.3、日本経済新聞 2015.12.10/12.12、日経産業新聞 2015.12.9

 

 



車検制度と廃車制度 "End of Life" を導入

 現在インドでは、商用車にのみ車検制度が設定されているが、乗用車に対する車検制度はない。乗用車は、登録すると15年間有効で、登録が一旦切れる15年後に再登録すると、その後も乗り続けることができる。

 AMP 2026の一環として、乗用車の車検制度を導入し、また要件を満たさないと判断された車を廃車する" End of Life"制度も導入し、新車需要を喚起する方針。

車検制度と廃車制度を構築

車両検査体制を構築  AMP 2026の一環として、首尾一貫した車両の検査体制(Inspection & Certification Regime)を構築する方針。車両を道路上で運転するのに必要な条件を法的に定める。不合格となる標準も明確に定める。
 インド全国の道路上を走行する車両は、定期的に政府が決定する条件のテストを受けることを義務付けられる。また、政府は、全国どこの地域でもこのテストを受けられるように準備しなければならない。
"End of Life"制度を制定  「車両検査体制」の延長および補足として、廃車制度 "End of Life" を導入する。車両または部品について、安全性と環境保護の観点から、規制に適合しない車両や部品の道路上での使用を禁止する規制を制定する。
 "End of Life"制度は、安全・環境への配慮とともに、古くなった車をスクラップして、新車販売を促進する効果もある。政府は、古くなった車のスクラップを促進する税制等の導入も検討する。

資料:SIAM

 

排ガス規制:AMP 2026期間中にBharat Stage 6 (Euro 6準拠)を導入

 インドでは、2000年にBharat Stage 1(Stage 1はEuro 1に準ずる、以下同様)を導入して、自動車(二輪車を含む)排気ガス規制に取り組んできた。順次規制のレベルを上げ、2010年からBharat Stage 4を一部地域に導入し、その地域には規制に適合する燃料が供給されている。段階的に適用地域を拡大し、2017年4月からインド全国でStage 4を実施する。

 さらにAMP 2026の期間中に、Stage 5、Stage 6を順次導入し、排ガス規制を強化していく計画。現在のインドの環境規制は、最新のグローバル基準から7~8年遅れているが、AMP 2026終了時にはその差を埋める方針。

 インド政府およびSIAMは、排ガス規制の強化が、環境保護・自動車産業の競争力の両面から重要であるとし、1)車両の技術、2)燃料の品質、3)使用中の車の検査とメンテナンス、4)道路交通行政、の4項目を向上させていく方針。

排ガス規制を段階的に強化

Bharat Stage 4 Euro 4 準拠  Euro 4に準じて、CO、NOx、PMなどの有害物質排出量を規制する。2010年から、Mumbaiなどの地域に限定し段階的に導入してきたが、2017年4月からインド全国で実施する。
Bharat Stage 5 Euro 5 準拠  2019年から乗用車を対象に導入する。
Bharat Stage 6 Euro 6 準拠  2023年から乗用車を対象に導入する。

資料:SIAM

 

 



インド自動車業界は、現在生産400万台、国内販売は350万台規模

インドの生産と国内販売 インドの自動車生産(乗用車+商用車)は、2011-12年度(2011年4月~2012年3月期)に400万台に到達し、2013-14年度は落ち込んだが、2014-15年度から持ち直し、2015-16年度は400万台のペースに回復している。

 インド国内市場は、2011-12、2012-13年度に350万台に迫った。2013-14年度は9.3%減少したが、2014年5月のモディ首相就任を契機に回復に転じている。

 直近では、2015年10月は327,225台を販売し前年同月比19.8%増。11月は288,430台を販売し11.1%増。2カ月連続で二桁増となった。4~11月累計では8.7%増。各社が投入した新型車が需要を喚起したほか、燃料価格が値下がりやローン金利の低下も販売増につながった。

 輸出は、年々着実に増加し、2014-15年度には70万台を超えた。インドは第一次長期構想AMP 2006-2016の成果として、世界的小型乗用車生産拠点に成長し、2014-15年度で、世界の小型乗用車の31%がインドで生産されたとのこと(SIAM資料による)。


