Ford:2015年の販売目標は800万台

中国・インド等の新興国販売を拡大、低燃費小型車を積極投入

2012/05/16

要 約

 Ford は、2011年6月に発表した2015年までの中期経営計画 (Mid-Decade Outlook) で、2015年の世界販売目標を2010年比約5割増の800万台とした。増加分の多くは、新興国での販売拡大で、車種別には低燃費の小型車販売による見込み。この中期計画の発表を機に、Fordはこれまでの経営再建の時代から、事業拡大の時代へと大きく方向転換すると見られる。

 Fordは、成長市場であるアジアの新興国市場で積極的に事業を展開している。特に中国では、2012年2月に重慶第2工場が稼働し、既存工場と合わせると現在の年産能力は60万台。さらに、2015年までに重慶第3工場と杭州工場を新設し、年産能力を120万台とする見込み。

 米国では、全米自動車労組(UAW)と4年間の新たな労働協約について合意し、追加雇用する一方、時間給の低い労働者の比率を増加させる。また、販売が好調な米国内の工場に追加投資を行い、生産を拡大する。

 燃費改善対策では、低燃費の直噴ターボガソリンエンジン EcoBoostの搭載車を拡大する。2012年には前年比3倍の40万台を販売し、2013年には同エンジンを150万基生産する計画。

 Fordの2011年世界販売台数は、北米とアジアが増加し、3.1%増の569.5万台。売上高も5.7%増、税引き前利益も21.4%増となった。しかし、2012年1-3月の販売台数は、前年同期比3.2%減の135.8万台で、売上高、税引き前利益とも減少した。北米では販売台数・業績とも向上したが、債務危機で市場が縮小した欧州の大幅赤字が響いた。

関連レポート:Fordの欧州事業 (2012年3月)、デトロイトモーターショー:米国メーカー (2012年2月)
         米国の燃費規制とメーカーの対応(2) (2011年10月)、Fordの中国事業(1) (2011年10月)、(2) (2011年11月)



中期経営計画:2020年の販売はアジア地域が3割、小型車比率は55%

 Fordは2011年6月、2015年までの中期経営計画を発表し、2015年までに世界販売台数を、2010年の約1.5倍の800万台に引き上げるとしている(2011年のGMの世界販売台数は902.6万台、VWは816万台)。

 この目標を達成するために、Fordは引き続きOne Ford戦略 (世界の主要市場で販売する車は、デザイン・製造工程等を基本的に同一仕様にし、品質向上・コスト削減を図る) を実施する。具体的には、グローバルプラットフォームを採用する車種を拡大するとともに、低燃費小型車の積極投入、アジアの新興国市場での販売拡大に注力する。

Ford:2015年までの中期経営計画 (2011年 6月発表)

目標
  世界販売台数  2015年までに、2010年比50%増の 800万台に引き上げる (2010年の卸売販売 552万台、2011年 570万台)。増加分の多くは、中国やインドなど新興国での販売で、車種別には小型車販売による。
 2020年には、アジア大洋州・アフリカでの販売が全体の 32%に (2010年 15.2%、2011年 15.8%)、小型車の販売比率が 55% に (2010年は48%) 高まる見込み。
業績  2015年までに自動車部門の営業利益率を8-9%に引き上げる (2010年6.1%、2011年5.4%)。うち、北米部門の営業利益率は、8-10%に引き上げる (2010年8.4%、2011年8.3%)。
設備投資  2015年まで毎年平均60億ドルの設備投資を行う (2010年39億ドル、2011年43億ドル)。
債務削減  2015年までに自動車部門の債務を100億ドルに削減する (2011年3月末は166億ドル、2009年末は 336億ドル)。
達成手段:引き続き One Ford戦略を実施することにより、上記目標を達成する。
プラットフォーム  2015年に販売する800万台のうち、600万台 (75%) は 5種類のグローバルプラットフォーム (B, C, C/D, フルサイズ商用バン, コンパクトピックアップ)を採用する。
商品計画  2014年には、2009年のラインアップの全車種が新型車や大幅改良車となる見込み (一部のモデルは2014年までに2度改良を受ける)。
新興国  新興国向けにグローバルモデルの低価格版 (通常のモデルより1,000-2,000ドル安くする) を投入。グローバルモデルの現地生産も拡大する。

資料:Ford Press Release 2011.6.7
(注) Ford は2015年の世界市場規模を 9,500万-1億台と見込んでいる(2010年実績は7,400万台)。

 



