人とくるまのテクノロジー展2012:部品メーカーの出展取材報告(1)
EV/HV/PHVおよびアイドリングストップ関連技術の出展
2012/06/14
要 約
以下は、2012年5月23日~25日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2012」における、部品メーカー(一部の素材メーカーを含む)の、EV (Electric vehicle)/HV (Hybrid electric vehicle)/PHV (Plug-in hybrid electric vehicle)およびアイドリングストップ関連技術出展の概要である。
三菱ケミカルホールディングスグループがPHVの、東レがEVの、それぞれ先端樹脂技術を搭載するコンセプトカーを出展。
JFEエンジニアリングは、東芝製SCiBリチウムイオン電池を搭載し、EVに8分で80%充電できる超急速充電器を出展した。
デンソーは、EV/HVのパワートレインに関して、2件の新しい技術、SiC(炭化ケイ素)インバータと、新しい巻線構造により小型化に成功したモータステータを展示した。
Schaeffler、NSKとダイナックス(エクセディの子会社)は、インホイールモータのシステムを提案した。
ニッパツは、トヨタ・アクアにブレーキブースタの構成部品として供給する、アキュムレータを展示した。
ティラドは、エンジン始動直後に排気ガスの熱によりエンジン冷却水を温め燃費を改善し、暖房を早期に効かせるヒートコレクタを出展、カルソニックカンセイは同様の趣旨で開発中の排熱回収器を出展した。
関連レポート:人とくるまのテクノロジー展 2011年開催 取材レポート
三菱化学がPHV、東レがEVのコンセプトカーを出展
三菱化学が、三菱ケミカルホールディングスグループの先端樹脂技術を搭載するPHVのコンセプトカー"C-Rev MC-SX"を出展した。ガラスの替わりに、ポリカーボネート製グレージングを車両全面に採用した。
東レは、炭素繊維強化樹脂を一体成形のモノコック構造ボディーに採用するコンセプトEV "TEEWAVE AR1"を出展した。
PHVコンセプトカー"C-Rev MC-SX"(三菱化学他の三菱ケミカルホールディングスグループの出展)
東レが出展したコンセプトEV "TEEWAVE AR1"
EV/PHV コンセプトカーの出展
三菱化学の コンセプトカー、 C-Rev MC-SX | コンセプト | 三菱ケミカルホールディングスの持つ、様々な樹脂技術を組み合わせたPHV(プラグインハイブリッド)コンセプトカー"C-Rev (Chemistry makes Revolution) MC-SX"を出展した。全長4200mm、車両重量780kg、EV走行距離78km。 |
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PC製樹脂 グレージング | 熱線吸収ポリカーボネートを車両の全面に使用し、無機ガラス比で30~40%軽量化、断熱性能を3~5倍向上させた。(ただし現在の安全基準では、車前面には使用できないとのこと) | |
(注)三菱ケミカルホールディングスグループの三菱エンジニアリングプラスチックスは、プリウスαが採用した樹脂製パノラマルーフの樹脂材料を供給している(ルーフ自体は豊田自動織機製)。 | ||
トランクリッド | 炭素繊維強化熱硬化性樹脂を使用したトランクリッド(外板)。140℃で5分で硬化し、全体で8分で成形可能。アルミ製トランクリッド比40%軽量化できる。 | |
アンダーカバー | SymaLITE(商品名)は、長繊維GF(ガラス繊維)/PPの連続気泡を持った基材で、軽量・高剛性と、音響吸収特性を合わせ持つ。Chevrolet Captivaなどに供給している。 | |
ラゲッジボックス | 熱可塑性樹脂を、連続ガラス繊維マットで強化した複合材料GMT、GMTexで構成した車両後部のラゲッジボックス。現行品比約20%軽量化できる。 | |
その他 | 上記の他、炭素繊維複合材シャシー、軽量樹脂モジュール、CMC(Ceramic Matrix Composite)ブレーキ、有機薄膜太陽電池、有機EL照明などの先端技術を搭載している。 | |