インドでの生産・販売・輸出台数

2010-11
年度
2011-12
年度
2012-13
年度
2013-14
年度
2014-15
年度
2014年
4~11月期
2015年
4~11月期
国内生産 乗用車 2,982,772 3,146,069 3,231,058 3,087,973 3,220,172 2,109,794 2,255,463
商用車 760,735 929,136 832,649 699,035 697,083 452,903 488,469
合計 3,743,507 4,075,205 4,063,707 3,787,008 3,917,255 2,562,697 2,743,932
国内販売 乗用車 2,501,542 2,629,839 2,665,015 2,503,509 2,601,111 1,686,006 1,835,606
商用車 684,905 809,499 793,211 632,851 614,961 393,180 424,957
合計 3,186,447 3,439,338 3,458,226 3,136,360 3,216,072 2,079,186 2,260,563
輸出 乗用車 444,326 507,318 559,414 596,142 622,470 412,461 430,215
商用車 74,043 92,663 80,027 77,050 85,782 56,085 64,619
合計 518,369 599,981 639,441 673,192 708,252 468,546 494,834
資料:SIAM
(注) 1.  2013-14年度は、2013年4月~2014年3月期。
2.  「乗用車」は、Utility vehicles、Vansを含むTotal passenger vehicle。
3.  2012-13年度以降はBMW、Audi、JLR、およびMercedes-Benzの台数は含まれていない(以下同様)。
4.  上表の他に三輪車を、2014-2015年度に95万台生産、53万台を国内で販売し、40万台を輸出した。

 

 



セグメント別販売台数:Compact/Miniセグメントが乗用車の6割強を占める

インド国内セグメント別販売台数 インドの税制では、全長4m未満・エンジン排気量1.5L未満の車の物品税が12.5%で、4mを越えると24%に上昇する。そのため、全長4m未満のCompact/Miniセグメント車が、全乗用車(Total passenger vehicle)の6割強を占める独特の市場を構成して、このセグメントに各社の有力モデルがひしめき合っている。

 2015年10月にMaruti Suzukiが発売した世界戦略車Balenoも、全長は3,995mmでCompactセグメントに属する(インド仕様、欧州仕様、日本仕様に共通)。

 インド市場で販売台数を伸ばしているホンダも、販売の中心はBrio、Amaze、および2015年7月に新型車を発売したJazzで、全てCompactセグメント車。

 一方、今後市場の成熟とともに上級車の需要も拡大すると見て、各社はMid-Sizeセグメントも強化する計画。Honda Cityは全長4,440mmで、2015年4~11月に52,603台販売し、同セグメントのベストセラー車になっている。Maruti Suzukiが2014年10月に発売したCIAZも、全長4,490mmのMid-Sizeセグメント車(中国、タイでも生産・販売する)。


カテゴリー別物品税

カテゴリー 物品税 カテゴリー 物品税
小型車(全長4m以下、エンジン1.5L未満) 12.5% HV/EV用の特定部品 6%
全長4m超でエンジン1.5L未満 24% バス 12.5%
全長4m超でエンジン1.5L以上 27% トラック 12.5%
SUVs/MUVs
(全長4m超、エンジン1.5L超、最低地上高170mm超)
30% 二輪車 12.5%
ハイブリッド車 12.5% 三輪車 12.5%
電気自動車(二輪/三輪車を含む) 6%

資料:SIAM

 

インド国内セグメント別販売台数

セグメント 2010-11
年度
2011-12
年度
2012-13
年度
2013-14
年度
2014-15
年度
2014年
4~11月期
2015年
4~11月期
Micro 70,432 74,527 53,848 21,129 16,901 9,919 15,884
Mini 690,812 642,009 570,023 568,234 524,247 347,230 345,866
Compact 833,721 855,480 795,580 975,823 1,078,589 694,201 800,820
Super Compact 141,867 187,026 226,502 45,770 47,284 27,786 47,681
Mid-size 174,077 204,743 200,176 155,090 186,556 113,087 121,670
Executive 50,085 41,102 23,537 18,250 20,372 13,425 10,870
Premium 11,046 10,441 4,387 2,529 2,063 1,410 1,515
Luxury 626 601 2 1 5 4 0
Coupe/roadster 179 186 0 0 0 0 0
Total Passenger cars 1,972,845 2,016,115 1,874,055 1,786,826 1,876,017 1,207,062 1,344,306
Utility Vehicles 315,123 367,012 553,662 525,839 553,699 362,279 373,327
Vans 213,574 234,945 237,298 190,844 171,395 116,665 117,973
Total Passenger Vehicles 2,501,542 2,618,072 2,665,015 2,503,509 2,601,111 1,686,006 1,835,606
Total Commercial Vehicles 684,905 809,532 793,211 632,851 614,961 393,180 424,957
Grand Total 3,186,447 3,427,604 3,458,226 3,136,360 3,216,072 2,079,186 2,260,563
資料:SIAM
(注) 1.  2012-13年度以降は、BMW、Audi、JLR、およびMercedes-Benzの台数は含まれていない。
2.  2013-2014年度のSuper Compactセグメントの急減は、Maruti SuzukiのSwift DZIREを、全長を3995mmに短縮してモデルチェンジしたことにより、Super CompactセグメントからCompactセグメントに移したことによる。前代モデルは、内外装を簡素化し、DZIRE TOURのモデル名でタクシー専用に販売している。

