BYD (比亜迪) の事業戦略:EV/PHVのグローバル拡販体制を強化

ダイムラーと共同開発のEVの生産販売を開始

2014/10/27

要 約

BYDの自動車販売台数 本レポートは、EV/PHVの技術で中国自動車メーカーのトップに立つBYD (比亜迪股份有限公司) の自動車事業に関する最新の事業方針、保有している自動車新技術、乗用車ならびに商用車の新車投入計画 (中期モデル計画)の最新動向を報告する。

BYDの自動車販売は伸び悩み

 近年、BYDの自動車販売は全体が伸び悩んでいる。2008年、2009年と急成長して2010年には50万台の販売を達成したが、その後50万台前後の販売にとどまり、市場の拡大に追いついていない。

PHV中国市場シェアは首位

 一方で、BYDは2014年上半期 (1~6月) において、中国の次世代自動車市場シェア (EV/PHV/FCV合計、LNG/CNG等の代替燃料車を含まない) は約37%に達してトップクラスになっている。うち、PHVセグメント市場では60%超えて首位になっている。

自動車事業は低収益ながら、営業外収益で黒字を維持

 2013年の売上高は528億元、営業利益は1.1億元で営業利益率は0.2%だった。しかし、7.8億元の営業外収益があったために、最終損益は7.8億元の黒字になった。

新技術開発とその搭載モデルの投入計画

 BYD は次世代の総合自動車技術として 「542 Technology」 を掲げ、EV/PHV 技術を活用し競争力のあるモデルの投入を計画している。

Daimlerと共同で開発した初モデル、EV乗用車の生産販売も開始

 BYD とDaimler と折半出資した合弁開発会社 (深圳市) が、共同で開発した初モデル、「騰勢 EV 2box」 EVハッチバックを、BYDの深圳工場で生産を開始。2014年9月から上海を皮切りに (予約) 販売を開始した。

EVで公共交通車両電動化をグローバル展開に加え、PHV/EV拡販を更に加速

 独自の車載用二次蓄電池技術やPHV動力システム技術を有するBYDは、タクシーや公共バスなどの公共交通車両の電動化に向けて、ソリューション・ビジネスをグローバル規模で展開中。

関連レポート
 2014年北京モーターショー取材: BYDの展示 (2014年5月掲載)



BYDの最近の販売状況は伸び悩み

 近年、BYDの自動車販売は全体が伸び悩んでいる。2008年、2009年と急成長して2010年には約52万台の販売を達成したが、その後2011年、2012年は低迷が続き50万台を割り込む販売結果に終わった。2013年に再び50万台まで回復し、2014年初に発表したBYDの販売計画では2014年は55.5万台。しかし、2014年1-9月累計では前年同期比19.4%減と、販売に勢いがなく苦しんでいる。

 販売不振の原因は、これまで販売の中心だった小型セダンとハッチバックのガソリンエンジン車の競争力が不足していたことである。一方、2010年から参入した MPV や2011年から投入した SUV は順調に販売を伸ばしている。

▽BYDグループの自動車販売台数実績
(台)
子会社 車型 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2013年
1~9月
2014年
1~9月
BYD Auto 轎車 448,397 517,087 385,451 368,071 406,501 304,812 218,881
   (内数) EV/PHV 48 480 1,014 2,891 2,691 1,920 11,477
SUV - - 60,198 86,851 93,168 62,278 74,252
MPV - 2,719 2,835 1,134 6,521 4,359 4,823
合計 (乗用車) 448,397 519,806 448,484 456,056 506,190 371,449 297,956
EV/PHVの割合 0.0% 0.1% 0.2% 0.6% 0.5% 0.5% 3.9%
長沙比亜迪客車 大型バス
(EV仕様モデルを含む)
- - 313 262 434 421 1,469
中型バス - - 10 - - - -
合計 (商用車) - - 323 262 434 421 1,469
BYD グループ合計 448,397 519,806 448,807 456,318 506,624 373,885 301,441

 

 



