Mercedes-Benz Cars: 2015年までに世界販売160万台を目指す
米国・新興国市場を強化、2020年に高級車NO1ブランドへ
2013/01/29
要 約
Daimlerの乗用車部門であるMercedes-Benz Cars は2012年に販売台数が前年を4.5%上回る、過去最高の142万台を達成した。ディーター・ツェッチェCEOは、南欧での景気後退や、複数のモデル切り替えにもかかわらず、前年の販売台数を上回ったのは、A-Class、SUVなどのモデルの販売が好調なためとしている。しかし、ユーロ圏の市場不振や中国市場での競争激化が要因で、Mercedes-Benz Carsの2012年の予想EBITは2011年の52億ユーロに届かない見込み(2012年9月発表)。
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Mercedes-Benz Cars事業計画:「Mercedes-Benz 2020」
目標 | ・Mercedes-Benzブランドで、2014年までに世界販売150万台、2015年までに160万台を目指す。(注:smart含まず) ・中国での販売台数を2015年までに30万台とする。 ・2020年までにプレミアムセグメントでの世界販売台数首位の奪還を目指す。 |
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事業方針 | ・ユーロ圏の不振を補うために域外市場である米国や中国・インドなどの新興国市場を強化する。 ・ルノー・日産を中心に、他社との業務提携。 |
モデル計画 | ・2015年までに、10車種以上の新モデルを発売予定。 |
開発・生産体制 | ・小型車・SUVなどの需要拡大に向けて、グローバルな生産ネットワークを整備、プラットフォーム、パワートレイン、部品生産を効率化。生産時間とコストの削減を行う。 ・車両の構成部品をモジュール化。2015年までに前輪駆動用「MFA」プラットフォームおよび後輪駆動用「MRA」プラットフォームの2つに統合し、30種類のバリエーションを展開。 |
環境対応技術 | ・Mercedes-Benzは欧州市場におけるCO2の平均排出量を、2011年の150g/kmから2016年までに125g/kmに低減する。中期計画ではガソリン・ディーゼルエンジンの更なる低燃費・低排出化技術の開発やハイブリッド化による効率化、またEV・FCVによるゼロエミッションの実現を目指す。 |
ルノー・日産との業務提携
ダイムラーは「Mercedes Benz 2020」の一環として、エンジンや新技術の共同生産・開発により投資コスト軽減などの相互メリットがあると、ルノー・日産との協業を重要視している。
エンジン共同 生産・調達 | Mercedes-Benz/Infinitiブランド車搭載用のエンジンを2014年より、日産の米テネシー州Decherdパワートレイン工場で生産開始。4気筒2500cc級のエンジンを生産し、Mercedes-Benz車とInfiniti車に供給。日産Decherd工場の生産能力は、最大年間25万基規模となる予定。2014年から米国Tuscaloosa工場で生産する次期Mercedes-Benz C-classに搭載予定。また2013年に刷新予定のInfiniti Q50(「Infiniti Q37セダン」(日本名スカイライン)の後継車)に、同エンジンと、欧州市場に向けたディーゼルエンジンを供給予定。 |
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エンジン共同開発 | 2012年9月、ダイムラーとルノー・日産は共同で4気筒・ターボチャージャー付き直噴ガソリンエンジンを共同開発すると発表。新型エンジンは排出ガスの低減と燃費向上を狙い、2016年からダイムラー、ルノー、日産の車両に搭載する。Smart ForTwoやSmart ForFour、次期型ルノーTwingoに搭載される見込み。 |
電気自動車(EV) の共同開発 | 電気自動車(EV)を共同開発し、2014年に発売予定。ルノー・日産がモーター技術、ダイムラーがバッテリー技術を提供して駆動部を開発。ダイムラーはSmartの次期型車に搭載予定。 |
燃料電池車の 共同開発 | ルノー・日産、フォードと共同で、燃料電池車技術の開発を行うと2013年1月に発表。構成部品の共通化を行い、生産コストの低減を図る。ダイムラーはスタックやモーターなどを組み合わせる燃料電池システムの開発を担当。2017年に量産車の販売を目指す。 |
プラットフォーム | Mercedes-Benzの「MFA」プラットフォームを日産のEtherea Conceptベースの小型車に提供。開発費の負担がルノー・日産との協業により軽減される。 |
2010年4月にSmart ForFour、Smart ForTwoとルノーTwingo用のプラットフォームを共同開発すると発表。ルノーのスロベニア Novo Mesto工場にてEV・ガソリン版の「Smart ForFour」および新型「Twingo」を同工場で2013年より生産予定。 | |
