日本の新車販売(上):2015年の市場見通しと自動車税制改正

2014年は消費税増税前の駆け込み需要で556万台

2015/02/02

要 約

 2014年の日本の新車販売は、日本自動車工業会の2014年当初の予測(485万台)より70万台以上も上回り、 前年比3.5%増の556万台と8年ぶりの水準を記録。2014年4月の消費税増税前の駆け込み需要が想定以上で、その後の反動減、増税後の需要減退を上回ったことが要因。また、軽自動車の販売が好調で2年連続で過去最高を更新する227万台を記録したことが販売台数を引き上げた。

 2015年の国内販売については、エコカー減税の基準引き上げの影響や、消費税増税後の需要減が懸念される。各団体・各社の2015年の見通しは前年比10%以上の減少(全需換算で500万台レベル以下)から4%減程度(同530万台レベル)となっている。  
 本レポートでは日本市場の2015年の見通し、2014年販売実績及び自動車税制の改正について報告する。



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日本の新車販売台数


2015年の見通し:500万台を維持か

 2015年の国内販売について、増税後の需要減退が続いていること、エコカー減税の基準引き上げ(後述)の影響、が懸念されている。一方で、原油安による自動車需要誘発、円安による企業業績の回復、実質賃金の増加見込みなどの経済環境の改善も期待され、新車販売の下支えになる。

  日本自動車タイヤ協会は2014年12月に、2015年の国内販売見通しは、前年(見通し)比4%減の529.6万台であると発表。全国軽自動車協会連合会は、軽自動車の2015年販売は前年比16%の大幅減の191万台を想定している。

 トヨタは2015年のグループ国内販売の計画を前年比9%減の210万台とすると2015年1月に発表した。

 なお、日本自動車工業会は、2015年の見通しを2015年2月2日現在、公表していない。

2015年国内販売見通し

全国軽自動車
協会連合会
・軽自動車
  191万台(前年比16%減)
 

・地方の景気先行き不透明感。
・過去最高を記録した2014年(227.3万台)の反動減。

2015年1月24日報道
同協会は2014年当初は、2014年の販売見通しは185万台としており、実績の227万台とは大きな差があった。2015年の191万台もかなり堅めの想定とみられる。
日本自動車タイヤ協会 529.6万台(前年見通し比4%減) 国内生産台数は前年比4%減の929.5万台、輸出台数は前年比3%減の432.3万台になるとしている。 2014年12月11日
日刊自動車新聞

・合計:
500万台(前年比10.1%減)
・登録車:
290万台(前年比11.9%減)
(うち輸入車) 29万台(

2.0%増)
・軽自動車:
210万台(前年比8.0%減)

・消費税増税前の、2014年1-3月の駆け込み需要の反動減が残る。
・登録車は、エコカー減税の基準引き上げが逆風。
・軽自動車は、軽自動車税増税を、エコカー減税適用がカバーする。スズキ、ダイハツのシェア争いも、「販売」を押し上げる。

2015年1月5日

資料:日本自動車タイヤ協会発表資料、日刊自動車新聞

2015年メーカー国内販売計画

トヨタ ・トヨタ/ダイハツ/日野の合計計画:210万台(前年比9%減) ・トヨタブランドでは前年比7%減の145万台、ダイハツブランドでは15%減の60万台、日野ブランドでは9%減の5万台を想定。 2015年1月21日発表
富士重工 15.6万台を計画(前年比8%減)
うち登録車11.4万台(前年比10%減)
・レガシィ/アウトバックが通年で販売に寄与することを見込む。 2015年1月16日発表
日本自動車輸入組合 ・30万台程度(前年の29.0万台から微増) ・付加価値のある輸入車の需要は好調だとしている。
・VWジャパンは前年比4%増の7万台、Audiは前年比5-10%増の3.3万-3.45万台を計画するなど、各社とも前年を上回る台数を計画。
2015年1月21日報道