新興国市場:中国/インド/タイ/ブラジルで生産能力拡充

 Fordは、2015年に800万台という販売目標を達成するため、アジアを中心とする新興国での事業を加速している。

 中国では、2012年2月に重慶第2工場が稼働。2015年までに重慶第3工場と杭州工場を稼働させ、年産能力を120万台に引き上げる。

 インドでは、2014年までに年産能力24万台の完成車工場と同27万基のエンジン工場を新設。既存のエンジン工場も拡張し、海外市場向けのエンジン供給基地として活用する。

 タイでは、マツダと合弁のAAT ピックアップ工場で、年産能力を12万台から14万台に拡大。2012年5月には、Fordが単独で建設した年産能力15万台の新乗用車工場を開所した。

 ブラジルでは、年産能力21万基の新エンジン工場を新設する。また、既存のパワートレイン工場の生産能力も拡充する。

中国:重慶第2工場が稼動、重慶第3工場と杭州工場を新設し、2015年の年産能力は120万台へ

重慶第2工場  長安フォードマツダ (Changan Ford Mazda Automobile) は4.9億ドルを投じて重慶第2工場を建設していたが、2012年2月に稼動開始した。年産能力は15万台。同時に6車種の混流生産が可能。最初の生産車種として、グローバル C プラットフォームを使用する新型Focusを生産する。既存の重慶第1工場と南京工場を合わせると、Fordの中国での年産能力は60万台に拡大した。
重慶第3工場  長安フォードマツダは、6億ドルを投じて年産能力35万台の重慶第3工場を建設する (2012年4月発表)。2014年末に稼働する計画で、Fordの中国での年産能力は95万台となる予定。
杭州工場  Fordと長安フォードマツダ は 7億6,000万ドル (約49億元) を投資し、浙江省杭州市に新工場を建設する (2012年4月発表)。2012年後半に着工し、年産能力25万台の工場を2015年に稼動させる。杭州工場稼働により、2015年にはFordの中国における年産能力は120万台となる見込み。今回の投資により、2006年以降、Fordが中国に投じた投資額は合計49億ドルとなる。

中国:重慶第2エンジン工場とトランスミッション工場を建設

重慶第2エンジン工場  長安フォードマツダは、2011年6月、5億ドルを投資して重慶市に第2エンジン工場の建設を開始した。2013年に生産開始予定で、年産能力は40万基。第1工場と合わせると、同社のエンジン年産能力は75万基になる。
重慶トランス
ミッション工場
 長安フォードマツダは3.5億ドルを投じて、重慶市にトランスミッション工場を建設する(2011年7月建設開始)。2013年第4四半期に稼動させ、当初の年産能力は40万基。6速ATを生産し、同社が生産するFord ブランド車に搭載する。Fordが中国でトランスミッション工場を建設するのは初。

中国:2015年までに新モデルを15車種、新型パワートレインを20機種投入

2015年までの計画  2015年までに中国市場に新モデル15車種を投入する計画。投入モデルには、SUV 4車種を含む (小型SUVのEcoSport, 新型Escape海外版のKuga, 中型SUVのEdge, 大型SUVのExplorer)。
 2015年までに中国市場に新型パワートレイン20機種を投入し、中国で生産するFord車の燃費およびCO2排出量を20%以上改善する。直噴ターボエンジン EcoBoost を導入するほか、その他のエンジンもグレードアップする。1.0L EcoBoost エンジンは現地生産する。また、変速機は、現行の4速ATに替えて、6速ATを導入する (PowerShift デュアルクラッチトランスミッションも含む)。
 販売網を改善・拡大し、2015年にはディーラー数を 680店とする (2010年末は 340店)。

資料:Ford Press Release 2011.5.19/2011.6.16/2011.11.21/2012.2.24/2012.4.5
(注) 長安フォードマツダは、3社合弁を解消し、新たに長安フォードと長安マツダの2社に再編する計画を進めており、2010年5月に中国政府に申請した。しかし、中国政府は生産能力の過剰を懸念し、外資メーカーの参入条件を厳格化しており、2012年5月現在、政府からの正式許可はまだ出ていない。

 

