CFRPの新量産技術、CF/GF強化樹脂、ホットランナーシステムなど

国際プラスチックフェア2014の取材報告

2014/11/14

要 約

 2014年10月28日から11月1日の5日間、「第8回国際プラスチックフェア 2014」が幕張メッセで開催され、プラスチック成形機から、金型設計製造、発泡プラスチック、ゴム材など幅広く出展された。本レポートでは、車の生産と特に関連性が強い部品・技術の出展について報告する。

 主な項目は、熱硬化性CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)および熱可塑性CFRPの新しい製造技術、CF(炭素繊維)/GF(ガラス繊維)強化樹脂、ホットランナーシステム、プラスチック溶着技術、電気鋳造金型を使った真空成型や新開発MPM工法などである。

関連レポート:第4回クルマの軽量化技術展取材報告(2)(2014年2月掲載)



熱硬化性CFRPの新製法

 帝人グループの東邦テナックスは、RTM(Resin Transfer Molding)工法を効率化する製法「プリフォーム自動製造プロセス(Part via Preform)」を開発し、試作品を展示した。また展示会終了後の11月4日に、RTMとともに代表的な熱硬化性CFRP製法であるプリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの)を高速硬化させ、生産効率を数十倍向上させる製法を開発したと発表した。

 いずれも製造の速度を上げ、量産のニーズに対応するとしている。

 

Lexus LFAの部品 Lexus LFAのステアリングホイール
左右の大型部材とステアリングホイールはLexus LFAの部品。中央下が、プリフォーム自動製造プロセス (PvP)の試作品 (東邦テナックスの出展) Lexus LFAのステアリングホイール。プリプレグ (従来の製法)と内圧成型製法により製造した (東邦テナックスの出展)

 

東邦テナックス:新しい熱硬化性CFRP製法を開発

プリフォーム
自動製造プロセス
(PvP: Part via Preform)
 これまで、熱硬化性CFRPの使用は高級車の最上位車種に限られてきたが、東邦テナックスは、今後より生産台数の多い車種に使用するという潜在的な需要があると見て、生産効率を高める技術開発に取り組んできた。
 代表的な熱硬化性CFRPの製造方法であるRTMでは、事前に金型に合うように炭素繊維シートを形成し (プリフォームと呼ぶ)、そこに樹脂を注入し硬化させる。複雑な形状のプリフォームの製造は、手作業で行うことが多く、端材のロスも多い。
 新しい製法では、炭素繊維シートなどの中間基材を使用せず、繊維から部品の形状に合わせたプリフォームを直接製造することができ、また自動化により工数・コスト削減が可能。現在開発が進んでいる「ハイサイクルRTM工法」などの高速成形技術と組み合わせることもできる。
高速硬化プリ
プレグを開発
 東邦テナックスは、2014年11月、高速で硬化する (150℃×3分間で硬化)ことで、同社の従来タイプのプリプレグに比べて生産効率を数十倍向上させ、年産5万個程度のCFRP量産に対応可能なプリプレグを開発した。内圧成形による中空品にも使用でき、難燃性グレードも開発したことから、車両用途への幅広い活用が期待されるとしている。

 

 



熱可塑性CFRP新製造技術とCF/GF強化樹脂

 名古屋大学を拠点に自動車メーカー5社などが集まり、熱可塑性CFRTP (Carbon fiber reinforced thermal plastic)製造技術のオートメーション化、スピードアップの研究を行っている。

 CFまたはGF (Glass fiber)で強化した熱可塑性樹脂は、自動車用途に幅広く採用されているが、ダイセルポリマー、BOND Laminates日本代理店のサンワトレーディング、共和工業が、採用例を紹介した。

 

日産GT-Rのラジエターコアサポート GM Opel Astraシートの基底部
ダイセルポリマーが出展した日産GT-Rのラジエターコアサポート 連続繊維熱可塑材料Tepexを使用した、欧州GM Opel Astraシートの基底部 (サンワトレーディングの出展)
日産Rogueのバックドア
共和工業の金型技術を使用した、日産Rogueのバックドア

 

