第3回クルマの軽量化技術展取材報告(2)

炭素繊維強化樹脂やその他の樹脂化による軽量化

2013/02/14

要 約

 本レポート「第3回クルマの軽量化技術展取材報告(2)」は、2013年1月16~18日に、東京ビッグサイトで開催された「第3回クルマの軽量化技術展」の出展のうち、炭素繊維強化樹脂を含む樹脂化による軽量化について報告する。


関連レポート:第3回クルマの軽量化技術展取材報告(1):積層造形法と軽量金属(2013年1月掲載)


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炭素繊維強化樹脂(CFRP)の活用

 東レは、炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を使用したボディー部品3点、レクサスLFAのフード、スバルインプレッサWRX STI tSのルーフ、Mercedes-Benz SL 63のトランクリッドを並べて展示した。また、これまでは熱硬化性樹脂を使用するCFRPが中心であったが、成形が比較的容易で幅広い部品に適用可能な熱可塑性樹脂を使用するトレカペレットを紹介した。

 三菱ケミカルホールディングスグループは、EVコンセプトカーAPTSISを展示した。

東レが出展したCFRP製品 東レが出展したCFRP製品、トヨタ・レクサスLFAのフード(写真左)、スバルインプレッサ WRX STI tSのカーボンルーフ(中央)、およびMercedes-Benz SLのトランクリッド(右)

APTSIS 三菱ケミカルホールディングスグループが出展したEVコンセプトカー"APTSIS"(シャシーはCFRP製)

ヤマハYZF-R1のシートフレームブラケット 東レ トレカペレット(長繊維タイプ)を使用した、ヤマハYZF-R1のシートフレームブラケット

樹脂ギヤPPS-CFとPA66-CF 炭素繊維(短繊維タイプ)で強化した樹脂ギヤPPS-CFとPA66-CF(東レの出展)

炭素繊維強化樹脂(CFRP)

熱硬化性樹脂を使用するCFRP製ボディー、外板など
東レ レクサスLFAの フード  トヨタ・レクサスLFAのCFRP製フード。トヨタは、LFA 500台の生産を2012年12月に終了したが、LFAの開発・生産を通じて得られた技術、特にCFRP部品の生産ノウハウを今後のレクサス車に幅広く継承するとしている。
WRX STI tSの カーボンルーフ  富士重工が2010年12月に、400台限定生産・販売を開始した、スバルインプレッサ「WRX STI tS」のカーボンルーフを展示した。東レと富士重工が共同開発した炭素繊維複合材料を使用し、車両を軽量化するとともに、低重心化と操縦安定性を向上させた。
Mercedes-Benz SLの トランクリッド  CFRP製Mercedes-Benz SL 63(2012年発売)のトランクリッドを展示した。東レは2011年6月にダイムラー社と、CFRP複合材料製自動車部品製造販売会社"Euro Advanced Carbon Fiber Composites"を設立している。
三菱ケミカル ホールディングス グループ EV コンセプトカー APTSIS  APTSISは、三菱ケミカルホールディングスグループのグループ・モットー(Agility、Principle、Transparency、Sense of Survival、Internationalization、Safety, Security & Sustainability)を表す。APTSISを冠したコンセプトカーを出展した。
 CFRP製シャシー、天井に有機薄膜太陽電池(アイドリングストップ時の電気をまかなう)、PCグレージング(ガラス代替)、低線膨張樹脂ボディー、アンダーボディーシールド、LED照明など三菱ケミカルグループの先端技術を豊富に搭載するとの想定。
レース用バイクへの適用
小高精密 バイク用 前輪シャフト  炭素繊維強化樹脂メーカーの小高精密が、KYBがホンダのダウンヒル競技専用マウンテンバイク向けに生産し納入している、炭素繊維強化樹脂製前輪シャフトを展示した。
 またショーワがホンダのロードレース用バイクに向け納入している炭素繊維強化樹脂製前輪シャフトを展示した。コストを抑えるため、内側の面と、外側の面の一部分はアルミニウムを使用している。
熱可塑性樹脂を使用するトレカペレット
東レ トレッカペレット バイク用 シートフレーム ブラケット (長繊維タイプ)  炭素繊維熱可塑性樹脂「トレカペレット」を紹介した。軽量化効果と、優れた電波シールド特性により、電装部品ケースへの適用も期待できるとのこと。長繊維タイプと短繊維タイプがある。
 長繊維タイプは10~30%の炭素繊維を含み、高強度、高衝撃、低そり性がある。長繊維タイプを使用したヤマハ・バイク(YZF-R1、998ccエンジンを搭載する高級車)用シートフレームブラケットを展示した。
樹脂ギヤ (短繊維タイプ)  東レの、炭素繊維強化熱可塑性樹脂のうち、短繊維タイプを原料とした樹脂ギヤを展示した。使用した樹脂は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)とPA(ナイロン)66で、強化炭素がマトリックス状に8~30%織り込まれている。樹脂ギヤは、相手方ギヤを傷つけない効果もあるとのこと。

