メキシコ・ブラジルの日系部品メーカー:工場新設/生産能力の拡充相次ぐ

曙ブレーキ、旭硝子、小糸製作所、新日鉄、タチエス、デンソーなどの動向

2012/09/14

要 約

Mexico Map メキシコの自動車市場は2011年に90.6万台、前年比10.4%増と大きな伸びを記録した。数年内に100万台市場に回復する見通し。生産台数は2011年に約256万台と輸出規模が大きいことを示している。今後も輸出と内需の増加が期待され、日本自動車メーカー各社による生産能力増強が進められている。

 日産は、既存2工場(年産能力60万台)の生産が能力一杯になっており、2011年は60.7万台の生産実績。現在、第3工場(同17.5万台)をAguascalientes州に建設中で、2013年末に稼働する計画。ホンダは、既存工場(同6万台)でCRVを生産しているが、Guanajuato州に第2工場(同20万台)を建設中で、2014年春に小型車生産を開始する計画。マツダは、Guanajuato州に新工場(同14万台)を建設中で、2013年度中の稼働を予定している。

 これに呼応して、Guanajuato州、Aguascalientes州、San Luis Potosi州など中央高原諸州を中心に日系部品メーカーによる新規進出、既存工場での拡充が相次いでいる。


 ブラジルの自動車市場は、2011年に363.3万台(前年比3.4%増)と、中国、米国、日本に続く世界第4位の規模になっている。2014年のサッカー・ワールドカップ、2016年のオリンピック開催に伴い、市場のさらなる拡大が期待されている。日系自動車メーカーではトヨタ、日産の新工場の建設や新興国戦略車の投入などが進められている。

 トヨタは、2012年9月から3つ目の新設工場(Sao Paulo州Sorocaba。年産能力7万台)で戦略小型車エティオスの生産を開始する。2015年には新設のエンジン工場が稼働する計画。日産は、ルノーとのアライアンス工場をもつが、日産独自の新工場(同20万台)を建設し、稼働は当初計画の2014年前半よりも早い時期を予定している。

 これに呼応した日系部品メーカーのブラジルへの新規進出の動きや既進出メーカーによる生産能力・事業分野の拡充が行われている。また、ブラジルではトヨタ、日産のシュアが小さいため、欧州メーカーとの取引開始を目指した動きも見られる。

 以下は、メキシコ、ブラジルにおける日系部品メーカーの最近動向である(収録対象は、2012年8月下旬までの8カ月間)。

 

関連レポート:日系部品メーカー動向レポート

中国(華中地区/西南地区)編 (2012年7月)、中国(華南地区-広東省)編 (2012年7月)、

中国(華東地区)編 (2012年6月)、中国 (東北/華北地区)編 (2012年5月)、米国編 (2012年7月)、

欧州編 (2011年11月)、ASEAN  (インドネシア、ベトナム、マレーシア他) 編 (2012年6月)、

タイ編 その一 (2012年6月)/ その二(2012年7月)、インド編 (2011年12月)



メキシコ 生産拠点の構築:曙ブレーキ、今仙電機、小糸製作所、ケーヒン、新日鉄、丸一鋼管などが新規進出

 曙ブレーキ工業は、メキシコ向け輸出ビジネスを現地生産にシフトし、2012年4月にAkebono Brake Mexico S.A. de C.V(Guanajuato州)を設立。資本金は4億円(同社グループで全額出資)。現地生産により、日米欧自動車メーカーの現地生産増強や新規進出計画に対応する。2013年6月に生産開始を計画。ドラムブレーキを生産し、将来はディスクブレーキも視野に入れる。2015年度の売上高は約45億円を見込む。

芦森工業:メキシコ子会社を設立、操業開始は2013年夏から秋の予定

 芦森工業は、2012年2月にAshimori Mexicana S.A. de C.V.(Guanajuato州)を設立し、2013年夏から秋の予定で、自動車用シートベルト・エアバッグ・内装品等を製造・販売を開始する。北米・中南米市場における各自動車メーカーからの受注拡大を目指す。メキシコは、タイ、中国、インドに次ぐ第4の海外生産拠点。

今仙電機:シート部品の工場建設、中南米で初の生産拠点

 今仙電機製作所は、2012年8月に子会社(Guanajuato州Irapuato市)を設立。2012年内に工場建設に着工し、2014年1月からシートアジャスタやリクライニングの部品を生産する計画。投資額は約14億円。米オハイオ州の工場から一部生産工程をメキシコ工場に移管。メキシコで途中まで生産した部品をオハイオ工場に送り、完成品に仕上げて北米の日系自動車メーカーに供給する。これによりコスト削減をはかり北米事業の採算を改善する。将来はメキシコで完成品まで一貫生産し、中南米地域での事業拡大を目指す。

