現代自グループの中国事業: 販売目標、完成車・エンジン生産体制など最新動向
乗用車販売目標は2016年240万台規模
2013/11/29
要 約
韓国・現代自動車グループ (起亜自動車を含む) は、近年、中国で大幅に販売を伸ばしている。2013年1~10月における現地生産車の販売は、乗用車と商用車の合計で前年同期比20%増と、年間目標である15%増を5ポイント上回っている。うち、乗用車は同約22%増と、年間目標である約16%増より6ポイントも上回っている。
現代自動車グループは、近い将来に、中国における外資ブランド乗用車販売で (合弁会社の自社ブランドを除く)、GMグループを超えてVWグループに次ぐ、2番目大きい外資グループを目指す目標を打ち出している。
具体的には、2016年までに、現地製乗用車販売240万台規模 (輸出を含む、輸入を含まない) との販売目標を設定。これに併せ、2015年前後に乗用車年産体制を240万台以上への拡張計画を進めている。
また、商用車でも現代自動車は2017年に17万台の生産販売を目指している。2012年8月には、四川省の合弁工場「四川現代汽車有限公司」の資陽新 (本) 工場の建設も着工し、合弁会社全体の年産能力を2020年には70万台以上に拡張する計画を発表している。
完成車体制拡張に併せて、エンジン生産体制について、現代グループは、輸出メインの山東省工場を含めて、2015年までに300万基以上の乗用車用エンジン年産能力の拡張計画を推進している。
関連レポート:
- 中国の2013年上半期新車販売: 1,078万台と史上最高を更新、欧米韓モデルが好調 (2013年7月掲載)
-
現代自動車グループ:品質向上を優先し、急拡大路線を修正 (2013年8月掲載)
中国での中期販売目標: 2016年は 240万台規模
現代自動車グループの中国現地製乗用車の2013年販売は、当初目標である155万台を達成する見込み。更に、中期乗用車販売目標として、北京汽車集団との合弁会社「北京現代汽車」は2015年に140万台、東風汽車集団との合弁会社「東風悦達起亜」は2016年に100万台と、それぞれ発表している。また、商用車では、2017年に17万台販売を目指す。
現代自動車グループ: 中国における年次販売計画
販売目標 | <現地製乗用車・商用車合計> 2013年 161万台 (内訳: 現地製乗用車 155万台、現地製商用車 6万台) | ||
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<現地製乗用車> 2013年 155万台、2015年 210万台超、2016年 240万台規模 | |||
▽北京現代汽車製 ・2013年 103万台 (売上高1,000億元) うち、Dセグメントの中高級車種とSUV ("D+S"戦略モデル) 約44万台(試算値、自社全体の43%) ・2014年 N/A (うち、Mistraと 8代目Sonata (YF Sonata) 合計20万台) ・2015年 140万台 (生産販売とも) うち、Dセグメントの中高級車種とSUVの比率を50%/(試算値 70万台) ・2017年 N/A (累計1,000万台達成を目指す) | |||
▽東風悦達起亜製 ・2013年 52万台 ・2014年 60万台前後 (試算値)、前年比約10%増 ・2015年~ 約73万台 ・2016年 100万台 なお、2012年7月に発表した同2016年目標は80万台/中国乗用車シェア4%だった。 | |||
<現地製商用車> | |||
▽四川現代汽車製 ・2013年 6万台 ・2017年 17万台 ・2020年 (売上1,000億元、年産能力約70万台) |
中国合弁会社の工場別完成車生産体制
現代自動車グループの中国における年産体制の拡充計画では、乗用車の年産能力を2013年11月時点の143万台から2015年頃に240万台以上、商用車は現行の10万台超から2020年以降70万台以上に構築する野心的な構想をもっている。
現代自動車グループの中国における生産体制計画 |
(1,000台) |
合弁 会社 | 工場 | 生産実績 | 年産能力 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2011年 | 2012年 | 2012年 1~10月 | 2013年 1~10月 | 2013年 11月時点 | 拡張後 (計画年) | ||
北京 現代 汽車 | 北京第1工場 | 744 | 855 | 673 | 839 | 300 | N/A |
北京第2工場 | 300 | ||||||
北京第3工場 | 400 | ||||||
第4工場 (新工場) | (中西部地域を候補地として、 建設を計画中) | - | 300~400 (~2015年) | ||||
