ホンダ:2014年度に国内販売103万台を計画

新商品投入、生産技術、日本本部新設、販売体制など多面的に国内事業を強化

2014/04/30

要 約

N-WGN
ホンダが2013年11月、Nシリーズ第4弾として軽乗用車ハイトワゴン市場に投入した「N-WGN」(東京モーターショー2013)
ヴェゼル
ホンダが2013年12月に発売したフィットベースSUV 「ヴェゼル」ハイブリッド車(東京モーターショー2013)

 ホンダは2014年度に、国内(小売)販売台数103万台を計画する(卸売り台数は99万台)。ホンダの国内販売台数は、2011年12月に販売を開始した軽乗用車Nシリーズと2013年9月に発売したフィットシリーズが貢献し、2011年度60万台、2012年度71.7万台から2013年度84.8万台(軽を含む国内シェアは14.9%で、前年度比1.1%アップ)に拡大している。

 ホンダは、世界各地域を自立させ生産・販売体制を強化し、各地域で生産した車両を極力その地域で売り切る体制の構築を進めている。日本も輸出を減らし、日本で生産した車両を日本で売り切る体制を目指す。ホンダは国内生産100万台体制を維持する方針で、そのためにも国内販売の強化が必須の課題となっている。

 ホンダは、国内販売強化のため、魅力ある新商品の投入とともに、組織体制(日本本部の新設)、生産体制(最先端の生産設備を導入した寄居工場の稼働開始)、販売網の再編(スモールストア/セダンを中心に販売する店舗の強化・拡大)など、全社を挙げて国内事業の強化を進めている。

 一方、日本がホンダのグローバルな事業において、基幹技術を担う役割は変わらない。寄居工場で構築した生産技術のノウハウを、海外工場に展開する。また車両開発についても、中核となる走りや環境技術は日本が担う。日本は量産拠点というよりも、イノベーションを生み出す拠点になるとしている。


関連レポート: ホンダの中期戦略:次期型フィットを世界6地域で同時開発 (2012年12月掲載)

 
















軽乗用車とコンパクトクラスの新型車を投入、ともに車名別販売第1位

 ホンダは、国内販売の中心となっている軽乗用車とコンパクトカーの新型車を積極投入している。軽自動車では、Nシリーズの第1弾N-BOXが2012年度・2013年度連続して車名別販売台数(軽自動車)の第1位となった。2013年11月にNシリーズ第4弾となるハイトワゴンタイプのN-WGNを発売した。

 登録車では2013年9月に新型フィットを発売し、2013年度下期の車名別販売台数(登録車)第1位となった。次いでフィットベースのSUVヴェゼルを12月に発売、2014年夏にセダンを発売する予定。

ホンダの2013~2015年国内発売モデル

時期 モデル 概要
2013年6月 アコード  アコード ハイブリッド(JC08モード走行燃費30.0km/L)/アコード プラグインハイブリッド(同PHV複合燃料消費率70.4km/L)を発売。
9月 フィット  新型フィットおよびフィットハイブリッドを発売。日本、中国、アジア・大洋州、北米、南米、欧州の世界6地域の開発拠点で、同時並行で開発した。日本では、発売1カ月間の受注のうち7割がハイブリッド車であった。
11月 オデッセイ  5代目オデッセイ。全高を抑えながら低床化により車室内高を前モデル比10.5cm広げ132.5cmとした。価格は税込み249万円から。Absolute仕様には、2400cc直噴エンジンを搭載。月間販売目標は4,000台。
11月 N-WGN  Nシリーズの第4弾として、軽乗用車の約4割強を占めるハイトワゴン(全高が1,550mm以上~1,700mm以下)市場に参入。FF車のJC08モード走行燃費は29.2km/L。月間販売目標は12,000台。
12月 ヴェゼル  新型フィットベースのSUV。「1500cc直噴ガソリンエンジン車(価格は税込み187万円から)」と「同エンジン + ハイブリッドシステム(219万円から)」を設定。発売40日後時点で、受注の82%がハイブリッド車。フィットと同様に世界6地域で同時開発した。
2014年夏 コンパクトセダン
(注2)
 新型フィットベースのセダン。モデル名は「ブリリア」とされている。今春発売の予定であったが、フィットハイブリッドの不具合から発売が夏に延期された。
2014年度  2014年度に、上記フィットベースセダンに加え、軽自動車N-BOX派生車種、ステップWGN/ストリームおよびレジェンドの次期型車を発売予定、2015年初めにフィットシャトル次期型を投入するとされる。
資料:日刊自動車新聞 2014.4.25
(注) 1. 価格は発売時(消費税率5%)の税込価格。
2. 新型フィットベースのセダンは、既に2014年1月に、従来と同じシティの車名でインドとタイで発売されている。
軽乗用車Nシリーズは第4弾モデルまでラインアップ
第1弾  2011年12月に、スーパーハイトワゴン(全高1,700mm超)のN-BOXを発売。
第2弾  2012年7月に、「マルチスペースシステム」の採用など使い勝手を広げたN-BOX +(エヌボックス プラス)を発売。
第3弾  2012年11月に、ホンダ初の市販軽乗用車「N360」をモチーフにした個性的なスタイルのN-ONEを発売
第4弾  2013年11月に、ハイトワゴンのNーWGNを発売。

