トヨタ:北米とアジアで拡大、米国で2013年に220万台販売を計画

タイで近い将来に生産能力100万台体制、インドネシアに13兆ルピアを投資

2013/02/26

要 約

 本レポートは、トヨタが今後拡大を見込む北米地域およびアジア(重点地域としてタイとインドネシア)の計画と、トヨタの2012年度4~12月期決算発表での2012年度業績予想の上方修正を報告する。

 トヨタの2012年度連結販売台数は、2011年度の735万台から885万台へ150万台増加する見込みだが、増加分のうち北米で58万台を、中国を除くアジア地域で38万台を実現する見込み。

 
 北米地域では、2012年の米国販売が208万台、シェア14.4%に回復した。2013年は220万台販売を計画。また2012年北米での生産は177万台で過去最高。さらに2014年初めまでに13万台生産能力を増強し、2015年夏からはマツダのメキシコ工場から5万台の小型車の供給を受ける計画。また米国からの輸出を強化しており、2012年に12.4万台を輸出した。

トヨタグループのタイとインドネシアでの販売台数  アジア地域は、ここ数年トヨタの最大かつ最も安定した収益源として貢献している。2012年4~12月期の所在地別営業利益では、アジアが2,863億円で最大。
 タイでは、2012年に2直定時67万台の設備能力で89万台を生産した(過去最高は2010年の63万台)。近い将来に100万台の生産体制を構築すると発表した(2012年11月発表)。2013年央に、現在建設中のゲートウェイ第2工場でタイ国版のエコカーの生産を開始、2015年には次期型IMVを発売する。

 インドネシアでは、2014年に、トヨタが25万台、ダイハツが45万台の生産体制を構築する。今後5年間に、トヨタグループ6社で13兆インドネシアルピア(2013年2月中旬時点の為替レートで1,430億円)を投資すると発表した(2012年11月発表)。

 トヨタグループは、インドネシア政府のLCGC(ローコスト・グリーンカー)政策に合わせて、トヨタは2013年初めから小型車(エティオスベース車とされる)を、ダイハツは2012年末からダイハツ・アイラとトヨタ・アギアを生産する計画であった。しかし2013年2月中旬時点でインドネシア政府の正式発表がなく、本格生産は開始されていない。


 2月に発表した2012年度連結営業利益予想については、2012年11月発表から1,000億円上乗せし、1兆1,500億円とした。また単独決算も、2008年度以来となる営業黒字(1,500億円)の見込み。2013年1~3月期の為替レートを、1ドル84円、1ユーロ110円と慎重な見方をしているので、利益がさらに上乗せされる可能性が高い
(2月中旬時点で、1ドルは90円台前半)。


関連レポート:
トヨタ:販売と収益が本格回復、2013年に991万台販売を計画(2013年1月掲載)
トヨタの海外事業:北米と新興国の生産能力を増強(2012年5月掲載)



北米とアジアでの販売拡大を計画

 トヨタの連結販売台数は、2011年度735万台から2012年度885万台に150万台増加する見込みだが、北米で58万台、中国を除くアジアで38万台、合計96万台増を二つの地域で実現する見込み。

 二つの地域は、収益面の貢献も大きい。特にアジア地域は、2009年度、2011年度、2012年度4~12月期は北米を超えて最大の収益源となっている。

2012年度連結販売台数の地域別増加見通し

(1,000台)
日本 北米 欧州 アジア 中南米 オセアニア アフリカ 中近東 連結
2011年度実績
2012年度見通し
2,071
2,250
1,872
2,450
798
820
1,327
1,710
289
360
223
270
214
260
550
730
7,352
8,850
増加台数 179 578 22 383 71 47 46 180 1,498

資料:トヨタの2012年度4~12月決算発表資料
(注)中国の現地生産車販売を含まない。次項の所在地別営業利益も同様。なお2011年度の連結販売台数は、その他地域の8,000台を含む。

 

所在地別連結営業利益

(億円)
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2011年度
4~12月期
2012年度
4~12月期
日本
北米
欧州
アジア
その他
消去又は全社
14,403
3,053
1,415
2,564
1,439
(171)
(2,375)
(3,902)
(1,433)