 

 



Maruti SuzukiとHyundaiが乗用車の60%のシェアを保持

ブランド別乗用車市場シェア インドの乗用車市場(UV、MPVを含むTotal Passenger vehicle)では、Maruti Suzukiが45%前後、Hyundai Motorが15~17%のシェアを維持している。Tata Motorsは、Nanoの失速で乗用車のシェアを大幅に減らした。

 日本3社、トヨタ、日産、ホンダはシェアを拡大しており、特にホンダの躍進が顕著である。

 欧米勢、Ford、GM、VWはシェアを減らしている。しかし、各社はインドの今後の成長性に注目しており、GMは2015年7月に、インドに10億ドルを投資すると発表した。Fordは、9月に、生産能力を増強し、技術センターを新設すると発表した。

 なお、地元資本のMahindra & MahindraとTata Motorsは商用車に強く、両社を合わせて、年間60~80万台規模の商用車市場の7割のシェアを押さえている。また、2015年4~11月実績で、乗用車+商用車の販売台数は、Mahindra は25.4万台、Tataは28.9万台で、第2位のHyundai(32.2万台)に迫る台数を維持している(スズキとHyundaiは、商用車を販売していない)。

 (各社の動向の詳細は別途レポートする)


Total Passenger Vehiclesでのブランド別販売台数

2010-11
年度
2011-12
年度
2012-13
年度
2013-14
年度
2014-15
年度
2014年
4~11月期
2015年
4~11月期
Maruti Suzuki 1,132,739 1,006,316 1,051,046 1,053,689 1,170,702 755,423 860,625
Hyundai Motor 359,366 388,779 383,611 380,253 420,668 276,554 322,530
Mahindra & Mahindra 180,170 245,700 310,706 254,344 223,968 145,414 145,419
Tata Motors 349,133 370,834 314,464 198,812 161,791 100,704 102,395
Honda Cars 59,463 54,427 73,483 134,339 189,062 116,705 132,095
Toyota Kirloskar 84,088 160,203 165,504 128,811 141,347 91,822 91,588
Nissan 13,027 33,268 37,006 38,024 47,474 31,886 25,427
Renault 0 3,964 52,463 57,368 43,384 28,024 32,151
Renault-Nissan 13,027 37,232 89,469 95,392 90,858 59,910 57,578
Ford India 98,537 92,665 77,225 84,469 75,138 53,525 53,932
General Motors 106,986 110,048 88,150 80,890 51,839 36,664 21,964
Skoda 22,971 34,089 29,067 19,953 15,003 9,773 10,135
VW 51,610 78,281 65,472 52,528 45,018 28,783 28,421
Audi 1,892 3,381
VW Group 76,473 115,751 94,539 72,481 60,021 38,556 38,556
その他 41,560 36,117 16,818 20,029 15,717 10,729 8,924
Total 2,501,542 2,618,072 2,665,015 2,503,509 2,601,111 1,686,006 1,835,606

資料:SIAM

 

 



LMC Automotive 生産予測:インドでの2018年ライトビークル生産台数は500万台規模に到達

(LMC Automotive社、2015年11月)

インド生産台数予測 LMC Automotive社は、インドの自動車産業を取り巻く状況について、以下のようにコメントしている。「多くの新興国と異なり、インドの経済はかなり安定していると思われる。GDP成長率は、2014年の7.1%から2015年に7.5%に拡大し、2016年も同様のペースで拡大すると見られる。キーとなるのは原油価格の低下で、現在の貿易赤字を抑え、インフレ率も低下させる。実際、卸売物価は7月まで9カ月連続で低下し、CPI(消費者物価指数)も、8カ月ぶりの低い数値となった。これらの条件は、消費者の購買力を高め、支出を促進する効果がある。」

こうした状況のもと、LMC Automotive社の予測(2015年11月)によると、インドでのライトビークル生産台数は、2013年と2014年に停滞したが、2015年に380万台に増加(2014年比7.5%増)、その後も年々増加し2018年には495万台(2014年比39.8%増)に到達する。

スズキグループの2018年の生産は、152万台(2014年比20.0%増)に増加する。しかしインド生産台数におけるシェアは、2014年の35.7%から30.6%に縮小する。

Hyundaiグループの2018年の生産は64.4万台で、2014年比5.2%増加するが、伸び率はスズキグループより小さい。

Tataグループの生産台数は、2013~2015年の間にかなり低下するが、2018年には52万台に回復する(ただし2012年の72.2万台とはかなり差が残る)。

Renault-日産グループの生産台数は、2018年に31.9万台(2014年比46.2%増)に増加する。ダットサンブランドは、5.4万台生産される見込み。

トヨタとFordは、2014年に約15万台を生産したが、2018年にはそれぞれ2倍に近い28万台前後まで生産を拡大する。

このように、スズキ・Hyundaiの上位2グループに続く各OEMは、上位2グループのシェアを奪いながら生産を拡大するとLMC Automotive社は予測している。