合計 | 744 | 855 | 673 | 839 | 1,000 | 1,400以上 (~2015年) | |
東風 悦達 起亜 | 塩城第1工場 | 431 | 485 | 380 | 447 | 130以上 | N/A |
塩城第2工場 | 300以上 | ||||||
塩城第3工場 | (建設中、2013年末にテスト生産開始、 2014年前半稼働へ) | - | 200以上 (2014年2~6月) → 300以上 (2015年) → 400以上 (中長期) | ||||
合計 | 431 | 485 | 380 | 447 | 430 (最大520) | 630以上 (2014年2~6月) →730以上 (2014年末) → 1,000以上 (2015年前後) | |
乗用車合計 | 1,175 | 1,341 | 1,054 | 1,287 | 1,430 (最大1,520) | 1,630以上 (2014年2~6月) →1,730以上 (2014年末) →2,400以上 (2015年前後) | |
四川 現代 汽車 | 成都 (温江) 既存バス工場 | 74 | 61 | 48 | 40 | 3 | 10 (~2014年6月) |
資陽既存トラック工場 | 100以上 | 160 (2014年6月以降) → 400 (2017年前後) →700 (2020年以降) | |||||
資陽新(本)工場 | (2012年8月着工、2014年6月稼働へ) | - | |||||
商用車合計 (四川現代汽車のみ) | 74 | 61 | 48 | 40 | 103以上 | 170 (2014年6月以降) → 410 (2017年前後) →710 (2020年以降) | |
総合計 (中国合弁工場) | 1,249 | 1,401 | 1,101 | 1,326 | 1,533以上 (最大1,623以上) | 1,800以上 (2014年6月以降) →1,900以上 (2014年末) →2,570以上 (2015年前後) →2,810以上 (2017年前後) →3,100以上 (2020年以降) |
注: 2013年から営業を開始した四川現代汽車の、2011年と2012年生産実績は、商用車事業を四川現代汽車に移管した四川南駿汽車の生産実績 (セミトレーラー、シャシーを含む、微型・軽型・中型・大型トラックや軽型・中型・大型バス)。
北京現代汽車: 2015年までに、年産能力140万台拡張へ
▽2012年稼働した北京第3乗用車工場は年産能力40万台へ拡大
北京現代汽車は2012年6月、北京第3 (新) 乗用車工場を正式に稼働し、「Elantra朗動」(韓国Avante) の生産を開始した。工場の年産能力は2013年11月時点40万台 (第1期建設が30万台、第2期建設を経て40万台に拡大した)。同工場は今後、主にSUVを追加投入するとされる。 |
同工場への総投資額は約65億元。敷地面積は146万㎡。5,400t級全自動組み合わせ式プレス機、水溶性塗料を用いる塗装ライン、フレキシブル式生産が可能である組立てラインを導入済み。エンジン工場も併設している。 |
▽中西部地域を候補地として、第4乗用車工場建設を計画
現行年産能力100万台をもつ北京現代汽車は2013年5月、中西部地域を候補地として第4乗用車工場となる新工場の建設を検討していることを明らかにした (現代自動車役員のインタビューの報道より)。同新工場では、年産能力30万~40万台を構築し、2015年まで (早ければ2014年) に稼働する計画。 |
2013年11月、重慶市が同新工場の最有力候補地になっており、現地政府との実務協議に入ったと報じられている。 |
東風悦達起亜汽車: 年産能力100万台以上へ
▽塩城第3工場を2014年初から稼働を開始
2012年6月着工した、起亜の合弁会社、「東風悦達起亜汽車」の第3乗用車工場 (江蘇省塩城市) は、2013年末に第1期建設を完工してテスト生産を開始し、2014年前半 (早ければ2月) に正式に稼働する予定。稼働当初の年産能力は20万台、その後、30万台以上、更に40万台以上と、順次拡張する計画。(同工場は最終的に従業員2,300人まで増員の予定。) |
第3工場の稼働により、東風悦達起亜の年産能力は、第1 (13万台) と第2工場 (30万台) と合わせて、2014年前半に通常シフトで 63万台以上、2014年末までに同 73万台以上に拡大する。これに加えて、第1と第2工場の年産能力を、最大 52万台以上に整備する。 |
第3工場建設への総投資額は8.14億米ドル。プレス/溶接/塗装/組立工場のほか、高速テストコース付R&Dセンター、エンジン工場も併設。生産ロボット合計410台を導入する。同工場では、今後、新型K3 (北京現代のElantra朗動と同じのプラットフォーム採用)、中型乗用車、小型・中型SUV、さらに新エネルギー車や合弁会社の自社ブランド車を追加・生産すると報道されている。 |