1,761
876
463
(2,252)
854
(330)
2,036
1,155
12
(3,624)
3,395
131
3,130
1,601
49
(2,070)
1,864
177
2,567
1,088
(71)
(3,064)
1,518
85
1,710
960
(38)
2,664
1,654
213
2,863
910
(121)
連結 22,703 (4,610) 1,475 4,682 3,556 1,171 8,185

資料:トヨタの決算発表資料

 

 



米国で2012年に208万台を販売、2013年は220万台を計画

 トヨタの米国販売台数は、2007年に262万台、シェア16.2%を記録したが、その後の世界不況、大規模リコール、東日本大震災、タイの洪水などの影響で、2011年は164万台、シェア12.9%に低下した。

 しかし2012年は生産も回復して、208万台を販売し、シェアは14.4%にまで回復した。11年連続で米国ベストセラーカーのカムリは、2012年に4年ぶりに販売40万台を回復した。

 2013年の米国Light vehicle市場は、2012年の1,450万台から1,500万台に拡大すると予測されている。

 トヨタは、2012年12月から1年弱の間に多くの量販車を更新する。2012年12月に新型アヴァロン、2013年1月に新型RAV4(年間販売目標20万台)、第2四半期にハイランダーとタンドラ、第3四半期に新型Corolla(2013年1月Detroitオートショーに出展したFuriaコンセプトに基づく)などを投入。2013年に米国で220万台販売を目指す。

米国でのブランド別・および主要モデル別販売台数

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
ES
IS
その他モデル
75,987
54,267
52,783
82,867
54,933
62,534
64,135
49,432
38,000
48,485
38,077
26,183
48,652
34,129
30,325
40,873
29,669
30,639
56,158
27,708
48,875
Lexus car 183,037 200,334 151,567 112,745 113,106 101,181 132,741
RX
その他モデル
108,348
31,049
103,340
25,503
84,181
24,339
93,379
9,941
95,790
20,433
82,595
14,776
95,381
16,044
Lexus truck 139,397 128,843 108,520 103,320 116,223 97,371 111,425
Lexusブランド計 322,434 329,177 260,087 215,975 229,329 198,552 244,166
Scionブランド計 173,034 130,181 113,904 57,961 45,678 49,271 73,505
Avalon
Camry
Corolla/Matrix
Echo
Prius
Venza
Yaris
88,938
448,445
387,388
35
106,971

70,308
72,945
473,108
371,390
7
181,221
0
84,799
42,790
436,617
351,007

158,884
1,474
102,328
26,935
356,824
296,874

139,682
54,410
63,743
28,390
327,804
266,082

140,928
47,321
40,076
28,925
308,510
240,259

136,463
38,904
32,704
29,556
404,886
290,947

236,659
43,095
30,590
Toyota car 1,102,085 1,183,470 1,093,100 938,468 850,601 785,765 1,035,733
4Runner
FJ Cruiser
Highlander
Land Cruiser
RAV4
Sequoia
Sienna
Tacoma
Tundra
103,086
56,225
129,794
3,376
152,047
34,315
163,269
178,351
124,508
87,718
55,170
127,878
3,251
172,752
23,273
138,162
173,238
196,555
47,878
28,668
104,661
3,801
137,020
30,693
115,944
144,655
137,249
19,675
11,941
83,118
2,261
149,088
16,387
84,064
111,824
79,385
46,531
14,959
92,121
1,807
170,877
13,848
98,337
106,198
93,309
44,316
13,541
101,252
1,662
132,237
13,022
111,429
110,705
82,908
48,755
13,656
121,055
2,895
171,877
13,151
114,725
141,365
101,621
Toyota truck 944,971 977,997 750,569 557,743 637,987 611,072 729,100
Toyotaブランド計 2,047,056 2,161,467 1,843,699 1,496,211 1,488,588 1,396,837 1,764,833
米国トヨタ合計 2,542,524 2,620,825 2,217,660 1,771,147 1,763,595 1,644,660 2,082,504
トヨタのシェア 15.4% 16.2% 16.7% 17.0% 15.2% 12.9% 14.4%
米国全体需要 16,560,989 16,154,064 13,245,718 10,431,509 11,589,844 12,779,007 14,492,398

資料:Automotive News 2013.1.7他

 

