奇瑞汽車:海外企業との合弁事業を推進

新興国や途上国を中心に輸出やKD生産も拡大

2012/04/27

要 約

 奇瑞汽車は1997年に安徽省蕪湖市で設立された中国最大の自主ブランドメーカー。「奇瑞(Chery)」、「旗雲(Cowin)」、「瑞麒(Riich)」、「威麟(Rely)」、「開瑞(Karry)」の5ブランドを擁し、自主ブランド乗用車市場で例年トップの販売実績を上げている。

 2011年は中国メーカーの自主ブランド乗用車市場が低迷した影響で、奇瑞汽車の通年販売台数も前年比5.9%減の64.2万台に落ち込んだ。しかし市場シェアは維持しており、同市場で11年連続となる販売台数第1位を獲得した。

 奇瑞汽車は2011年から2012年初めにかけて、海外企業との合弁事業を積極的に推進した。2011年11月にIsrael Corporationとの合弁会社が、欧州市場への投入を視野に入れた新ブランド「観致(Qoros)」を発表。2012年3月にはJaguar Land Roverとの間で合弁設立に関する提携協議書が締結された。

 輸出やKD生産による海外市場の開拓も進展している。2011年には欧米市場参入の足掛りとして初めてオーストラリアへの輸出を開始したほか、需要が拡大しているブラジルに中国メーカーとしては初となるCKD工場を着工した。奇瑞汽車は2011年に前年比72.8%増の15.9万台を輸出し、乗用車輸出市場で9年連続となる第1位を獲得している。



国内事業の動向

 中国国内では、新工場の建設と海外企業との合弁事業を推進している。河南省開封市の新工場はすでに稼動を開始しており、現在建設中の全ての工場が竣工したのち、奇瑞汽車の生産能力は年間200万台超(海外企業との合弁工場除く)に拡大する見込み。

 海外企業との提携では、Israel CorporationやJaguar Land Roverとの合弁事業が進展している。富士重工との合弁事業については、当局の許可が下りないまま据え置かれる見通しとなった。

奇瑞汽車 生産能力一覧

(単位:台/年)
工場 2012年4月現在 計画 生産ブランド・モデル
安徽省
蕪湖工場
第1-4工場 90万 90万 「奇瑞」、「旗雲」、「瑞麒」、「威麟」、
「開瑞」ブランド
北区総合生産基地
(第5工場)
2010年1月着工 15万
(2012年稼動)
遼寧省大連工場
(奇瑞汽車大連分公司)
2009年9月着工 30万
(2013年稼動)
「瑞麒」や「威麟」ブランド、「瑞虎」や
「A3」など輸出モデル
河南省開封工場
(奇瑞汽車河南有限公司)
稼働中
(開始時期不明)
38万 「開瑞」ブランド
内モンゴル自治区オルドス工場
(奇瑞汽車鄂爾多斯有限公司)
2010年5月着工 30万
(2015年までに稼動)
SUV, ピックアップ, 社用車, 改造車
資料: 各種報道
(注) 1. 大連工場は輸出基地としても機能する予定。また、富士重との合弁が成立すれば、「スバル」ブランドを投入する計画と報じられていた。
2. 開封工場の稼動後も、蕪湖工場では「開瑞」ブランドの生産が継続されている。蕪湖工場は「開瑞優雅」の生産拠点となり、開封工場は「開瑞優雅」以外のモデルを生産する。開封工場の年産能力は微型車30万台、軽型トラック他8万台となる予定。
3. オルドス工場は当初、自動車部品の生産から開始し、序々に完成車を投入していく計画。

 

Israel Corporationとの合弁

 奇瑞汽車とIsrael Corporationの合弁会社「奇瑞量子汽車有限公司(Chery Quantum Auto Co. Ltd.)」は2011年11月、社名を「観致汽車有限公司(Qoros Automotive Co., Ltd.)」に変更し、併せて新ブランド「観致(Qoros)」を発表した。


 観致汽車は2007年12月にイスラエル最大の持ち株会社であるIsrael Corporationとの折半出資によって設立された。中国メーカーが自動車メーカー以外の外資系企業と合弁会社を設立したのはこれが初めて。奇瑞汽車には、Israel Corporationの国際市場における豊富なマーケティングリソースを活用し、企業のグローバル化に向けて欧州市場の開拓を推進したいとの考えがあった。