四川現代汽車: Hyundai モデルの商用車と大型エンジンの生産体制構築
現代自動車は2013年元日、四川南駿汽車集団と折半出資で2012年8月に設立した、「四川現代汽車有限公司」(Sichuan Hyundai Motor Co., Ltd.、資本金は18億元) の営業を開始。提携先の四川南駿汽車の農業用車以外の商用車事業すべてを継承し、四川省の成都市温江にある合弁会社の成都(バス)分工場と、資陽既存トラック工場で生産を継続している。また、資陽市に合弁会社の(新)本工場を建設している。 |
▽成都分工場で、Hyundaiブランドのハイエンド中型バス「County (康恩迪)」生産も開始
2013年11月時点の四川現代汽車成都分工場の年産能力はバス3,000台で、2014年6月までに1万台に引き上げる予定。2013年8月には合弁会社初のHyundaiブランド新型バス、ハイエンド中型バス「County (康恩迪)」 の生産も成都分工場で開始した。 資陽既存トラック工場は10万台以上の年産能力を有し、前・四川南駿汽車から継承した、各種商用車 (中型~微型トラック、大型~軽型バス) の改良モデルを生産する。 |
▽資陽市に新しい商用車合弁工場を建設
四川現代汽車は2012年8月、四川省の資陽市に合弁会社の本工場建設に着工した。2020年までに合計3期建設を通じて、従業員5万人まで増員すると共に、商用車年産能力70万台を構築する野心的な計画。プレス/溶接/塗装/組立て生産施設のほか、エンジン工場/R&Dセンター/テストコースも併設。2014年6月に生産を開始する予定。 |
同工場建設への総投資額は合計200億元で、2020年までに実施する。うちの約63%、126億元は施設建設用に充てる。その内訳は、第1期 36億元 (うち、R&Dセンター建設5億元、工場建設31億元。設備投資を加えると1期合計56億元)、第2期 40億元、第3期 50億元。 |
同工場の商用車年産能力は、2014年完工の第1期建設で17万台 (内訳:トラック 16万台、バス 1万台)。2017年前後完工の第2期建設 (敷地面積119万㎡) を経て40万台、2020年完工の第3期建設を通じて70万台と、順次引き上げる計画。 |
中国でのエンジン生産体制の最新動向
現代自動車グループは中国での乗用車用エンジン年産能力を、輸出用も含めて、2013年11月時点の190万基超から、2015年までに300万基以上に拡張中。うち、乗用車合弁会社の併設エンジン工場は、2013年11月時点の115万基から、2015年までに165万基以上に引き上げる予定。
現代自動車グループの中国合弁会社別工場別エンジン生産能力詳細 |
(1,000基) |
生産実績 | 年産能力 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2012年 | 2012年 1~9月 | 2013年 1~9月 | 2013年 11月時点 | 拡大後 (計画年) | ||
北京現代 汽車 | 北京第1併設エンジン工場 | 558 | 395 | 539 | 250 | N/A |
北京第2併設エンジン工場 | 250 | |||||
北京第3併設エンジン工場 | 400 | |||||
中西部第4併設エンジン工場 | (計画中、立地等詳細未定だが、 重慶が最有力候補地) | - | N/A (2015年までに 推定年産能力約300) | |||
合計 | 558 | 395 | 539 | 900 | 1,200以上 (~2015年) | |
東風悦達 起亜 | 塩城第2工場併設エンジン工場 | N/A | N/A | N/A | 250 | N/A |
塩城第3工場併設エンジン工場 | (2012年6月着工、 2014年初前後稼働) | - | 200以上 (2014年1月前後) | |||
合計 | N/A | N/A | N/A | 250 | 450以上 (2014年1月前後) | |
山東現代 威亜汽車 発動機 | 日照第1工場 | 約550 | N/A | N/A (内、Nu型 エンジンは 30万基弱) | 180以上 | 880以上(短期) |
日照第2工場 | 300以上 | |||||
日照第3工場 | 200以上 | |||||
日照第4工場 | (2013年11月時点、建設計画中) | - | N/A | |||
合計 | 約550 | N/A | N/A | 780 (2013年4月) | 880以上 (短期) → 1,000 (2014年前後) → 1,350 (~2015年末) | |
乗用車向け合計 | 1,108超 | N/A | N/A | 1,930以上 | 2,130以上 (2014年初前後) → 3,000以上 (~2015年) | |
四川現代 汽車 | 資陽本工場併設エンジン工場 | (2012年、工場建設に着工済み) | - | 20 (2014年) → N/A (将来) |