エフテック:サスペンション部品の新工場設立、2014年に稼働

 エフテックは2012年7月、生産販売子会社のF&P MFG. DE MEXICO S.A. DE C.V.(Guanajuato州Irapuato市CIG工業団地)設立を発表。資本金は1600万米ドル(約13億円)、総投資額は約2500万米ドル(約20億円)。2014年7月からサブフレームやペダルなどの足回り部品を生産し、日系・欧米メーカーに供給する。年産能力は、完成車20~25万台分。2018年度のフル操業で約7900万ドル(約63億円)の売上を予定。

大川精螺:メキシコで初の工場が2013年秋までに稼働、将来はハイブリッド車・電気自動車部品も

 大川精螺工業は、Guanajuato州Irapuato市に新工場を建設する。総投資額は約10億円。2013年秋までに完成、稼働させる計画。ブレーキホース金具を月200万個、スタッドボルトを同200万個生産し、日系自動車メーカーに供給する。将来は、得意とする冷間鍛造加工技術を活かし、ハイブリッド車や電気自動車向けの部品も手がける意向。また、ブラジルへの展開も視野にいれた供給拠点と位置づけている。

北川鉄工所/住金物産:鋳鉄鋳物部品製造の子会社設立、2013年に生産開始

 北川鉄工所は、住金物産と鋳鉄鋳物部品を製造するKITAGAWA MEXICO S.A. de C.V (Aguascalientes州)を2012年2月に設立。資本金は20億円で北川鉄工所が75%、住金物産が25%出資。投資額は65億円。まず2013年4月から鋳物加工工場で生産開始し、2015年に鋳物工場が稼働するまでは北川鉄工所が日本やタイから鋳造部品をメキシコに供給する。2015年の売上は日系メーカーから30億円を見込む。

ケーヒン:メキシコで初の工場設立、2013年9月稼働

 ケーヒンは2012年2月、KEIHIN DE MEXICO S.A. DE C.V.(San Luis Potosi州)を設立。資本金は5億メキシコペソ(約26.7億円)、投資額は約27億円。2013年9月に量産開始予定。主要納入先のホンダの2014年の四輪車工場稼働に合わせ、スロットルボディなど労働集約型の部品を生産する。

小糸製作所:自動車照明の新生産拠点設立へ

 小糸製作所は2012年7月、メキシコの新生産拠点をSan Luis Potosi州のラスコリナス工業団地に同年11月に設立すると発表。会社名は明らかにしていない。総投資額30億円程度。工場用地は10万平方メートル。生産開始は2014年9月、四輪車用前照灯・標識灯を年産各100万台分の予定。新拠点設立により、拡大が期待されるメキシコ自動車市場に対応。また、米国子会社ノース・アメリカン・ライティング(NAL)との生産補完等を含めた生産効率の向上を図り、新規受注の拡大、グループ収益力の強化に努めるとしている。

ジ-テクト/エイチワン:車体骨格部品生産の新会社設立。2014年1月に稼働予定

 ジーテクトとエイチワンは2012年3月、メキシコで会社G-One Auto Parts De Mexico, S.A. De C.V.(Guanajuato州Celaya市)を設立。資本金は約2000万ドル(約15億円)で両社折半出資。工場は2014年1月の稼働を予定し、車体骨格部品を近接するホンダの新工場(稼働開始は2014年2月)に供給する。生産規模は年20万台規模。ジーテクトが上部のボディ部品を、エイチワンがアンダーボディを担う。プレス機以外の設備は、米国や日本の既存設備を活用。共同事業で投資負担を抑えつつ、自動車メーカーのコスト低減要請に応える。2015年12月期に売上6600万ドル(約50億円)を計画し、単年度営業黒字を狙う。

真工社:メッキ工場を建設、初めての海外拠点

 真工社は、現地企業のアサンテ・サナ、日本国内企業2社の計4社が出資する合弁会社「アサンテ・サナ・オートモーティブ」(Aguascalientes州)を設立し、2013年初頭に自動車などの樹脂部品のメッキ工場(建屋は賃借)を稼働させる計画。日系自動車関連企業などの需要に応えるもの。真工社は、2012年10月をめどに100%出資の現地法人「シンコウシャ・デ・メキシコ」も設立し、将来の自前工場設立を視野に入れている。

新日鉄:自動車用鋼管の合弁会社新設

 新日鉄は2012年8月、住友鋼管、住友商事、メタルワンと共に自動車用鋼管を生産する合弁会社NIPPON STEEL PIPE MEXICO, S.A. DE C.V. (Guanajuato州)を設立することを発表。資本金は約2400万ドル(約19億円)。月産能力2000万トンの工場を新設し、2013年6月から生産開始する予定。投資額は約3900万ドル(約30.8億円)。日系自動車メーカーの新規進出及び生産能力増強によりミドル・ハイグレードの鋼管需要が拡大すると判断したもの。原材料は、北米を含めた現地で調達するが一部は日本から輸入する。