トランスミッション | ダイムラーは日産へ新型ATのライセンスを提供。アイドリングストップやパーク・バイ・ワイヤおよび、シフト・バイ・ワイヤ技術が採用される。日産の子会社ジヤトコのメキシコ工場で新型トランスミッションを生産、2016年から日産とInfinitiブランドの車両へ搭載されていく。 |
生産体制:小型車・SUVの生産能力増加
Mercedes-Benz Carsは新プラットフォームおよび車両の構成部品にモジュール戦略を採用。部品の共通化により生産コストを削減する。2015年までにはプラットフォームの数を前輪駆動用の「MFA」と後輪駆動用の「MRA」の2種に統合。プラットフォームおよびパワートレインの生産ネットワークの整備・他社との業務提携で大幅なコスト削減を図るほか、小型車・SUVの需要拡大に対応して生産体制を整備して行く。
各生産拠点の動向
ドイツ: Stuttgart | 需要減少により、2012年11月よりS-Classの生産ラインを2シフト制から1シフト制に縮小。従業員はC-Classの組み立てに再編成される。 |
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ドイツ: Rastatt | 新型A-Class、新型B-Classと小型SUV・クーペを含む小型車5モデルを生産予定。また、新型A-Classの好調に対応するために、同工場では従業員を500名新規雇用し2012年10月より3シフト制に移行。 |
ハンガリー: Kecskemet | 2012年3月に開所し、新型B-Classの生産を開始。当初の年産能力は12万台。2013年からCLA-Classの生産を開始し、生産能力を20万台に拡大。また、2015年までには30万台に拡大する計画。 |
フィンランド: Valmet Automotive Inc. | 2013年から2016年の4年間で10万台以上の新型A-ClassをValmet Automotive inc.に生産委託する計画。 |
米国: Tuscaloosa | アラバマ州の工場。新型M-Classの生産を2011年7月に、2012年6月に新型GL-Classの生産を開始。インド・インドネシア・タイにセミノックダウン(SKD)キットを輸出。また、北米市場向けの次期C-Classの生産を、2014年に開始予定。 |
インド: Chakan | 2012年10月より、M-Class 250CDIをSKD(セミノックダウン)生産。2013年よりGL-Classの生産を開始。 |
フランス: Hambach | 2012年6月にSmartブランドの2人乗りEV Smart ForTwo Electric Driveの生産を開始。 |
Mercedes-Benz Cars モデル計画
2012年3月29日に発表された中期計画「Mercedes-Benz 2020」では、2015年までに、小型車を3車種、中型車を2車種、フルサイズ1車種、大型車3車種、SUV1車種の合計10車種のMercedes-Benz Carsの新モデルを発表するとしている。また1995年には12種類のプラットフォームで15モデルを展開していたが、2015年には2種類のプラットフォームで30モデルを展開する。
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改良型E-Class | CLA-Class |
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画像は2013年1月にデトロイト・モーターショーに展示されたセダン。 写真のAVANTGARDE仕様ではエンブレムが中央に設置された、スポーティな外観を強調したグリルとなる。標準仕様とELEGANCE仕様ではフロントマスクがクラシックなサルーン・グリルとなる。 | コンセプトスタイルクーペ(Concept Style Coupe)のデザインを踏襲した、「MFA」プラットフォームを使用するコンパクトクーペ。2013年1月、デトロイト・モーターショーの前夜祭で初公開した。 |
新型 M-Class | 2011年 9月発売 | プレミアムSUV。ガソリンエンジンは第3世代のBlueDIRECT直噴システムを、ディーゼルエンジンはSCR技術を採用したBlueTECエンジンを搭載する。 |
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新型 B-Class | 2011年 11月発売 | 新型「A-Class」と共通のプラットフォームであるFFレイアウト「MFA」プラットフォームを採用したプレミアムコンパクト。新開発の直噴2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジン、7速デュアルクラッチトランスミッション7G-DCTもB-Classで初採用。COLLISION PREVENTION ASSISTやPRE-SAFEなどの安全装備が標準となっている。 |