2012年に北米で過去最高の177万台を生産、18万台の供給力強化を計画

 トヨタは、2012年に北米(米国・カナダ・メキシコ)で177万台を生産した。これは、2007年の167万台を超え過去最高。

 販売の回復に対応し、2014年初めまでにインディアナ工場で5万台(ハイランダーを増産)、カナダ・ウッドストック工場で5万台(RAV4)、カナダ・ケンブリッジ工場で3万台(Lexus RX)の合計13万台の生産能力を増強。2015年夏からはマツダのメキシコ工場から小型車5万台の供給を受ける計画。

 米国販売車のうち北米生産車の比率は、2007年の55.1%から2012年70.4%に上昇し、米国での日本からの輸入車販売は、2007年の118万台から2012年62万台に半減した。上記の北米生産能力の強化を受けて、ハイランダーの日本からの輸入は2013年に終了、2013年1月に発売した新型RAV4は大部分をカナダ・ウッドストック工場で生産する。ここ数年間レクサスRXを年2~3万台輸出してきたが、2013年で終了する。

米国販売での、現地生産車と輸入車の台数と比率

2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
現地生産車
同上比率
1,445,297
55.1%
1,218,177
54.9%
1,106,303
62.5%
1,185,497
67.2%
1,140,818
69.4%
1,465,221
70.4%
輸入車 1,175,528 999,483 663,844 578,098 503,842 617,283
合計 2,620,825 2,217,660 1,770,147 1,763,595 1,644,660 2,082,504

資料:Automotive News 2013.1.7
(注)現地生産車は、米国・カナダおよびメキシコ生産車。

 

2012年に、米国生産車12.4万台を輸出

 トヨタは米国生産車をカナダ、メキシコを始め世界21カ国に輸出している。輸出台数は、2011年の8.5万台から2012年12.4万台に増加した。韓国へは、米国とのFTAを活用し、米国で生産するミニバン・シエナ、カムリ、カムリHVを輸出しているが、2012年からクロスオーバーSUV「ヴェンザ」の輸出も開始した。同じヴェンザを2013年には中国向けに輸出する計画。

 2013年後半から、インディアナ工場でのハイランダー増産分の一部を、オーストラリアやロシアに輸出する(日本の九州工場での輸出専用車生産を、インディアナ工場に移管する)。

 

 



タイ:近い将来100万台の生産体制を構築

 2012年のタイ国内市場は、2011年の大洪水から回復し、2011年実績比1.8倍の142万台に拡大した。生産台数は約100万台増加し245万台。

 トヨタは、2012年にタイで約88.7万台生産し(過去最高は2010年の63万台)、53万台を販売した(過去最高は2010年の32.6万台)。2012年時点の2直定時生産能力67万台を大幅に上回り、トヨタは休日出勤や残業で対応している。2012年末にタイ・オートワークスが稼働し、また2013年央にゲートウェイ第2工場で生産開始すると、生産能力は76万台に増強される。

 2012年11月、トヨタはタイ・トヨタ設立50周年記念式典で、近い将来タイの生産能力を年100万台まで引き上げたいと表明した。

 

2013年に新コンパクトカー、2015年に次期型IMVを投入

 2013年現在、タイ・トヨタでは、IMVシリーズのハイラックス(ピックアップトラック)とフォーチュナー(SUV)、カムリ、ヴィオスなどの乗用車を生産している。

 2013年半ばに生産を開始するゲートウェイ第2工場では、新コンパクトカー(タイ版エコカー)を生産する。

 2004年に発売したIMVシリーズは、タイ、インドネシア、南アフリカ、アルゼンチンを中心生産拠点とし、2012年4月に世界累計販売500万台を達成した。2015年にも新型シリーズを発売する見込み。それに備え、トヨタはタイのディーゼルエンジン工場に400億円を投資し、生産能力を32万基から61万基にほぼ倍増させる。

タイにおける生産・販売台数

(1,000台)
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
トヨタ 生産台数
販売台数
販売シェア
499.2
282.1
44.7%
573.4
262.2
42.6%
434.8
230.6
42.0%
629.9
326.0
40.8%
507.8
290.1
36.5%
887.4
530.3
37.5%
タイ全体 生産台数
販売台数
1,287
631
1,394
615
999
549
1,645
800
1,458
794
2,454
1,415