PHV中国市場シェアは首位、好機到来

 BYDは中国メーカーの中で、2003年の会社設立以来一貫して EV/PHV の技術開発に力を入れてきており、EV乗用車や EVバスでは欧米メーカーに対しても強い競争力を持っている。 BYD は2013年12月に PHVセダン「秦」を発売したことで、2014年1-9月の同社の乗用車の EV/PHVの販売台数は前年同期比約6倍の 11,477台を記録。通年では2万台の販売を計画 (内訳:EVバス「K9」を含む、「e6」と合わせたEV は5,000台、PHV セダン「秦」は1.5万台)。

 そして、BYD は2014年上半期 (1~6月) の、中国の次世代自動車市場シェア (EV/PHV/FCV合計、LNG/CNG等の代替燃料車を含まない) は約37%に達してトップクラスになっている。うち、PHVセグメント市場では60%超えて首位になっている。2009年に中国政府が新エネルギー車 (EV/PHV/FCV および代替燃料車など) 産業を国の戦略的な新興産業と指定していたが、販売は伸びなかった。2014年に入って、大都市の大気汚染対策でも有効なEV車を優遇する政策に、中国中央政府や地方政府は本格的に取り組み始めたことから、今後急速にEVの販売が伸びることが予想されている。これはBYDにとって、拡販とイメージ向上の絶好の機会がやってきている。

 

 



自動車事業は低収益ながら、営業外収益で黒字を維持

 2013年の売上高は528億元、営業利益は1.1億元で営業利益率は0.2%だった。しかし、7.8億元の営業外収益があったために、最終損益は7.8億元の黒字になった。2014年上半期も売上高は2.6%増の267億元、営業利益は22.4%増の3.3億元だが営業利益率は1.2%と低い。しかしながら、中国政府からの補助金などを含む営業外収支が大きく、最終損益は黒字を維持してきている。

BYD グループの連結決算実績

単位: 百万元
2011暦年 2012暦年 2013暦年   2014暦年
上半期
 
前年同
期比 (%)
前年同
期比 (%)
売上高 48,882 46,854 52,863 12.8 26,716 2.6
   自動車
関連業務
割合 (%)
自動車/その関連製品 48.9 50.2 49.8 - 46.1 -
蓄電池・新エネルギー
(PV& Photovoltaic)
10.1 10.0 9.5 - 8.9 -
営業総原価 47,935 47,147 52,708 11.8 26,375 2.5
内数  営業原価 40,439 40,153 44,746 11.4 22,254 1.6
販売費用 1,800 1,512 2,012 33.1 986 (0.5)
営業税等の税金 970 1,109 1,203 8.5 464 (26.7)
投資収益 504 (11) (48) - (7) -
営業利益 1,410 (304) 107 - 333 22.4
営業利益率 (%) 2.9 (0.6) 0.2 - 1.2 19.3
営業外収益 n.a. 662 776 17.2 363 (1.4)
経常利益 (税引前利益) 1,728 291 832 185.9 649 5.0
当期純利益 1,595 213 776 264.3 562 4.9
少数株主損益 211 132 223 68.9 201 84.4
親会社持ち分 1,384 81 553 582.7 361 n.a.
総資産 65,624 68,711 76,393 11.2 86,680 11.1
資本金 2,354 2,354 2,354 - 2,476 -
資料:BYDの各年アニュアルレポートより
注: 最後の一桁は四捨五入。 「( )」内の赤色数値はマイナス値を表す。太い文字項目は自動車関連。他に携帯電話部品組立て事業などがある。
2012年以降の営業外収益は、主に、新エネルギー事業 (工場建設など) の各種中国政府からの補助金収入。

 

 



グローバル自動車事業方針

将来の自動車市場に対する見方: EV/PHV拡販にチャンス

 農村地域の都市化も確実に進んでおり、これに加えて国民の所得水準も向上していることから、今後も中長期的に自動車市場は安定的かつ持続的な成長をするとみる。
 次世代自動車技術が日進月歩するにつれ、内燃機関を動力とした所謂「従来型自動車」に比べて、品質ならびに経済性の面等における優位性が顕在化しつつあり、これから数年にわたって中国での爆発的な販売もあるとみている。
 「従来型自動車」より、EV/PHV等は、自動車業界発展の方向に適合した仕様モデルであり、次世代自動車として位置付けられ、今後はますます社会の需要が増えていくであろう。

 