 社名変更と共に発表された新ブランド「観致(Qoros)」は、2013年に第1弾モデルとなる中級セダンを発売する予定。すでに独Magna Steyrと共同開発したプラットフォームで試作車を生産しており、2012年1~3月にかけて欧州基準に基づく安全性能テストが実施された。「観致」ブランドのモデルは全て中国と同時に欧州市場へも投入する計画とされ、観致汽車は早ければ2013年にも欧州の自動車衝突安全テスト「Euro NCAP」で最高評価の5つ星を獲得するとしている。


 観致汽車は現在、江蘇省常熟市の経済開発区に生産拠点を建設中で、2012年末の竣工までに15万台の年産能力が整備される予定。常熟市は上海や蘇州、無錫、南通などの大中都市に近接し、また常熟港も擁しているため、国内と共に欧州市場での展開を視野に入れる観致汽車には適した立地環境となっている。

Israel Corporationとの合弁概要

社名 観致汽車有限公司(Qoros Automotive Co., Ltd.)
(旧社名:奇瑞量子汽車有限公司、2011年11月に社名変更)
出資比率 奇瑞汽車50%, Israel Corporation 50%
設立時期 2007年12月
生産拠点
(*本社は上海)
江蘇省常熟市経済開発区(2012年末竣工): 建築面積は19万平方メートルで、プレス、溶接、
塗装、組立ラインのほか、補助施設も設置。
生産能力 15万台/年(初期)
生産モデル 「観致(Qoros)」ブランド: 中級セダン(第1弾モデル)、ハッチバック、 SUV、EV
*2年以内に3モデルを投入。
開発拠点 R&Dセンター: 上海
デザインセンター: ドイツ・ミュンヘン、オーストリア・グラーツ、スウェーデン
提携サプライヤー Getrag、TomTom、Magna Steyr、Magna、Frog、TRW、Continental、Benteler、Valeo、デンソー他多数
*95%は世界的に著名なサプライヤーと提携。

資料:奇瑞汽車リリース(2008.3.7/11.30)、観致汽車リリース(2008.2.19、2010.6.12/7.1、2011.11.28、2012.1.16/2.24/3.8)、各種報道


 観致汽車は社名変更により、新ブランド「観致」をエコノミーブランドのイメージが強い奇瑞汽車から切り離し、欧州市場への投入に向けハイエンドブランドとして独立した開発体制・販売経路を構築する方針。副董事長にVWで北米事業の執行副社長を務めたVolker Steinwascher氏、チーフデザイナーにはBMWで「MINI」の同職を務めたGert Hildebrand氏を起用。また、GetragやMagna Steyr、TRW、Continentalなど多数のグローバルサプライヤーと提携したほか、現在中国の主要都市で「観致」ブランド独自の販売網を構築している。

 

Jaguar Land Rover(JLR)との合弁

 奇瑞汽車とJaguar Land Rover(JLR)は2012年3月、合弁会社設立について協議書を締結したと発表した。合弁会社では「Jaguar」や「Land Rover」ブランドのほか、合弁独自の自主ブランドも生産・販売する計画。また、合弁事業に対する当局の要求に基づき、生産モデルに搭載するエンジンの製造にも着手するほか、R&Dセンターも開設するとしている。


 中国高級車市場の急激な成長を背景に、JLRは2010年から現地生産化に向けた中国メーカーとの合弁交渉を開始した。同社は江鈴汽車や吉利汽車など複数の現地メーカーと交渉を重ね、最終的に奇瑞汽車を合弁パートナーに決定、2011年末には当局に合弁プロジェクトを申請した。


 欧米市場での売上が減速する中、JLRの2011年中国販売台数は4万2,063台に達し、前年比61%増の大幅な伸びを記録した。さらに2012年第1四半期(1月~3月)には前年同期比110%増の1万7,997台を売上げており、中国は現在、JLRにおける世界3番目の市場となっている。JLRは将来的に中国を同社最大の市場とする意向で、販売量の更なる拡大には現地生産化が必須であると指摘している。