資料:2007~2011年は、トヨタの企業サイト、2012年はMarklines Data Center
(注)タイでは、2011年10月~2012年12月に、初めて小型乗用車またはピックアップトラックを購入した場合に、物品税を払い戻す優遇策を実施した。2013年は、この制度が終了するため全体需要は120万台(15%減)程度とされている。

 

タイでの生産拠点、主要生産車種と生産能力(2013年央時点)

生産開始 年産能力 生産車種
サムロン工場
ゲートウェイ工場
ゲートウェイ第2工場
バンポー工場
タイ・オートワークス
1964年
1996年
2013年央
2007年
2012年末
23万台
22万台
7万台
22万台
2万台
ハイラックス
カムリ、プリウス、ヴィオス、カローラ他
新コンパクトカー(タイ版エコカー)
ハイラックス、フォーチュナー
ハイエース・コミューター
生産能力合計 76万台
(注)1-1. タイは、IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)シリーズのピックアップトラック(ハイラックス)とSUV(フォーチュナー)の生産拠点で、世界100カ国に輸出している(タイ・トヨタ全体では、生産の4割強を輸出している)。IMVシリーズは、ミニバンタイプ(インドネシアが中心生産拠点)もある。
1-2. トヨタは2012年4月、IMVシリーズの世界累計販売台数が500万台に達したと発表した。IMVは2011年に75.3万台生産し77.3万台販売した。トヨタは2015年までにトヨタ・レクサス車の新興国市場での販売比率を50%に高める構想で、IMVシリーズが重要な鍵の一つとされる。
2. トヨタが2013年央にゲートウェイ第2工場で生産開始するコンパクトカーは、タイ政府認定のエコカーで、トヨタの新興国向け戦略車(2015年までに100万円前後の小型車を8車種投入し、世界で年100万台販売する構想)の一環。タイで生産するコンパクトカーはヴィッツをベースとするとされている。タイでの販売に加えグローバルに供給する計画。2013年3月のバンコク国際モーターショーで発表する。
タイのエンジン生産能力を拡大
ガソリンエンジン 2014年初 10万基分増強 カローラ系に搭載するZRエンジン生産を強化
(STMの生産能力は74万基→84万基)
ディーゼルエンジン 2015年 32万基→61万基 次期型IMVシリーズなどに搭載する
(注) 1. タイの現地法人STM(Siam Toyota Manufacturing)が、ガソリンおよびディーゼルエンジンを生産している。
2. ガソリンエンジンは、ベトナムと台湾にも輸出する。
3. ディーゼルエンジンも、タイ以外のIMV生産国への輸出を検討している。IMVシリーズは現在KD型4気筒2500~3000ccディーゼルエンジンを搭載している。

 

 



インドネシア:今後5年間にグループで13兆ルピア(1,430億円)を投資

 インドネシアは、世界第4位の2億4,000万人の人口を有し、車の普及率は低く、大きな潜在的成長性を持つ。

 インドネシア市場では、2012年のトヨタのシェアは36%、ダイハツを含めると50%を超えている。これまで小型ミニバンの「トヨタ・アバンザ/ダイハツ・セニア」とIMVシリーズのミニバン「イノーバ」でインドネシア市場を抑えてきた。

 ダイハツのスンター工場が、トヨタのアバンザを受託生産し、トヨタの販売を支えている。

 トヨタグループの6社(トヨタ、トヨタ車体、豊田通商、アイシン精機、デンソーおよびダイハツ)は、2012年11月に、今後5年間で13兆ルピアを投資すると発表した(2013年2月中旬時点で100ルピアは約1.1円)。

 

2014年に、トヨタは年産25万台、ダイハツは45万台の生産体制

 トヨタはカラワン第2工場を建設し、2013年初頭に年産7万台で新小型車の生産を開始する計画であった。2014年初めに生産能力を12万台に引き上げ、既存の第1工場も11万台から13万台に引き上げ、年産能力は25万台に増強される。

 ダイハツも、33万台(2直定時)の年産能力を持つスンター工場に加え、2012年10月にインドネシア政府のエコカー政策に対応する小型車、ダイハツ・アイラ(AYLA)/トヨタ・アギア(AGYA)を生産する予定の年産12万台のカラワン工場を完成させた。両工場を合わせて2直定時の生産能力は45万台だが、残業や休日出勤で50万台以上の生産が可能な体制とした。