 

軽乗用車モデル別販売台数(2013年度上位5モデル + ホンダN-ONE/N-WGN)

2011年度 2012年度 2013年度
順位 販売台数 順位 販売台数 順位 販売台数
ホンダ N-BOX 10 47,329 1 236,287 1 225,900
ダイハツ ムーヴ 3 144,398 5 160,397 2 193,670
ダイハツ タント 4 139,322 4 162,782 3 180,588
スズキ ワゴンR 1 174,226 2 199,122 4 180,029
ダイハツ ミラ 2 171,301 3 190,490 5 164,027
ホンダ N-ONE 未発売 8 55,309 9 82,791
ホンダ N-WGN 未発売 未発売 10 72,548

資料:全国軽自動車協会連合会

 

登録車モデル別販売台数(2013年度上位3モデル)

2011年度 2012年度 2013年度
順位 販売台数 順位 販売台数 順位 販売台数
トヨタ アクア 8 64,953 1 282,660 1 259,686
トヨタ プリウス 1 310,484 2 280,929 2 251,915
ホンダ フィット 2 234,432 3 170,099 3 217,100

資料:日本自動車販売協会連合会
(注) 新型フィットは2013年9月に発売された。2013年度後半(10月~2014年3月)で見ると、フィットが149,182台を販売し第1位、第2位は131,693台を販売したトヨタ・アクア。

 

 



ホンダ:2014年度に国内販売103万台を目指す

 2013年度、ホンダの軽自動車販売は、2012年度の36.2万台を超える43.4万台を記録、2年連続で過去最高を更新した。軽自動車におけるシェアは2011年度の9.8%から2013年度19.2%に急上昇した。

 2013年度の登録車販売は41.4万台。フィットシリーズがフルに貢献する2014年度は更なる拡販を見込む。現在、フィットを寄居工場と鈴鹿工場で生産している。受注が好調で納期が長くなっているため、6月頃から狭山工場でも生産する計画。ホンダの全3完成車工場で生産することになる。

 2014年度の国内販売台数については、消費増税はあるが、最近の新型車の受注残があること、2014年度に新型車6モデルを投入することなどから、2013年度84.8万台から21.4%増の103万台の販売を計画している。

ホンダの国内小売販売台数

2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
計画
登録車 391,037 503,841 454,270 434,918 354,453 414,034 -
軽四輪車 189,109 158,429 154,210 165,666 362,344 434,345 -
軽四輪比率 32.6% 23.9% 25.3% 27.6% 50.6% 51.2% -
合計 580,146 662,270 608,480 600,584 716,797 848,379 1,030,000
資料:ホンダの月別四輪車生産・販売・輸出実績リリース
(注) 1. ホンダの2013年度国内販売は、前半4~9月期の333,632台に対して、後半10月~2014年3月期は514,747台で、消費増税実施前の駆け込み需要もあり年間100万台ペースに高まった
2. ホンダが決算と同時に発表する卸売り販売台数(Hondaグループ販売台数)の、国内2014年度見通しは99万台。

 