 しかし現在のところ、合弁プロジェクトは当局の認可を取得しておらず、その詳細についても明かされていない。メディアによると、投資総額は175億元に上る見込みで、2015年までに5万または8万台の生産能力を形成する予定。現地生産する第1弾モデルは輸入車市場で人気が高い「Land Rover」ブランドの小型SUV「路虎極光(Range Rover Evoque)」になる見通しとされている。

Jaguar Land Rover(JLR)との合弁概要

社名 n.a.
出資比率 奇瑞汽車50%, JLR 50%
設立時期 n.a. *当局の認可は未取得
生産拠点 江蘇省常熟市経済開発区(2014年7月竣工)
*エンジン工場も建設(2015年末稼動)
生産能力 5万 or 8万台/年(初期)
生産モデル 「Jaguar」、「Land Rover」、合弁独自の自主ブランドモデル
*第1弾、第2弾モデルともに「Land Rover」ブランドの小型SUVを投入。第1弾が「路虎極光(Range Rover Evoque)」、第2弾が「神行者2(Freelander2)」になると推測されている。自主ブランドモデルには「Jaguar」ブランドのプラットフォームが採用される見通し。

資料:奇瑞汽車リリース(2008.3.7)、各種報道

 

富士重工業との合弁

 奇瑞汽車と富士重工業が2011年から計画していた「スバル」ブランドの現地生産化が見送られることとなった。両社は2011年5月に合弁会社の設立で合意し、同年6月に当局への申請を行っていた。しかし日系メディアの報道によると、富士重は認可待ちの状態が長期化したことを受け、当初予定していた2013年の現地生産化を断念する方針を固めたという。


 当局が認可を見送った理由として、実質的な合弁事業の計画が不十分であったことが考えられる。当局では生産能力の過剰を懸念し、外資系メーカーによる新規参入の条件を引き締めており、合弁設立には新たな自主ブランドの設定や新エネルギー車技術の導入など両社による実質的な合弁計画が必須とされている。また一方で、富士重が同社の筆頭株主であるトヨタ(16.48%を出資)の一部に見なされたとする向きもある。中国では外資による合弁メーカーの設立は2社までに限定されているが、トヨタはすでに第一汽車集団、広州汽車集団との間にそれぞれ合弁メーカーを設立しており、奇瑞汽車との合弁はトヨタの3番目の中国合弁に相当すると見なされたという。


 富士重に合弁計画そのものを断念する意向はないが、優先順位を下げて区切りを付けることにしたと報じられている。

 



海外事業の動向

 奇瑞汽車の海外展開は2001年にシリアへ自主モデル10台を輸出したことから始まった。その後新興国や発展途上国を中心に輸出や現地でのKD生産を通じて市場を拡大し、10年が経過した2011年には自主モデルを販売する国と地域が80以上にも増大した。

 2011年は欧米市場への足掛りとして新たにオーストラリアへの輸出を開始したほか、ブラジルに中国メーカーでは初となるCKD工場を着工した。

 

輸出市場の開拓

オーストラリア市場に参入

 奇瑞汽車は2011年3月、オーストラリアで「A1」(現地名J1)と「瑞虎」(同J11)の輸入販売を開始した。現地ではパートナーのAtecoを通じて市場に展開する。同国での販売はこれが始めてで、同社は右ハンドル市場の開拓や西欧・北米市場への足掛りとして重要な意義があると見ている。2年以内にディーラー数を45店舗から90店舗に拡大するとしており、2011年9月には「A3」(J3)の2boxタイプも投入された。

資料:奇瑞汽車リリース(2011.3.1)、各種報道

ラテンアメリカにSUV「瑞麒X1」を投入

 奇瑞汽車は2011年8月、エントリーSUV「瑞麒X1」(現地名Chery BEAT)をチリとペルーで同時に発売した。ラテンアメリカにSUVを投入するのはこれが初めて。

アフリカ市場開拓に向け政府系ファンドと提携

 奇瑞汽車は2011年8月、アフリカ市場の開拓を促進するため、中国企業の対アフリカ投資を促進する政府系ファンド「中国アフリカ開発基金」(China-Africa Development Fund)と戦略的提携協議書を締結した。両社は契約に基づき、同年に合弁会社「奇瑞海外実業投資有限公司」(Chery Overseas Industrial Investment Co., Ltd)を設立。出資比率は奇瑞汽車が55%で、中国アフリカ開発基金が45%。新会社は現在、奇瑞汽車の対アフリカ輸出の総代理として、自動車や関連部品、設備等の輸出業務を請け負っている。