インド:Gujarat州に組立工場とエンジン工場を新設

Gujarat州
Sanand工場
 Fordは約10億ドルを投じて、2011年9月からインドのGujarat州 Sanand工場の建設を開始した。2014年に完工する計画。組立工場とエンジン工場があり、年産能力は完成車が24万台、エンジンが27万基。
Chennai
エンジン工場
 Fordは7,200万ドルを投じ、Chennai近郊にある既存のエンジン工場を拡張して、2012年半ばに年産能力を25万基から34万基に引き上げる。Ford India を、主要海外市場向けのエンジン供給ハブ基地として活用する計画。
2015年までの計画  Fordは2015年までにインド市場へ新モデル8車種を投入する方針。2011年7月に第1号の新型Fiestaを投入。2012年には第2号のEcoSport (小型SUV) を投入する計画。

資料:Ford India Press Release 2012.3.22

 

タイ:AATピックアップ工場の生産能力を拡大、単独で年産能力15万台の新乗用車工場を開設

AATの
ピックアップ工場
 Fordとマツダは、両社の合弁会社 AutoAlliance (Thailand)(AAT) のピックアップ工場に2,700万ドルを追加投資して設備を増強し、年産能力を12万台から14万台 (CKDを含むと19.5万台) に引き上げる。増強したラインは2012年 5月から稼働を開始し、タイ国内および海外輸出向けに両社の新型ピックアップ Ford Ranger, Mazda BT-50 を生産する。(AATには年産能力10万台の乗用車工場もある。)
FTMの新工場  Fordは単独で4.5億ドルを投じて、Rayong県 Eastern Seaboard 工業団地に新乗用車工場 Ford Thailand Manufacturing (FTM) を建設し、2012年5月に開所式を行った。Fordにとっては、マツダと合弁の AAT工場に続くタイで2カ所目の生産拠点。プレス加工から塗装、最終組立までの全工程を備え、当初の年産能力は15万台(タイにおけるFordの年産能力は44.5万台に拡大)。同時に最大6車種の生産が可能。6月からASEAN、豪州、ニュージーランド向けに新型Focusを生産する。
2015年までの計画  Fordは2015年までにASEAN地域に8つの新モデルを投入する計画で、タイの新工場は重要な生産拠点として位置づけられる。

資料:マツダ Press Release 2012.4.25, Ford Press Release 2012.5.2

 

ブラジル:年産能力21万基の新エンジン工場を建設、既存パワートレイン工場の生産能力拡大

Camacari
エンジン工場
 Fordは、ブラジル北東部 Bahia州 Camacari市に4億レアル(2010-2015年までの投資総額 45億レアルの一環)を投じてエンジン工場を新設する (2011年12月発表)。ブラジル南部のSaoPaulo州にはパワートレイン工場を有するが、北東部ではこのCamacari工場がFord初のエンジン工場となる。年産能力は21万基。高性能低燃費エンジンを生産する計画。
Taubate
パワートレイン工場
 Fordは5億レアルを投じてSao Paulo州 Taubate工場の年産能力を拡大する。Sigmaエンジンの年産能力を50万基、トランスミッションの年産能力を52万基とする計画。現在、従業員は1,700名だが、新たに500名を雇用する計画 (拡大時期は明らかにされていない)。

資料:Ford Press Release 2011.12.19/2011.12.21

 



米国:UAWと新労働協約で合意、2015年までに1万2,000名を追加雇用

 Fordは、2011年10月、全米自動車労組 (UAW) と4年間の新たな労働協約について正式合意した。新協約では、Fordが米国内の工場で1万2,000名の追加雇用と160億ドルの投資を約束。一方、希望退職者の募集やエントリーレベルの労働者の追加雇用により、平均賃金を抑制し、米国における競争力が引き上げられるとしている。

 投資が約束された米国内の工場では、既に生産体制の整備が始まっている。Kansas City工場では新たに商用バンのTransitを生産するための設備を整え、AAIのFlat Rock工場では工場を2直体制とし、新型Fusionの生産を開始する。

Ford:UAWと新労働協約で正式合意、2015年までに1万2,000名を追加雇用

 Fordは2011年10月、全米自動車労組 (UAW) と新労働協約で正式合意した。約4万1,000人の組合員が対象で、協約期間は4年間。Fordは新協約に基づき、2015年までに米国内の生産拠点で新たに1万2,000名の時間給労働者を雇用する(これにはメキシコ、中国、日本からの業務移管も含まれる)。また、米国内の開発・生産拠点に総額160億ドルを投資する (うち62億ドルは工場設備の増強に充当)。
 シフト追加を予定している 4工場では、5,000人を新たに雇用する (上記1万2,000名の一部)。4工場は、Michigan工場、Chicago工場、Louisville工場、Flat Rock の AAI工場。
 今回の協約では、勤続年数が長い労働者に対し、早期退職優遇措置を示し、退職者を募集する。また、追加雇用者のうち、後から追加された5,750名の大半は、賃金が低いエントリーレベルの労働者とし、平均賃金を抑制する。なお、エントリーレベルの賃金は現在、時給15.50ドルからで、平均約17ドル。エントリーレベル以外の非熟練労働者の時給は平均28ドル超。(ただし、エントリーレベルの時給は、協約期間満了までに19.28ドルまで引き上げられる。)