新型 SL-Class | 2012年 3月発売 | 2シーターオープンスポーツカー。車体の9割にアルミを使用することで、前モデルより275lb (約124.7kg)の軽量化。 |
新型 GLK-Class | 2012年 5月発売 | ニューヨーク・モーターショー2012にて発表されたコンパクトSUV。BlueTECディーゼルエンジンは排出ガス基準「ユーロ6」に適合。新しい電子制御式7速AT 7G-TRONIC PLUSやアイドリングストップEco start/stopの採用により燃費が向上した。 |
新型 G-Class | 2012年 6月発売 | 大型SUV。LEDライト、COMANDインフォテインメントシステム、死角検知Blind Spot Assist、アダプティブクルーズコントロールDISTRONIC PLUS、アイドリングストップ機能ECO start/stopなどの先進装備を追加。 |
新型 A-Class | 2012年 9月発売 | 「MFA」プラットフォームを採用したプレミアムコンパクト。1.6~2.2リットルのガソリンおよびディーゼルエンジンが設定され、全エンジンにECOアイドリングストップ機能を搭載。A 180 CDI BlueEFFICIENCY EditionはMercedes-Benz車で最も燃費が良く、欧州複合モードで燃費3.6 L/100 km (約27.8km/L)、CO2排出量は92g/kmとなっている。COLLISION PREVENTION ASSISTやPRE-SAFEなどの安全装備は標準採用。 |
CLS Shooting-Brake | 2012年 10月発売 | 2010年に発表されたCLS-Classがベースの4ドア・クーペ。車両の後部が延長され、室内空間を拡大。電子制御式7速AT 7G-TRONIC PLUSや4WDシステム 4MATICを採用して走行安定性を実現。CLS 250 CDI BlueEFFICIENCYでは燃費5.3L/100km (約18.9km/L)、CO2排出量130g/km。 |
新型 GL-Class | 2012年 11月発売 | 大型クロスオーバーSUV。「GL 350 BlueTEC 4MATIC」は190kW (258hp)のディーゼルエンジンを搭載、燃費は欧州複合モード基準で7.4L/100km (約13.5km/L)。GL 500 4MATIC BlueEFFICIENCYはV8ガソリンエンジンを搭載。燃費は11.3L/100km (約8.8km/L)。 |
CLA-Class | 2013年 4月発売 | コンセプトスタイルクーペ(Concept Style Coupe)のデザインを踏襲した、「MFA」プラットフォームを使用するコンパクトクーペ。ボディサイズは全長4,630×全幅1,777×全高1,437mm。搭載エンジンは、1.6~2.0Lの直噴ガソリンエンジンとCO2排出量を109g/kmに抑えた2.2Lディーゼルエンジンが用意される。すべてのエンジンにアイドリングストップ機能ECO start/stopが採用され、欧州排ガス基準「ユーロ6」に適合。また、安全面では衝突回避システムCOLLISION PREVENTION ASSISTなどを標準装備。iPhoneを用いた音声コントロールやCOMANDインフォテインメントシステムなどを搭載。 |
改良型 E-Class | 2013年 | 2012年12月にセダンとステーションワゴン、2013年1月にクーペとカブリオレを発表。改良型E-Classには、標準仕様、ELEGANCE(エレガンス)、AVANTGARDE(アバンギャルド)の3仕様が設定される。Stereo Multi Purpose Camera (SMPC)などの先進技術を搭載。 |
次期型 S-Class | 2013年 | Mercedes-Benzの最上級プレミアムモデル。Stereo Multi Purpose Camera (SMPC)を始めとする、新開発した様々な先進的装備を搭載することにより、安全性と快適性が飛躍的に向上すると2012年11月に発表。セダン、カブリオレ、クーペの他、Maybachが担っていた市場をLWB(Long Wheel Base)及びUltra-Luxury(ウルトララグジュアリー)モデルで担う。合計5モデルを2013年から2015年にかけて順次発売予定。 |
次期型 C-Class | 2014年 | 2014年3月にセダン、ステーションワゴン、2015年にクーペ、カブリオレおよびプラグインハイブリッドモデルを投入予定。Stereo Multi Purpose Camera (SMPC)などの先進技術を搭載。 |
GLA-Class | 2014年 | 新型A-ClassのプラットフォームをベースにしたSUV。2014年発売が見込まれる。 |
MLC | 2015年 | M-ClassをベースにしたSUVクーペ。2015年より米国Tuscaloosa工場で生産予定。 |
中国事業:販売・生産体制の強化