資料:奇瑞汽車リリース(2011.8.22)、各種報道

インドネシアに輸入販売会社を設立

 奇瑞汽車は2012年2月、ジャカルタに自社モデルの輸入販売を行う現地法人PT Chery Mobil Indonesiaを設立した。PT Chery Mobilは、現地パートナーのPT Gaya Motor (PT Astra International傘下)と共同で設立した合弁会社。新会社設立に伴い、同日にはMPV「東方之子Cross」(現地名Eastar)、SUV「瑞虎」(同Tiggo)、ピックアップ「開瑞優勁」(同Transcab)の3モデルが発表された。新会社のHosea Sanjaya最高経営責任者(CEO)は、奇瑞モデルの価格競争力には自信があるとし、2012年度の販売台数を1,000~1,500台と推測している。市場シェアが拡大すれば、現地に組立工場を建設する可能性もあるという。

資料:奇瑞汽車リリース(2012.3.6)、各種報道
(注) 2011年3月にIndomobil Groupとの提携を解約したため、現在インドネシアではCKD生産を行っていない。「東方之子」と「瑞虎」は近隣国から輸入し、「開瑞優勁」については中国製を投入する。

 

KD生産拠点の拡大

奇瑞汽車 海外KD生産拠点一覧

国名 提携先 生産拠点 生産能力
(台)
生産モデル(一部)
Iran Kerman Khodro Kerman Khodro子会社のModiran Vehicle Manufacturing Company
所在地: Tehran
n.a. MVM 110(QQ3), MVM 530(A5),
MVM X33(瑞虎)
*MVMブランドで販売
Iran Iran Khodro Co.
Solitac Inc.(Canada)
合弁工場
所在地: Babol, Mazadaran
20万
(予定)
S21(QQ6)
Egypt Daewoo Motor
Egypt(DME)
DMEの傘下工場
所在地: Industrial Park in 6th October City, Cairo
1.5万 A113(A1), A520(A5 2.0L),
A516(A5 1.6L), A620(東方之子),
Tiggo(瑞虎)
*Speranzaブランドで販売
Ukraine UkrAVTO UkrAVTO傘下のZaporozhye Automobile Building Plant
所在地: Zaporizhia Oblast
2.5万 ZAZ Forza(風雲2)
*ZAZブランドで販売
Uruguay Socma Group(Argentina)
Oferol S.A.(Uruguay)
合弁工場Chery Socma S.A.
所在地: Montevideo
2万以上 Tiggo(瑞虎), A1
Malaysia Alado Corporation Sdn Bhd Aladoの提携先Oriental Assembler Sdn Bhdの傘下工場
所在地: Johor Bahru
3万 Eastar MPV(東方之子Cross),
Tiggo(瑞虎)
Vietnam Vietnam Motor
Corporation(VMC)
VMCの傘下工場
所在地: Nguyen Trai Road, Thanh Xuan District, Hanoi
n.a. QQ3
Thailand Charoen Pokphand Group
Yontrakit Group
合弁工場Thai Chery Yarnyon Co.,Ltd
所在地: Rayong Province
5,000 QQ(QQ3), Tiggo(瑞虎)
Syria Hamsho International Group Hamshoと貿易会社Boroujとの合弁工場
所在地: Hassia Industrial City, Homs
3万 QQ(QQ3), Tiggo(瑞虎)

資料:各種報道

 

ミャンマーにKD工場建設を計画

 奇瑞汽車は2011年5月、ミャンマー政府の第2工業部と3,000~5,000台の年産能力を有するSKD工場の建設で合意した。第2工業部は2010年から「QQ3 」(現地名Myanmar Mini)のSKD生産を始め、2011年5月に市場への投入を開始した。奇瑞汽車がSKDプロジェクトの進捗調査でミャンマーを視察した際、第2工業部は1万台近くの受注書を提示し、「QQ3」の生産拡大が急務であると伝えたという。需要の高まりを受け、2012年1月には「QQ3」専用の販売センターも開設された。