EV/PHVなど、次世代自動車の事業方針

 BYDは今後も、自動車製造技術に加えて、自ら保有している蓄電池技術、新エネルギー技術、IT技術等の、新技術における優位性を十分に発揮させる方針である。
 (1) 主に国内で、社会公共交通システム分野や消費者向け自動車市場における、次世代自動車の導入を積極的に推し進めていく。 これに加えて、次世代自動車へのブームに乗って、グローバル規模で次世代自動車の拡販を推進させる。
 (2) 次世代自動車の新車開発と実用化にもより一層注力していく。あらゆる資源を活用して、充電システム等の次世代自動車ならではのインフラ施設を完備させる。
 (3) 次世代自動車分野で、中国国内でのリーダシップを保持するに止まらず、グローバル規模の拡販を実現して、次世代自動車業界におけるグローバル・リーダーを目指す。
 (4) 車載デジタル機器用を含む蓄電池、とりわけ、リン酸鉄リチウムイオン蓄電池の生産体制を拡大させる。
▽当面の次世代自動車の具体的対応策 (2013暦年アニュアルレポートより)
 <技術戦略>
 BYDは技術戦略として、EV/PHV技術に加えて、2014年から自動車製品の電子化/スマート化を強化し、インターネット技術の自動車への応用普及を推し進めている。
 <公共交通市場向け販売>
 EVバスやEVセダンを中心に公共交通または公用車市場への次世代自動車の拡販・応用普及に注力。今後も、この所謂「公共車両電動化」(公共交通車両のEV/PHV/FCV仕様モデルへの移行) を継続的に推進していく。
 <個人向け販売>
 政府の補助を活用して、個人市場向けの次世代自動車の普及を図る。当面はとりわけ、BYD自主ブランドの二代目PHVセダン「秦」、および Daimler との初の合弁ブランド「騰勢 (DENZA)」のEV ハッチバック 「騰勢 EV 2box」 の中国全国規模での個人顧客への拡販に注力する。
 <提携戦略>
 BYDは、Daimlerとの完成車技術提携を結び、「騰勢 EV 2box」 にBYDのリン酸鉄リチウムイオン駆動用蓄電池を採用している。高性能電池を他社へ供給することで、中国ないし世界の自動車業界における次世代自動車分野での影響力を向上させる狙いもある。

 

 



BYD自動車新技術

BYDの自動車関連技術 (2014年4月時点)