資料:各社プレスリリース、各種報道より



2014年の新車販売:8年ぶりに550万台を超える

 2014年の日本の新車販売(乗用車+商用車)は、556.3万台と前年より3.5%増加して、3年連続して前年の実績を上回り、8年ぶりに550万台を超えた。2014年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要が、その後の反動減、増税後の需要減退を上回った。

 特に、軽自動車(軽四輪)の販売台数は、前年比7.6%増の227.3万台と2年連続で過去最高の販売台数となり、軽自動車の割合は4割を初めて超えた。2013年12月発売の、軽自動車初のSUVモデル スズキ ハスラーの販売が約10.4万台と好調であったこと、各社が新モデルを積極的に投入したこと等が市場を活性化させた。しかし、12月単月の軽自動車の販売台数は20.0万台となり、駆け込み需要が始まっていた前年同月と比べて18.5%増の大幅増となった。報道では、「そのうち2割は最終日の届出」であったとされ、各社が在庫を自社登録した可能性がある。

 

日本の車種別販売台数

(1,000台)
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

2015年

見通し

乗用車 普通 1,271 1,226 1,299 1,251 1,160 1,420 1,140 1,412 1,399 1,438
JAMAの
2015年
販売見
通しは
未発表
(2015年
2月2日
現在)
小型 2,090 1,908 1,654 1,550 1,480 1,508 1,246 1,603 1,473 1,423
軽四輪 1,387 1,508 1,447 1,427 1,283 1,285 1,139 1,558 1,690 1,839
合計 4,748 4,642 4,400 4,228 3,924 4,212 3,525 4,573 4,562 4,700
トラック 普通 198 209 172 147 88 102 107 136 143 165
小型 352 355 293 250 181 188 185 227 236 253
軽四輪 537 516 473 443 405 442 382 422 423 434
合計 1,086 1,080 938 839 673 731 675 785 802 851
バス 18 18 16 15 13 13 11 12 11 12
全車種 合計(A) 5,852 5,739 5,354 5,082 4,609 4,956 4,210 5,369 5,376 5,563
登録車 3,928 3,716 3,434 3,212 2,921 3,230 2,689 3,390 3,263 3,290
軽四輪(B) 1,924 2,024 1,920 1,870 1,688 1,726 1,521 1,979 2,113 2,273
軽四輪比率(=B/A) 32.9% 35.3% 35.9% 36.8% 36.6% 34.8% 36.1% 36.9% 39.3% 40.9%

資料: 日本自動車販売協会連合会、日本自動車工業会(JAMA)、全国軽自動車協会連合会



2014年ブランド別販売台数:スズキ・ホンダがシェアを過去最高水準に

 日本のブランド別販売シェア 2014年のブランド別の販売でシェアを大きく拡大したのはスズキで、販売台数は前年比12.2%増の78.7万台となり、シェアを14.2%と前年に比べて1.1%ポイント引き上げた。過去20年で最高を記録。2013年発売の新車種 ハスラーの販売台数が好調で、10.4万台となったことが大きな要因。

 また、ホンダもシェアを1.1%ポイント引き上げ、15.3%とし2002年(15.4%)以来12年ぶりに15%を超えた。2013年末に発売した、コンパクトSUV ヴェゼルと、軽自動車N-WGNが貢献。