熱可塑性CFRP製造技術の研究・開発プロジェクト

 日本は炭素繊維の供給では世界市場の約7割を占めるが、その成形・加工技術や加工装置開発では欧州に遅れている。そのため、自動車向け熱可塑性CFRP製造技術の研究開発のプロジェクトが、NEDO事業として行われている。
 名古屋大学ナショナルコンポジットセンターを拠点として、同センターの出力3500tの大型高速油圧プレス機を活用する。車の量産を目標に、製造過程をオートメーション化しスピードアップに取り組んでいる。
 自動車メーカーでは、トヨタ、ホンダ、スズキ、富士重工、三菱自動車が参加。他にアイシン精機、TORAY、三菱レイヨン、KYOWA、MEIKI、JAXAなど、合計約20社・団体が参加している。

 

カーボン繊維/ガラス繊維強化熱可塑性樹脂

ダイセルポリマー 長繊維強化
熱可塑性樹脂
プラストロン
 ダイセルポリマーのプラストロン (Plastron)は、ペレット中に強化繊維 (ガラス繊維やカーボン繊維)が、同じ長さで同一方向に複合されていることで、従来の繊維強化樹脂ではできなかった剛性と高い衝撃強度を併せ持つ樹脂成形品を実現した。射出成型ができ量産性が高く、また金属を代替することが可能。
 繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維など、樹脂はPP、PA (ナイロン)、ABSなどを組み合わせ、幅広いグレードをラインアップしている。射出成形により30秒~1分で製造が可能で、量産性も高い。
 製品例として、日産GT-Rのラジエターコアサポートを出展した。PP-CF20 (CF (カーボン繊維)が20%)グレードを採用。日産車では、プラストロンの採用が、FUGAのフロントエンドモジュールやECUボックスなどにも拡大しているとのこと。
BOND LAMINATES
(サンワトレーディング)
連続繊維熱可塑材料  サンワトレーディング (株)は、ドイツBOND LAMINATES社の連続繊維熱可塑材料 (CFRTP/GFRTP)を紹介した。ガラス、カーボン、アラミドの連続繊維 (繊維を織物状にしたシート)にPP、PA、PPSなどの熱可塑性樹脂を含浸 (浸み込ませる)させ、4~6枚を重ねて用いる。
 さらに、ハイブリッド成形と称して、本体の加工 (シートを曲げるなど加工する)と同時に付属部品を射出成形で追加することが可能。
 自動車用途として、欧州GM Opel Astraのシート基底部を展示した。GF強化PPを使用。また、BOND社は、Airbus航空機の内装用に、カーボン繊維で強化したPPS製部品を供給している。
共和工業 日産Rogueの
バックドア
 共和工業は、樹脂用金型の大手で、米国、メキシコ、中国、タイ (合弁)に工場を持つ。射出成形の総合技術開発から、新製品開発の支援も行っている。
 同社の金型で製造した、日産Rogueのバックドアを展示した。外側はPP、内側にはガラス繊維で強化したPPを使用している。

 

 



ホットランナーシステム

 溶融した樹脂を金型に流す流路をランナー (Runner)と呼ぶ。金型から固化した樹脂成型品を取り出す場合、ランナー内の樹脂も固まっており、その粉砕、再利用等の工数がかかるという問題があった。ランナーを暖め溶融した状態に保つホットランナーシステムが開発され、成型品だけを取り出すことができ、樹脂の無駄を無くし、次の生産にスムーズに進むことが可能になった。プラスチック射出成形の核心技術の一つとされている。

 ホットランナーシステムは、ホットランナーシステムメーカーから、金型メーカーに納入する。金型が替わると、ホットランナーシステムのノズルの配置も変更しなければならない。

 YUDOや他数社がホットランナーシステムを出展した。

 

世紀 (株)の出展 世紀 (株)の出展
世紀 (株)の出展した、大型商用車の前面パネルと、利用したホットランナーシステムのノズル ヘッドランプシステムと、アイシン東北製のドア付属部品 (世紀 (株)の出展)
世紀 (株)の出展 HOTSYSが出展
ガラス繊維強化PA6樹脂製インテークマニホールド (世紀 (株)の出展) HOTSYSが出展した"VIVA-ANGLE Valve Nozzle" (2つのノズルは平行ではなく、製品の形状に合わせて角度を調整する)

 