名称 詳細
BYD 542 Technology
(次世代自動車総合技術)
 「542 Technology」の略称で、BYD が2014年4月 (北京モーターショー2014 技術展示) に発表した、自主開発した次世代自動車総合技術。
 うち、"542"とは、下記の意味を有する造語である。
  ① "5"は 0→100km/hへの加速が5秒以内、
  ② "4"はモーター付4WDシステムを採用、
  ③ "2"は100km走行での燃料消費量が 2Lを実現。
▽「542 Technology」の主な構成技術:
【駆動用車載二次蓄電池】
  「BYD DM」の初代、および2代目となる「BYD DM II」と同じの自社製リン酸鉄リチウムイオン系駆動用蓄電池を採用するが、最大容量はこれまで一番高出力・高電圧の18.4kWh仕様の新型蓄電池モデルを採用。(尚、「BYD DM」初代の同蓄電池の最大容量は16kWhで、「BYD DM II」は同10kWh。
【三つの動力源】
  BYD自社製の、「6H DT45」変速機に組み合わせる直噴式の排気量2.0L ターボエンジン 1基と、前輪及び後輪に搭載する駆動モーター (1基あたりの最高出力110kW) 2基を搭載。高出力/高回転速度/高効率パワーが実現。
【四輪駆動システム】
  電子制御四輪駆動 (4WD) システム構造。路面状況によって電子制御で自動的に4WDと 二輪駆動 (2WD) が切り替わるために、より一層運転しやすくなった。
BYD DM II Technology
(PHV動力システム技術)
 BYDが自主開発した2代目プラグイン・ハイブリッドシステム技術 (PHV動力システム技術) 、「Dual Mode Ⅱ Technology System」 の略称。「DM II」の"II"は 2代目を示す。
 うち、「Dual Mode」(略語"DM") とは、駆動用車載二次蓄電池で駆動モーターを動かす "EVモード"と、加速に用いる "EVモード + エンジンモード" の、二つの運行モードを示す。なお、車が減速時のエネルギーは、電気に転換されて、駆動用蓄電池に備蓄される。
BYD "TID"
パワートレイン技術
 "TID"は、"Turbo charge"、" Internal fuel direct injection"、"Dual-clutch transmission" (DCT) の頭文字で表すBYDのパワートレインモジュールの略称。新型直噴ターボエンジンとDCTを組み合わせたパワートレインで、世界先進水準という。
 同モジュールは、2014年に発売した「G5」に搭載した。排気量1.5L ターボエンジン (定格出力113kW/最大トルク240Nm) と、6速DCTを組み合わせる。
 なお、2014年北京モーターショーのBYD技術展示コーナーでは、排気量 1.2L (1.2TI型) と2.0L (2.0TI型) の新型ターボエンジンや、マニュアルモード付AT合計2機種 (ドライ式 AT (6DT25型)/ウェット式 AT (6DT35型) の、BYDの先端技術を採用した高性能パワートレインも展示した。
BYD グリーン・ハイブリッド・エナジー・マネージメント・システム
(BYDのハイブリッド技術)
 BYDのハイブリッド技術 (中国語表記"緑混能源管理系統":英語表記"BYD Green Hybrid Energy Management System")。現行の内燃機搭載車に低コストで付け加えられて、自動車エネルギー・フローを制御することによってエネルギー消費より効率化し、省エネ・エコが実現できるのが特徴である。
 主なポイントは、
  ① 完成車の鉛フリー: BYD自社製リン酸鉄リチウムイオン電池 (電圧48V) によって、駆動用とスターター用の2種類の蓄電池 (power and ignition battery) が一体化した。つまり、従来車搭載のスターター用電圧12Vの鉛蓄電池 (lead-acid battery) 搭載を無くし、その機能が駆動用リン酸鉄リチウムイオン電池に統合された。
  ② 低燃費・スマート化: 低電圧/高トルク、二重巻線形回転子モーター技術 (duplex winding electric motor technology)を採用。100km当たりの燃費が1.5L削減できる。
BYD リモート・
ドライビング・
システム
(BYDのリモート制御運転システム)
 英語名称は"BYD Remote Driving Control System"。20メートル可視範囲内で、エンジンの起動/停止、前進/後退/左右方向転換、変速 (低速運転制御) 、ブレーキ、駐車などが、リモコンによって機能操作できる。
 初代モデルは2013年上海モーターショーで、2014年北京モーターショーで発表された2代目は、初代の片手での操縦式システムを、両手での操縦式に改良し、リモート感度や精密さ等向上・改善。BYDは、新型同システムをB級セダン「G5」に装備した。
BYD i 技術
(テレマティックスを含む
車載ネットワーク
サービス技術)
 BYDが自主開発した車載ネットワークサービス・プラットフォーム (2013年上海ショーでは人形ロボットを設置)。インパネ上部に設置されており、テレマティックス/クラウド・コンピューティングなどの機能を有し、運転手の表情/しぐさ/言葉でコミュニケーションができる。
 ヘッドアップ・ディスプレイ (HUD:Head-Up Display)など、中国モデルでまだ珍しい先端装備が搭載されているのが特徴。
BYD 車内PM2.5
空気浄化技術
"PM2.5 緑浄技術"
 英語名称は"BYD PM2.5 Green Clean Technology"。BYDが開発した車内空気に含まれる微小粒子状物質であるPM2.5を、浄化して車内空気を改善する空気浄化の新技術。2014年10月に発売した新型SUV 「BYD S7」 に初採用している。
 カーエアコンシステムに同技術を取り入れ、車内・車外でのPM2.5検出・測定、車内空気の濾過・殺菌・消臭を機能する。四段階の空気浄化を経て車内空気のPM2.5値は12μg/㎥以下にされる。
BYD蓄電システム技術
(BYD Two Way Charge-discharge System)
 世界を牽引している、充電と給電という双方向で電流が流せる蓄電システム技術 ( BYD Bi-directional Charging and Discharging Technology)。
 BYDが初めて、市販EV ハッチバック 「e6」 に標準搭載。この技術により、e6が移動式の蓄電池として用いることもできる機能も有する。

 

