三菱自動車:新興市場と環境対応に経営資源を集中

日産との提携を強化し軽自動車を共同開発、相互のOEM供給を拡大

2011/09/27

要 約

 三菱自動車は、2011年1月、2011~2013年度中期経営計画「ジャンプ 2013」を策定した。「新興市場」と「環境対応」に資源を集中させ、成長と飛躍を目指すとしている。本レポートでは、新中期経営計画で方向性が示された三菱自動車の地域戦略を中心に、最近動向と今後の計画を報告する。

 新中期経営計画は、2013年度に小売販売台数137万台(2010年度の実績は99万台)、売上高25,000億円(18,285億円)、営業利益900億円(403億円)を目指している。

 商品戦略では、電動車両の強化を図るとともに、2012年3月にタイ第3工場で生産開始するグローバルスモールを中心に、世界戦略車を拡充する。

 地域戦略としては、「新興市場での生産能力の増強と利益の拡大」を目指し、特に中国、ロシア、アセアンとブラジルに新商品を投入し、生産能力を大幅増強する。世界生産における海外生産比率は、2010年度の44%から2013年度54%に高まる見込み。

 成熟市場では、「生産能力の適正化と黒字化」を目指す。米国工場での生産車種をコンパクトSUV(日本名 RVR)に変更し、オランダ工場でのColtの生産は2012年末で終了する(それぞれ地域専用車の生産を終了する)。日本では、日産との提携を強化して、軽自動車を共同開発し、相互のOEM供給を拡大する。

 三菱自動車の2010年度業績は、日本を除く世界各地の販売拡大が貢献し、増収増益。2011年度見通しも、増収増益を見込み、新中期計画に沿った水準であるとしている。



環境対応:2011~2015年度に、EV 3車種、PHEV 5車種を発売

 三菱自動車は、2011年1月に策定した新中期経営計画において、2011~2015年度の5年間に、EVを3車種、PHEVを5車種発売すると発表した。また軽商用EV MINICAB-MiEVを、2012年度中に、日産にOEM供給する計画。

 ガソリンエンジンでは、次世代MIVECエンジンを2011年秋から投入する。

 なお、三菱自動車の環境対応車計画の詳細については、2011年7月27日付レポート http://www.marklines.com/ja/report/rep996_201107#4をご参照ください。

三菱自動車の、EV/PHEV/HEV導入計画

2011年度 2012年度 2013年度 2014~2015年度
EV 軽商用EV発売 1車種発売 1車種発売
PHEV 2車種発売 1車種発売 2車種発売
HEV 発売

資料:三菱自動車新中期経営計画発表(2011.1.20)

ガソリンエンジンは、新エンジンとアイドリングストップで燃費を10%以上改善
 三菱自動車は、MIVECエンジンを全面改良した。新たに可変バルブリフト機構を採用、アイドリングストップも搭載し、燃費を従来モデル比10%以上向上させる(三菱自が、日本仕様車にアイドリングストップを搭載するのは初)。まず新1800ccエンジンを開発し、2011年秋に一部改良して発売するRVRに搭載する。燃費(2WD)は、現行モデルの10・15モード15.2km/Lから17km弱/Lに向上する見込み。
 次いで1000ccクラスエンジンを、2012年3月にタイで生産開始する新型コンパクトカー"グローバルスモール"に搭載し、ガソリンエンジン車で10・15モード30km/L以上の燃費を目指すとされる。

資料:日刊自動車新聞 2011.4.12、日刊工業新聞 2011.9.27

 



2012年3月にグローバルスモールを投入、RVRのグローバルでの生産を計画

 三菱自動車は、2012年3月に、タイ第3工場で世界戦略車グローバルスモールの生産を開始する。中国、インド、ブラジルなどでの生産も検討し、世界で40~50万台販売する計画。「小型」、「低価格」、「低燃費」を基本コンセプトとし、新興市場、成熟市場双方の市場ニーズに応えられるモデルだとしている。