ホットランナーシステム

YUDO  YUDOは韓国のホットランナーシステムメーカーで、自動車分野でシェア世界トップ。世界の大半の自動車メーカー系列 (自動車メーカー、金型メーカーなど)に納入している。日本でも、韓国や中国から金型とともに輸入される分を含めるとシェアトップとのこと。
 プラスチック射出成形の核心技術であるホットランナーシステム、温度コントローラー、金型の温度を調整するヒーティング&クーリングシステム、成形品を成形機から取り出すロボットなど一式を取り扱っている。
Mold Masters  Mold Mastersは、カナダにグローバル本部を置く、世界規模のホットランナーシステムのメーカー。現在中国が最大の市場。また日本には40年前から進出している。
 ブースには、バンパー (日産Juke用とのこと)、そのバンパーを一回で成形する大きな (長さ2m弱、横幅70~80cm)ホットランナーシステムを展示。他に、自動車ランプ用レンズ、V6エンジン用インテークマニホールドを展示していた。
HOTSYS  HOTSYSは、韓国のホットランナーメーカー。同社独自の"VIVA-ANGLE VALVE NOZZLE"を展示した。自動車のヘッドランプのレンズのように、角度を持って折れ曲がった製品を加工する場合、ノズルの角度を調整し、製品面と垂直な角度でノズルを設置できる (写真参照ください)。
 日本総代理店ジェムス・エンヂニアリング (株)が出展した。
世紀 (株)  世紀 (株)は、山形県米沢市に本社を置くホットランナーシステムのメーカー。中国、東南アジア、欧米、オーストラリアなどに進出している。
 ブースには、商用車の前面パネルの一部とその成形に使用するホットランナーシステム、ランプのレンズ (透明の部分は、光を均一に通すようにする成形が難しいとのこと)、ドアの部品 (アイシン東北製)、インテークマニホールドを展示した。
INglass
(株)コーレンス
 (株)コーレンスは、イタリアの金型・ホットランナーメーカーINglass社の「射出成形金型用ホットランナー」を出展した。採用例として、小糸製作所製VW Tiguan用ヘッドランプ・レンズとリアコンビランプ (搭載モデルは不明)を展示した。
Maenner  Maennerは、ドイツのホットランナーシステムメーカー。創業以来約50年、日本でも約25年事業を行っている。同社の装置は、食品用容器、医療機器など向けが中心で、自動車分野向けは多くないとのこと。

 

 



プラスチック溶着技術

 Emerson Industrial Automationは米国の溶着機メーカーで、日本では厚木工場で生産している。Bransonブランドの4種類の溶着機を紹介した。DUKANEの振動溶着機も展示された。

 

Bransonの出展 Bransonの出展
振動溶着したトヨタ Lexus NX200Tのターボパイプ (手前左)と、日産リーフのセンターコンソール (右奥) (Bransonの出展) レーザー溶着したトヨタLexus ISの照明機器と、超音波溶着したトヨタNoahの天井ブラインド (Bransonの出展)

 

プラスチック溶着機

Branson & Emerson 振動溶着機  振動溶着技術 (Vibration Technology)は、最大240Hz (1秒に240回)で振動させ、摩擦で溶かして溶着する技術。ビスも接着剤も使わず、生産タクトが短く、剛性や寸法精度に優れる。自動車部品や家電製品など比較的大型のプラスチック製品の溶着に最適。
 この工法を採用した トヨタのLexus NX200Tのターボ用パイプ、日産Leafのセンターコンソールボックスを展示した。
レーザー溶着機  技術の英文名は、Contoured Laser Technology。溶着ラインに沿って順番にスキャンする従来の工法と異なり、全ての溶着ラインを同時に照射する (一括照射)工法を採用した。3次元パーツや大型パーツにも対応可能。溶着サイクルが短い (3-10秒/サイクル)。
 採用例として、 Lexus ISのリアコンビネーションランプの一部を展示した。
赤外線溶着機  英文名は、Contoured Infrared Welder。非接触型の赤外線エミッタの熱により、接着面を活性化し加圧することで溶着する。粉塵やバリが発生せず、最終製品の出来栄えを飛躍的に向上させる。
超音波溶着機  英文名は、Ultrasonic Welder。20kHz (1秒間に2万回)~40KHzの超音波を発生させ、両側の樹脂を溶かして溶着する。
 トヨタのミニバンNoahの、天井のブラインドを展示した。網目のブラインド部分とそれを支える固定部分の溶着に使用している。
DUKANE (株)
コーレンス
振動溶着機  (株)コーレンスは、米国デュケイン (DUKANE)社製の振動溶着機 (Vibration welder)を展示した。米国では、上記のBransonと市場を分け合っているとのこと (日本では、進出したのはここ5~6年で、シェアはまだ低い)。採用例として、インテークマニホールド、スポイラーを展示していた。

 

 