542 Technology
BYDの次世代自動車技術「542 Technology」
(北京モーターショー2014展示取材)
BYD i 技術
BYDの車載ネットワークサービス技術「BYD i 技術」
(上海モーターショー2013のBYDプレスキットより)

 

 



モデル計画: 現行のEV/PHV乗用車/EV大型バスに加え、EVトラック等追加へ

BYDの主な新型車導入状況 (モデル計画を含む)

▽BYD Auto (比亜迪汽車)
モデル 発売時期
(予定)
詳細
e6
(EV)
2010年3月  航続距離は最大300kmあり、、航続距離が発売当時は世界で一番長いと言われたEVハッチバック (5人乗り、個人向け)。ボディの全長/全幅/全高/ホイールベースはそれぞれ、4560/1822/1645/2830mm。車両重量は2380kg。最高走行速度は140km/h。急速充電専用スタンドで、80%まで充電の所要時間は15分。電気消費量は19.5kWh/100km (メーカー発表)。標準販売価格は30.98万~33万元。
 動力システム (最高出力90kW/最大トルク450Nm) は、BYD製高容量リン酸鉄リチウムイオン電池、永久磁石同期モーター (最高出力75kW) 等を組み合わせる。
思鋭
(Si Rui)
2013年4月  BYD が次の成長をかけた Dセグメント主力戦略車 (フラグシップセダン、2012年広州モーターショー初披露)。安全性/利便性/快適性をコンセプトに開発。全長4870/全幅1830/全高1460/ホイールベース2755mm。販売価格は10.39万~15.09万元。
 動力システムは、最大出力113kW/5200rpmおよび最大トルク240Nm/1750~3500rpmである、自社製BYD476ZQA型の1.5L ターボエンジンと、6MT/マニュアルモード付 6速DCT を組み合わせる。排気ガス基準Euro 4/5 に適合。
 BYD独自のリモート・ドライビング・システム (*注) のほか、インパネ上部に設置された車載ネットワークサービス・プラットフォーム「BYD i 」(本文掲載写真をご参照ください)、ヘッドアップ・ディスプレイ (HUD:Head-Up Display)など、中国モデルでまだ珍しい先端装備が搭載されているのが特徴。
 このほか、Bosch 9世代ESP、エアバッグ12個、360度サラウンド・ビュー・モニターシステム、メモリーパワーシート、10.2インチ・タッチパネル式スクリーン、12.1インチ・デジタルインパネも装備。

(PHV)
2013年12月  BYD 2代目プラグイン式ハイブリッドシステム"BYD DMⅡ System" を搭載した初の量産車 (セダン)。2012年4月北京モーターショーで発表した「秦 Concept」がベースモデル。全長4740/全幅1770/全高1480/ホイールベース2670mm (BYDの初代PHV 「F3DM」は同4533/1705/1520/2600mm)。政府補助金を含む販売価格は18.98万~20.98万元 (「F3DM」は16.98万元)。
 最高速度は185km/h。0→100km/hまでの加速は5.9秒。EV モードでの航続距離は最大 70km。一般家庭電源でのフル充電は5h。EVモードで90%走行とエンジンモードで10%走行を合算した、100km当たりの総合燃費は1.6L。
 搭載プラグイン・ハイブリッドシステム (最高出力217kW) は、BYD自製ターボエンジン「BYD476ZQA」 (排気量1.5L) に、最高出力110kWのモーター (合計2基) およびDCT (デュアルモードクラッチ・トランスミッション) 等を組み合わせる。
 自主開発した「リモート・ドライビング・システム」や、インパネの上部に、テレマティックス/クラウド・コンピューティングなどが機能する車載ネットワークサービス・プラットフォーム「BYD i 」をオプション装備。このほか、Bosch製HV向けのブレーキシステム/9世代 ABS+EBD、360度サラウンド・ビュー・モニターシステム、合計12個のエアバッグ、メモリー・パワーシートシステムを装備。
G5
(智領)
2014年9月  IT技術を多く実用化した中国で優位性あるスマートプラットフォームを採用したA+級アーバンスポーツセダン。IT等スマート技術を活用した、BYDが次世代モビリティへの先駆車と位置付けているモデル。6タイプで、標準販売価格は7.59万~10.29万元。
 排気量1.5L TI/TID 直噴ターボエンジンに、6速MT/マニュアルモード付6速AT を組み合わせる。三重セキュリティースマートフォン・キー (Bluetooth Key) でロック・オン/オフ、エンジン点火、トランクの開閉の操作ができ、スマートフォンメールでの自動車使用権限の一時的譲渡もできる。
 装備面で、キーレススタートシステム、360度ビューモニターシステム、Bosch 9代目横滑り防止装置 (ESC/ESP: Electronic Stability Control)、タイヤ空気圧警報システム(TPMS)、PM2.5浄化システム、8方向調整ができる運転席、リモート運転機能装備を採用。
S7 2014年10月  2014年4月に発表したBYDの上級 SUV (3列/4WD、既存市販車「S6」がベースモデル)。全長/全幅/全高/ホイールベースは、4835/1855/1720/2730mm。BYD S6 (同4810/1855/1680(1725)/2720mm) より、ボディサイズが大きい。販売価格は約15万元。今後、2列仕様モデルを追加する予定がある。
 広い車内空間/ハイパワー、より知性的という市場ニーズに応えることをコンセプトに開発。四輪駆動システムを採用したことにより、安定性やオフロード性能が従来モデルに比べて大幅向上した。
 動力システムは、BYD自社製の排気量2.0L (最大151kW/320Nm) のターボガソリンエンジンと、6MT/マニュアルモード付6DCTを組み合わせる。BYD量産車で初めて新開発したPM2.5浄化技術を採用。
 ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)、Bosch 9代目ESP (=ESC)、タイヤ空気圧警報システム(TPMS)、360度サラウンド・ビュー・モニターシステム、アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)、12.1インチ・デジタルインパネを装備。