 

 



高機能樹脂

 Victrex社(本社は英国)は、車に幅広く採用されている高機能樹脂を展示した。Igus社(ドイツ)とBNL(英国)は、樹脂製ベアリングを紹介した。

樹脂製スライドベアリング 樹脂製スライドベアリング(イグスの出展)

高機能樹脂

Victrex 各種の 高機能樹脂  Victrexは、Victrex PEEK樹脂を始めとする高機能樹脂の専業メーカー。英国に本社と生産拠点を持ち、世界30カ国以上で事業を展開している。
 PHV用ベアリング保持器、ブレーキ部品のESC用ガイドリング、ABS用ロッドシール、ABS/ESC用リングシール、トランスミッション用スラスト・ワッシャーなどを展示した。展示した製品のうち7~8割は炭素繊維で強化されていて、黒ずんだ色をしている。
ターボ チャージャーの インペラ-  ターボチャージャーのインペラーを展示した。金属製品に比べ、機能向上や形状自由度向上に加え、大量生産するとコストダウンになるとの説明があった。
 従来の金属品は、材料費は低いが、切削加工など後処理に手間とコストがかかりその結果変動費が嵩む。Victrexの樹脂の場合、材料費は高いが後処理が全く不用なので、材料製造の初期投資を回収できる大きな規模で生産すれば、割安になるとの計算が成り立つとのこと。
樹脂製ベアリング
イグスigus 樹脂性 スライドベアリング  イグスは、ドイツの樹脂製ベアリングメーカー。1983年から樹脂製ベアリングの生産・販売を行っている。日本では栃木工場と、他に数箇所の在庫・アセンブリー拠点がある。
 イグスは、ベースポリマー、充填材と固体潤滑剤で構成される高性能ポリマー(重合体)「イグリデュール(iglidur)」を開発し、イグリデユール製のスライド(回転)ベアリングを製造・販売している。金属ベアリングに用いる潤滑剤は必要とせず、低い摩擦係数により長期にわたる使用を可能にし、高い熱伝導性を持たせて急速な熱放散を可能にした。
 車用途では、シート、ペダル、ステアリング、スロットルボディー、ヒンジシステム、ワイパーなど、様々な部分に採用されている。
 2007年に、高性能ポリマー「クシロデュール(xirodur)」製のボールベアリング「クシロス(xiros)」を発売した。使用されている分野は、医療・薬品、繊維技術などで、車用途には耐久性などから現在は困難であるとのこと。
BNL 樹脂製 ベアリング  英国のBNLは、樹脂製ベアリングを、40年にわたり供給してきた。本社は英国に、生産拠点を英国、米国とタイ(2008年に生産開始)に置いている。樹脂製ベアリングは、軽量化、自由なデザイン、小さい回転トルク、簡易な組立、価格も低減するなどのメリットがある。
 また、樹脂はもともと滑らか、滑り易いなどの特性があり、スチール製ベアリングのように潤滑油を注入する必要もない。ただしボールベアリングの代替については、研磨にコストがかかることや、軽量化効果も少ないなどの理由で、現在採用は少ないとのこと。
 車載用途では、GM、Ford、Audiが、ステアリングコラム、ルーフラック、事故を周囲に知らせる回転灯などに利用している。今日、樹脂製ベアリング搭載車が世界で500万台以上走っている。