東レ | コンセプトEV TEEWAVE AR1 | 東レ コンセプトEV TEEWAVE AR1を出展。一体成形のモノコック構造に、連続繊維構造の炭素繊維で強化した熱硬化性樹脂を採用した。10分以内の成形が可能。2人乗りで、車両重量は846kg。詳細は、 http://www.marklines.com/ja/report/rep1048_201202をご参照ください。 |
資料:人とくるまのテクノロジー展2012の製品展示、パネル展示、配布資料。以下も同様。 | |
(注) | 熱硬化性樹脂は、加熱すると高分子の網目構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる樹脂。熱可塑性樹脂は、加熱することで柔らかくなり、目的の形に成形できる樹脂。熱硬化性炭素繊維強化樹脂では体積の50~60%が炭素繊維、熱可塑性炭素繊維強化樹脂では20~30%が炭素繊維とのこと。 |
リチウムイオン電池内蔵のEV超急速充電器、8分で80%充電
東芝は、リチウムイオン電池SCiBセルと、三菱i-MiEV Mに供給する電池モジュールを出展した。
JFEエンジニアリングは、東芝のブースで、EVに8分で80%、3分で50%充電できる超急速充電器"Super RAPIDAS"を出展した。例えば路面バスでは、バスターミナルでの乗客乗降時に充電でき、電池容量は現在の1/3で済むので、EVの世界が大きく変わることが期待できるとしている。ただし2011年9月時点で販売されているEVにはそのままでは使用できず、EV側の改良が必要とのこと。
明電舎と住友電気工業は、共同で開発している新型電気二重層キャパシタ(EDLC)を出展した。既に体積エネルギー密度12.4Wh/Lを達成しているが、さらに20Wh/Lまで高めることを目指し開発を進める(EDLCを自動車分野で使用するには、減速回生で7Wh/L、動力アシストでは10~20Wh/Lの体積エネルギー密度が必要とされている)。
リチウムイオン電池および超急速充電器の出展
東芝 | リチウムイオン 電池 SCiB | 東芝は、リチウムイオン電池SCiB 20Ahセルと、20Ahセルを24個収納するモジュールを出展した。 |
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また三菱i-MiEV Mが搭載する、リチウムイオン電池システムを展示した。24セルのモジュール9個と、18セルのモジュール1個、合計234セルを搭載する。 | ||
東芝/JFE エンジニア リング | EV用 超急速充電器 Super RAPIDAS | JFEエンジニアリングは、東芝ブース内に、東芝製リチウムイオン電池SCiBを搭載し、最大160kWの電力で、EVに8分で80%、3分で50%充電ができる超急速充電器"Super RAPIDAS"を出展した。電力会社との低圧(20kW)受電契約で設置可能で、初期投資やランニングコストを節減できる。ただしEV側にも専用コネクターが必要。 |
既にCHAdeMO認定を取得している。まず、EVバスやEVタクシー用に実用化する計画。Super RAPIDASを前提とすれば、路線バスでは搭載する電池の量が1/3で済む。同じようにタクシー、宅配車などで電池搭載量を大幅に低減できるとしている。 |
(注) 1. | JFEエンジニアリングは、三菱重工製MLiXリチウムイオン電池を搭載するEV用急速充電器RAPIDASを先行して販売している。従来型の急速充電器の設置には、電力会社との高圧受電契約(6.6kV, 50kW以上)が必要だが、RAPIDASは受電電力と蓄電池出力を足し合わせてEVへ充電する方式なので、一般店舗で利用されている低圧受電(20kW)のまま50kW出力の急速充電器の設置が可能、初期工事費とランニングコストを低減する。上記のSuper RAPIDASは、RAPIDASとしても使用可能。 |
2. | RAPIDASは、米国カリフォルニア州サンディエゴ市と、オレゴン州ポートランドの2箇所に設置された。米国では、1カ月のピーク電力使用量に対して追加課金されるデマンドチャージがあり、それを抑制できることが選定の決め手となった。 |