グローバルスモールを投入、世界で40~50万台販売を計画

 グローバルスモールは、2012年3月にタイ第3工場で生産を開始し、順次アセアン、日、米、欧市場への輸出を開始する。中国、インド、ブラジルなどタイ以外の新興国での生産も検討中で、世界で合計40~50万台生産・販売する計画。
 小型、低価格、低燃費を基本コンセプトとするグローバルスモールは、新興市場で増加する中間所得層をターゲットとした、三菱自動車ラインアップのエントリーモデルと位置づけると同時に、ダウンサイジング化が進む成熟市場の小型・低燃費志向にも合致し、新興市場、成熟市場の双方の市場ニーズに応えられるモデルだとしている。
 コンパクトなボディーだが、大人 5人の居住空間を実現。3気筒1000cc/1200ccの小型エンジンを搭載、アイドルストップ機構と減速エネルギー回生システムも採用し、燃費は10・15モード走行30km/L以上を目指す。タイ政府が進めるエコカー政策に適合する。

資料:三菱自動車 Annual Report 2011


 なお、ここ1~2年に発売したモデルでは、2010年2月に日本で発売したコンパクトSUV RVRの販売が好調。Outlanderのプラットフォームベースだが、全長・全幅を短縮し、5人乗りとした。2010年8月に欧州、10月に米国に投入した。

 2012年から米国工場で生産する。2012~2013年にインドネシア、マレーシアでも生産を開始する見込み。

三菱RVRの主要諸元(日本仕様)

RVR Outlander
全長×全幅×全高 4295mm×1770mm×1615mm 4640mm×1800mm×1680mm
ホイールベース 2670mm 2670mm
乗車定員 5人 7人
エンジン排気量 1798cc 1998cc/2359cc
価格 1,785,000円~ 2,152,000円~

資料:三菱自動車 website

 



新興市場で、生産能力を増強し利益を拡大

 三菱自動車の2011年度業績予想では、日米欧を除く「アジア他」の地域が売上高の45%を占め、利益面では圧倒的な収益の柱となっている。新中期計画では、特に中国、ロシア、アセアン、ブラジルの各市場に新商品を投入し、生産能力を大幅に増強する。新中期計画3年間の38万台の販売増のうち、27万台を新興市場で実現する計画。

地域別売上高および営業利益

(億円)
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
予測
2010年度
4~6月期
2011年度
4~6月期
売上高 日本 4,885 3,984 3,685 3,633 3,700 824 761
北米 4,027 2,322 1,754 1,898 1,900 393 413
欧州 9,316 6,317 2,692 4,900 5,100 1,053 1,177
アジア他 8,593 7,113 6,325 7,854 8,800 1,767 1,968
世界 26,821 19,736 14,456 18,285 19,500 4,037 4,319
営業利益 日本 (189) (151) (12) 51 70 (23) (24)
北米 (178) (396) (282) (279) (330) (67) (69)
欧州 797 53 8 (264) (170) (102) (35)
アジア他 656 533 425 895 930 147 250
世界 1,086 39 139 403 500 (45) 122
資料:三菱自動車決算補足資料
(注) 1. 上表は外部顧客の所在地を基礎として区分した外部顧客に対する売上高と営業利益。従って、セグメント別情報(三菱自動車および連結子会社の所在地を基礎として区分した売上高および営業利益)とは異なる。
2. 三菱自動車は、ロシア、ウクライナ、カザフスタンを新興市場と位置づけているが、上表では欧州に含む。またオーストラリアを成熟市場と位置づけているが、上表では「アジア他」に含む。

 

中国:広汽集団と折半出資の合弁会社を設立し、三菱ブランドを強化

 2010年度中国での小売販売台数は、2009年度の14.3万台から16.8万台に増加したが、うち三菱ブランド車は6.5万台にとどまった。

 中国では、SUV系車種の生産拠点である広汽長豊汽車をベースとして、広汽集団と新たに折半出資の合弁会社を設立し、生産能力を大幅に引き上げ、事業の強化・拡大を主体的に進める体制とする計画。