資料:奇瑞汽車リリース(2011.5.23)、各種報道

中国メーカー初のブラジル工場を着工

 奇瑞汽車は2011年7月、ブラジルのサンパウロ州ジャカレイ市でCKD工場を着工した。中国メーカーが同国に工場を建設するのはこれが初めて。同社は2010年9月にサンパウロ州政府との間で工場建設に関する枠組み協議書を締結していた。第1期工事では塗装、溶接、組立ラインを建設し、5万台(2交代制)の年産能力を整備する。その後第2期工事でプレスラインも設置して年産15万台(3交代制)に拡大する計画。2013年9月に稼動を開始する予定で、当初は市場ニーズに合わせて「A1」(現地名S12)と「風雲2」(同A13)を生産する。同社はまた、現地の部品調達率を拡大して工業製品税(IPI)の税率引き上げ措置に対抗するため、中国の優秀なサプライヤーを誘致し、CKD工場近くにサプライヤーパークを併設する計画。全プロジェクトの投資総額は4億米ドルで、最終的に100万平方メートルの奇瑞ブラジル工場パークを形成するとしている。

資料:奇瑞汽車リリース(2010.9.20、2011.3.8/6.24/7.20)、各種報道

ベネズエラのKD工場が稼動開始

 ベネズエラ政府管轄のCorpivensaと、ZGT Automotive Corporationが出資する奇瑞モデルのKD工場が、2011年9月に正式に稼動を開始した。立地先はベネズエラ北部のアラグア州ラス・テヘリアス工業区(Las Tejerias, Aragua)。年産能力は1万8,800台で、当初は「A1」(現地名Arauca)と「A3」(同Orinoco)を生産する。KD工場の稼動により、奇瑞汽車は同国で乗用車のKD生産を認可された唯一の中国メーカーとなった。

資料:奇瑞汽車リリース(2011.9.7)、各種報道
(注) 2011年10月には、現地パートナーのZGTが完成車の輸入許可証を取得し、奇瑞モデル計2,750台を買い付けた。

 



新モデル投入状況(2011年以降)

 奇瑞汽車では現在、ローミドルエンド乗用車ブランド「奇瑞(Chery)」、エコノミー乗用車ブランド「旗雲(Cowin)」、ミドルハイエンド乗用車ブランド「瑞麒(Riich)」、ハイエンド社用車ブランド「威麟(Rely)」、微型車ブランド「開瑞(Karry)」の5ブランドが設定されている。「旗雲」はもともと「奇瑞」ブランド傘下の子ブランドであったが、2010年の事業部再編に伴い、独立した1ブランドとして昇格した。

奇瑞ブランド(ローミドルエンド乗用車ブランド)

モデル名 発売時期 概要
瑞虎
1.6DVVT仕様
2011年6月  SUV「瑞虎」に設定された新仕様。中国初の自主開発DVVTを採用した1.6Lエンジンを搭載。従来の1.6Lエンジンと比べ燃費を20%向上している。
新A1 2011年7月  A0級小型ハッチバック「A1」のモデルチェンジ車。価格は3.68万~5.68万元。従来の仕様に加え、1.0Lエンジンに5速MTを組み合わせる新仕様を追加した。
瑞虎
2012年モデル
2012年4月  SUV「瑞虎」のモデルチェンジ車。価格は8.48万~12.38万元。1.6L、1.8L、2.0Lエンジンを搭載。シャシーやステアリングシステム、シフト機構を改良した。
A3
CVT仕様
2012年4月  A級車「A3」に設定された新仕様。同時に発売された「瑞麒G3」の新仕様と同様、1.6L DVVTを搭載し、2代目となる自主開発CVTを組み合わせる。2代目CVTには、EXEDYの流体トルクコンバータ、Boschの7代目プッシュベルト、NSKのベアリングと湿式摩擦材を採用した。
資料:奇瑞汽車リリース(2011.6.29/10.13)、瑞麒ブランドリリース(2012.4.11)、各種報道
(注) 以下の注意事項は4ブランド全てに関係する。
1. 価格は全てメーカー希望小売価格を示す。
2. 奇瑞汽車のモデルには「ACTECO」シリーズのエンジンが搭載されている。「ACTECO」はオーストリアのAVL社と共同開発したエンジンシリーズで、知的財産権は奇瑞汽車に帰属する。
3. 奇瑞汽車は2004年からCVTの研究開発を開始した。2010年には数億元を投じてドイツからCVTの自動生産ラインを輸入。同ラインで生産したCVTは2011年にタクシー車両による100万kmの耐久テストに合格し、同年から「奇瑞E5」など市販モデルへの搭載を開始した。中国メーカーがCVTを自主開発したのはこれが初めてという。