 

 



発泡樹脂の採用、その他樹脂化による軽量化

 使用する樹脂材料、構造(発泡樹脂、中空、表皮と一体成形する、コア材を挟み込む、あるいは複雑な形状など)、そのための製造方法が組み合わさって、様々な製品・部品が使用されている。製造された製品・部品は、軽量化に加え、高剛性、断熱性、高吸音性などの特性を合わせ持つものもある。

ドアインナーパネル 発泡樹脂をベースに製作したドアインナーパネル(国産RV車用、宇部興産の出展)

高充填サンドイッチ成形品 高充填サンドイッチ成形品(宇部興産の出展)

「ツインコーン」の断面形状 宇部日東化成(株)が提供する「ツインコーン」の断面形状(同社の商品カタログから)

発泡ブロー成形したエアコンダクト 発泡ブロー成形したエアコンダクト(キョーラクの出展)

ターボエンジンに対応するエアダクト ドイツKAUTEX社のサクションブロー成形技術で製作した、ターボエンジンに対応する エアダクト(写真のような複雑な形状の部品製造に向く製法で、アルテックの出展)

樹脂製燃料タンク トヨタアクアが搭載する樹脂製燃料タンク (三菱ケミカルホールディングスグループの出展、タンクの製造は(株)FTS)

発泡樹脂の利用、その他樹脂化による軽量化

宇部興産 グループ 各種エンジニアリングプラスチック  宇部興産グループは、車の様々な部位にエンジニアリングプラスチック製品を供給している。ポリアミド6、66(UBE NYLON)、ポリアミド12(商標はUBESTA)、合成ゴム(商標はUBEPOL BR/VCR)やその他の製品についてパネルで紹介した。
発泡樹脂製 ドアトリム  宇部興産は、射出成形機のメーカーとして、同社の成形機を使用する軽量化技術を提案している。薄肉軽量化による10%までの軽量化、金型拡張法による発泡技術で40%までの軽量化や、さらに40%以上の超軽量化を図る方法もある。
 金型拡張法(金型に射出充填し、樹脂圧が高まったところで金型を拡張させ容積を拡大し、発泡させる)で発泡軽量化した樹脂をベースとし、従来品比30%軽量化したドアトリムを展示した。
高充填 サンドイッチ 成形品  スキン(表皮)材でリサイクル材をサンドイッチ状に挟んだ構造で、コストと外観を両立させた。展示品では、PPをスキン材とし、金型拡張発泡させたTPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)をコア材とし、高外観と高機能(断熱、吸温、制振)を両立させた。今後注力する分野であるとのこと。
宇部日東化成 (株) ツインコーン (4層中空ハニカム 構造板)  ツインコーンは、円錐台形状の山が格子状に配置された2枚のポリプロピレン製シートを中間体とし、さらに各々の表面に面材を溶着させた、4層の中空ハニカム構造になっている(写真ご参照ください)。厚み方向の構造が左右対称のためソリが発生しにくい、中空部が連続しており空気量が大きい、「ダンプラ」より剛性が高いなどの特徴がある。自動車内装材に最適としている。
 (注)ダンプラ/またはプラダンは、PPを原材料として、ダンボールシートとよく似た断面を持ち、ハーモニカのような隙間が整然と並んでいる製品。引越しの際の養生(室内やエレベーターの壁の保護)など幅広く使われている。
キョーラク 発泡ダクト  発泡ブロー成形技術により、エアコンダクト経路の断熱性確保と軽量化が可能になった。顧客のニーズに合わせた発泡倍率と肉厚の設定が可能。同じ重量であっても、発泡倍率が高い(肉厚が厚くなる)ほど断熱性が高い。
 トヨタアルファードの天井ダクト、ダイハツのムーヴ/ミライース、ホンダのN-ONEなど多くの車種のインパネ内ダクトを量産している。
EA材 (Energy absorbing)  汎用PP材を使用したブロー成形品のバンパーアブソーバーを出展。1,250gであったスチール製品から、ブロー成形品は600gに軽量化した。スズキのエスクード、キザシ、ジムニーのバンパーアブソーバー向けに量産している。