(PHV)
2014年
第4四半期
(予定)
 2014年北京モーターショーで世界初披露。BYDの新型SUV (フルタイム4WDドライブ)。2014年内発売予定の「BYD S7」がベースモデル。全長4810/全幅1855/全高1720/ホイールベース2720mm。0→100km/hへの加速は4.9秒。航続距離は、EV走行モードで85km。燃料消費量は2.0L/100km。2014年第4四半期に発売の予定。
 自社の「542規格」に準ずる初めてモデル。発売済みのPHVセダン「秦 (Qin)」と共通の「BYD DMⅡ」 BYD2代目プラグイン・ハイブリッド動力システム (最高出力371kWで、最大トルク720Nm)を採用。排気量6.0Lの内燃機関が出せるパワーに相当するとしている。
 排気量2.0L直噴タイプの"BYD487ZQA"型の自社製直噴式ターボエンジン (定格出力151kW/最大トルク320Nm)、最新型自社製リン酸鉄リチウムイオン電池 (容量18.4kWh)、マニュアルモード付6速AT ("6HDT45")、前輪駆動用と後輪駆動用のモーター(1基当たりの最高出力110kW/最大トルク200Nm) 各1基/合計2基を組み合わせる。
M3 DM
(PHV)
2015年以降
(予定)
 BYDのプラグイン・ハイブリッドMPV。詳細は明らかにしていないが、BYDの2代目プラグイン・ハイブリッドシステム"BYD DMⅡ System" を搭載。
秦 EV 2015年以降
(予定)
 現行量産PHV「秦」(Qin) のEV仕様モデル (セダン)。前輪駆動で、全長4740/全幅1770/全高1500/ホイールベース2670mm。車両重量は1800kg。0→100km/hへの加速は7.9秒以下。最高速度は150km/h。航続距離は最大200km。
 動力システムは、自社製新型駆動用リン酸鉄リチウムイオン電池 (最大容量37.7kWh、先代より高出力高電圧)に、駆動モーター (最大出力160Kw/最大トルク310Nm)を組み合わせる。電気消費量 (メーカー発表) は16.5kWh/100km。

(PHV)
2015年内
(予定)
 BYDの新型PHV乗用車。2014年4月開催していた北京モーターショー 2014で発売時期を発表された。詳細情報は明らかにされていないが、0→100km/hへの加速時間は4.9秒未満と報じられている。

(PHV)
2016年内
(予定)
 これまでのプラグ・イン・パワートレインシステムを搭載する予定の、BYDの新型PHV乗用車。2014年4月開催していた北京モーターショー 2014で発売時期を発表された。モデル仕様の詳細は明らかにされていないが、四輪に、それぞれ単独の駆動用モーター 1基、合計4基が搭載し、「DM II」と合わせて6つの動力源がある、新しい動力システムを採用する。