旗雲ブランド(エコノミー乗用車ブランド)

モデル名 発売時期 概要
旗雲1
数智版
2011年6月  A0級セダン「旗雲1」に設定された新仕様。EBD付ABSやリモートキーレスエントリー、GPSナビなど先進技術を多数搭載。装備の充実に対して価格の上昇幅は狭く、コストパフォーマンスに優れたモデルとなっている。
奇瑞E5 2011年7月  「旗雲3」をベースに開発された中級セダンの新モデル。価格は5.98万~8.18万元。1.5Lエンジンには5速MT、1.8Lエンジンには奇瑞汽車が初めて自主開発したCVTを組み合わせる。騒音・振動・ ハーシュネスを低減したほか、20ヵ所余りの収納スペースを用意するなど乗員への配慮を重視した設計となっている。
旗雲2
2012年モデル
2011年10月  A級セダン「旗雲2」のモデルチェンジ車。価格は4.78万~5.98万元。旧型をベースに外観、燃費、安全、快適性能の4項目について計45ヵ所を改良した。
QQ
2012年モデル
2012年1月  微型ハッチバック「QQ3」のマイナーチェンジ車。価格は3.09万~5.09万元。省エネ機能、動力、外観などに計33ヵ所の改良を施した。1.8Lエンジンには5速MT、燃費を17%向上した2代目の1.0Lエンジンには5速MTまたは5速マニュアルモード付ATを組み合わせる。
旗雲1
2012年モデル
2012年2月  A0級セダン「旗雲1」のモデルチェンジ車。価格は3.99万~5.49万元。外観、装備、品質、省エネ機能に計14ヵ所の改良を施した。2代目1.0Lエンジンには5速MT、1.3Lエンジンには5速マニュアルモード付ATを組み合わせる。
旗雲5 2012年3月  旧型「東風之子」をベースに開発された「旗雲」ブランド初のB級セダン。価格は7.58万~10.18万元。全長4,770mm×全幅1,815mm×全高1445mmで、軸距は2,700mm。1.8Lエンジンを搭載し、5速MTまたはCVTを組み合わせる。GPSナビ、オートドライブ機能付きハンドル、カラーディスプレイ付きパーキングセンサー、フォローミーホーム機能などを搭載。
新東風之子 2012年  B級セダン「東風之子」のモデルチェンジ車。軸距は既存モデルより68mm延長して2,768mm。2.0L DVVTエンジンを搭載し、5速MTまたはCVTを組み合わせる。
新型QQ3 2012年末  微型ハッチバック「QQ3」のフルモデルチェンジ。早ければ2012年末にも発売される見通し。1.0Lエンジンを搭載すると見られる。
(注) 微型ハッチバック「QQ」は後続モデルの微型セダン「QQ6」と区別するため、2006年にモデル名を「QQ3」に変更した。しかし「QQ6」と2009年に発売された「QQme」が生産を停止し、QQシリーズのモデルが「QQ3」のみとなったため、2012年モデルでは再び「QQ」のモデル名が使用されている。

 

瑞麒ブランド(ミドル・ハイエンド乗用車ブランド)