成形機の出展

 本展示会には、数多くの成形機メーカーが出展していた。

 ソディックは、V-LINEを採用する、高付加価値製品用射出成形機GLシリーズを出展した。プラコーと日本製鋼所は、それぞれのブロー成形機で製造した樹脂製燃料タンクを紹介した。

 

ソディックのV-LINEシステム
ソディックのV-LINEシステム、上部のシリンダーで樹脂を溶融し、下部のシリンダーから金型に射出する。

 

樹脂射出成形機

ソディック V-LINEシステム  ソディックの成型機は、樹脂を溶融・可塑化 (柔らかくする)シリンダーと射出するシリンダーを独立させ、それぞれの精度を高めている (一般的には、この2つの機能を、1本のシリンダーで行っている)。
長繊維材成形に適した成形機「GL60」  炭素やガラスの長繊維で強化した樹脂を成形する場合、繊維を切断し強化の効果をなくしてしまうおそれがある。V-LINE自体に切断を防止する効果があるが、さらにスクリューの形状を工夫し (具体的な内容は言えないとのこと)、強化繊維による効果が保たれるよう成形を行う。
アウトガスを抑制する成型機「GL100」  PPS (ポリフェニレンサルファイド)はエラストマー成分を含むため、成形中にガスを発生しやすい。ガスが発生すると成形品を汚したり、金型が詰まるなどの問題が起こる。
 ソディックのV-LINEシステムには、ガス発生を抑える効果があるが、さらに中間にベントを入れてガスを真空引きするシステムを採用している。

樹脂ブロー成形機と樹脂製燃料タンク

プラコー 小型樹脂燃料
タンク成形機
 プラコーは、小型 (40L前後)樹脂燃料タンク製造用の多層ブロー成形機 (6SOB-1型)を開発した。パネルと映像で成形機を紹介し、その成形機で製造した小型樹脂燃料タンクを展示した。
 プラコーは、ブロー成形機とフルム成形機を生産し、フィルム成形機では、樹脂燃料タンク製造に使用する6層の樹脂の経験がある。その経験が今回の開発に活きたとのこと。
日本製鋼所 (JSW) 八千代工業製
樹脂燃料タンク
 日本製鋼所 (JSW)は、同社の成型機を使用して八千代工業が生産している「ビルトイン燃料タンクシステム」を展示した。タンク本体をブロー成形すると同時に、バルブ、揺動音抑制バッフル、チューブを内蔵化 (ビルトイン)している。またバルブからの漏れをゼロにし、タンク全体でのHC透過量を同社従来品比12%削減した。

 

 



積水化成品工業の発泡樹脂

 

ピオセランを使用した製品 ピオセランを使用したバンパー芯材
積水化成品工業が出展した、ピオセランを使用した製品。写真右はリアシートスペーサー、中央の2つが嵩上げ材、左は下肢部衝撃吸収材 ピオセランを使用したバンパー芯材、歩行者への衝撃を吸収し、ダメージを軽減する効果がある。
エンジンカバー
積水化成品が出展した、CFRP複合発泡成形体を使用するエンジンカバー (試作品)

 

積水化成品工業の発泡樹脂

ピオセラン  積水化成品工業が開発したピオセラン (PIOCELAN)は、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体で、耐衝撃性、耐薬品性、耐摩耗性に優れる。バンパー芯材、下肢部衝撃吸収材、嵩上げ材、タイヤスペーサーなどとして、日本の全乗用車メーカーに採用されている。大型家電製品の、緩衝梱包材としても利用されている。
 従来品の発泡ポリプロピレン (EPP)と比較して、1.2倍の耐衝撃性を有し、より軽量化・コストダウンが可能。歩行者保護 (バンパー芯材の場合)、乗員保護の性能にも優れる。
CFRP複合発泡成形体 (開発品)  積水化成品工業は、CFRPのシート層の間にコア材として挟み込む発泡樹脂を開発中。これにより、高剛性、衝撃吸収性を保ちながら、軽量化・低コスト化を目指す。
 用途に合わせて、アクリル系樹脂発泡体、耐熱PS (ポリスチレン)、特殊ポリエステル系耐熱樹脂、などの発泡体を開発している。写真を掲載したエンジンカバー (試作品)は、特殊ポリエステル系樹脂を使用し、耐熱性が約180℃と高い。

 

 