新型高性能キャパシタの出展
明電舎/ 住友電気工業 | 新型高性能 電気二重層 キャパシタ | 明電舎と住友電気工業は、共同開発中の新型高性能電気二重層キャパシタ(EDLC)をパネルで紹介した。集電体にアルミセルメット(従来はアルミ箔を使用)、分極性電極用材料にカーボンナノチューブ(従来は活性炭)、電解液に不燃性のイオン液体(従来は有機電解液)を使用し、全く新しいキャパシタを開発した。 |
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既に、体積エネルギー密度(蓄える密度)を、明電舎現行品の3.6Wh/Lから3.4倍の12.4Wh/Lに高めた。これを20Wh/Lまで高めることを目標に、共同開発を続ける(もう一つの指標である出力密度(瞬時に出せる電力量)については、電気二重層キャパシタの密度はもともとリチウムイオン電池などより大きい)。 | ||
EV・HVの動力アシスト、減速回生や、アイドルストップ搭載車で始動時の電圧低下補償などをターゲットに開発を進め、2013年度にサンプル出荷、2015年度の製品化を目指している。 |
EV/HV用パワートレイン関連技術の出展
アイシン精機は、日野デュトロHV北米仕様車が搭載するHVトランスミッションを出展、NSKは、トロイダルCVTとモータを組み合わせたハイブリッド・トロイダルCVTを出展した。
アイシン精機が出展した、日野デュトロHV用ATトランスミッション
NSKが出展したハイブリッド・トロイダルCVT
HV用トランスミッション
アイシン精機 | HV用 オートマチック トランスミッション | 日野自動車が、2011年7月に国内発売した新型デュトロ HVの北米仕様車に供給するHV用6速ATトランスミッション。新型車では、エンジンとモータ/ジェネレータ間にエンジン切り離しクラッチを内蔵し、減速回生効率を向上させた。 |
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新型デュトロHVの国内仕様車は、専用の5速AMTを搭載しているが、北米ではHVにもトルコン付ATが好まれるとのこと。 | ||
NSK | ハイブリッド・ トロイダル CVT | トロイダルCVTと、ハイブリッド用モータを組み合わせたHVトランスミッションを提案。燃費の大幅向上とシステムのコストダウンの両立ができるとしている。3.5Lエンジンまで対応可能。なお、Cセグメント車(1.8Lエンジンを搭載、車両重量が1,400kg)でシミュレーションした10・15モード燃費は39.3km/L。 |
デンソーが2件の新技術を発表
デンソーは、EV/HVのパワートレインに関して、2件の新しい技術、SiC(炭化ケイ素)インバータと、新しい巻線構造により小型化に成功したモータステータを展示した。
デンソーが出展した、SiC小型インバータ(SIC基板から製品イメージまで)
デンソーが出展した、トヨタ・アクア用モータのステータ
(新しい巻線構造・コイル製法により小型化した)
デンソーが2件の新技術を発表
デンソー | SiC 小型インバータ (開発中) | デンソーは、開発中のSiC(炭化ケイ素)製パワー素子を使用する、HVなど電動車両向けモータ用インバータを展示した。単位体積あたり出力密度は60kW/Lと世界最高水準(デンソー調べ)で、発熱量を現行Si(ケイ素)製品比68%低減しエネルギー損失を抑えた。インバータの小型化と高性能化の両立が可能になる。2015年以降量産する見通し。(トヨタ自動車、豊田中央研究所との3社共同開発) |
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小型HV用 モータステータ | モータのステータ(固定子、コイルを巻いて電流を流し、ロータを回すための磁力を発生させる部分)に、独自の巻線技術(断面が四角状の平角線を用いた)の採用などで、ステータの大きさを従来品比で幅を10%、高さを15%低減し小型化した。トヨタ・アクアのモータステータに採用された。 |
インホイールモータの出展
SchaefflerとNSKは、インホイールモータの提案を展示した。