住金物産:ヘッドレスト部品メーカーを買収、加えて2つの新会社を設立

 住金物産は2012年1月に、現地部品メーカーProductos Doblados de Mexico, S.A. de C.V.(Aguascalientes州)の買収を発表した。日系メーカーの需要増に対応し、ヘッドレスト用部品の供給体制を整えるため。また同年2月には、北川製作所と合弁で鋳鉄鋳物製造会社(詳細は上記)を、住金物産単独では5月にプレス成型品事業の新会社Aguascalientes Steel Coil Center S.A. de C.V.(Aguascalientes州)を設立。プレス成型品会社は、米国子会社Kentucky Steel Center Inc. が99%出資し、工場の稼働は2013年夏を目指す。

セーレン:メキシコが次の進出先候補

 セーレンは、海外展開の候補国として「次に考えるのはメキシコで、そこに進出するとグローバル供給サイトとしては9拠点体制になる」(2012年6月、結川孝一副社長談)としている。具体的計画は不明。

タイガースポリマー:メキシコ子会社を設立、2014年1月操業開始予定

 タイガースポリマーは、自動車部品・家電部品の製造販売の完全子会社Tigerpoly Industria de Mexico S.A. de C.V.(Guanajuato州)を2012年2月に設立した。資本金は1.2億ペソ(約8億円)。メキシコにおける自動車生産拡大による需要増に対応したもの。2013年4月に工場建設着工、2014年1月に操業開始予定。総投資額は約10億円。既存の米国2拠点と合わせて、中南米市場をも睨んだ生産拠点とする計画。

大同メタル:エンジン用等の軸受生産の新会社設立

 大同メタルは、2012年2月にDaido Metal Mexico S.A .de C. V.(Jalisco州)を設立した。同年4月に工場建設着工、2013年後半に操業開始予定。米国やメキシコ向けにエンジン用すべり軸受の生産を行う。投資額は約50億円、年産能力は200万台分に設定。大同メタルは、メキシコ工場の稼働によりグローバルな5極生産体制を確立する(日本、中国、アジア、米州、欧州・ロシア)。

椿本チエイン:エンジン用タイミングチェーンの生産を検討

 椿本チエインは、自動車エンジン用のタイミングチェーンの北米での生産能力増強の検討を始めた。既存の米国工場はフル稼働が続いており、2013年度以降にはメキシコを含めた北米地域でチェーン需要が拡大するため、メキシコへの進出も検討するもの。

テイエスケイ:ゴム部品用金型生産会社を設立

 テイエスケイは、2012年11月にTSK MOLDING MEXICO(San Luis Potosi市)を設立した。ドアトリムの金型を生産する工場を、総額約2億円を投じて建設する。金型の製図は日本で手掛け、製図データをメキシコ新工場に送信して工作機械で金型を作る。現地の日系自動車部品大手メーカーに供給する。売上は、年2億円を目指す。

THK:メキシコに新工場建設、2013年に稼働予定

 THKは、自動車関連部品や直動案内機器を生産する新会社のTHK RHYTHM MEXICANA S.A. de C.V. (Guanajuato州Silao市)を設立し、2012年5月に工場の鍬入れ式を実施。工場は2013年春に稼働する計画。当面は、自動車のステアリングのリンク機構部に用いる球面すべり軸受を生産する。

東プレ:プレス部品の生産会社を新設、2014年に稼働予定

 東プレは、2012年3月にプレス部品を生産するTopre Autoparts Mexico, S.A. de C.V.(Queretaro州)を設立。資本金は約5100万ペソ(約3.3億円)。投資額は約40億円。工場の稼働は2014年1月(予定)。日産のメキシコでの生産用やタイ向けピックアップトラック用の部品の受注を受けてのもの。

東洋ゴム:防振ゴムの生産販売拠点設立を検討

 東洋ゴムは、自動車用防振ゴムの海外展開を加速しており、メキシコでは2015年までに生産販売拠点を設立する計画。協力会社との連携などを模索しながら詳細を詰めている。メキシコから北米市場への供給も想定。

ニチアス:ガスケット、ブレーキシムの製造販売会社設立、2013年に稼働

 ニチアスは2012年6月、NAX MFG, S.A. de C.V.(San Luis Potosi州)を設立。資本金6億ドル。投資額8億ドルで工場を建設し、2013年7月の稼働を目指す。自動車用ガスケット/ブレーキシムをメキシコの日系自動車メーカーや部品メーカーに供給するほか、ブラジルへの輸出も視野に入れる。2017年度に約10億円の売上が目標。

日信工業:メキシコ進出のFSに着手

 日信工業は、メキシコ進出のフィージビリティスタディに着手している。現地生産では採算性とコスト競争力の創出がポイントとなり、生産規模によっては米国やブラジルとの補完体制の構築の可能性もあることなどから、メキシコ進出の判断にはもう少し時間が必要としている。(2012年2月、大河原社長)。

日本バイリーン: フロアマット製造子会社を設立

 日本バイリーンは、2012年5月に自動車用フロアマットを製造・販売する完全子会社のVIAM Mexico S.A. de C.V.(Aguascalientes 州)を設立。資本金は500万ドル(約4.1億円)。新会社は、米国、中国に続く3番目の海外生産拠点。日本を含む世界4極体制での連携を強化し、グローバル展開を進める。