北京現代汽車: 2015年までにエンジン新生産体制を構築中
▽北京第3エンジン工場の年産能力は40万基に整備済み
北京現代汽車は2012年6月頃、北京市順義区の第3乗用車工場と同時に、併設の第3エンジン工場を稼働。2013年11月時点、第2期建設も竣工し、第3エンジン工場の年産能力はすでに20万基から40万基に拡張。生産機種は排気量1.4/1.6Lが中心だが、中型・大型乗用車用エンジンも生産している。 |
▽北京現代汽車: 既存の第1、第2エンジン工場を改修、 2015年1月までに新機種エンジンの生産へ
北京現代汽車は、順義区にある第1と第2乗用車工場に併設する、第1、第2のエンジン工場を改修 (2013年6月頃着工済み)。旧エンジン機種の生産中止と共に、新機種の生産体制に切り替えて整備する。投資総額は 10.7億元。改修工事は合計面積 1.1万㎡の建屋の新規建設を含む。 |
年産能力は合計 50万基 (各々25万基) で変更ないうち、第1工場の25万基分の年産能力すべてを旧機種からγ (MPI) 型シリーズ新機種に切り替える。γ (MPI) 型シリーズ新機種のみを生産していた第2工場では、年間5万基分の生産体制を、フレキシブル生産方式によるターボ付γ (T-GDI) 型の新機種エンジンの生産に割り当てる。 |
東風悦達起亜: 第3乗用車工場に併設する新エンジン工場を稼働へ
2014年2~6月に稼働開始を予定する、東風悦達起亜の第3乗用車工場に併設する塩城新エンジン工場は、早ければ2013年末に稼働する。同エンジン工場の年産能力は20万基以上とされる。完工後は、東風悦達起亜のエンジン年産能力は、第2乗用車工場の併設エンジン工場(25万基)と合わせて、45万基以上に拡大する。 |
東風悦達起亜は現在、主に現代起亜グループのグローバル工場向けの、山東省日照市にある現代自動車のエンジン合弁生産会社、「山東現代威亜汽車発動機有限公司」(Hyundai WIA Automotive Engine (Shandong) Co., Ltd.) からも、排気量1.4/1.6L α型およびγ型、1.8/2.0L Nu型ガソリンエンジンを調達している。 |
山東現代威亜汽車発動機: 輸出用を中心に135万基のエンジン生産体制を構築中
現代自動車グループと山東省の現地会社とのエンジン合弁会社、山東現代威亜汽車発動機有限公司の、2013年4月時点の日照市のエンジン3工場の年産能力が合計78万基。同じく日照市にある鋳造部品3工場は、エンジンの未完成部品合計160万個。内訳は、第1鋳造部品工場は70万個、第2鋳造部品工場は40万個、第3鋳造部品工場は50万個。シリンダーブロック/クランクシャフト工場は120万個 (うち、変速機ケース40万個)。 |
山東現代威亜汽車発動機が2012年5月に発表した2015年までの販売目標は、2012年にエンジン販売55万基 (売上58億元)、2013年は61万基 (同75億元)、2014年67万基 (同84億元)、2015年68万基 (同86億元)であったが、近年の好業績を受けて、2013年11月時点では、年産能力はすでに、2014年前後100万基、2015年までに135万基に拡大する計画があると明らかにされている。 |
▽日照既存工場: エンジン年産能力を10万基拡張
山東現代威亜汽車発動機の日照市にある既存エンジン3工場を拡張する計画が、2013年3月に同工場拡張建設の政府によるエコ評価公示で明らかになった。 |
同計画では、建屋建設をせず、設備新規導入 (129台)、ならびに旧設備の改修 (合計68台・セット) を通じて、年産能力を現行の約78万基から、約10万基増の88万基以上に拡張。さらに、既存鋳造部品3工場も、Hyundai α-III型/β型/γ型/Nu型エンジン用の、シリンダーブロック・ブランク品の年間加工能力をエンジン20万基相当分を増強する。 |
これまでの同合弁会社への累計投資総額は8.17億米ドル (内、1期4.9億米ドル)。2013年2月時点の従業員数は合計1,600人超えている。金型も生産している。 |
▽日照 (第4) 新エンジン工場の建設を計画
山東現代威亜汽車発動機は2013年11月、同じ日照市に4番目の新しいエンジン工場の建設を計画していることが、2013年11月にMarkLinesが実施した独自調査で明らかになった。但し、新工場年産規模などの詳細は不明。 |
同合弁会社の製品は、その大半がロシア/スロバキア/インドにある現代自動車グループの工場に輸出するほか、グループの中国乗用車工場である、北京現代汽車と東風悦達起亜にも供給している。 |
四川現代汽車: 資陽市併設商用車エンジン工場を2014年に稼働へ