北米:米国工場で商用バン Transitと新型 Fusion の生産開始

Kansas City工場  Fordは11億ドルを投資し、Kansas City 工場に新たなプレス工場を建設するほか、設備を更新する (2011年10月発表)。2012年4月にSUVのEscapeの生産を Louisville工場に移管し、替わりに商用バン Transit と次期型 F-150 を生産する計画。
AAI の Flat Rock工場  Fordは5億5,500万ドルを投資して、マツダとの合弁会社 AAI (AutoAlliance International) の Flat Rock 工場を 2直体制とし、現在生産しているMustangに加え、2012年秋に北米に投入する新型 Fusion を生産する計画 (現行 Fusion はメキシコ工場で生産しているが、新型 Fusion は需要増を見込み、米国でも生産する)(2011年10月発表)。
メキシコ工場  Ford はメキシコの Sonora州 Hermosillo 工場に 13億ドルを投資し、新たに 1,000名を雇用して、中型セダンの新型 Ford Fusion と Lincoln MKZ を生産する(2012年3月発表)。

資料:Ford Press Release 2011.10.19/2011.10.21/2012.3.30, Reuters 2011.10.4
(注) マツダは、Ford と合弁の AAI 工場で生産している北米向け Mazda 6 (日本名:Atenza) について、次期モデル(2012年後半に投入予定)の生産から日本の防府工場に移管する。AAI の将来については、Ford と検討中。

 



新型車投入:北米で2012年に新型Escapeと新型Fusion/Lincoln MKZを投入

 北米市場への新型車投入では、2012年に、グローバルCプラットフォームを用いた小型SUVの新型 Escape、同C/Dプラットフォームを用いた中型セダンの新型Fusionと姉妹車のLincoln MKZを投入。2013年には、欧州で販売している商用バンTransitの新型車を、グローバルモデルとして北米にも投入する。

 新興国市場向けにブラジルで開発した小型SUV のEcoSport の新型車は、2012年から南米だけでなく、インド、中国など世界100カ国で販売する。

 電動車両については、2013年までに、北米における年産能力を2011年の3倍の10万台以上とする計画。2011年末に投入したFocus Electricに続き、2012年に投入予定のC-MaxのHV/PHVモデルも米国のMichigan工場で生産する。