FLP Lite  FLP(Fabric Laminated Plastic)は、金型にあらかじめ表皮とする布地をセットしておき、全体の成形と表皮の製品への張付けを、型内で同時に行う工法。キョーラクは、FLP LiteとFLP Lite Sを提案している。
 FLP Liteは、表皮一体成形に加え、薄肉成形 + コア材インサート技術により、従来ブロー工法では出来なかった軽量化と高剛性化を実現した。金型に、表皮不織布、両面のパリソン(溶融しチューブ状になった樹脂材料)、その中間にコア材をセットし一体成形する。コア材は、発泡材、独自開発コア材、補強材などに対応可能。
 トヨタの新型RAV4のデッキボード(部品生産はトヨタ紡織)、スズキワゴンRのスライド式ラゲッジボード(スズキ化成)向けに量産している
FLP Lite S  表皮一体成形と薄肉ブロー成形技術により、ダンプラ工法に匹敵する軽量化を実現し、かつ従来ダンプラ工法では出来なかった設計自由性を実現した。カーゴフロアリッドを製作すると、キョーラクの最軽量カーゴフロアリッドができる。2013年に上市予定。
 FLP Lite Sについては、カーゴフロアリッド以外にも、ルーフトリム、シートバックボード、バックドアトリム、サンバイザーなどへの応用を提案していく。
アルテック ターボエンジン用 エアダクト  ドイツKAUTEX MACHINENBAU社の、3D サクションブロー成形技術を紹介した。複雑な三次元構造を持つエアコンダクトで、かつ自然吸気エンジンより高温になるターボエンジンに使用するエアダクト製品の生産に最適。
 この方法では、パリソンを閉じた金型に負圧で吸引(suction)する。パリソンが金型キャビティ(中子に対して固定側を指す)の末端まで達すると、金型キャビティ両端を閉じて内側からのブロー圧で成形し冷却する(負圧を利用しない場合は、金型を開き、ロボットがパリソンを金型内に誘導するなどの方法を使っている)。
スターライト工業 アンダーボディーシールド  スターライト工業は、提携するドイツRoechling社が開発したSeeberliteを使用したアンダーボディーシールドを紹介した。Seeberliteは、PPに約25~40%のGF(ガラス繊維)をまぜた構造で、軽量、高強度、高吸音性能、遮熱効果がある。Volvo XC40に全面的に採用されている。
 エンジンや排気管下の部分などの高温エリアもカバーするフルアンダーカバーも開発した。本展示会では、Mercedes-Benz AMG SL 63に供給するタイヤカバーの部分を展示した。
三菱ケミカル ホールディングス グループ 樹脂燃料タンク  トヨタアクアの、樹脂製燃料タンクを展示した(タンク自体の製造は(株)FTS)。樹脂製燃料タンクは、金属製タンクに比べ、軽量、耐久性、耐防錆性、形状自由度で優れる。三菱ケミカルグループの日本ポリエチレン(株)の出展。同じ材料を用いたプリウスの燃料タンクについてもパネル展示した。
 6層の構成で、外層と内層の主材料は高密度ポリエチレン(HDPE)。燃料の気化・蒸発を防ぐバリアー層に使用しているソアノール(Ethylene vinyl alcohol copolymer)は、HDPEの2000~3,000倍の高いバリア性を持つ。ソアノール(三菱ケミカルグループの日本合成化学工業(株)の出展)の開発により、従来金属製であった燃料タンクの樹脂化が可能になった。
ラゲッジボックス  熱可塑性樹脂を連続ガラス繊維マットで強化した複合材料GMT、GMTex(Glass-Mat Reinforced Thermoplastics)で構成されたラゲッジボックスの提案。約20%軽量化でき、衝撃エネルギー吸収性に優れる、耐防食性、デザインの自由性が高まるなどのメリットがある。クオドランド・プラスチック・コンポジット・ジャパン(株)の出展。