 しかし2013年2月中旬時点でインドネシア政府のエコカー政策の発表がなく、ダイハツ・カラワン工場はエコカーの本格生産に入れないため、販売好調なダイハツ・セニアとトヨタ・アバンザの生産を開始した。

 トヨタのカラワン第2工場も、2013年初めからダイハツから供給を受けるアギアとは別のエコカー(エティオスベースとされる)を生産する予定であったが、生産開始時期は発表されていない。

トヨタグループのインドネシアにおける生産・販売台数

(1,000台)
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
トヨタ 生産台数
販売台数
販売シェア
152.7
152.5
35.1%
198.4
209.4
35.1%
178.6
190.7
39.0%
264.6
281.1
37.7%
306.3
314.9
35.3%
354.0
401.2
35.9%
トヨタ+ダイハツ 生産台数
販売台数
販売シェア
222.8
202.6
46.7%
302.2
290.2
48.7%
275.1
264.4
54.1%
383.1
399.6
53.6%
n.a.
450.7
50.6%
527.3
564.8
50.6%
インドネシア全体 生産台数
販売台数
412
434
601
596
465
489
703
745
838
891
1,066
1,116
資料:2007~2011年のトヨタはトヨタの企業サイト、ダイハツを含むトヨタグループと2012年の全データはMarklines Data Center
(注) 1. トヨタの生産台数は、アストラ・ダイハツでのトヨタ車生産を含む。
2. 2012年の販売のうち、トヨタアバンザ(ダイハツが受託生産している)が18.6万台、ダイハツセニアが7.5万台、キジャン・イノーバが7.3万台。

 

インドネシア・トヨタの生産体制

生産開始 年産能力 生産車種
カラワン第1工場 1998年 11万台→13万台
(2013年9月)
IMV (イノーバ、フォーチュナー)の生産を強化
カラワン第2工場 2013年初 7万台 小型車(エティオスベース車とされる)
2014年初 12万台に増強
トヨタ車体 2012年12月 6,000台 ミニバン「ノア」ベースの現地仕様車
(注) 1. トヨタ車体は、1995年にトヨタ車体、TMMIN(インドネシア・トヨタ)、豊田通商の3社が合弁で設立した「スギティークリエイティブス」で生産する。
2. トヨタは、カラワン工場近くに、エンジン工場建設のため150ヘクタールの土地を取得した。
インドネシア・ダイハツの生産体制
生産開始 年産能力 生産車種
スンター工場 1992年 33万台 ダイハツブランド車、ダイハツXenia/トヨタ
Avanza、ダイハツTerios/トヨタRush
カラワン工場 2012年10月 12万台 ダイハツXenia/トヨタAvanza + ダイハツAYLA/トヨタAGYA
(注) 1. ダイハツのカラワン工場は、2012年内に、アバンザ/セニアの他に、ダイハツ・アイラを7,311台、トヨタ・アギアを2,315台生産した。
2. インドネシア政府のLCGC政策については、2011年、2012年とインドネシアでの自動車販売が予想を超えて好調であったため、悪化する交通渋滞や消費拡大による石油輸入の財政負担などから、政府がエコカー計画の早急な実施に及び腰になっていると報道されている。
3. ダイハツは、カラワン工場敷地内に、テストコースとデザインセンターを建設する計画。

 

ダイハツがトヨタ・アギア(AGYA)、ダイハツ・アイラ(AYLA)を開発

開発  ダイハツが企画・開発を担当。ダイハツの「ミライース」で培った低燃費・低価格なコンパクトカーづくりのノウハウをベースに、アストラ・ダイハツ・モータースも参画し、インドネシアにジャストフィットするクルマを開発した。
 インドネシア政府が検討している「LCGC(Low Cost Green Car)」政策に向け開発した。価格は7,000~8,000万ルピア(77~88万円)に設定するとされる。
狙う市場  大家族が多く、アバンザ/セニアなどの多目的車(MPV)が主流を占めるインドネシア市場で、エントリーユーザー向けの1,000ccファミリーカーとして新たな市場の創造を狙う。
生産  ダイハツの子会社であるアストラ・ダイハツ・モーターが新設したカラワン工場で生産する。ダイハツ・アイラ(AYLA)として発売するとともに、トヨタにOEM供給し、トヨタはアギア(AGYA)として発売する。部品の現地調達率は84%を達成。