Ford:2012-2014年に北米市場に投入する新型車

モデル 発売時期 概要
新型Escape/Kuga 2012年初  米国での最量販SUV Escapeと欧州向け SUV Kuga は、旧モデルでは異なるプラットフォームを用いる別の車種だったが、新型車では1つの車種とし、新型Focusと同じグローバルCプラットフォームを用いる。北米では 1.6/2.0L EcoBoost または 2.5L 4気筒エンジンと6速AT SelectShift Automaticを組み合わせる。北米以外にはKuga名で投入。
新型 Focus ST 2012年  Focusの高性能バージョン。グローバルモデルとして世界40カ国に投入。北米には初投入。北米向けは米国Michigan工場で生産。2.0L EcoBoostエンジンと6速MTを搭載。最高出力 250PS、最大トルク 360Nm。
新型 Fusion/Mondeo 2012年秋  中型セダン。北米・南米では2012年後半から Fusion名で、アジア・欧州では2013年から Mondeo名で販売する。グローバルC/Dプラットフォームを採用。1.6/2.0L EcoBoostエンジン搭載車のほか、HV、PHVも設定する。1.6L EcoBoostエンジン搭載車には、HV以外のFord車で初めてstart-stop systemを搭載。
新型 Lincoln MKZ 2012年末  中型高級セダン。Ford Fusion とプラットフォームを共用。減少傾向にあるLincolnブランドの販売拡大のため、若者にアピールする新デザインを採用。現行セダンでは世界最大級となる15.2平方フィートのパノラマルーフが特徴。2.0L 直4 EcoBoost/3.7L V6 エンジンを搭載。HVモデルも設定。
新型 Transit 2013年  フルサイズ商用バン。2012年後半に欧州に投入する新型Transitの北米仕様。欧州仕様は前輪駆動だが、北米仕様は後輪駆動で、欧州仕様より大型。3.5L V6 EcoBoostエンジンを搭載。北米では商用バン Ford E-Series の後継の位置付けだが、E-Seriesより車両は300ポンド軽く、燃費は25%以上向上。米国 Kansas City 工場で生産する。
(E-Series は Transit導入後もしばらく生産する。)
新型 Edge 2013年  中型SUV。Lincoln MKXは姉妹車。グローバルC/Dプラットフォーム採用。
新型 Lincoln MKX 2013年  中型SUV。Ford Edge は姉妹車。
新型 Fiesta ST 2013-14年  Fiestaの高性能バージョン。1.6L EcoBoost エンジンを搭載し、最高出力 180PS、最大トルク 240Nm。Focus STに続き、北米に投入される予定。
(新興国市場に投入するモデル)
新型 EcoSport 2012年  グローバルBプラットフォームを使用した新興国向け小型SUV。2003年発売の初代は主に南米で販売したが、新型車は南米、インド、中国、ASEANなど世界約100カ国に投入。ブラジル、インド、中国で生産する予定。
Ford:2011年末-2013年に北米市場に投入する電動車両
モデル 発売時期 概要
Focus Electric 2011年末  容量 23kWh のリチウムイオン電池と 出力 92kW のモーターを搭載。240V の充電ステーションでは 3-4時間で充電可能 (120V では 20時間)。満充電での最大航続距離は 76マイル(EPA評価)。EPA燃費 (combined) はガソリン車換算で105MPGe。販売価格は3万9,995ドルで、GMの Chevrolet Volt と同価格 (日産 Leaf は 3万5,200ドル)。Michigan工場で生産。
C-Max Hybrid 2012年後半  小型MPV C-Max の HV。Michigan工場で生産。
C-Max Energi 2012年後半  小型MPV C-Max の PHV。最大航続距離の目標は500マイル。Michigan工場で生産。
新型 Fusion Hybrid 2012年秋  中型セダン Fusion の 新型 HV。メキシコのHermosillo工場で生産。
Fusion Energi 2013年  中型セダン Fusion の PHV。メキシコのHermosillo工場で生産。

資料:Ford Press Release 2012.1.4/2012.1.9/2012.3.5/2012.4.2, Ford Website "Electrified Vehicles"

 



EcoBoost エンジン:2012年に搭載車を40万台供給、2013年にエンジンを150万基生産

 Fordは燃費改善策の一環として、低燃費の直噴ターボガソリンエンジン EcoBoostの搭載を拡大している。2012年には、EcoBoostエンジン搭載車を前年比3倍の40万台供給する計画。2013年にはEcoBoostエンジンを世界で150万基生産し、Fordの車種の80%に同エンジンを設定する見込み。

EcoBoostエンジン搭載車を2012年に前年比3倍の40万台供給

機構  EcoBoostエンジンはFordが独自開発した低燃費型ガソリンエンジン。直噴、吸排気可変バルブタイミングシステム、ターボを組み合わせ、同社の従来型ガソリンエンジンより燃費を約2割改善した。排気量は1.0L、1.6L、2.0L、3.5Lの4種で、小~中型乗用車/SUV、ピックアップに搭載する。
投入計画  2011年はEcoBoost搭載車を7モデル投入。2012年は11モデルを投入し、前年比3倍の40万台を供給する計画。搭載車には、小型SUV の量販モデル Escape、主力の中型車 Fusion、排気量1.0Lの新興国向け小型SUV EcoSport等が含まれ、手頃な価格で購入できるエコカーとしてEcoBoost搭載車の供給を拡大する。2013年までには、世界のFordの車種の80%、米国で販売する車種の90%にEcoBoostエンジンを設定する方針。
生産計画  2013年までに、EcoBoostエンジンを世界で年間150万基生産する計画。欧米の工場で増産するほか、中国でも1.0L EcoBoostエンジンの現地生産を検討している。(欧州では2012-2015年にEcoBoostエンジンを130万台生産する計画。うち80万台は1.0L EcoBoost エンジン。)

資料:Press Release 2011.11.21/2012.1.26/2012.5.10, 日経産業新聞 2012.1.27

 



販売台数:2012年1-3月は欧州・アジアが減少し、3.2%減の135.8万台

 Fordの2011年販売台数は、前年比3.1%増の569.5万台。北米が11.3%増、アジア大洋州・アフリカは7.5%増で、販売増に貢献した。米国では、2010年6月発売の小型車FiestaやモデルチェンジしたSUV Explorer が好調で、年間販売台数が2007年以来初めて200万台を超えた。