 また、中国事業のさらなる強化に向けて、技術・品質面を中心とした管理統括会社を設立し、2011年4月に営業を開始した。

中国:広汽集団との、新たな折半出資合弁会社を設立

 2010年11月、三菱自動車は、中国での事業を強化するため、広汽集団と新たな協力関係を構築すると発表した。現在三菱自が14.59%、広汽集団が29%を出資する広汽長豊汽車をベースに、三菱自と広汽集団がそれぞれ50%を出資する合弁会社を2011年末までに設立する見込み。
 新会社は2012年7月に新車種の生産を開始し、従来からのSUVに加えグローバルスモールも生産する計画とされる。生産能力を年8万台から2017年までに25万台に引き上げる計画。販売店数も、2011年央の100店舗を、3年後300店舗に拡大する。

(注)三菱自動車は、現在、広汽長豊汽車股份有限公司に14.59%、東南(福建)汽車工業有限公司に25%出資しているが、部分的な出資のため、三菱ブランドの商品展開や現地生産の拡大が進まず、事業拡大の障害になっていた。50%出資することにより事業に責任を持つことができ、利益にも貢献するとしている。今後、新会社を中心に中国事業の拡大と質の充実を目指す。

技術・品質面を中心とした管理統括会社を設立
 三菱自動車は、2010年12月に、中国事業における技術・品質面を中心とした100%出資の管理統括会社、三菱汽車管理(中国)有限公司(Mitsubishi Motors (China) Co., Ltd.)、を上海市に設立し、2011年4月に営業を開始した。
 三菱自動車は、現地の完成車メーカー3社、エンジンなど主要部品メーカー 2社に出資または提携している。新会社は約40名の体制で、これらの生産体制について、市場動向調査、商品企画、現地生産化支援、調達部品の品質確保、現地生産車の品質確保などを担当し、三菱ブランドの確立と拡大を目指す。

資料:三菱自動車広報資料 2010.11.5/2011.3.22、日刊自動車新聞 2011.3.23

 

ロシア:2012年にSUV Outlanderの本格的な生産を開始

 ロシアでは、2010年9月に、PSAと合弁のカルーガ(Kaluga)工場でOutlanderの組立を開始した。2012年から本格生産を開始する。

ロシア:2012年から本格生産、生産能力も4万台に増強

 三菱自動車とPSAは、共同でロシアKaluga州に完成車工場を建設し、2010年4月にPeugeot 308、7月にCitroen C4の生産を開始。9月に、三菱Outlander、Outlanderの姉妹車であるPeugeot 4007/Citroen C-Crosserの生産を開始した。
 現在は、日本とフランスから送った部品を組み立てているが、2012年から本格的な生産を開始する計画。三菱自動車は、現在年1.5万台の生産能力を2012年に4万台に増強し、ロシア市場向け新型Outlanderを増産する。

資料:三菱自動車 Annual Report 2011、日経産業新聞 2011.3.24

 

アセアン:タイでグローバルスモールを生産、マレーシアのプロトン社との協業を拡大

 タイでは第3工場を建設し、2012年3月に、グローバルスモールの生産を開始する。日本市場へもタイから輸出する計画(Coltの後継車となる)。

 また既存工場の生産能力を20万台から30万台に増強し、日産Navaraの生産を受託する計画。

 また2011年9月15日、マレーシアのプロトン社と協業拡大へ向け協議を開始したと発表した。

 

東南アジア5カ国の販売を、2015年に2.4倍増に拡大

 三菱自動車は、2011年9月21日、東南アジア5カ国(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)の販売台数を2010年度の15万台強から2015年度に2.4倍の36万台に、シェアを6.5%から12%に引き上げる目標を明らかにした。

 マレーシアやインドネシアでのRVR生産を検討する。フィリピンでは新型変速機を生産し、日本や東南アジア各国に輸出する計画。成長市場で収益拡大を見込み、円高影響の軽減を図りたいとしている。