ヒルタ工業:初のメキシコ工場建設

 ヒルタ工業は、2012年4月に設立したHIRUTA MEXICO((Guanajuato州)で新工場を建設し、サスペンション関連などの足回り部品、ボディ部品を生産する。投資額は約20億円、2012年11月に着工し、2014年1月に工場を稼働する予定。2016年に25億円の売上を目指す。長期的には40~50億円の売上を目指し、マツダなどの日系だけでなく欧米メーカーへの新規開拓を進め、海外メーカーへの売上比率を2割にする計画。

豊和繊維: 内装部品の合弁会社を設立、2014年の工場稼働

 豊和繊維は、提携関係にある仏フォルシアと共同で内装部品工場をPuebla州(Puebla市)に建設し、2014年に稼働させる計画。日産への内装部品の現地供給体制を整えるためのもの。合弁会社は、豊和繊維が49%、フォルシアが51%を出資。

丸一鋼管/伊藤忠丸紅鉄鋼/豊田通商:鋼管製品の新会社設立、2012年末に工場稼働

 丸一鋼管は、2012年2月に伊藤忠丸紅鉄鋼、豊田通商と共同で自動車用鋼管製品を生産販売する新会社MARUICHIMEX S.A. de C.V.(Aguascalientes 州)を設立。資本金は1000万ドル(約7.8億円)、Maruichi American Corporationが60%出資。工場は、2012年末の生産開始予定。所在地のAguascalientes 州や近隣のGuanajuato 州の日系自動車メーカーや部品メーカーへの販売を計画している。

武蔵精密:四輪車・二輪車用機器、汎用機器などの生産・販売会社設立、2014年の工場稼働

 武蔵精密工業は2012年3月、メキシコで子会社Musashi Auto Parts Mexico, S.A. de C.V.(San Luis Potosi市)を設立。資本金1.6億ペソ(約10億円)。2016年までの投資額約24億円で工場を建設。生産開始は2014年1月予定。ボールジョイント、カムシャフト、プラネタリ部品を生産し、ホンダに供給。米国の既存工場はフル稼働状態にあるため、メキシコ工場で生産能力を増やすもの。生産開始初年度の2014年度の売上は約3.6億円を見込む。中南米市場の成長が見込まれるため、輸出拠点としても位置付けている。将来は他の自動車メーカーとの取引も目指すという。

三井金属:自動車用部品の新会社設立、2013年7月の稼働予定

 三井金属鉱業のグループ会社、三井金属アクトは、2012年7月に自動車用ドア部品を生産する新会社のMITSUI KINZOKU ACT MEXICANA, S.A. de C.V.(Guanajuato州Silao市)を設立。資本金は3800万ドル。工場の操業開始は2013年7月予定。ドアロックをはじめとする自動車用機能部品を生産。設備投資額は15億円前後で、2年かけて生産能力を拡張する計画。

八千代工業:新会社設立、2014年4月営業開始予定

 八千代工業は2012年2月、Yachiyo Mexico Manufacturing S.A. de C.V.(Guanajuato州Celaya市近郊)にメキシコで初の会社を設立。資本金は2.4億ペソ(約16億円)。投資額は10億円超を見込む。営業開始は2014年4月予定。樹脂製燃料タンクとサンルーフを生産し、ホンダに納入する。

ユーシン:子会社設立、2013年に工場稼働

 ユーシンは、2012年1月にU-SHIN AUTOPARTS MEXICO,S.A. DE C.V.(Guanajuato州Irapuato市)を設立。進出地は、マツダへの効率的な出荷を考え決定。2013年6月の稼働を目標に新工場を建設中。米テネシー州の工場を閉鎖・売却し、生産設備をメキシコ新工場に移管する。生産品目は、ロックセット、ヒーターコントロール、パネル、ドアラッチ、スイッチ類などを計画。マツダのほか、VWのメキシコ工場へも出荷する方針。北米、中南米の主要自動車メーカー及び日系自動車メーカー向けの生産拠点と位置づける。

横浜ゴム:中期経営計画で中南米工場の新設を検討

 横浜ゴムは、2012年2月発表の中期経営計画「GD100 フェーズⅢ(2012-2014年度)」で、新設工場候補の一つに中南米を挙げている。詳細は不明。

 

 



メキシコ 生産能力の増強、事業体制の強化:エクセディ、三桜工業、日立オートモティブ、ニフコ、ヨロズなどが第2、第3工場建設

 アーレスティは、ダイカスト部品に使う金型のメキシコでの現地調達率を2012年見通しの数%から2015年に30%程度に引き上げる。現在は日本から金型の大半を送っているが、円高による収益悪化を回避するため、自社生産の拡大や米国の協力会社からの調達を増やす。2012年3月にメキシコ工場のAhresty Mexicana, S. A. de C .V(Zacatecas州) の鋳造工場と加工工場の拡張工事に着手し、同年秋頃に竣工する予定。