現代自動車の四川商用車合弁会社、「四川現代汽車有限公司」は、2012年8月に建設を着工した資陽市の合弁商用車 (新) 本工場にエンジン生産施設も建設する。着工時期や年産規模等の詳細は明らかにされていないが、2014年に併設エンジン工場の1期建設を完工し、排気ガス基準Euro4 ("国4") 適合の現代自動車モデル商用車用大型エンジンの年産能力を 2万基整備する。 |
同エンジン工場は、今後、コモンレールディーゼルエンジンを含む、排気量3.9L、5L、10L、12.3Lの現代自動車モデルエンジンの生産を順次開始する予定。 |
モデル計画: Hyundaiブランドイメージ向上とKia最新型車の中国投入に注力、EV/HVも生産へ
現代自動車は、新しい中国モデル戦略として、これまでの小型・中型車 (ロー/ミディアム・エンド) 中心から脱却し、高級ブランド (ハイエンド) へのイメージ向上に注力する方針を明らかにした。
主に、北京現代汽車を通じて、2013年からの今後10年間に、Dセグメント車とSUVを中心とした中国市販ハイエンドなどの中高級車のラインナップを拡充 (所謂"D+S"戦略)。自社市販車における中高級モデル比率を、2010年の26%から2017年に50%以上に拡大する計画。
商用車では、四川省の合弁新工場 (四川現代汽車資陽本工場) の稼働に伴い、2014年以降、微型~大型トラックおよび新型バス (Universe/Global 900型)を含めて、毎年Hyundai ブランドの新型商用車を追加投入する。
起亜は、これまでのKiaブランドの欧米で発表された市販車を中国市場に導入する戦略に加えて、世界初公開のKiaブランド新型車を中国でも最初に発表する戦略へ転換する方針。今後、毎年新型1~2車種を追加投入するが、当面は東風悦達起亜を通じて、Kシリーズモデル (ファッション系/高品質理念車)、Forte (大衆系/実用化理念車) の拡販に注力。SUVのラインナップを更に充実させる。
省エネ・新エネルギー車では、現代グループは今後、 "T-GDI"ターボエンジン搭載車の拡販を強化する。これに加えて、北京現代汽車を通して、2015年までにEVの少量生産を開始し、HVも投入する。また、東風悦達起亜を通して、2015年にEV仕様モデルが有力とされる"華騏"合弁会社の自主ブランド車、2016年にK5 Hybrid が有力とされるハイブリッド車を中国市場に投入する計画を表明した (2013年4月に東風悦達起亜の蘇南永総経理のインタビューの報道より)。
現代グループの中国におけるモデル計画、新エネルギー車事業
詳細 | |||
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モデル計画 | <Hyundaiブランド乗用車> | ||
・Dセグメント等の高級車へのブランドイメージの向上を重視。 | |||
まず、最新型 Equus (雅科仕) を、Mercedes-Benz S/BMW 7シリーズを主な競合車とし投入。(ロングホイールサイズ仕様車を含めて、2013年6月に73.8万~132万元で輸入販売開始。) | |||
▽北京現代汽車 SUVおよびDセグメントモデル(中高級車種)の投入を充実。 排気量 1.0/1.2/1.6Lのターボエンジンを、セダン/ハッチバック/SUVを含む、多くの現地生産車への搭載を拡大する。 合弁会社の自主ブランド車を投入へ。 | |||
<Kiaブランド乗用車> | |||
・中国導入新型車を、起亜の欧米市販車から、現地開発車も加える方針へ転換。 | |||
▽東風悦達起亜汽車 ・2014年: all-new Soul (MPV)など ・2015年: 合弁会社ブランド"華騏 (Horki) "初のモデル (EVが最有力) を生産開始 (コンセプトカーが2013年4月発表済み、新型Cerato がベース車)、小型SUV ・2016年: 中型SUV、HV (K5 hybrid が有力) ・2017年: 小型乗用車、新型K7 | |||
<Hyundaiブランド商用車> | |||
▽四川現代汽車 | |||
・2013年: County (康恩迪) (8月生産販売開始、全長7mクラスのハイエンド中型バス) ・2014年以降: QZc (大型トラック)、H100 (小型トラック)、中型トラック (ダンプトラックモデルを含む)、微型トラック、Universe (現行輸入販売のバス)、新型 Global 900型 (バス) | |||
新エネルギー車事業 | <新エネルギー分野> | ||
▽北京現代汽車 | |||
・2015年までにEV (現地生産は小規模にとどまる)、HV を投入。 | |||
▽東風悦達起亜 | |||
・2013年: 塩城でEV 10台のテスト運行を開始。 ・2015年: 合弁会社ブランド"華騏 (Horki) "初のモデル (EV) を量産開始 (2013年4月コンセプトカー発表済み、新型Ceratoがベース車) ・2016年: HVの量産を開始。 |
中国でのブランド別乗用車販売体制の最新動向