エクセディの子会社ダイナックスは、北海道大学と共同開発中の、レアアースレス・インホイールモータを搭載する小型EVコンセプトカーを出展した。
" Schaeffler Hybrid"の中核となるインホイールモータ "eWheel Drive"
ホイールハブモーター(NSKの出展)
レアアースレス・インホイールモータを搭載する小型EVコンセプトカー
(エクセディの子会社ダイナックスと北海道大学の共同開発)
インホイールモータの出展
Schaeffler | Schaeffler Hybrid と eWheel Drive (インホイール モータ) | Schaefflerは、同社のベアリングや駆動システム生産のノウハウを活かして、"Schaeffler Hybrid"を開発した。内燃エンジン、AMTに取り付けられた前輪駆動用モーター、後輪用インホイールモータ(eWheel Drive、最大出力70kW、最大トルクは700Nm)、容量16kWhのリチウムイオン電池で構成される。 |
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"Schaeffler Hybrid"では、内燃エンジンでの走行、パラレルHV、シリーズHV(エンジンで発電しモーターのみで走行)、など様々な走行が可能。"Schaeffler Hybrid"はそのまま量産するのではなく、これをアイディアの源として、要望に応じたソリューションを提供するとしている。 | ||
NSK | ホイール ハブモータ | インホイールモータと同義。各ホイールに、モータ2個、遊星歯車2組、減速機を組み合わせたシステムを提案。 |
DYNAX/ 北海道大学 | レアアースレス・ インホイール モータ | エクセディの子会社ダイナックスと北海道大学が共同で開発中の、レアアースを使わないインホイールモータを採用した小型EVコンセプトカー。ダイムラーのスマートをベースとし、後輪2輪をインホイールモータで駆動する。容量14.5kWhのリチウムポリマー電池を搭載し、航続距離は200km。 |
希土類(レアアース)を使わず、入手が容易なフェライト磁石を使用するモータを開発中。性能は希土類磁石と同等としている(NEDOの希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業)。 | ||
現段階でモーターの出力は5kWだが、1年程度をかけてロータの大径化などにより、20kW程度まで高めたモータを開発する計画。 |
各社のEV/HV用パワートレインユニットの出展
東芝、明電舎、NSK、豊田自動織機が、モータ、インバータなどEV/HVのパワートレインユニットを出展した。
東芝が日野デュトロHVに供給するモータ
明電舎が出展した、EV用インバータ次期モデル
(シリーズで開発しているうちの、小型車クラス、体積は4.6L)
EVドライブシステムの提案(NSKの出展)
各社のEV/HV用パワートレインユニットの提案
東芝 | EV/HV用 モータ (試作品) | 東芝は、独自の「永久磁石リラクタンスモータ(Permanent magnet Reluctance Motor: PRM)」を開発し、既に市場に20万セット(40万基)以上を投入して、市場不良ゼロを継続している。PRMは、永久磁石を使用しないリラクタンスモータと永久磁石モータの長所を組み合わせて、低速域から高速域までの広い可変領域を実現した。 |
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東芝は、1モータシステムおよび2モータ(駆動用モータと発電機)システム用モータの新たな試作品を展示した。乗用車から商用車まで、それぞれに最適なモータ性能を提供するとしている。 | ||
小型トラック用 モータ | 日野デュトロ・HVが搭載するモータ。 | |
明電舎 | EV/HV/PHV用 モータ・インバータ のシリーズ | EV/HV/PHV用モータ・インバータをシリーズで開発中。モータとインバータのトータルのサイズは従来の2/3程度、インバータだけなら半分程度に小型化した。 ・軽自動車クラス(モータ出力は30~40kW、インバータ体積は3.5L)、 ・小型車クラス(モータ出力は50~60kW、インバータ体積は4.6L)、 ・中型車クラス(モータ出力は80~90kW、インバータ体積は6.5L)。 |