エクセディ:AT用トルコン、クラッチパックのメキシコ第2工場開設へ

 エクセディは、EXEDY DYNAX Mexico S.A de C.V. (Aguascalientes州)第2工場の定礎式を2012年7月に実施。既存の賃貸工場が手狭となり、約50キロメートル南のPILA工業団地内に100億円を投じて建設するもの。2013年9月に量産開始予定。年間生産能力は、CVT用トルコンが現状の25万台から90万台へ、油圧クラッチパックが同80万台から150万台へ拡大する。構成部品の現地調達率を90%以上に高める。現地の日系自動車メーカー、ミッション・メーカーの今後の増産に伴う部品需要の拡大に対応する。

オーハシテクニカ:販売子会社を設立

 オーハシテクニカは、新興国中心に事業を拡大するため、メキシコでは2012年10月に販売子会社OHASHI TECHNICA MEXICO(仮称。Guanajuato州)を設立する。資本金は約1億円(予定)。米国の生産拠点の製品や日本から輸入した部品を、ホンダや日産などの日系自動車メーカーと日系部品メーカーに納入する。

オムロンオートモーティブ:車載電装部品の委託生産開始

 オムロンオートモーティブエレクトロニクスは、2012年4月にGuanajuato州で車載電装部品(車載用スイッチ、駆動系以外のECU)の委託生産を始める。受託企業が生産に必要な工場棟や労働力を一括して提供するシェルターサービスを活用する。同社の投資は生産設備に限定し、2016年3月期までに累計約24億円を見込む。納入先の自動車・部品メーカーの現地進出に対応するもの。

上板塑性:メキシコ工場を2012年4月に再稼働、冷間鍛造加工部品を生産

 上坂塑性は2012年4月、2008年12月から中止していたKAMIMEX S.A. DE C.V.(Baja California州Tijuana市)での生産を再開した。3億円を投じて新たに電気炉、検査のための三次元測定機を増設した。冷間鍛造加工部品を自動車部品メーカー向けに供給し、売上は初年度の2012年3月期に約1.7億円、2013年度3月期に約5.1億円を見込む。

カルソニックカンセイ:工場の生産能力とエンジニアリング体制を増強

 カルソニックカンセイは、2012-13年にかけてCalsonic Kansei Mexicana, S.A. de C.V.(Aguascalientes州)の空調機器製品などの生産能力を増強する。既存工場の敷地を使い、設備を順次導入する。日産のメキシコでの生産拡大に対応するもの。生産能力は明らかにしていないが、2012年度の設備投資は240億円を予定。また、新興国でのエンジニアリング体制強化の一環として、メキシコでの開発人員数を2010年度末の18人、2011年度末の31人から2012年度末には50人に増強する。

河西工業:メキシコに合弁会社設立を検討

 河西工業は、メキシコでの日産の増産に合わせて、サンバイザー、天井、ドアの供給を拡大するために、Grupo Antolin社との折半出資の合弁会社設立を検討している(2012年5月)。設立場所は既存拠点のあるGuanajuato州、日産のダットサントラック、マーチ・ヴァーサなど小型車向け供給を中心に検討中。

鬼怒川ゴム:メキシコ工場面積を5倍に拡張へ、生産品目も拡大

 鬼怒川ゴム工業は2012年6月に、KINUGAWA MEXICO, S.A.DE C.V.(Guanajuato州)の既存工場の近接地に約8万平方メートルの土地取得にめどをつけた。新たに建屋を建設して、2013年度中に稼働する計画。新工場の面積は、既存工場の5倍に拡大。生産品目は、主力の車体シール部品に加え、これまで海外で生産していなかった防振ゴムやホースなども追加し、フルラインアップでの販売を目指す。米国で生産する製品の一部をメキシコに移転することも検討。日欧主要自動車メーカーの増産計画に対応するもので、将来は、100億円規模の売上を目指す。

キリウ:ステアリングナックルを新たに生産開始

 キリウは、KIRIU MEXICANA S.A. DE C.V.(MEXICO州LERMA市)で、日系メーカーからの新規受注を受けて、2012年からステアリングナックルを新たに生産する。従来から生産しているブレーキ関連部品に続く主力製品にする計画。同社の2012年の生産規模は、2011年実績の倍以上に増加する見込み。今後も、日産を中心に日系自動車メーカーへの受注拡大を目指す。キリウのステアリングナックルの海外生産増強計画の一環。

三桜工業:第3工場の建設を検討

 三桜工業は、Aguascalientes州に車用配管製品などを生産する第3工場の建設を検討。日産やホンダの現地工場の新設/増設による生産能力拡充に対応するもので、稼働時期や生産規模などの詳細は未定。