乗用車 ディーラー綱 | <現代乗用車系> 当面は、主に中国の中西部地域を中心に販売店舗を増設。 | ||
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現代自動車系ディーラー網 (「4S」ディーラーと中小都市のサテライト販売店との合計): 2013年3月 802店舗 (中小都市までカバー)、2013年末 860店舗 (主に、中西部地域に布石) うち、2012年末時点「4S」ディーラー 670店舗 | |||
<起亜乗用車系> | |||
2012年末564店舗 (内、直営店130店舗)、2013年末670店舗、2015年700店舗以上、中長期1,000店舗。但し、2013年から新たに追加した「2S」ディーラーを含まない。 | |||
2014年は、「4S」と「2S」ディーラーを合わせて100店舗を増設する計画。 |
注:「4S」ディーラーはSale/Sparepart/Service/Survey、「2S」ディーラーはSale/Serviceとの販売サービスを提供するディーラーを指す。
(参考) 現代自グループ: 中国合弁会社3社の車種別モデル別販売台数 (2013年計画を含む)
(台)
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2012年 1~10月 | 2013年 1~10月 | 2013年 (目標) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総合計 | 884,068 | 1,118,523 | 1,245,924 | 1,400,804 | 1,103,309 | 1,321,180 | 1,610,000 | ||
乗用車総合計 | 811,695 | 1,036,036 | 1,172,316 | 1,340,037 | 1,055,084 | 1,286,830 | 1,550,000 | ||
セダン、ハッチバック | 717,604 | 836,323 | 909,009 | 1,051,437 | 838,779 | 949,131 | 1,550,000 | ||
SUV | 93,233 | 199,258 | 263,306 | 288,600 | 216,305 | 337,699 | |||
MPV | 858 | 455 | 1 | (生産販売中止) | |||||
▽北京現代汽車 | |||||||||
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2012年 1~10月 | 2013年 1~10月 | 2013年 (目標) | |||
合計 (乗用車) | 570,309 | 703,008 | 739,800 | 859,595 | 676,746 | 840,954 | 1,030,000 | ||
4代目 Sonata 2.0L | 5,417 | 4 | (生産販売中止) | N/A | |||||
5代目 Sonata (Mingyu Sonata) 1.8/2.0L | 14,921 | 38,881 | 29,546 | 16,903 | 15,124 | 11,528 | |||
6代目 Sonata (Yuxiang Sonata: Sonata NF) | 1,093 | 3,309 | (生産販売中止) | ||||||
7代目 Sonata (Lingxiang Sonata) 2.0/2.4L | 15,606 | 22,344 | 11,741 | 1 | 1 | (生産販 売中止) | |||
8代目 Sonata (YF Sonata) 2.0/2.4L | - | - | 72,065 | 100,477 | 80,949 | 87,985 | |||
Elantra 1.6/1.8L | 171,605 | 152,641 | 113,368 | 64,368 | 57,990 | 29,074 | |||
Elantra Yedong 1.6/1.8L | 239,449 | 233,344 | 190,995 | 214,753 | 178,857 | 145,476 | |||
Elantra Langdong (韓Avante) 1.6/1.8L | - | - | - | 81,827 | 45,063 | 173,706 | |||
Mistra | (2013年に生産を開始、2013年末から発売予定) | ||||||||
New Accent | 60,379 | 68,463 | 19,557 | 3,200 | 3,079 | 398 | |||
i30 1.6/2.0L | 12,494 | 19,858 | 9,792 | 1,645 | 1,643 | 3 | |||