電鋳金型を使う真空成型と、プラスチックへの電気めっき

 KTX (株)は、ポーラス電鋳金型を使用する真空成型で製造した、ホンダVezelのセンターコンソールとChevrolet Traverseのインストルメントパネルを出展した。KTXは、さらに徹底した温度管理を可能にし、難流動性材料の薄肉射出成型が可能なMPM電鋳金型を開発した。

 塚田理研工業は、プラスチック上への電気メッキを特色とする表面処理加工メーカー。車関連では、トヨタ、日産、ホンダ、富士重工、スズキなどの部品の加工を行っている (商社経由も含む)。1963年に、日本で初めて、プラスチック上への電気めっきの工業化に成功した。

 現在は、欧州の高級車が採用しているサテン調 (光沢を抑えた、しぶいプラチナのようなメッキ)が、日本車でも多く採用されている。

 

Vezelのセンターコンソール Traverseのインストルメントパネル
KTX社が出展したホンダVezelのセンターコンソール (白色枠内が、KTXの「ポーラス電鋳金型を使用する真空成型」で製造、オレンジ色矢印が指す部分は本革製品) 「ポーラス電鋳金型を使用する真空成型」で製造したChevrolet Traverseのインストルメントパネル (写真の黒っぽく見える部分は除く)
Lexus IS-Fのパドルシフト マスキングめっきと2色成型品
塚田理研工業がめっきを担当したLexus IS-Fのパドルシフト 塚田理研工業のマスキングめっきと2色成型品、マスキングの緑色の部分はマスキング溶液。

 

ポーラス電鋳金型を使用する真空成型と新開発MPM工法

KTX (株) 真空成型 (ポーラス電鋳金型)  KTXは、「ポーラス電鋳金型を使用する真空成型」で製造したホンダVezelのセンターコンソールとChevrolet Traverseのインストルメントを展示した。この工法は、車用途でインストルメントパネルや内装品に幅広く採用されている。
 真空成型は、金型の上に温めて柔らかくした樹脂シートを乗せ、金型とシートの間の空気を一気に抜いて成型する。ポーラス電鋳金型は、電気鋳造金型 (下記参照ください)の一種で、無数の小さい通気孔を開け、真空成型を可能にした。
MPM工法Metaled Piping Mold  KTXはさらに、MPM電鋳金型 (Metaled Piping Mold)を開発した。金型裏面に蒸気や冷却水を通す配管を設け (共通の配管を蒸気と冷却水が交互に通る)、金型を急速に加熱・冷却するする技術を開発し採用した。
 それにより難流動性材料の薄肉射出成形が可能になり、さらに軽量・高剛性化を実現。電鋳金型の転写性を高めた。MPMにより製造された製品が市場に登場するのはこれから。
電気鋳造  KTXは、1980年代から電気鋳造 (Electroforming)技術を開発してきた。電気鋳造は、電気分解したイオンをモデル (原型)の表面に3~5mmの肉厚メッキ加工を行い、モデルの形状や表面の凹凸をきわめて忠実に再現することができる加工技術。KTXは日本、米国、ドイツで特許を取得。
 モデルから電着したメッキ層を剥がして製品とするため、電気鋳造製品はモデルと正反対の形状となる。また、その製品を型として使用し、モデルとまったく同じ形状の製品を鋳造することもできる (電気鋳造金型=電鋳金型と呼ばれる)。

樹脂部品への電気めっき

塚田理研工業 ナイロン樹脂へのめっき  塚田理研工業がめっきを担当した、ナイロン樹脂製のLexus IS-F用パドルシフトを展示した。同社は、困難度が高いエンプラへのめっき方法を開発した。
マスキング  部分めっきは、通常マスキング溶液でめっきしない部分を覆って行う。写真では、緑色の部分がマスキング容液を塗った部分。
 マスキング溶液は、樹脂に粘着し除去するのが困難であり、通常マスキング溶液の上に塗装してマスキング液を隠している。塚田理研工業は、高い寸法精度が求められる製品向けに、工程内でマスキング溶液を除去可能な、「TPマスキング」も開発した。
2色成型品へのめっき  難めっき素材 (PC)などと、めっきが容易なABS素材を組み合わせた部品をめっきすると、マスキングしなくてもABSの部分のみめっきされ、難めっき素材の部分はメッキされない加工が可能。意匠性や異音 (めっきすることにより他の金属と接触して異音を発する)の対策にも有効。 (部品を開発・生産するメーカーから、開発段階に素材の選定について相談を受けることがあるとのこと。)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>