 

 



2012年度連結営業利益見通しを、1兆1,500億円に1,000億円上方修正

 トヨタは、2013年2月5日に、2012年度4~12月期の決算と、2012年度通期業績見込みを発表した。通期の為替レート予想を11月発表の1ドル79円から81円に修正、連結販売台数を10万台上乗せして、通期連結営業利益を1兆1,500億円(11月発表対比1,000億円増)とした。

 さらに単独営業利益は1,500億円の営業黒字の見込み(11月発表対比で1,700億円の改善)と発表した。ここ数年の原価改善の成果とここ1~2カ月の円安により輸出車の採算が大幅に改善し、輸出で利益が出るようになったとしている。リーマンショック後の体質改善にひとつのめどがついたとされている。

 なおトヨタは、輸出車の採算は改善しているが、収益をより安定させるため海外事業の現地化をさらに推進する。国内生産300万台は維持するが、生産車種は大きく変わるとしている。

 トヨタは2013年1~3月期の為替レートについて1ドル=84円、1ユーロ=110円と慎重な見方をしており、2月中旬時点のように1ドル=90円台の円安が続けば、利益がさらに上乗せされる可能性が高い。

2012年度連結決算予想の修正

売上高
(億円)
営業利益
(億円)
当期純利益
(億円)
連結販売台数
(中国を除く)
(1,000台)
2012年度通期
為替レート予想
ドル ユーロ
2011年度実績 185,836 3,556 2,835 7,352 79 109
2012年11月発表
2013年2月発表
213,000
218,000
10,500
11,500
7,800
8,600
8,750
8,850
79
81
100
104
増減 5,000 1,000 800 100 2円円安 4円円安
資料:トヨタ2012年度4~9月期および4~12月期決算発表資料。
(注) 1. 1円の為替変動によるトヨタの年間営業利益の変動額は、対ドル350億円、対ユーロ50億円とされている。
2-1. トヨタは、2012年12月、2009~2010年におきた米国の大規模リコールを巡る集団訴訟で、原告に11億ドルを支払う和解案に同意したと発表した。トヨタ車の電子制御システムを巡っては、不具合がなかったことが証明済みだが、訴訟の長期化で好調な販売に影響が出ることを懸念し同意したとされる。
2-2. トヨタは、上記の措置に伴い、2012年度に11億ドル(2013年2月中旬時点のレートで約1,000億円)を10~12月期に費用計上したが、それを吸収して通期で1兆1,500億円の連結営業利益を計上できる見込みとしている。

 

2012年度単独決算予想の修正

売上高
(億円)
営業利益
(億円)
当期純利益
(億円)
国内生産台数
(1,000台)
トヨタ・レクサス
輸出台数
(1,000台)
2011年度実績 82,411 (4,398) 358 3,119 1,670
2012年11月発表
2013年2月発表
92,000
96,000
(200)
1,500
4,700
6,300
3,300
3,350
1,850
1,900
増減 4,000 1,700 1,600 50 50
資料:トヨタ2012年度4~9月期および4~12月期決算発表資料。
(注) 1. トヨタの単独決算営業黒字は2007年度以来。
2. 2012年11月時点からの増益修正額1,700億円のうち、円安効果は1,400億円で300億円は原価低減など社内努力の結果。従ってトヨタは、1ドル=79円の円高でも単独黒字化(100億円)する力をつけたとしている。

 

資料:トヨタ・ダイハツのプレスリリース、各紙報道

 



LMC Automotive 生産予測:トヨタの地域別/ブランド別生産予測

(LMC Automotive社、2013年2月)

 LMC Automotive社は、トヨタ・グループの2013年のライトビークル生産(GVW6トン以下)は、前年比0.2%増の約952.8万台になると予測している(2013年2月時点)。日本で生産が7%近く減少する一方、アメリカ、タイ、ブラジル、イギリス、ロシア、インドネシアでの増産が下支えすると見ている。
 しかし、同社は「日本経済の成長の可能性と、円安によって輸出競争力が高まることを鑑み、日本での(生産/販売)予測を上方修正する可能性がある」と指摘している。