 

 



その他:バイオマス繊維の活用、温度調整機能を持つシート素材など

快適シートファブリックを使用したシート 東レが出展した、快適シートファブリックを使用したシート(冬はあたたかく、夏は涼しい)

その他、バイオマス繊維の活用など

東レ 内装向け バイオマス繊維  東レは、バイオマス系繊維を用いた内装材設計技術(ポリマー改質技術、テクスタイル設計技術)を確立し、2009年に発売されたトヨタサイ(SAI)のシート、天井、ドアトリムなどを幅広く供給した(部品製造はトヨタ紡織)。
 具体的には、ポリ乳酸繊維(PLA:ポリラクティックアシッド、ドライな風合い、良好な発色性を持つ)、3GT繊維(ポリトリメチレンテレフタレート、ソフト感がある)、バイオPET繊維(ポリエチレンテレフタレート、石油由来PETと同等の物性を持つ)を開発、実用化し、トヨタ・サイのルーフヘッドライニング、トランクドアトリム、サンバイザーなどに供給した。
衝撃吸収 ナイロンハニカム  急激に衝撃を加えたときに、ゴムのように変形して衝撃を吸収する構造の樹脂を世界で始めて開発し、また2枚の表皮の中間を衝撃吸収樹脂のハニカム構造とし、衝撃吸収性を高めた。トータルエネルギー吸収量が大きく、衝突物に与えるダメージが小さい。各種外板、パネル、衝突安全部品での用途を開発していく。
温度調整機能を 持った快適シート ファブリック  シートファブリックに水蒸気を吸湿し保持する機能を持たせ、冬はあったかく、夏は涼しい室内をつくり、HV車やEV車でエアコン使用量を減らして、燃費・航続距離の改善を目指す。
 冬場は、エアコンの温風が含んだ湿気を繊維上の吸湿ポリマーが吸着し、その際に水蒸気の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて温度が約2℃上昇する(冬・夏とも、エアコンの使用を前提として効果を試算している)。東レとユニクロが共同開発したユニクロ「ヒートテック」に共通する原理とのこと。
 夏場は、吸湿ポリマーが吸着したクーラーからの水分を室内に放湿し、その際に気化熱により室内の熱が奪われて約2℃温度が低下する。
金属レス 金属光沢調 フィルム PICASUS  金属を使用せずに金属調を出し、同時に光透過も可能な意匠性を有するポリエステルフィルム"PICASUS"を開発した。従来金属調を出すには、樹脂成形体にメッキ、塗装、金属蒸着していた。ダイハツ・タントExeカスタムの、オーバーヘッドコンソールとセンターコンソールに使用されている(部品製造はトヨタ紡織)。
 PICASUSの原理は、高屈折率ポリマーと低屈折率ポリマーを重ね合わせることで可視光線領域を干渉反射させ、金属を使用せず金属調を実現した。また光透過性もあり、内部の光源を点灯するとその色調で照明する。
フロロコート Fluoro Coat フッ素樹脂 コーティング  フロロコートは、フライパンでお馴染みのふっ素樹脂コーティングの専門メーカー。ふっ素樹脂は、ふっ素元素(F)と炭素鎖から成る熱可塑性ポリマーで、(1)難付着性、(2)耐熱性、(3)すべり性、(4)耐薬品性、(5)撥水・撥油性、(6)耐磨耗性、(7)電気特性などに優れる。
 これまで、ゴム、樹脂、チタン材、セラミックスなどの軽量素材のコーティングに利用されてきた。現在使用が増加しているマグネシウム合金、CFRP複合材、金属基複合材(MMC:Metal Matrix Composites)などにも適用することで新たな価値を付与し、軽量素材の利用をサポートするとしている。
 自動車用途では、ブレーキ倍力装置内のシール部品に使用されている。作動時に他部品と接触し摺動するためすべり性が必要。

資料:本展示会での展示品、パネル展示と配布資料

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>