 一方、大きくシェアを下げたのがトヨタ。販売台数は市場が拡大する中、前年比1.8%減の150.9万台となり、シェアは過去20年で最低の27.1%。

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
トヨタ 1,703,185 1,660,380 1,551,876 1,443,335 1,346,419 1,531,722 1,157,383 1,646,409 1,536,260 1,509,149
ホンダ 714,115 702,291 621,935 624,547 625,510 647,289 503,532 745,204 763,388 848,753
スズキ 695,787 691,033 671,264 670,485 617,229 619,517 552,903 673,138 701,472 787,361
ダイハツ 601,154 622,484 626,847 642,464 596,215 608,510 548,279 677,171 662,690 708,179
日産 866,226 766,763 721,025 678,160 599,466 645,369 591,370 659,855 678,887 670,315
マツダ 286,919 269,152 254,061 244,532 204,296 223,747 189,925 218,361 228,089 224,359
スバル 258,217 245,234 225,818 206,743 173,488 176,698 158,701 177,722 180,824 169,552
三菱 244,251 263,488 226,913 189,843 159,815 176,065 147,624 140,493 139,016 125,083
いすヾ 84,197 91,982 69,723 59,696 36,695 44,021 42,096 59,805 63,265 74,556
日野 54,528 53,952 47,310 40,666 24,434 29,164 34,238 42,463 48,189 57,422
レクサス 10,293 31,097 34,803 25,945 28,167 33,365 42,365 43,657 46,772 44,246
三菱ふそう 61,171 71,414 50,520 40,522 22,104 24,761 27,032 34,715 36,731 42,509
UDトラックス 21,407 19,754 14,988 12,562 6,939 8,170 8,469 9,104 9,284 11,072
その他 250,617 250,482 236,565 202,735 168,479 187,738 206,302 241,623 280,646 290,331
合計 5,852,067 5,739,506 5,353,648 5,082,235 4,609,256 4,956,136 4,210,219 5,369,720 5,375,513 5,562,887
資料:日本自動車工業会
(注) 「その他」 欄のほとんどは、輸入ブランド車。

 



自動車税制:エコカー減税の基準引き上げと期間の延期

 政府は、2015年1月14日の閣議で2015年度の税制改正大網を決定した。当初2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げは、延期された。それに伴い、消費税10%時の自動車関連税の廃止・見直しも延期。そして、自動車取得税・自動車重量税にかかるエコカー減税が、基準を引き上げると共に延長された。また、2015年4月より増税される軽自動車税についても、新たに軽課措置が1年限定で導入された。

消費税

 2014年4月に、消費税税率を5%から8%に引き上げた。当初2015年10月に予定していた消費税率の8%から10%への引き上げは、2017年4月に延期された。

自動車取得税

 エコカー減税の対象車の基準を引き上げて、期間を2017年3月まで延長した。消費税10%時には自動車取得税を廃止する。現在は取得額の3%の税率が課せられている(軽を除く自家用車の場合)。


エコカー減税の基準引き上げ・延長(2015年4月-2017年3月:乗用車などの例)
改正前 改正後
電気自動車 等 免税 電気自動車 等 免税
  2020年度燃費基準+20%達成
2020年度燃費基準+10%達成 80%減税
2015年度燃費基準+20%達成 免税 2020年度燃費基準達成 60%減税
2015年度燃費基準+10%達成 80%減税 2015年度燃費基準+10%達成 40%減税
  2015年度燃費基準+5%達成 20%減税
2015年度燃費基準達成 60%減税
(注1): 2020年度燃費基準は、国土交通省の試算によれば、2015年度基準より20%程度、基準値が引き上げられている。
(注2): 電気自動車等には、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、天然ガス自動車、クリーンディーゼル自動車が含まれる。

 

自動車重量税

 エコカー減税の対象車の基準を引き上げて、期間を2017年4月まで延長した。

エコカー減税の基準引き上げ・延長(2015年5月-2017年4月:乗用車などの例)
   改正前 改正後
1回目車検 2回目車検 1回目車検 2回目車検
電気自動車 等 免税 免税 電気自動車 等 免税 免税
  2020年度燃費基準+20%達成
2020年度燃費基準+10%達成 75%減税 -
2015年度燃費基準+20%達成 免税 免税 2020年度燃費基準達成 50%減税
2015年度燃費基準+10%達成 75%減税 -  
  2015年度燃費基準+5%達成 25%減税
2015年度燃費基準達成 50%減税 (2015年度燃費基準達成) (適用税率を「本則税率」へ引き下げ:注)。