EV用ドライブ ユニット (開発中) | 軽自動車~1Lカーを対象に開発中。モータとギヤボックスを一体構造として、軸長を別体構造の場合の520mmから350mmに短縮した。ギヤボックスの潤滑油で、モータを直接冷却するなどで、小型化・高効率化した。 | |
明電舎は、三菱i-MiEVにモータとインバータを供給しているが、本ユニットは、i-MiEVとは別に需要開拓を目指すとのこと。 | ||
NSK | EVドライブ システム | 高効率の超高速モータ(最大40,000 rpm)とトラクション減速機(減速比 4.0)を搭載。また2速変速機を組み合わせ、モータ効率の良い運転領域を利用できるようにした。 |
豊田自動織機 | EV用パワー トレインユニット (参考出品) | 走行用インバータと走行用モータを一体設計することで、レイアウトの最適化を図り、小型・軽量化を実現した走行ユニット。展示したモータの出力電力は連続26kW(最大47kW)、最大トルクは125Nm。 |
このユニットは、軽自動車から普通自動車まで、様々なサイズのEVに対応できるとしている。 |
その他のEV/HV関連技術の出展
その他のEV/HV関連部品として、豊田自動織機は、アクアに搭載されたDC-DCコンバータと、EV/HV向けのエアコン用電動コンプレッサを出展した。
豊田自動織機が出展した、トヨタ・アクア用DC-DCコンバータ
豊田自動織機が出展した、HVカーエアコン用電動コンプレッサ
(写真左側のES27はプリウスα、ルノーカングーZ.E.など向け、右側ES34はレクサスLS600h向け)
DC-DCコンバータと電動コンプレッサの出展
豊田自動織機 | アクアHV用 DC-DC コンバータ | DC-DCコンバータは、ハイブリッド車用電池の高電圧を降圧し、ライト、ワイパーなどの車載機器への電源を供給する。トヨタ・アクアに供給するDC-DCコンバータを展示。プリウス用よりやや小型で、出力電力1,120W(プリウス用は1,680W)、重量は700g(プリウス用は1,000g)。 |
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EV/HV向け カーエアコン用 電動コンプレッサ | HV/PHVで、エンジン停止時にエアコンを作動させるための電動コンプレッサ。豊田自動織機は、車のサイズ別に3種類の電動コンプレッサを供給している。 ・ES34:吐出容量(コンプレッサ1回転あたりの冷媒吐出量)34cc、レクサス LS600hに供給、 ・ES27:吐出容量27cc、トヨタ・プリウスα、プリウスPHV、ルノーKangoo Z.E.などに供給、 ・ES14:吐出容量14cc、プリウス、アクアに供給。 |
EV/HV向けブレーキシステムと関連技術
ニッパツは、HV用ブレーキブースタの構成部品として使用するアキュムレータを出展、アドヴィックスは、回生協調ブレーキを出展した。
ニッパツが出展した、ブレーキ用アキュムレータ
(写真右側をトヨタ・アクアに供給、左側は開発中の新製品)
EV/HV用ブレーキシステムと関連技術
ニッパツ | ブレーキ用 アキュムレータ | ブレーキ用油圧アキュムレータは、以前からハイドロブースタの構成部品として、内燃エンジン車に搭載されている。ニッパツ製アキュムレータは、トヨタランドクルーザー、FJクルーザーなどが搭載している。 |
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アキュムレータを使うと、ポンプ/モータの使用頻度を減らし高寿命化、また蓄圧しているブレーキフルードを使うので、応答性が良い。 | ||
HV/PHVにおけるブレーキブースタにも使用されるようになった。ニッパツ製アキュムレータは、トヨタ・アクア、Chevrolet Voltが搭載している。 | ||
アドヴィックス | 回生協調 ブレーキ | EV/HV向けブレーキシステム。EV/HVシステムと協調制御を行い、回生制動力の変化に応じて油圧を制御して、減速エネルギーを最大限に回生しながら必要ブレーキ力を供給する。 |