インドでのライトビークル生産は、2018年に500万台規模に到達

GLOBAL MAKE 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
Total 3,869,054 3,521,835 3,537,410 3,802,156 4,139,324 4,559,230 4,945,948
Suzuki Group Suzuki 1,151,297 1,147,835 1,260,673 1,416,604 1,466,515 1,441,114 1,515,925
Maruti-Suzuki 32,179 24,447 2,260 0 0 0 0
Suzuki Group 1,183,476 1,172,282 1,262,933 1,416,604 1,466,515 1,441,114 1,515,925
Hyundai Group Hyundai 638,765 632,978 612,604 640,063 583,658 616,115 644,304
Tata Group Tata 721,423 413,845 333,242 318,177 393,282 425,724 515,376
Land Rover 445 550 960 903 1,891 2,483 2,696
Jaguar 0 1,326 1,521 1,308 1,728 1,782 1,793
Tata Group 721,868 415,721 335,723 320,388 396,901 429,989 519,865
Mahindra Group Mahindra 425,052 391,472 365,676 376,726 406,375 474,592 499,886
Ssangyong 659 2,678 1,154 467 9,308 13,838 14,390
Mahindra Group 425,711 394,150 366,830 377,193 415,683 488,430 514,276
Renault-Nissan Group Nissan 165,249 144,204 149,456 115,173 108,457 98,531 112,882
Renault 11,323 12,641 4,858 23,774 63,248 73,969 87,889
Dacia 24,116 60,200 46,353 35,064 29,940 52,435 63,567
Datsun 0 0 17,242 24,187 32,665 49,826 54,482
Samsung 473 213 211 16 0 0 0
Renault-Nissan Group 201,161 217,258 218,120 198,214 234,310 274,761 318,820
Toyota Group Toyota 192,343 173,773 147,717 160,608 182,473 256,277 284,825
Ford Group Ford 115,570 119,298 151,102 192,408 241,351 266,424 275,111
Honda Group Honda 75,201 115,072 170,816 224,955 233,649 256,901 266,116
Volkswagen Group Volkswagen 71,080 74,184 102,735 106,810 105,637 135,185 152,005
Skoda 35,580 17,806 14,267 16,207 15,184 20,052 21,011
Audi 6,180 5,680 7,551 9,374 10,262 12,514 13,359
Volkswagen Group 112,840 97,670 124,553 132,391 131,083 167,751 186,375
Other Indian Manufac-turers Bajaj 0 0 0 0 26,056 37,836 41,226
Force 27,449 22,506 22,418 23,179 27,682 34,616 39,236
Ashok Leyland 29,593 32,955 25,137 27,114 24,535 30,280 34,910
Premier 4,843 3,317 3,546 3,456 4,176 5,665 6,525
Eicher 839 627 582 628 1,694 1,841 2,153
Hindustan 2,736 3,778 523 0 0 0 0
Other Indian Manufacturers 65,460 63,183 52,206 54,377 84,143 110,238 124,050
General Motors Group Chevrolet 70,462 57,827 34,345 31,945 73,973 88,581 99,025
Isuzu 21,333 12,189 13,274 11,265 9,335 14,011 15,429
Wuling 11,216 20,861 9,787 6,765 3,518 6,938 5,108
General Motors Group 103,011 90,877 57,406 49,975 86,826 109,530 119,562
Fiat Chrysler Automobiles Fiat 11,032 8,071 13,614 8,320 45,748 65,197 75,267
Jeep 0 0 0 0 0 1,461 19,423
Fiat Chrysler Automobiles 11,032 8,071 13,614 8,320 45,748 66,658 94,690
Isuzu Motors Isuzu 0 0 720 1,796 9,065 38,643 42,586
Daimler Group Mercedes-Benz 6,003 7,455 7,637 10,138 12,828 17,163 18,015
BMW Group BMW 8,353 6,291 7,645 7,507 7,616 9,594 10,989
MINI 0 93 106 34 0 0 0
BMW Group 8,353 6,384 7,751 7,541 7,616 9,594 10,989
Other Piaggio 4,502 5,631 6,320 5,001 5,566 6,873 7,732
Mitsubishi Motors Mitsubishi 3,758 2,032 1,358 2,184 1,909 2,769 2,707
資料: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast" (November 2015)
(注) 1. データは、小型車(乗用車 + 車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載にはLMC Automotive社の許諾が必要になります。
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