ix35 2.0/2.4L | - | 63,278 | 103,023 | 108,241 | 79,734 | 127,526 | |||
Tucson 2.0/2.7L | 49,345 | 56,527 | 51,188 | 56,184 | 44,335 | 42,743 | |||
3代目 Santa Fe 2.0/2.4L | - | - | - | 7,033 | - | 59,805 | |||
Verna 1.4/1.6L | - | 44,359 | 138,525 | 204,963 | 169,971 | 162,660 | |||
Shouwang ("首望"自主品牌) | - | - | - | - | - | 50 | |||
▽東風悦達起亜 | |||||||||
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2012年 1~10月 | 2013年 1~10月 | 2013年 (目標) | |||
合計 (乗用車) | 241,386 | 333,028 | 432,516 | 480,442 | 378,338 | 445,876 | 520,000 | ||
Forte 1.6/2.0L | 48,298 | 105,751 | 128,151 | 80,944 | 70,870 | 28,428 | N/A | ||
K2 (2/3box) 1.4/1.6L | - | - | 58,334 | 143,155 | 116,412 | 117,155 | |||
K3 1.6/1.8L | - | - | - | 26,845 | 5,401 | 112,127 | |||
K5 2.0/2.4L(5代目 Optima) | - | - | 34,221 | 52,742 | 42,885 | 45,996 | |||
Optima 1.8/2.0L | 2,573 | 3,336 | 3,124 | 4,155 | 3,487 | 882 | |||
Cerato 1.6/1.8L | 83,870 | 70,174 | 54,647 | 34,501 | 28,827 | 21,240 | |||
Cerato Wagon 1.6L | 19,136 | 12,573 | 4,383 | 950 | 694 | 250 | |||
Rio 1.4/1.6L | 41,061 | 44,022 | 30,324 | 9,184 | 8,279 | 3,938 | |||
Soul 1.6/2.0L | 1,702 | 17,264 | 10,236 | 10,824 | 9,247 | 8,235 | |||
Carnival | 858 | 455 | 1 | (生産販売中止) | |||||
Sportage R 2.0/2.4L | - | 11,713 | 64,341 | 75,964 | 59,392 | 70,945 | |||
Sportage 2.0/2.7L | 43,888 | 67,740 | 44,754 | 41,178 | 32,844 | 36,680 | |||
▽四川現代汽車 (2012年12月までは前"四川南駿汽車") | |||||||||
2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2012年 1~10月 | 2013年 1~10月 | 2013年 (目標) | |||
合計 (商用車) | 72,373 | 82,487 | 73,608 | 60,767 | 48,225 | 34,350 | 60,000 | ||
トラック小計 (シャシーを含む) | 70,243 | 79,956 | 71,209 | 59,422 | 47,166 | 32,912 | N/A | ||
中型トラック | 22,582 | 29,032 | 24,295 | 20,237 | 15,962 | 11,727 | |||
軽型トラック | 36,441 | 36,581 | 34,217 | 28,674 | 22,889 | 15,873 | |||
微型トラック | 8,803 | 10,720 | 10,003 | 8,235 | 6,572 | 4,568 | |||
バス小計 (シャシーを含む) | 2,130 | 2,531 | 2,399 | 1,345 | 1,059 | 1,438 | |||
大型バス | 61 | 84 | 75 | - | - | 3 | |||
中型バス | 1,305 | 1,509 | 1,524 | 831 | 620 | 993 | |||
軽型バス | 764 | 938 | 800 | 514 | 439 | 442 |
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