モデル名 発売時期 概要
瑞麒M1
2011年モデル
2011年1月  A00級小型ハッチバック「瑞麒M1」のモデルチェンジ車。価格は4.18万~6.08万元。ガソリン代の高騰による低排出・低燃費車への市場ニーズの高まりを受け、中核技術の改良を通じて燃費を従来より16%向上した。
瑞麒X1
舒享型
2011年7月  都市型小型SUV「瑞麒X」に設定された新仕様。価格は5.48万元。1.3Lエンジンに5速MTを組み合わせる。既存仕様の1つである「舒適型」をベースとし、アルミ合金ホイールハブや電動リアミラー、4ドア用パワーウィンドウ、リモートキーを新装備した。
瑞麒G6 2011年8月  Gシリーズのトップモデルとして発売されたB級セダン。価格は18.98万~25.98万元。C級車の生産基準に従って設計された。パワートレインは2.0Lターボエンジンを搭載、5速ATを組み合わせる。
瑞麒G5
2012年モデル
2011年9月  中型セダン「瑞麒G5」のモデルチェンジ車。価格は9.98万~15.28万元。旧型の2.0Lインタークーラー付きターボエンジンに加え、新たに2.0L DVVTエンジンを設定した。
瑞麒G3 2011年12月  「奇瑞」ブランドの「A5」をベースに開発された「瑞麒」ブランド初のコンパクトセダン。価格は6.98万~8.68万元。1.6L DVVTエンジンに5速MTを組み合わせる。サスペンションは前部にマクファーソンストラット式、後部にマルチリンク式を採用、高い操作性と快適性を実現。安全面では、衝撃吸収式のバンパーとステアリングコラム、EBD付ABSなどを標準装備した。
瑞麒X1
2012年モデル
2012年4月  都市型小型SUV「瑞麒X」のモデルチェンジ車。価格は5.38万~6.48万元。1.5Lエンジンには5速MT、1.3Lエンジンには5速マニュアルモード付ATを組み合わせる。インテリジェント機能として、速度や走行距離、瞬間燃費、保証走行距離をリアルタイムで表示する液晶ディスプレイを搭載する。
瑞麒G3
CVT仕様
2012年4月  コンパクトセダン「瑞麒G3」に設定された新仕様。価格は8.48万~9.68万元。同時に発売された「奇瑞」ブランド「A3」の新仕様と同様、1.6L DVVTを搭載し、2代目の自主開発CVTを組み合わせる。
瑞麒G2 2012年7月  5年をかけて開発したA0級小型ハッチバックの新モデル。イタリアのPininfarinaがデザインした。車体サイズは全長3,995mm×全幅1,788mm×全高1,555mmで、軸距は2,500mm。1.6L DVVTエンジンに5速MTまたはCVTを組み合わせる。2012年北京モータショーで初公開された後、7月に市場投入される見通し。現地メディアでは、追って3box仕様も投入する予定と推測している。

資料:奇瑞汽車リリース(2011.1.10/8.3/12.14)、瑞麒ブランドリリース(2011.1.11/4.11/7.14/8.3、2012.4.9/4.11)、各種報道

威麟ブランド(ハイエンド社用車ブランド)

モデル名 発売時期 概要
威麟V5
2012年モデル
2011年8月  MPV「威麟V5」のモデルチェンジ車。1.8LエンジンにはMT、2.0LエンジンにはMTまたはAT、1.9LターボエンジンにはMTを組み合わせる。品質、操作、安全、快適性能の4項目を改良した。
威麟X5 2011年8月  SUVの新モデル。駆動方式には2WDと4WDを設定。車体サイズは全長4,697×全幅1,878×全高1,836mmで、軸距は2,725mm。2.0Lインタークーラー付ターボエンジンに5速MTを組み合わせる。4WD仕様のうち、「豪華型」タイプにはDVDとGPS、エンジンカバーを追加装備した。
新型威麟H5 2011年8月  商用軽型バン「威麟H5」のモデルチェンジ車。旧型の14人乗りに加え、新たに8人乗り、9人乗りも設定した。

資料:威麟ブランドリリース(2011.8.15)、各種報道

開瑞ブランド(微型車ブランド)

モデル名 発売時期 概要
開瑞優優
ディーゼル仕様
2011年モデル
2011年7月  2010年8月に発売された「開瑞優優 ディーゼル仕様」のモデルチェンジ車。1.0Lインタークーラー付ディーゼルターボエンジンに5速MTを組み合わせる。
開瑞優優
ロングホイール
ベース仕様
2012年2月  MPV「開瑞優優」に設定された新仕様。シャシーから改良したロングホイールベースモデルで、車体サイズは全長4,430mm×全幅1,626mm×全高1,930mm。内部容量は既存モデルより17%拡大した4,700L。安全性能を向上するため、車体には宝鋼集団(Baosteel Group)の高強度鋼材を採用した。

資料:開瑞ブランドリリース(2012.3.2)、各種報道

 