ホンダの生産台数と輸出台数

2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
国内生産 1,148,361 901,775 912,307 870,455 876,039 936,879
日本からの輸出 573,561 230,010 310,254 253,060 163,324 97,311
輸出/国内生産 49.9% 25.5% 34.0% 29.1% 18.6% 10.4%
資料:ホンダの、月別四輪車生産・販売・輸出実績リリース
(注)  ホンダは2014年2月に、メキシコ新工場で生産を開始した。北米仕様のフィットとヴェゼルを、フル稼働時に年20万台生産する。ホンダの北米における年産能力は192万台に拡大し、同時に日本からの輸出が減少する。

 

 



国内販売網を強化:スモールストアを拡大

 ホンダは、2006年3月に、それまでの国内販売チャネル「プリモ」「クリオ」「ベルノ」3チャネルを「ホンダ」チャネル(屋号は「ホンダカーズ」)に統合し、全店で全ホンダ車を販売している。全店全車種取扱いの特色は残しながらも、ホンダは新型軽自動車N-BOXの投入とともに軽自動車とコンパクトカーを中心に販売する「スモールストア」の設置を進めている。

 また、アコード、レジェンドなど中型以上のセダンの投入に合わせて、セダン販売を強化した店舗を都市部に設置していく計画。

「スモールストア」と「セダンを中心に販売する店舗」を強化・拡大

スモールストア  スモールストアは、2011年12月の「N-BOX」発売を機にスタートした。ホンダがコンセプトを販売店に提示して参加を募ってきた。軽自動車とコンパクトカーを中心に販売する小型店舗として、女性客でも入り易い店構えや設備を整えることを基本とし、軽・コンパクトカーの展示車、試乗車を多く揃える。
 2014年には、全国で320店を超える規模に拡大した。将来的に、軽・スモールの販売比率が高い地域でさらにスモールストアを募り、ホンダ全店2,200店の約2割、420店程度まで拡大する計画。
セダンを中心に販売する店舗(注)  2013年6月発売のアコード、2014年発売予定のレジェンド次期型車など大きなクルマ、特にセダンの新型車発売に合わせて、セダンを中心に販売する店舗の整備を計画。展示車や試乗車を豊富に揃え、下取り車の査定など、顧客に満足してもらえる販売態勢を構築する。全国の大都市を中心に150店舗程度整備する計画とされる。
各県に事業推進部を設置  ホンダは、1年弱のトライアル期間を経て、2014年4月から東京、愛知、広島などの11都道府県の連結販社内に、「県事業推進部」を設置した。営業現場と事務局として働く同部が協力して、各県ごとの異なる課題への対応策を協議し推進する。メーカーの方針を消化するだけではなく、販社主体の取り組みや現場発のアイディアを尊重する。
 さらに4月から、大阪、福岡など新たな11道府県で、トライアルのプロジェクトを立ち上げた。理解が進んだところから正式導入して、3年後をめどに、全都道府県への導入を目指す。

資料:日刊自動車新聞 2013.6.22/2014.2.27/4.1/4.5
(注) 2013年6月に発売したアコード(HV/PHV)は、2013年7~12月に9,884台(前年同期比10倍)を販売し、同じハイブリッド専用車であるトヨタ・カムリの販売台数(5,113台)を超えた。2014年1~3月販売でも、アコード(3,650台)がカムリ(2,766台)をリードしている。

 

 



寄居工場:ホンダの最先端の生産技術を構築、世界の各工場に展開

 埼玉製作所寄居工場は、プレス、溶接、塗装、組立など各工程に、ホンダの最先端の生産技術と効率的な生産体質を盛り込み、2013年7月にフリード、11月に新型フィット/フィットハイブリッドの生産を開始した。またホンダの世界のマザー工場として、世界の車生産をリードする役割を担う。2014年2月に生産開始したメキシコ工場にもこれらの生産技術を展開した。

