ベトナム、マレーシア、ラオス、ミャンマーの日系部品メーカー

ベトナムでは輸出拠点の強化、マレーシアでは先端製品生産の動き

2014/06/23

要 約

 以下は、ベトナム、マレーシア、ラオス、ミャンマーにおける日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2014年5月下旬までの約7カ月間)。インドネシアでの日系部品メーカーの動向はこちらのレポートをご覧下さい。

 ベトナムでは、輸出拡大に向けた能力増強の動きが見られる。TPRは、アセアン各国での低燃費車需要の拡大を受けてバルブシートの生産能力を増強。藤倉ゴムは、ダイヤフラム、シール部品生産の第2工場建設。ニチリンはGM向けホース生産に対応する新棟建設し、矢崎総業はワイヤーハーネス生産の6、7つ目の工場建設を計画。マブチモーターは、電装用モーターの生産能力増強に加えて、省人化設備を導入。山下ゴムは本社機能を、ベトナムへ段階的に移管しており、自動車用防振部品のR&Dセンターが2014年7月に完成する。

 マレーシアでは、エルナーがハイブリッド車やエアバッグ複数装備の増加を踏まえて新ラインを増設し、車載機器向けプリント回路の品質向上、生産能力拡充を図る。ケーヒンは、日本で新開発された空調ユニットの量産開始を計画。

 ラオスでは、トヨタ紡織がタイのシート工場のサテライト工場を立ち上げシートカバー生産を開始。また、ミャンマーでは、豊田合成がアセアン地域でのエアバッグ増産に備え、コスト削減のために縫製協力工場確保に動いている。

 なお、タイでの日系部品メーカーの動向は、別途報告する予定。

 日系部品メーカー動向関連レポート:
インドネシア編(2014年6月)、米国編(2014年3月)
中国編(下):華南・華北・東北などでの動向(2014年3月)、中国編(上):華東・華中地域の動向(2014年3月)
中南米編(下)(2014年2月)、中南米編(上)(2014年2月)、
タイ編(上)(2014年1月)、タイ編(下)(2014年1月)、ASEAN編(2013年11月)
欧州編(2013年10月)、インド編(2013年8月)



ベトナム 新拠点設立、既存工場の拡充:東海ゴム、TPR、矢崎総業、ニチリン、藤倉ゴム、マブチモーター、ヨコオなど

会社名 活動内容
TPR
バルブシートの生産能力増強、アセアン向け輸出開始へ
 TPRは、2014年6月頃にTPR Vietnam Co.,Ltd.(Binh Duong省)でバルブシートの本格的な量産体制を整える。低燃費車需要の増加により日系自動車メーカーから大口受注があるため、月産能力を従来の40万~50万本から300万本に拡大。ベトナム、タイ、インドネシアなどでの需要拡大を見込み、2015年後半をめどにフル生産に近づけていく。このため、日本の工場で行っている焼結加工もベトナム工場で行うため、材料の配合から焼結、仕上げまで一貫生産できる設備を整える。投資額は5~6億円を想定。
東海ゴム
二輪・四輪用ホースの新工場が2014年1月に完成
 東海ゴム工業は、2012年7月に設立した二輪車・四輪車用樹脂ホース製造・販売子会社Tokai Rubber Hose Vietnam Co.,Ltd(Ha Nam省)の新工場が2013年12月に完成。投資額は約3.2億円。それまでは、住友電気工業グループの工場を借りて、二輪車用樹脂ホースを生産しているが、新工場建設を期に四輪車用の生産工程も整えた。先ずは、従来通り現地の日系二輪車メーカーに樹脂ホースや構成部品を供給し、将来的に自動車メーカーへの供給も計画。2018年度の売上高は、約9.3億円を目指す。
ニチリン
既存工場に新棟を建設し、二輪・四輪用ホースの生産能力増強
 ニチリンは、NICHIRIN VIETNAM CO.,LTD.(Bac Giang省)のホース工場の新棟建設が2014年8月に完成予定。設備増強により、二輪車用ホースの月産能力を従来比1割増の約50万本、四輪車用を同2倍の約90万本に引き上げる。総投資額は約4億円。四輪車用では合弁先のスペインの部品メーカーPalamos Hutchinsonとベトナムでの生産受託で合意し、2014年内にGM向けに月10万本のブレーキホース生産を開始。2017年には同30万本に増やす計画。同工場を米国や中国、アジア向け拠点として育成し、売上高を2013年の2850万ドルから、2018年に4700万ドルに引き上げる計画。
日鍛バルブ
二輪車用エンジンバルブの生産能力引き上げ、四輪車用ラインの設置は2016年以降に
 日鍛バルブは、2014年1月に量産を開始したNittan Vietnam Co.,Ltd(Bac Ninh省)の二輪車用エンジンバルブの年産能力を2014年の700万本から2015年に約800万本に引き上げる。四輪車用の生産ライン設置は、輸出向けの需要などに応じて2016年以降の生産能力増強で検討する。
藤倉ゴム
第2工場を建設し、ダイヤフラムやシール部品の生産量拡大
 藤倉ゴムは、FUJIKURA COMPOSITES HAIPHONG Inc.(Hai Phong市)の工場敷地内に第2工場を建設。2014年7月から本格稼働し、ダイヤフラムやシール部品を生産し、インドネシアやタイ向けの供給を増やす。2016年度の同子会社の売上高を、2013年度比2.5倍の14億円に拡大する計画。2017年度以降はベトナム工場での生産能力が追いつかなくなる可能性があり、周辺国での工場建設も検討する構え。
マブチモーター
電装用モーターの生産能力増強、省人化投資も
 マブチモーターは、2014年度にMabuchi Motor Vietnam Co., Ltd(Dong Nai省)で電装用モーターの生産能力を増強する。欧米自動車メーカー向けパワーウインドー用モーターは2013年度比1割増、日米自動車メーカー向け電動パワーブレーキ用は同4割増、パワーシート用は同2割増を計画。この他、人件費高騰に対応して、2016年までに2013年比3割の人員削減ができる省人化設備の導入を加速させる。
広島
アルミニウム
新規受注増に対応する第3工場が2014年8月に稼働
 広島アルミニウム工業は、HAL VIETNAM Co,.LTD.(Ha Noi市)の第3工場(Bac Ninh省)が2014年8月に稼働予定。新規受注の増加に対応するためで、ダイカストマシン10台を導入し、アルミ鋳造の四輪車用エンジン部品を生産する。投資額は3000万ドル(第1期工事分)。2014年末時点の月間出荷量は、第1、第2工場の800トンに第3工場の400トンが加わり、1200トンになる見込み。
矢崎総業
ベトナム南部にワイヤーハーネスの新工場建設へ
 矢崎総業は2014年1月、南部のTra Vinh省にワイヤーハーネスの新工場を建設すると発表。投資額は4800万ドル。従業員数は4000人程度を予定。アセアン地域全体の生産能力増強の一環で、工場の運営は、Yazaki EDS Vietnam, Ltd (Binh Duong省)が行う。着工時期、稼働時期、生産規模などは不明。また、もうひとつの現地法人のYazaki Haiphong Vietnam Ltd. (Haiphong市)は、2013年12月にQuang Ninh省で2つ目の分工場建設に着工した。投資額は3500万ドル。完成後は、ベトナムに2つの現地法人に、7つの生産拠点となる。
山下ゴム
R&Dセンターが2014年7月完成予定、防振ゴム等の基礎研究を拡充
 山下ゴムは、Y-TEC VIETNAM Ltd.(Hai Phong市)のR&Dセンターを2014年7月に完成させ、2015年に業務を開始し、主要な研究開発拠点を日本から移管する。間接費が低コストであることや、日本では優秀な人材採用に知名度を含め障害が大きいため。今後数年で、防振、制振、制音に使うゴムの材料や新分野の基礎研究や製品開発を拡充する。ベトナムでは同等規模の投資で研究員を3倍にすることが可能なため、従来は開発リソースの2割を研究領域に、8割を開発領域に振り向けていたものを、半々にする。また、テクニカルセンターを同年8月に完成させ、プレスや金型を内製する。
ヨコオ
2015年初に設備を増強、生産品目を拡大し輸出増
 ヨコオは、Yokowo Vietnam Co.,Ltd.(Ha Nam省)工場の第2期工事が2014年3月末に完了。月産能力が従来の約3倍の約100万台。2015年初めには、従業員1500人体制に拡大し、生産性は2014年初時点の3、4倍に引き上げる。これまで、日本市場向けに車載通信機器用ワイヤーハーネスやAM/FM用マイクロアンテナなどを生産してきたが、今後、生産品目を拡大してアセアン・米国・欧州・日本市場向けに順次出荷する。