排気熱を活用し燃費を向上させるシステム
ティラドと三五は、エンジン始動直後に排気ガスの熱によりエンジン冷却水を温めて、燃費を改善するヒートコレクタを出展した。カルソニックカンセイは、同様の趣旨で開発中の「排熱回収器」を出展した。
(株)三五の排熱回収システム「ヒートコレクタ」(ティラド製熱交換器を搭載する)
カルソニックカンセイが出展した「排熱回収器(開発中)」
排気熱を利用し、燃費を向上させるシステム
ティラド/三五 | ヒートコレクタ | エンジン始動直後、排気ガスの熱を回収してエンジン冷却水(LLC、Long life coolant)や、オートマチックトランスミッション潤滑油(ATF)を温め、燃費を向上させるとともに、暖房が効く時間を早めるシステム。展示製品は、ティラド製熱交換器を使用し、(株)三五が生産している。 |
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ガソリン車、ディーゼル車にも効果があるが、始動時にモータのみで走行し、アイドルストップするなどエンジン暖機に時間がかかるHVで効果が大きい。展示品は、トヨタ・アクアに供給しているとのこと。 | ||
カルソニック カンセイ | 排熱回収器 | ティラド/三五の出展したヒートコレクタと同じ狙いで開発中。カルソニックカンセイの基幹技術である熱交換器技術と吸排気技術を組み合わせた。 |
アイドリングストップ関連技術の出展
デンソーは、エンジンが惰性回転中でも再始動できるタンデムソレノイドスタータを出展した。豊田自動織機はアイドリングストップ用DC-DCコンバータ、アドヴィックスは、アイドリングストップ協調ブレーキを出展した。
豊田自動織機が出展した、アイドルストップ用DC-DCコンバータ(参考出品)
アイドリングストップと関連技術の出展
デンソー | タンデムソレノイド スタータ (TSスタータ) | 新開発のアイドリングストップシステム用始動装置。従来は、ピニオンギヤの押出とモータの回転開始を同時に行うスタータで始動していたため、エンジンが完全に停止しないとリングギヤと噛み合せることができず、再始動できなかった。 |
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TSスタータでは、ピニオンギヤの押出しと、モータ始動を独立して制御する。先にリングギヤの回転に合わせてピニオンギヤを回転させ、次にギヤを押し出す。これによりリングギヤが惰性回転中でもリングギヤと噛み合せて再始動が可能になり、エンジン再始動に要する時間を従来品比最大80%短縮した。 |
(注)デンソーは、アイドリングストップの再始動の時間を短縮するシステムとして、「常時噛合いスタータ」も開発し、トヨタの欧州販売車に供給している。この方式では、エンジン回転中はリングギヤとエンジン本体を切り離しておくので、エンジン本体の設計変更(または当初からこのシステムを織り込んだエンジン設計)が必要になる。タンデムソレノイド方式では、既存車のスタータをそのまま置き換えることができるとのこと。
豊田自動織機 | アイドルストップ用 DC-DC コンバータ | アイドルストップ車で、エンジン再始動時に起こる補機バッテリーの電圧降下を防ぎ、オーディオ、カーナビ、メータなど接続する車載機器へ安定した電圧を供給し、機器の一時的な停止を防止する。(参考出品) |
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アドヴィックス | アイドリング ストップ 協調ブレーキ | アイドリングストップに協調し、エンジン停止時のブレーキ力を保持し、坂道でエンジン停止に伴うずり下がりを防止したり、またエンジン始動時の飛び出しを防止するなど、スムーズな車両挙動を実現する。ESCシステムをベースに、新たなソフトウェアを追加して開発した。 |
2011年9月にダイハツが発売したミラe: S(イース)に搭載された。アイドリングストップ車に、幅広く設定が可能としている。 |
<自動車産業ポータル、マークラインズ>