ジヤトコ:第3ラインを2013年中頃までに増設、ハイブリッド車用のCVTも生産へ

 ジヤトコは、JATCO Mexico, S.A. de C.V.(Aguascalientes州)に約100億円を投じて第3ラインを建設し、CVTの生産能力を2012年の年間70万台から2013年までに120万台に増強する。日産向けを中心とする需要増に対応するもの。従来メキシコでは、中型CVTを生産していたが、2012年3月に最新型の中・大型車向け「CVT8」の生産を開始し、同年秋には小型車向け「CVT7」の生産を開始する。2013年からは日産の北米市場向けハイブリッド車用「CVT8 hybrid」も生産開始する。また、同社はメキシコでの開発の現地化も進める。

タチエス:中南米統括会社、シート工場設立。富士機工とシートフレーム・機構部品会社を設立

 タチエスは、2012年4月に中南米地域統括会社のTachi-S Engineering Latin America, S.A. de C.V.を現地生産会社INSAの社内に設置した。目的は、主要得意先である日系自動車メーカーの事業展開に効率的かつ迅速に対応するため。
 2012年7月に、同社は、富士機工との合弁でFUJIKIKO TACHI-S MEXICO, S.A. de C.V. (Aguascalientes州)を設立。タチエスがシートフレームを、富士機工がシートリクライナーなどの機構部品を生産する。工場は2014年に生産開始し、日産に供給する。マツダ向けにも骨格やトリムで協力する意向。今後、タチエスはシートフレームや機構部品を新興3カ国(中国、メキシコ、タイ)での集中生産に切り替える方針。メキシコからは、米国、欧州、中南米に供給する。開発・研究機能の一部をメキシコにも移管し、開発能力を高める。
 加えて、タチエスはホンダの新工場があるGuanajuato州に小型車用シート生産の新工場を建設し、2013年中にも納入を開始する。新工場はTachi-S Engineering Latin America, S.A. de C.V.を通じて運営する。年産40万台程度から始め、2014年以降も拡張を計画。タチエスのメキシコでのシート工場は、計5カ所になる。

テイ・エステック:シート工場建設を検討

 テイ・エステックは、メキシコに米国向けトリムカバーの縫製工場を2ヵ所設置している。しかし、シート工場がないため、工場建設を視野に入れてのフィージビリティスタディを進めている。ホンダの南下政策に合わせたものだが、他社向け受注も視野に。(2012年2月、古明地社長)

西川ゴム:メキシコで2ヵ所目の工場建設

 西川ゴム工業は、2013年初頭の稼働を目指してGuanajuato州に2ヵ所目の工場を建設。マツダなど複数の日系メーカーを中心に、自動車用ゴムシール製品を供給する。Aguascalientes州の既存工場では、GMなど海外メーカー向けに同様の製品を供給している。

ニフコ:メキシコで3つ目の生産拠点設立

 ニフコは2012年1月に、メキシコでの3つ目の生産拠点Nifco De Mexico S. De R.L. C.V.(Guanajuato州)の設立を発表した。2012年夏に工場建設に着工し、2012年末に自動車向け樹脂製ファスナーを生産開始する予定。当初は2、3年先の稼働開始を計画していたが、前倒しする。投資額は1500万ドル(約12億円)。まずは日系大手メーカーに納入し、将来は米欧大手にも取引を拡大する計画。

日本プラスト:ハンドルの生産能力増強へ

 日本プラストは、2013年6月までにNihon Plast Mexicana S.A.de C.V.(Queretaro州)の工場で、ハンドルの生産ラインを増強し、生産能力を2011年比7割程度増加させる。日系自動車メーカーの現地工場での増産に対応するもの。

日本電産:メキシコでレアアース不要のモーター量産の方針

 日本電産は、2015年頃までに2000億-3000億円を投じてレアアース(希土類)を使わない可変磁気抵抗(SR)モーターの世界規模での量産体制を整備する。2012年4月に日本国内で立ち上げたのちに、中国、ポーランド、メキシコでの量産を進める方針。

パイオラックス:北米での組み立て部品生産をメキシコに全量移管

 パイオラックスは、米国とメキシコで行っている北米向け組み立て部品の生産を2013年度までに全量メキシコに移管する。安い労働コストにより競争力を高めるのが狙い。米国での生産は、自動設備での作業割合の高いファスナーに集中させる。メキシコ工場では、現地進出が進む日系メーカーへの供給や北米全体での組み立て部品の需要拡大に対応する。2014年度の売上は2011年度の2倍になる見通し。

日立オートモティブ:第2、第3工場建設により生産能力を2~3倍増強

 日立オートモティブシステムズは、Unisia Mexicana, S.A. de C.V.(Mexico州Lerma市)の第1工場隣接地に第2工場を建設し、点火コイルなどのエンジン部品を2012年9月から量産開始する。また、第3工場建設も決定しており、2014年前半には、メキシコ全体の生産能力を2011年度の2~3倍に引き上げる計画。総投資額は100億円強を見込む。

日立電線:ABSセンサーの生産体制を追加、2013年から量産開始

 日立電線は2012年5月、自動車部品事業のグローバル供給体制を強化するために、ABSセンサーの新たな生産拠点として、メキシコのブレーキホースを製造しているHC Queretaro, S.A. de C.V.(Queretaro州)に製造設備を導入し、2013年9月から量産開始すると発表。需要拡大が期待できる中南米市場開拓をも見据えたもの。日立電線は、2014年度にはABSセンサーの製造能力をグループ全体で2011年度比1.4倍に高める計画。