 

 



マレーシア 生産能力拡充、新品目生産: エルナー、ケーヒン、東洋ゴム

会社名 活動内容
エルナー
生産設備の増強で、プリント回路の品質向上・生産能力拡充
 エルナーは、2013年にELNA PCB(M)SDN.BHD.(Penang州)の工場を拡張して新ラインを増設、車載機器向けプリント回路の品質向上、生産能力拡充を図った。約10億円の費用をかけて、基板部分の保護膜加工などを最新型の手法に切り替え、生産効率を上げるため既存設備のリニューアルも実施。ハイブリッド車の普及やエアバッグの複数装備などが進む中、多くの電子制御を必要とする部品メーカー等からの需要増加に対応。
ケーヒン
新開発の空調ユニットを、マレーシアでも生産へ
 ケーヒンは2014年1月、日本においてアイドリングストップ時のエンジン停止状態でも車室内の温度上昇を抑える空調ユニット「HVAC」を開発し、量産を開始したことを発表。今後、マレーシア、タイ、中国でも同空調ユニットを量産開始する予定。
東洋ゴム
米国工場から乗用車タイヤの生産をマレーシア工場に移管
 東洋ゴムは、2013年5月に稼働したToyo Tyre Malaysia Sdn Bhd(Perak州Ipoh市)に、米国工場から乗用車用タイヤの生産を2014年に移管し、米国工場に再輸出する。米国市場向けのタイヤ供給体制強化の一環。米国工場では、品薄状態のSUV用向けタイヤを増産する。

 



ラオス/ミャンマー 新工場など: トヨタ紡織、豊田合成

ラオス

会社名 活動内容
トヨタ紡織
シートカバー工場の生産を2014年4月に開始
 トヨタ紡織は、TOYOTA BOSHOKU LAO CO., LTD(Savannakhet県.)で、2014年4月下旬にシートカバー生産を開始。タイの自社工場を補完するサテライト工場で、シートカバー生産を全面移管した。年産能力は、20万台分。約5億円を投じて生産体制を整えた。ラオス語がタイ語に類似していることから、現地社員に対する現場指導や教育にタイ人マネージャーなどを活用する。

 

ミャンマー

会社名 活動内容
豊田合成
エアバッグの縫製工程で協力工場確保へ
 豊田合成は、アセアン地域でエアバッグの生産を拡大する計画。その一環として、生産コスト削減のために組立前の縫製工程で、2014年春以降にミャンマーで協力工場を確保し、試験的に活用する計画。(2014年2月報道)

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>