中国でMercedes-Benzの2012年販売台数は、前年比1.5%増の19万485台(smart含まず)を記録したが、VW傘下のアウディは40万5,838台の同29.6%増、BMWは32万6,444台の同40%増と、販売台数・増加率共に大きく差をつけられている。
ダイムラーは中国市場が今後、より重要な市場になるとしており、中国での事業を強化するために専任の取締役を任命。また中期計画目標である、2020年までの高級車世界販売台数首位の達成のため、販売体制を整備・強化し、現地生産車の販売割合を増加していく。
中国での販売 体制の強化 | 2012年12月、生産提携先の北京汽車集団と折半出資の販売会社「Beijing Mercedes-Benz Sales Service Co., Ltd」を設立。これまでは現地生産車と輸入販売車の販売ルートが存在していたが、新会社の下で販売ルートを統合し効率化を目指す。 また、2011年に207拠点あった販売店網を2012年に260店舗へ拡大。年に50店舗のペースで展開し、販売力を強化する。2015年までに中国での販売台数を2011年比50%増の年30万台を目指す。 |
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モデル展開 | 2012年にM-ClassやB-Classを投入。中期計画ではS-Class、A-Class、E-Classを投入していく。また、2015年までに中国単独で、新規・改良モデルを20車種展開する。 |
現地生産の強化 | 中国での現地生産を拡大していく。2013年には4気筒ガソリンエンジンの生産を予定。現地生産するMercedesブランドの乗用車・バンに搭載。C-Class、GLK-Class、LWB(Long Wheel Base) E-classは需要が増加しており、現行10万台の現地生産台数を拡大する。また、中国サプライヤーの品質が安定してきており、現地調達比率を高め、製造コストの削減を狙う。 |
2012年9月、ダイムラーと北京汽車(BAIC)の合弁会社である、Beijing-Benzは、北京市に新工場の建設を着工した。2014年に稼働予定で、Mercedes-Benzの新型コンパクトカーを生産する。 | |
現地開発・調査 | 2011年6月に、エンジン工場と研究開発センターをBeijing-Benzに設立。中国の顧客ニーズを反映するため、現地での開発や業務提携を行い、中国市場向けの製品を拡充する。 |
新ブランドの確立 | ダイムラーと中国メーカーBYDは、2010年5月に折半出資の合弁EV法人、BYDダイムラー・ニュー・テクノロジー(Shenzhen BYD Daimler New Technology Co., Ltd)を設立。2012年3月に新ブランド「騰勢(DENZA)」を発表した。2012年4月の北京モーターショーでは、Mercedes-Benzの旧B-Classが採用していた「BR169」プラットフォームをベースにしたコンセプトモデルを発表。2013年に生産開始する予定。 |
米国事業:2012年にドイツの販売台数を上回る
2012年のMercedes-Benzの米国販売(下表注)は、前年比14.3%増の30.5万台と大きく拡大し、ドイツの販売台数を上回る結果となった。
C-Class、E-Classの好調や、M-ClassをはじめとするSUVの継続的な人気、S-Class、CL-Class、SL-Classなどのハイエンドモデルの販売好調が要因としている。
また2013年9月に発売予定の新型S-ClassやCLA-Classを始めとする新モデルの投入により、2013年の米国販売台数は過去最高になるとしている。
Mercedes-Benz 米国販売台数
クラス別 | 2012年 12月 | 2011年 12月 | 12月 増減率 | 2012年 1-12月 | 2011年 1-12月 | 1-12月 増減率 |
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B-Class | 1 | 0 | 29 | 19 | 52.6% | |
C-Class | 7,757 | 7,744 | 0.2% | 81,697 | 69,314 | 17.9% |
E-Class | 6,984 | 5,301 | 31.7% | 65,171 | 62,736 | 3.9% |
S-Class | 1,110 | 1,073 | 3.4% | 11,794 | 12,258 | (3.8%) |
CL-Class | 71 | 57 | 24.6% | 723 | 943 | (23.3%) |
SL-Class | 503 | 99 | 408.1% | 4,899 | 1,449 | 238.1% |
SLS AMG | 38 | 86 | (55.8%) | 800 | 722 | 10.8% |
CLK-Class | 0 | 1 | (100.0%) | 1 | 6 | (83.3%) |
SLK-Class | 445 | 266 | 67.3% | 4,595 | 3,220 | 42.7% |