 

G5 3box
BYDの「G5 3box」
(北京モーターショー2014展示取材)
唐
BYDのプラグイン・ハイブリッド SUV 「唐」
(北京モーターショー2014展示取材)

 

▽BYD-Daimler
モデル 発売時期
(予定)
詳細
騰勢 (DENZA) EV 2box 2014年9月
(上海から)
 BYDとDaimlerの合弁会社「深圳比亜迪戴姆勒新技術有限公司」(Shenzhen BYD Daimler New Technology Co., Ltd.: BYD-Daimler) の合弁ブランド「騰勢(DENZA)」初の市販モデルである、EVハッチバック (4ドア2列5座席)。車両重量は2090kg (車両総重量2550kg)。全長4642/全幅1850/全高1642/ホイールベース2880mm。トランク容量は460L。
 BYDの深圳工場で生産し、2014年9月に上海での販売予約を開始。標準販売価格は36.9万~39.9万元 (政府の各種補助金約11.4万元受け取り後)。電気消費量 (メーカー発表) は18.9kWh/100kmで、電気消費コストでは約20元 (2014年4月時点の中国標準平均電気料金で換算)。
 航続距離は最大300km。フル充電時間は、一般家庭電源 (220V電圧) で7時間、専用急速充電スタンドでは1時間 (最高出力22kW専用充電装置で3時間)。0→50km/hの加速時間は4.3秒。最高走行速度は150km/h。中国安全認定試験で最高のC-NCAP五星に認定された。
 EV動力システムは前輪駆動式 (出力は最高86kW/定格68kW、トルクは最大290Nm/定格177Nm)。BYDの駆動用リン酸鉄リチウムイオン蓄電池 (LFP) セルは、最大容量47.5kWh/総重量550kgで、固いアルミケースに包まれ、車体の下に搭載。永久磁石同期駆動モーター、シングル減速機を搭載。
 18インチのアルミ製ホイール、レザーシート、操作性にこだわったカーナビ、Bosch製 ESP、スマートキーレスエントリーシステム、駐車補助システム、タイヤ空気圧警報システム、エアバッグ(6つ/8つ)、ACC、盗難防止電子システム、遠隔監視制御(サービス)システムを装備。
DENZA EV 2box
DaimlerとBYDと初の合弁開発乗用車「騰勢 (DENZA) EV 2box」
(北京モーターショー2014展示取材)

 

▽長沙比亜迪客車などの商用車事業
モデル 発売時期
(予定)
詳細
K9
(EV)
2011年8月  合計32 (29+2+1) 座席を有するEV大型バス (型番:CK6120LGEV)。ボディの全長/全幅/全高/ホイールベースはそれぞれ、12000/2550/3360/5950mm。ノンステップタイプで、一般市販同型バスより低い床設計も一つの特徴。標準販売価格は250万元から。
 最高速度は70km/h以上(メーカー発表)。0⇒ 50km/hまで加速は23秒以下。航続距離は、40km/h等速走行モードで400km以上であり、アーバン走行モードで250km以上。
 動力システムは電圧540Vで、総容量600Ah。リア・アクスル両側に組み合わせられたそれぞれ1台 (合計2台) の駆動用モーター 「BYD-TYC90A型」は、BYD 自社製永久磁石同期モーターで、最高出力90kW/最大トルク 500Nm。BYD自社製のリン酸鉄リチウムイオン駆動用蓄電池と組み合わせる。
 装備面では、運転手の個人ID自動車識別機能を有し、ワンボタンクリック起動式のスマートキーを採用。 身体障がい者や幼い子供連れの方を配慮する専用スペースも設けている。トップ設置タイプの冷暖房システムを装備。
 BYDは、EV大型バスでKシリーズとして、「K9」以外のシリーズモデルの導入も計画中。
T3
(EV)
n.a.  既存市販EVハッチバック「e6」をベースにして、BYDが自主開発したEV Pickupトラック。全長5200/全幅1822/全高2230/ホイールベース3030mm。2014年8月頃、インターネット・ニュース・サイトで写真が掲載された。
T5
(EV)
n.a.  BYDが自主開発した運送用車両市場向けのEV 軽型トラック。 2014年8月にインターネット・ニュース・サイトで写真が掲載された。
T7
(EV)
n.a.  BYDが自主開発したアーバン清掃用車両市場向けの大きいサイズのゴミ収集用 EV トラック。 2014年8月にインターネット・ニュース・サイトで写真が掲載された。
CシリーズEV 公共バス n.a.  長距離公共バス市場向けのEV公共バス。