タイ:第3工場を建設し、グローバルスモールを生産

 三菱自動車は約450億円を投資し、2010年12月にMitsubishi Motors (Thailand) Co., Ltd. 第3工場の建設を開始した。生産能力は当初年 15万台で、20万台まで拡張が可能。2012年3月から、世界戦略車グローバルスモールを生産する。
タイの既存工場を増強し、日産Navaraを受託生産
 2011年7月、三菱自動車は、既存2工場の生産能力を、2012年上期中に20万台から30万台に引き上げると発表した。能力増強は、2012年度から日産の1トンクラスピックアップトラックNavaraを年6万台受託生産する計画を含む(日産は、タイ工場でマーチを増産する)。(注)

資料:三菱自動車広報資料 2010.12.9/2011.7.13、日刊自動車新聞 2011.8.22
(注)三菱自動車と日産は、2010年12月に、将来的には両社の次期型1トンクラスピックアップトラックの開発・生産協力を検討すると発表した。当面は、次期型モデルの部品共通化や共同購買を進めるとされる。

 

マレーシア:プロトン社と協業拡大を協議

 三菱自動車は、2011年9月15日、マレーシアのプロトン社と協業拡大に向けた話し合いを始めたと発表した。両社は、2004年に資本提携を解消後、2006年に再協業の覚書に調印、2008年に新型車両の開発・生産で協力する契約を結び、プロトン社は現在三菱自のLancerベースのセダン「Inspira(インスピラ)」を生産し、2011年1~6月に約6,300台を販売した。
 今回の協議では、以下の協業プロジェクトについて検討する。(1)マレーシアでのエンジン共同生産、(2)三菱ブランド車のプロトン社での生産、(3)三菱自のグローバルスモールと、プロトン社の新型小型車の主要コンポーネント共用化、(4)EV/PHEVなど将来技術の供与。
 9月21日には、プロトン社に、三菱ブランドRVRの生産を年5~7万台規模で委託する見通しを明らかにした。2013年度上期までに生産を開始する見込み。

資料:三菱自動車広報資料 2011.9.15、日本経済新聞 2011.9.16/2011.9.22

 

ブラジル:現地メーカーに資本参加し、年産能力を10万台に倍増

 ブラジルでは、MMC Automotores do Brasilが三菱車の生産を受託し、販売をしている(資本関係はない)。2010年度に4.6万台販売し、2011年度計画は5.6万台。

 三菱自動車は、新中期経営計画でブラジルの生産能力を大幅に増強すると発表した。上記の現地メーカーに資本参加するとともに、生産能力を10万台に倍増する計画とされている。

 



成熟市場の生産能力を適正化し、黒字化を目指す

 先進国市場では、米国工場の生産車種の入れ替えや、オランダ工場でのColt後継モデルの投入取り止めなど、生産能力の適正化を図る。日本では、日産との提携により軽自動車生産台数増を図るとしている。加えて、生産・販売両面での合理化を進め成熟市場での黒字化を目指す。

 成熟市場(日米欧(ロシアを除く)とオーストラリア)では、新中期計画の3年間に11万台の販売増を見込んでいる。

 

米国:2012年から、イリノイ工場でコンパクトSUV(日本名RVR)を生産

 米国イリノイ工場では、Eclipse(2ドアクーペ/コンバーティブル)、Galant(4ドアセダン)、Endeavor(SUV)など米国市場向け専用の中大型車を生産しているが、生産台数は2009年度2.3万台、2010年度3.3万台にとどまっている。