山下ゴム:メキシコ工場の生産能力倍増へ

 山下ゴムは、YUSA AUTOPARTS MEXICO(Zacatecas州)から、ホンダの米国、メキシコ、ブラジル工場に自動車用防振ゴムを供給しているが、メキシコ、米国、カナダでの需要の伸びに対応するため、メキシコ工場の生産能力を倍増させる。20億円を投じて工場の第二期工事を進めており、完成予定の2013年1月に直ちに操業に入る予定。同工場は、20万平方メートルの広大な敷地をもつため、将来的にはタイ工場と並ぶ押し出し型チューブの一大生産拠点とする予定。

ユニプレス:ハイテン材の供給体制拡充のため大型プレス設置

 ユニプレスは、日産のグローバルでのモデルチェンジや新規車種投入に対応し、世界規模でのハイテン材供給拡充のため大型プレス機の設置を進めているが、Unipres Mexicana, S.A de C .V.(Aguascalientes州)においても既にある3000トンに加えて2500トン、2000トンのTRFプレス、ブランキングプレス機を設置する。2013年1-9月に順次稼働させる計画。投資額は23億円。同社はメキシコで、日産のマーチ/ヴァーサ/ノート向け部品を受注している。

ヨロズ:受注拡大を目指し、第2生産拠点を建設

 ヨロズは、メキシコで2つ目の子会社となるYorozu Automotive Guanajuato de Mexico, S.A. de C.V. (Guanajuato州)を2012年3月に設立。資本金は5.36億ペソ(約30億円)。2つの会社を別法人としたのはリスク分散も考慮したため。2012年7月に工場建設の鍬入れ式を実施し、2013年6月に竣工予定。当初は2014年1月から自動車用サスペンション部品や関連部品の生産開始を計画していたが、3ヵ月前倒して2013年10月から生産を始める。投資額は7億ペソ(約50億円)。日産やVWに供給するほか、同州に進出するホンダやマツダなどにも採用を提案する。フル稼働時の2015年度に売上高8億ペソ(約45億円)を計画。また、メキシコ工場をブラジルへの輸出拠点としても活用する意向。

 

 



ブラジル:デンソーの工場拡充やテクニカルセンターの設置、トヨタ自動車のサプライヤーズパーク稼働

 旭硝子は、ブラジルで初めて設立した会社AGC Vidros do Brasil Ltda.(Sao Paulo州)の工場の定礎式を2012年4月に実施。2013年に操業を開始し、建築用ガラス、自動車用ガラスを製造・販売する。2016年の生産能力は、フロートガラス(22万トン/年)、自動車用ガラス(50万台分/年)。約400億円を投じるブラジルへの進出は、AGCグループの経営方針「第2のグローバリゼーション」の主要プロジェクトの1つ。

カルソニックカンセイ:現地法人(オフィス)設立、2014年の生産開始を計画

 カルソニックカンセイは、2012年7月に現地オフィスのCalsonic Kansei do Brazil LTDA(Sao Paulo)を設立した。新興国でのビジネス強化の一環で、ブラジルでは、コンプレッサの拡販活動を強化する。ブラジルでの生産については、経営資源が限られる中、「投資は最小限にし、供給先の敷地内、または建屋内で生産する。生産開始は2014年頃」(呉 文精社長)。ブラジルでは現在、独ベーア社の現地工場に車載エアコンを生産委託している。

鬼怒川ゴム:ブラジル進出を検討

 鬼怒川ゴムは、新興国を中心とした需要拡大を販売拡大のチャンスととらえ、中南米ではメキシコの工場建設を2013年に計画。ブラジルについても進出時期、方法を検討している(関山社長2012年5月)。

三桜工業:車用配管製品の新工場が2012年夏に稼働

 三桜工業は、海外生産拠点拡充の一環として、Sao Paulo州Sorocabaのトヨタ新工場内に、車用配管製品の新工場を建設し、2012年夏に稼働する予定。トヨタ向けに供給する。同社は、ブラジルでは、既にブレーキチューブなどを、Sanoh do Brasil Industria e Comercio de Produtos Automotivos Ltda.(Sao Paulo州)で生産している。

ジェイテクト:開発拠点のテクニカルセンターを現地工場内に新設

 ジェイテクトは2012年に、ブラジルでの開発体制を強化するためJTEKT AUTOMOTIVA BRASIL LTDA(Parana州)のパワーステアリング工場内に関連施設として「テクニカルセンター」を立ち上げたほか、同年9月に「テストコース」も設置する。ブラジルの完成車メーカーの多くは現地で製品開発を進めており、受注には顧客の要望や問い合わせに迅速に対応することが不可欠として、センターの設置を決めたもの。これにより、VWやフィアットなどとの取引を増やしたい考え。