2016年までのトヨタの地域別/ブランド別ライトビークル生産予測

(台)
COUNTRY GLOBAL MAKE 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Total 8,274,813 7,584,272 9,514,056 9,528,387 9,667,787 10,039,808 10,450,202
Argentina Toyota 70,032 68,929 93,570 52,886 65,530 66,358 67,128
Australia Toyota 117,116 92,825 91,217 114,154 117,969 123,610 124,557
Brazil Toyota 63,729 61,770 64,725 120,272 123,035 126,935 125,744
Canada  Lexus 81,473 65,242 86,697 87,936 103,192 110,809 112,728
Toyota 377,121 347,587 432,525 439,534 449,170 444,410 447,927
Canada Sub-total 458,594 412,829 519,222 527,470 552,362 555,219 560,655
China  Daihatsu 0 0 0 0 0 0 38,287
Toyota 773,677 800,797 752,470 760,536 822,656 857,936 894,578
China Sub-total 773,677 800,797 752,470 760,536 822,656 857,936 932,865
Czech Republic Toyota 83,002 90,667 73,086 58,880 72,893 80,100 82,253
France Toyota 160,471 167,861 194,483 160,025 147,165 147,517 132,591
India  Daihatsu 2,133 2,903 3,120 2,321 2,905 4,091 5,726
Toyota 75,664 136,437 194,164 213,006 264,140 317,468 377,330
India Sub-total 77,797 139,340 197,284 215,327 267,045 321,559 383,056
Indonesia   Daihatsu 118,075 132,126 173,258 193,023 205,553 208,151 216,243
Hino 1,479 1,858 12,955 11,996 12,817 13,170 14,167
Toyota 252,318 319,993 354,024 374,769 401,921 427,177 441,563
Indonesia Sub-total 371,872 453,977 540,237 579,788 620,291 648,498 671,973
Japan     Daihatsu 646,762 564,957 682,546 563,565 583,479 559,868 567,657
Hino 30,367 38,137 58,484 40,678 36,346 35,594 34,669
Lexus 308,224 326,168 397,179 442,871 445,408 497,612 584,400
Scion 62,791 41,857 58,972 76,984 86,063 87,606 87,413
Toyota 2,816,045 2,311,448 3,048,887 2,816,085 2,621,399 2,566,646 2,565,269
Japan Sub-total 3,864,189 3,282,567 4,246,068 3,940,183 3,772,695 3,747,326 3,839,408
Malaysia   Daihatsu 2,665 325 0 0 0 0 0
Hino 3,755 4,330 5,850 4,786 5,141 5,431 5,888
Toyota 69,726 64,045 73,668 86,508 91,129 96,999 100,742
Malaysia Sub-total 76,146 68,700 79,518 91,294 96,270 102,430 106,630
Mexico Toyota 53,830 49,596 55,676 53,753 54,185 67,395 95,990
Philippines Toyota 31,769 30,120 32,985 31,437 15,367 15,178 15,666
Portugal Toyota 2,338 1,803 1,830 1,631 1,749 1,942 2,075
Russia Toyota 15,892 14,131 28,441 51,336 70,631 78,047 65,271
South Africa Toyota 123,343 153,244 180,262 160,885 182,218 186,450 177,604
Taiwan  Hino 1,026 1,364 2,328 2,121 2,553 2,355 2,348
Toyota 119,628 153,899 169,098 141,735 140,205 153,522 159,380
Taiwan Sub-total 120,654 155,263 171,426 143,856 142,758 155,877 161,728
Thailand Hino 180 152 1,836 1,226 1,359 1,408 1,411
  Toyota 630,712 515,813 776,171 859,321 882,472 933,694 988,646
Thailand Sub-total 630,892 515,965 778,007 860,547 883,831 935,102 990,057
Turkey Toyota 83,286 91,639 73,738 95,440 123,927 128,276 171,972
UK Toyota 137,054 128,146 125,862 171,391 169,494 167,880 172,876
USA Toyota 944,106 793,272 1,201,120 1,307,991 1,333,968 1,493,488 1,536,466
Venezuela  Daihatsu 971 978 870 11,787 12,260 12,658 12,783
Toyota 14,053 9,853 11,959 17,518 19,488 20,027 20,854
Venezuela Sub-total 15,024 10,831 12,829 29,305 31,748 32,685 33,637
資料:LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (February, 2013)"
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要となります。
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