 2012年1-3月の販売台数は、前年同期比3.2%減の135.8万台。北米は5.9%増加したが、欧州では13.9%減、アジア大洋州・アフリカでは10.3%減となった。

Ford の地域別販売台数 (卸売)

(1,000台)
北米 南米 欧州 アジア大洋州
・アフリカ
PAG 特別項目 世界合計
2005年 3,410 335 1,753 505 764 6,767
2006年 3,051 381 1,846 589 730 6,597
2007年 2,890 436 1,918 535 774 6,553
2008年 2,329 435 1,820 464 359 5,407
2009年 1,927 443 1,568 604 324 4,866
2010年 2,413 489 1,573 838 211 5,524
2011年 2,686 506 1,602 901 5,695
2011年1-3月 615 114 432 242 1,403
2012年1-3月 651 118 372 217 1,358
資料:Ford Q1 2012 Earnings Review
(注) 1. 卸売り販売台数には、Fordブランド車 (連結対象外の関連会社が生産した車も含む)、Fordが生産し、他社にOEM供給した車、中国の合弁会社である江鈴汽車 (Jiangling Motors) が生産した中国ブランド車を含む。
2. 欧州の販売台数には、トルコとロシアで連結対象外の関連会社が販売したFordブランド車を含む。その台数は2010年67,000台、2011年114,000台。

 



業績:2012年1-3月の税引き前利益は欧州・アジアの赤字が響き26.6%減の20.4億ドル

 Fordの2011年売上高は、前年比5.7%増の1,363億ドル。税引き前利益は、欧州とアジア大洋州・アフリカが赤字となったが、黒字の北米と金融部門が牽引し、全社の税引き前利益は21.4%増の86.8億ドルとなった。Fordは、欧州での材料費の高騰やアジアにおける7つの新工場建設に伴う一時的な出費が、同地域の赤字の要因だと説明している。

 2012年1-3月の売上高は前年同期比2.1%減の324億ドルで、税引き前利益は26.6%減の20.4億ドル。北米の税引き前利益は21.3億ドルで、2000年以降で最高となったが、欧州とアジア大洋州・アフリカの赤字が響いた。Ford全社の税引き前利益は、四半期ベースで11期連続黒字だが、その大半を北米市場から得る状況が続いている。

 Fordの2012年見通し(同年4月発表)によると、世界市場規模は8,000万台と予測。米国の市場規模は1,450-1,500万台、欧州は1,400万台と見込み、Fordの米国における2012年の市場シェアは前年の16.5%を下回り、欧州では前年並みの8.3%。税引き前利益は、自動車部門は増益、金融部門は減益で、Ford全社では前年と同水準と予測している。

Fordの部門別業績

売上高 (10億ドル) 税引き前利益 (100万ドル)
2010年 2011年 2011年
1-3月
2012年
1-3月
2010年 2011年 2011年
1-3月
2012年
1-3月
北米 64.4 75.0 17.9 18.6 5,409 6,191 1,844 2,133
南米 9.9 11.0 2.3 2.4 1,010 861 210 54
欧州 29.5 33.8 8.7 7.2 182 (27) 293 (149)
アジア大洋州・アフリカ 7.4 8.4 2.1 2.3 189 (92) 33 (95)
その他自動車関連 (1,493) (601) (249) (106)
特別項目 8.1 (1,151) (82) (61) (255)
自動車部門 119.3 128.2 31.0 30.5 4,146 6,250 2,070 1,582
金融部門 9.7 8.1 2.1 1.9 3,003 2,431 706 456
Ford全社 129.0 136.3 33.1 32.4 7,149 8,681 2,776 2,038
資料:Ford 2011 Q4 and Full Year Earnings Review and 2012 Outlook, Q1 2012 Earnings Review
(注) 1. Ford全社の純利益は、2010年 65.6億ドル、2011年 202.1億ドル、2011年1-3月 25.5億ドル、2012年1-3月 14.0億ドル。
2. 2011年の税引き前利益の特別項目には、人員削減費用 2.69億ドル、Mercury 廃止等にかかる費用 1.51億ドル、ベルギー工場の年金和解費用 1.09億ドル、FordSollersの利益 4.01億ドルなどが含まれる。
3. 2010年の税引き前利益の特別項目には、債務削減費用 8.53億ドルが含まれる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>