寄居工場の役割

生産車種  フィットおよびフィットをベースとするSUV(ヴェゼル)、セダンを生産する。プラットフォームを共有し、部品の共通化率を高めて競争力を強化する。年産能力は25万台。
目的・使命  戦略車種であるフィット級の小型車の生産に特化して、徹底して効率を追及する。また寄居工場で構築したノウハウを海外工場にも展開して、グローバルでのレベルアップを図る。
 ホンダは、世界販売を2012年度の400万台から2016年度600万台に200万台増やす計画だが、増加分のうち8~9割が小型車となる。現在世界で10工場の立ち上げを進めているが、うち9工場は小型車を生産する。
経緯  2006年に高級車「アキュラ」を生産する工場として企画された。当時アキュラの北米販売はさらに伸びると見込まれ、またアキュラを国内にも導入する予定であった。しかしリーマンショックのため一時建設を中断。小型車生産に方針を転換し建設を再開した。
寄居工場で採用した新技術
プレス  年産25万台の工場では通常2本のプレスラインが必要になるが、寄居工場では高速サーボプレス機を4基導入し、この間を流れるプレス部品を高速搬送することで1本化し、1ラインで1,050台分/日の生産能力を実現した。
溶接  生産設備を軽小化することで設備投資をミニマム化し、その成果を寄居からグローバルに展開する。一例として、メインボディーアッセンブル装置では、大型スライド治具から小型ロボットを用いる治具に変更。これらの治具を組み合わせて、全世界に標準展開が可能な設備の軽小化を実現した。
組立の自動化  9組立工程を自動化し、重量物作業の削減、取り付けの精度アップ、省人化を実現した。なかでもインパネ、ガラス、エンジンサス、タイヤなどの組立工程自動化が効率向上に重要な役割を果たしたとのこと。
塗装  従来の4コート・3ベーク(乾燥)溶剤(シンナーなど)塗装から、中塗り工程を廃止した3コート・2ベークの水性塗装に変更し、塗装に要するエネルギーを40%削減した。塗料の高機能化により、中塗り工程の省略を可能にした。
合成樹脂の塗装  バンパー 塗装工程では、塗装ミストの吸収除去に炭酸カルシウムを吸収材に使う国内初の技術を導入し、ミスト除去に必要であった空調エネルギーを削減した。
取引先の加工  寄居工場内で取引先が部品加工を実施し(コーポレートパークと称する)、輸送効率の向上と輸送時のCO2削減に大きく貢献した。

 

車両開発の基幹技術も日本が担う

 なお関連して車両開発においても、走りや環境技術は、1万人強の開発部隊を抱える日本が担う。日本は、量産拠点というより、イノベーションを生み出す拠点になるとしている。

 軽自動車については、小さい車に高い性能を盛り込んだ軽開発で蓄積した技術を、今後新興国市場に投入する小型車に活用するとしている。

 

 



日本本部を新設:国内事業とグローバル事業を切り分け

 ホンダは2014年4月1日付で、「日本本部」を新設した。これまでは、日本の各部門がグローバル戦略を立案しながら、それぞれの日本での事業を推進する体制で、日本戦略を一貫して見る組織体系になっていなかった。日本での事業運営とグローバル事業運営を切り分けることで、日本事業を強化するとともにグローバル部門は世界戦略の立案とその展開に集中できるようにした。

日本本部を新設し、国内事業を統括

国内事業を統括  日本本部を新設し、国内の生産、品質管理、購買、営業などの機能を統括する。意思決定のスピードを速めるとともに、損益管理を徹底し、中期的に国内需要が減少しても利益が出せる体制を構築する。本田技研工業(株)の従業員の大半が、日本本部に所属する見通し。
 ホンダは「グローバルオペレーション改革」と称して、世界を6地域(日本、中国、アジア・大洋州、北米、南米、欧州)に分け、それぞれが商品の企画、開発、生産、販売を運営し、地域に即したモデルを効率よく投入して、販売拡大につなげることを目指している。
 海外では、既に5地域での本部制を導入している。日本も世界6地域の一つとして、輸出を減らし「国内生産車は国内で売り切る」体制を構築する。2007~2008年度に50%前後であった国内生産台数における輸出比率は、2013年度は10.4%(台数は9.7万台)に低下した。
グローバル機能を強化  グローバル部門は、日本での事業運営を切り離し、世界戦略の立案とその展開に特化・集中する。

資料:ホンダ広報資料 2014.2.24、日本経済新聞 2014.2.24

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