 

 



EVバス/EVタクシーを公共交通向けにグローバル展開

BYD の「K9」を主としたEVバス拡販に向けての主な展開概要

主な動向
中国国内
▽中国でのBYD 次世代自動車拡販状況
  2014年5月時点、長沙/韶関 (湖南省)、西安/宝鶏 (陜西省)/南京 (江蘇省)/杭州 (浙江省)/天津/大連 (遼寧省) など大都市の公共交通グループと提携し、「秦」(PHV)/「K9」 (EV大型バス) などの次世代自動車の、販売ならびにレンタルカー等の、公共交通車両における電動化ビジネスを推進。
  2014年3月末時点、深圳市に、公共バスとして EV大型バス「K9」計220台と、タクシーとして EV ハッチバック 「e6」計850台 導入済み。
  2014年5月、香港にはタクシーとして、初導入の「e6」(EV)の運行営業を開始した(台数不明)。
▽「"ゼロ"販売ソリューション方式」マーケティング戦略導入
  2012年11月、公共バス/タクシー業界を主なターゲット顧客として、新車導入の資金難問題を解決するため、BYDは「頭金ゼロ購入」「ゼロコスト」 (*注) 「ゼロリスク」「排気ガスゼロ」を組み合わせた、所謂「"ゼロ"販売ソリューション方式」を中国で初めて導入・実施。

 *注: 5年間の新車保証がつく。同型ガソリン車と比べたエネルギー・運営コストの節約が購入費用の増加を上回るという。
海外
▽「K9」EV大型バスを主とした、次世代自動車ビジネス動向
  2014年6月時点、すでに、米国/カナダ/オランダ/イスラエル/ウルグアイ/コロンビア等のディーラーや、公共交通機関等のユーザーからは、EV/PHV (次世代自動車) の大型受注を取得。
  今後、海外の公共交通グループと提携し、一部現地KD生産も念頭に入れて、公共交通車両の電動化ソリューション・サービスと併行し推し進めて、BYDのPHV/EVの拡販を図っていく。
▽「K9」などのBYD次世代自動車の実車試験運行動向
  2014年5月時点、 「K9」 を主とした次世代自動車の、実車試験運行を、欧州/北米/南米/アジアを含む、海外合計10数カ国・地域 (*注) に順調に実行済み。
  *注: イギリス/フランス/ドイツ/スペイン/デンマーク/オーストリア/ハンガリ/ルーマニア/ポーランド/ベルギー/イスラエル/マレーシア/ブラジル/カリブ海地域など。
▽EUへの輸出規制をクリア
  2013年1月には、「K9」に関する、「WVTA」(Whole Vehicle Type Approval) ヨーロッパ連合(EU)完成車承認を取得済み。EUにおける「K9」の輸入販売ができるようになった。
▽近年、「K9」の主な受注実績
  2013年は、①オランダのSchiermonnikoog 国立公園や、Amsterdam Schiphol Airport (空港)、②米国のカリフォルニア州の運送会社、ロサンゼルスの公共バス会社から、BYD主力EV「K9」の大型受注を取得。
  2014年1~6月に、米国スタンフォード大学から、「K9」10台の注文 (2014年8月までに納車) を取得済み (進捗不明)。

 

(参考) 米投資家ウォーレン・バフェットのBYD親会社の比亜迪股份への資本参加

 2009年8月、米国の著名な投資家ウォーレン・バフェットが率いるMidAmerican Energy Holdings Companyの比亜迪股份への資本参加を受け入れるため、香港株式上場会社の普通株式 (1株1元) として合計225百万株を発行した。比亜迪股份の9.56%出資する4番目大株主になった (2013年9月末時点)。これによって、比亜迪股份の登録資本を2,275.1百万元に増額した。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>