モデル別販売台数

奇瑞汽車 モデル別販売台数

(単位:台)
ブランド 分類 モデル 2008年 2009年 2010年 2011年 2011年
1-2月
2012年
1-2月
乗用車 356,093 500,303 674,774 634,311 120,895 82,095
奇瑞 轎車 A1 28,482 15,058 16,039 20,257 2,037 3,811
A3(含2box, 3box) 6,965 59,235 58,492 39,215 8,942 3,569
風雲2(含2box, 3box) - 11,174 74,005 82,787 16,092 9,276
SUV 瑞虎 50,155 45,966 65,062 99,338 14,965 14,054
旗雲 轎車 *QQ6(QQ3の3box) 38,029 26,488 0 0 0 0
QQ3 95,357 142,065 151,634 150,769 26,419 18,847
*QQme - 1,350 374 102 66 0
*A520(A5の2.0L仕様) 59,582 70,630 0 0 0 0
*旗雲 52,027 65,023 0 0 0 0
旗雲1(新型QQ6) - - 29,861 30,672 9,115 3,342
旗雲2(新型旗雲) - - 68,930 54,956 12,366 5,317
旗雲3(新型A5) - - 74,679 42,187 13,055 3,986
東方之子 6,127 2,646 2,850 1,261 518 159
E5 - - - 34,691 - 9,543
瑞麒 轎車 瑞麒M1 - 15,461 22,510 8,088 1,924 378
*瑞麒M5(M1の3box) - - 338 348 57 1
瑞麒G3(東方之子6) - - - 1,246 - 2,906
瑞麒G5 - 139 2,391 2,103 193 334
瑞麒G6 - - - 153 - 35
SUV 瑞麒X1 - 2,995 18,006 14,596 2,451 2,052
威麟 MPV 威麟V5(東方之子Cross) 9,522 8,257 11,459 5,475 1,335 165
SUV 威麟X5 - - - 2,043 500 101
開瑞 MPV 開瑞優雅(瑞麒2) 7,940 16,614 19,515 10,283 2,268 852
開瑞優翼(開瑞3) 1,907 1,051 657 162 52 10
微型バン(優優, 優勝, 優派) - 16,151 57,972 33,579 8,540 3,357
商用車 0 0 7,286 7,404 735 567
トラック - - 7,286 5,719 735 488
バス - - - 1,685 - 79
販売総数 356,093 500,303 682,060 641,715 121,630 82,662
資料:MarkLines Data Center、各種報道
(注) 1. 「*」印は生産停止となったモデル。
2. 「旗雲」は元々1モデルの名称であったが、2010年5月に「奇瑞」ブランド傘下の1シリーズとして昇格した。これに伴い、既存モデルの「QQ6」、「旗雲」、「A5」を改良したモデルチェンジ車が、それぞれ「旗雲1」、「旗雲2」、「旗雲3」のモデル名で「旗雲」シリーズの傘下モデルに再編された。
その後、同年8月に内部組織の再編が実施され、年末に「旗雲事業部」を含む5つの新事業部が設立された。それまで「奇瑞」ブランド傘下の1シリーズであった「旗雲」は、これに伴い「奇瑞」と同等の独立した1ブランドに昇格。現在、「旗雲事業部」が運営する「旗雲」ブランド傘下には、かつての「旗雲」シリーズの傘下モデルのほか、「QQ3」や「東風之子」、「E5」などが再編されている。
3. 「瑞麒G3」は2008年北京モーターショーで初公開された際、ベースモデルの「東方之子」から取った「東方之子6」というモデル名で出品された。その後、2009年3月の「瑞麒」ブランドの発表に伴って「瑞麒G3」に改名され、2011年8月に同ブランドの傘下モデルとして発売された。
4. 2009年3月に「威麟」ブランドが発表された際、既存モデルの「東方之子Cross」が「威麟V5」に改名され、同ブランドの傘下モデルに再編された。
5. 2009年1月に「開瑞」ブランドが発表された際、既存モデルの「瑞麒2」と「開瑞3」が、それぞれ「開瑞優雅」、「開瑞優翼」に改名され、同ブランドの傘下モデルに再編された。
6. 「開瑞」ブランドの「優派」は2009年3月、「優優」は2009年9月、「優勝」は2010年3月に発売された。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>