(注):エコカー減税対象車以外は「当分の間の税率(例:車検期間1年の(車齢)13年未満の自家用乗用車で、車両重量0.5tごとに4100円)」が、課せられる。エコカー減税対象車は「本則税率(同、2500円)」を基準税額として定められる。2015年度改正では、「2015年度燃費基準達成車」はエコカー減税対象車ではないが、適用税率が「本則税率」へ引き下げられた。

消費税率10%引き上げ時

「環境性能割の導入にあわせて、エコカー減税の対象範囲を、2020年度燃費基準の下で、政策インセンティブ機能を回復する観点から見直すとともに、基本構造を恒久化する」としている。

 

自動車税

 自動車税については、前回2014年度税制改正時に、消費税率10%時に環境性能課税が実施されることになっていた。しかし、消費税率10%への引き上げが延期されたため、2016年度改正以降に結論を得ることとなった。

消費税10%時の環境性能課税/性能割の実施について (2016年度税制改正以降に検討)
2014年改正 ・自動車取得時の課税として、課税標準は取得価額を基本に、控除及び免除等について検討する。
・省エネ法に基づく燃費基準値の達成度に応じて税率は0~3%の間で変動。
・グリーン化特例は、環境性能割非課税の自動車に対象を重点化。
2015年改正 ・「自動車をめぐるグローバルな環境や課税のバランス、自動車に係る行政サービスを踏まえた議論を行う」と記載された。世界各国の自動車課税と差が生じないように配慮しながら、自動車取得税廃止によって税収を失う地方自治体にも配慮するとの意味。

消費税8%時以降のエコカー減税(グリーン化特例):2014年4月~2016年3月*(登録の翌年度分を軽減)
  現行
電気自動車等 概ね75%軽減
2015年度燃費基準+20%達成かつ、
2020年燃費基準達成
2015年度燃費基準+20%達成かつ、
2020年燃費基準未達成
概ね50%軽減
2015年度燃費基準+10%達成
2015年度燃費基準達成 廃止

*注:1)車齢11年超のディーゼル車や車齢13年以上のガソリン・LPG車(電気自動車・一般乗合用バス、被けん引車は除く)については、重課割合を概ね10%から15%に引き上げる。
   2)バス(一般乗合用を除く)、トラック(被けん引車を除く)については、現行の重課割合(概ね10%)のまま据え置き。

 

軽自動車税

 前回の2014年の改正では以下のことが決められた。四輪以上及び三輪の軽自動車の税率を1.5倍(自家用乗用車の場合)に引き上げ、2015年4月1日以降に新規取得される新車に適用する。 また2016年度以降は最初の新規検査から13年以上を経過した四輪・三輪の軽自動車の税率を変更し、2016年4月以降に適用する。

 2015年改正では、環境性能の優れた軽自動車に対する軽課措置(グリーン化特例)を導入。2015年4月-2016年3月の1年間に新規取得した軽自動車に限り、2016年度の軽自動車税を軽減する。

2015年4月以降の税率引き上げ
(円)
  現行 2015年4月以降* 2016年4月以降の経年重課税**
乗用 自家用 7,200 10,800 12,900
営業用 5,500 6,900 8,200
貨物用 自家用 4,000 5,000 6,000
営業用 3,000 3,800 4,500
三輪 3,100 3,900 4,600

注:*2015年度以降に新規取得する新車のみ。
**既存・新規車を問わない。

環境性能の優れた軽自動車に対する軽課措置(グリーン化特例:2015年4月-2016年3月に取得した軽自動車)
2年目
電気自動車 等 概ね、75%減税
2020年度燃費基準+20%達成 概ね、50%減税
2020年度燃費基準達成 概ね、25%減税
(注)自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自動車税のグリーン化特例 (軽課)とあわせて見直す。

 

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>