CLS-Class | 703 | 638 | 10.2% | 8,065 | 5,665 | 42.4% |
R-Class | 9 | 144 | (93.8%) | 1,473 | 2,385 | (38.2%) |
M-Class | 4,241 | 5,313 | (20.2%) | 38,101 | 35,835 | 6.3% |
G-Class | 168 | 55 | 205.5% | 1,330 | 1,191 | 11.7% |
GL-Class | 3,111 | 2,578 | 20.7% | 26,042 | 25,139 | 3.6% |
GLK-Class | 3,004 | 2,346 | 28.0% | 29,364 | 24,310 | 20.8% |
MAYBACH | - | - | 50 | 39 | 28.2% | |
合計 | 28,145 | 25,701 | 9.5% | 274,134 | 245,231 | 11.8% |
Sprinter | 2,231 | 1,595 | 39.9% | 20,929 | 16,577 | 26.3% |
smart | 996 | 710 | 40.3% | 10,009 | 5,208 | 92.2% |
MBUSA全体合計 | 31,372 | 28,006 | 12.0% | 305,072 | 267,016 | 14.3% |
資料:Daimler Investor Relations Release 2011~2012 (注) Mercedes-Benz USAの集計にはSprinter Vanの台数を含む
インド市場:プレミアムコンパクト・SUVの導入
ダイムラーは2020年までに、インドが世界3位の自動車市場になると予測している。その要因としては、12億人規模の人口、5年連続8%超のGDP成長率、裕福な中流階級の増加等が挙げられる。
Mercedes-Benzは2012年5月にSUV M-Class、コンパクトセダン B-Classを2012年9月に投入。2012年のインドでの販売台数は、2011年の7,430台とほぼ同規模の7,138台となった。
生産・販売 | 2012年7月に、B-Class、A-Class、CLA-ClassやGLA-Classの投入に対応するため、2014~2015年までに35億ルピーを投資し、年間生産能力を2万5,000~3万台に引き上げる。2020年~2021年までには年間生産能力を9万台に増強するとしている。 |
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M-Class 250CDIの組立部品をTuscaloosa工場より輸入し、Chakan工場にて組み立てを行う。2012年5月には、今後2、3年のうちにインドで8~9車種をCKD生産すると発表した。 | |
2012年5月にM-Class、8月にR-Class、9月にB-Classをインド市場に投入。2013年よりA-Class、GL-Class、CLA-Class、2014年にGLA-Classの販売開始予定。 |
世界販売:2年連続で過去最高の販売台数を更新
2013年1月4日にMercedes-Benz Carsが発表した、2012年の世界販売台数は142万台。前年比4.5%増となり、2年連続で過去最高を更新。E/CLS-Classを除く、全クラスで販売が拡大した。
Mercedes-Benz Cars のモデル別販売台数(小売)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | |
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A /B-Class | 253,800 | 219,300 | 222,373 | 194,158 | 226,477 |
C/CLK/SLK-Class | 439,700 | 344,600 | 343,470 | 401,340 | 413,193 |
E/CLS-Class | 177,000 | 211,100 | 323,151 | 338,386 | 310,408 |
S/CL/SL-Class/SLR/Maybach | 90,600 | 65,800 | 78,244 | 78,480 | 80,059 |
ML/R/GLK/GL/G-Class | 160,600 | 171,500 | 200,462 | 248,574 | 289,960 |
smart | 134,800 | 117,000 | 97,528 | 101,996 | 103,738 |
Mercedes-Benz Cars | 1,256,600 | 1,129,300 | 1,265,228 | 1,362,934 | 1,423,835 |
資料:Daimler Investor Relations Release 2008~2012
地域別販売台数:西欧の販売台数減少を北米・アジア地域が補う