タチエス:2つのシート工場の設立準備・事業管理を行う現地法人設立

 タチエスは、2012年8月にブラジルで現地法人Tachi-S Brasil Ltdaを設立。事業内容は、ブラジルに設立予定の2つの自動車用シート生産会社への出資や事業管理。一つ目の工場は、日産が新工場を建設するRio de Janeiro郊外に建設する。2013年中に生産を始め、2014年前半の量産を目指すと見られる。もう一つは、ホンダの生産拠点のあるSao Paulo州に、タチエスの筆頭株主で海外のホンダ向けシート事業で協力している米ジョンソンコントロールズと合弁で立ち上げる予定。折半出資で投資リスクを軽減するもの。

デンソー:サンパウロ州工場の全設備の設置完了、テクニカルセンターも稼働、四輪用ECU生産開始

 デンソーは、DENSO DO BRASIL LTDA. (Parana州)がSao Paulo州に設立した工場で、2011年1月にカーエアコン、クリーニングモジュールの生産を開始していたが、2012年7月に全ての設備の設置を完了した。同年9月からは新たにスターター、ワイパーなどの生産も開始する予定。また、同年7月には、同工場敷地内に設置したブラジル・テクニカルセンターも稼働した。同センターは、現地のニーズに合わせた最適な製品を提供するために、南米向けのカーエアコン、スターター、オルタネーター、パワートレイン機器関連製品などの開発を行う。6ヵ所目の海外の開発拠点。
 また、デンソーはDENSO INDUSTRIAL DA AMAZONIA LTDA.(Amazonas州)に4億円をかけて四輪車用ECU生産の専用ラインを設置し、2012年9月から生産開始する。トヨタが同年9月から生産する新興国戦略車「エティオス」向けにまず供給する。2015年以降は、サンタバーバラ工場での四輪用ECU生産も検討する。デンソーは現在、サンタバーバラ工場を中心に生産品目を増やしており、2012年9月からはスターターとワイパー、エアコン用ホースなどを、2013年度にはメーター、オルタネータを加える。
 さらに、デンソーは日産からエアコン用HVACユニットの受注を量産規模で獲得し、2014年度から供給開始する。トヨタ以外の自動車各社の新規プロジェクトにも食い込むことで、2015年度までに南米事業の売上を年1100億円規模に倍増させることを目指している。

東海ゴム:ブラジルでの初の生産拠点設置を検討中

 東海ゴムは、「中計2015Ⅴ」に沿いグローバル展開を進めており、アジア新興国対応が一巡したため、次に中南米地域への進出を検討している。ブラジルでは2012年度中に生産拠点を設置し、防振ゴムや燃料ホースの生産基盤とする計画。進出形態は、欧州車・部品メーカーに供給実績のある現地資本の同業メーカーのM&A、あるいは合弁、単独などを精査中。

東海理化:大型樹脂のめっき事業に参入

 東海理化は、TRBR INDUSTRIA E COMERCIO LTDA.(Sao Paulo州)の工場に、ボンネット部に取り付ける大型樹脂のめっき専用設備を設置し、トヨタのブラジル専用車向けに2012年9月からめっきした大型樹脂を納入する。投資額は21億円。今後、トヨタ以外の日系・欧米系自動車メーカーへの売り込みも進める考え。

東洋ゴム:防振ゴムの販売拠点設置を計画

 東洋ゴムは、自動車用防振ゴムの海外展開を加速しており、その一環としてブラジルでは販売拠点を数年内に設ける。現地生産も関税などの動向を見ながら検討するとしている。

豊田合成:工場進出を検討中

 豊田合成は、長期ビジョンを策定し、新興国をはじめとする海外での自動車部品事業の拡大を目指している。ブラジルにおいても工場進出を検討中だが、「調査に手間取り、決めかねている。情報収集や営業拠点だけでも早く設けたい」(2012年2月、荒島社長)としている。

トヨタ自動車:サプライヤーズパークを稼働

 トヨタ自動車は、2012年9月をめどにSao Paulo州Sorocabaの新工場の敷地内にサプライヤーズパークの「エリア・インダストリアル・ソロカバ(AIS)」を稼働させる。ブラジルでは、部品メーカーの系列外取引も推奨する方針。「進出した部品メーカーが他自動車メーカーに提案活動を行う際、トヨタ色を感じて敬遠されてしまうことがないよう配慮した」(ブラジルトヨタ)という。AISには既に、日系サプライヤーでは豊田紡織、トヨタ自動車東日本、三桜工業、豊田通商グループの鋼材加工会社、スクラップ会社2社が入居。このほか、伊ピレリ、仏フォルシア、イナジー・オ-トモーティブ、英ピルキントンなどの欧州系とブラジル地場系2社が入居している。

ユーシン:単独での工場進出を計画

 ユーシンは、ブラジルにおいて単独で工場を建設する計画。ブラジル工場稼働後は、米国から送っている部品についてはブラジルでの生産に切り替える。(2012年2月、田邊社長)

資料:各社広報資料, 各紙報道

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