2012年の販売台数を地域別にみると、スペインが前年比8.6%減、イタリアが同17.2%減、ポルトガルが同20.8%減(注)などの南欧市場の不振を、北米、アジア・太平洋地域の増加が補う形となった。欧州市場でも、ドイツの販売台数は前年と同水準を維持。イギリス(同10.5%増)、スイス(同21.1%増)、フランス(同5.8%増)は新規モデルやCO2排出量を抑えたエンジンが好評で増加傾向にあった。
米国の販売台数は2011年に前年比12.6%増、2012年に13.5%増と、2年連続で大幅に増加(Sprinter Van含まず)。中国の販売台数も2011年に34.5%増、2012年に3.8%増と2年連続で増加。Mercedes-Benz Cars は販売目標達成のために、特に中国での事業に注力して行くとしている。
(注:スペイン、イタリアの数値は乗用車の新車登録台数。ポルトガルの数値は新車乗用車+小型商用車販売台数)
Mercedes-Benz Cars:地域別小売販売台数(smart含む)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | |
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西欧 | 741,000 | 645,800 | 638,512 | 629,694 | 624,467 |
(内)ドイツ | 332,900 | 298,000 | 293,445 | 291,261 | 288,962 |
北米 | 280,000 | 237,400 | 258,494 | 288,475 | 325,577 |
(内)米国 | 249,700 | 205,200 | 222,375 | 250,439 | 284,143 |
アジア・太平洋 | 147,500 | 168,300 | 270,520 | 333,880 | 355,411 |
(内)中国 | 42,700 | 71,900 | 151,945 | 204,385 | 212,091 |
(内)日本 | 37,000 | 28,600 | 31,337 | 33,623 | 41,889 |
その他の地域 | 88,100 | 77,800 | 97,702 | 110,885 | 118,380 |
世界販売台数 | 1,256,600 | 1,129,300 | 1,265,228 | 1,362,934 | 1,423,835 |
資料:Daimler Investor Relations Release 2008~2012
Mercedes-Benz Carsの業績と2012年の予想
Mercedes-Benz Carsの販売台数は2012年1-9月に前年同期比4.8%の増加となり、売上高も前年同期の423億ユーロから455億ユーロに増加(7.6%増)。しかし収益面では、EBITが前年同期の39億6200万ユーロから35億4100万ユーロと4億2,100万ユーロ減少(10.6%減)し、対売上高比率は7.8%へと1.6ポイント減少した。ダイムラーはEBITの減少は新技術開発や製品開発費用などが要因としている。 また、2012年のMercedes-Benz CarsのEBITは、2011年の51億9,200万ユーロを下回る見込み。
Mercedes-Benz Carsの連結業績(100万ユーロ)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2011年 1-9月 | 2012年 1-9月 | |
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売上高 | 47,772 | 41,318 | 53,426 | 57,410 | 42,333 | 45,539 |
EBIT | 2,117 | (500) | 4,656 | 5,192 | 3,962 | 3,541 |
EBITの対売上比率 | 4.4% | (1.2%) | 8.7% | 9.0% | 9.4% | 7.8% |
資本投資 | 2,246 | 1,618 | 2,457 | 2,724 | - | - |
研究開発費 | 2,994 | 2,969 | 3,130 | 3,733 | - | - |
生産台数 | 1,338,245 | 1,031,562 | 1,312,456 | 1,392,083 | 1,025,034 | 1,086,786 |
販売台数(卸売) | 1,273,013 | 1,093,905 | 1,276,827 | 1,381,416 | 1,005,516 | 1,054,105 |
資料:Daimler Annual Report 2009~2011、Interim Report Q1~3 2012
(レポート参考資料:Daimler Annual Report 2011、Interim Report Q1~3 2012, Investor Relations Release 2011~2013, プレスリリース、各種報道)
<自動車産業ポータル、マークラインズ>