 2012年の中頃より、コンパクトSUVのOutlander Sport(日本名RVR)の生産を開始すると発表した。

米国:2012年から、イリノイ工場でOutlander Sport(RVR)を生産、中南米・中東に輸出

 三菱自動車の米国イリノイ工場は、最大2直年22万台の生産能力を持つが、2010年度生産は3.3万台にとどまっている。2012年中頃からコンパクトSUV Outlander Sport(日本名RVR)を生産する。約1億ドルを投資して、現在名古屋製作所岡崎工場で生産している北米、中南米、中東向けモデルを移管し、年5万台規模を生産する。
 現在生産しているGalant、Endeavorなどの生産は段階的に終了し、今後はグローバルモデルを生産して、北米、中南米、中東などのドル建て市場に供給する輸出拠点として活用する。イリノイ工場の稼働率を上げるとともに、円高による採算悪化を回避する。
資料:三菱自動車広報資料 2011.2.5/Annual Report 2011、日刊自動車新聞 2011.2.7
(注) 1. 2010年10月に、日本名RVRを、Outlander Sportの車名で米国市場に投入した。2011年1~7月に9,414台販売し、三菱自のLight Truckでは最量販モデル。
2. 2011年11月に、左ハンドルで車幅と全長を拡大した北米仕様 i-MiEVを発売、2012年末にグローバルスモールを発売する。

 

欧州:オランダ工場でのColt生産は、2012年末で終了

 三菱自動車は、欧州では、EVなどの環境対応車を積極投入することで環境ブランドとしてイメージ定着を図り、販売台数増加を目指すとしている。

 オランダのNedCar工場で、2010年にColtを25,906台、Outlander(欧州で販売する三菱車とPSAへのOEM車)を24,627台、計50,533台生産した。三菱自動車は、2012年末で欧州専用Coltの生産を打ち切り、生産能力の適正化を進めるとしている(欧州にも、グローバルスモールをColt後継車として投入する)。

 2013年以降もOutlanderの生産は継続するが、生産台数の減少についての対応策は発表されていない。

 



日本:日産と提携関係を拡大、軽自動車を共同で開発し、OEM調達を拡大

 三菱自動車と日産は、2010年12月、軽自動車の共同開発や相互OEMの拡大など、事業協力関係を強化することで合意した。

 2011年6月、日本市場向け軽自動車の商品企画と開発等を行う株式会社NMKVを設立した。軽自動車は、将来的にも日本新車販売の1/3以上を安定的に占める重要市場であるとしている。

 また、三菱自動車は、日産からのOEM調達を拡大する。開発費を抑えながらラインアップを強化し、国内販売を拡充する。また三菱自動車は、日産に軽商用EVや中東向けSUVを供給する。

日産と合弁で、軽自動車の商品企画・開発会社を設立

 2011年6月に、三菱自動車と日産は、軽自動車事業に関わる合弁会社、株式会社NMKVを設立した。資本金1,000万円で両社が折半出資。従業員数は35名で発足した。新会社は、三菱自動車と日産の、日本における将来の軽自動車の商品企画とエンジニアリングを行う。
 設計は従来通り三菱自が中心で、生産は三菱自の水島製作所で行う。調達には日産も加わり、両社の調達先から見積もりをとり、モデルごとに競争力のあるサプライヤーを選定する。
 2010年度に両社合わせて15%の軽自動車でのシェアを、20%に高めることを目指す。第一弾として、三菱自動車が2013年度前半に発売するeKワゴン(日産はOEM供給を受けOttiのモデル名で販売している)を共同開発する。
資料:三菱自動車・日産自動車共同広報資料 2010.12.14/2011.6.20
(注) 1. 日産は、中期計画で国内シェアを13%から15%に引き上げる計画で、そのために軽自動車の品揃えが重要としている。今後は、三菱自が開発した車のOEM供給を受けるのではなく、商品コンセプトを策定する段階から商品計画に参画できる。
2. 日産の2010年度軽自動車販売は 141,487台で、うち107,795台がスズキからのOEM車、33,692台が三菱車。日産は、スズキからのOEM調達も継続するとしているが、三菱車が増加する可能性が高いとされている。

三菱自動車のOEM調達とOEM供給

開始時期 車種/車名 調達先 備考
自動車メーカー 車種/車名
三菱自が
OEM調達
2008年 Lancer Cargo 日産 AD ボンネット型バン
2011年3月 デリカ D:2 スズキ Solio 5人乗りコンパクト 1 BOX
2011年10月 デリカ D:3 日産 NV200 小型商用車
2012年夏 未発表 日産 Fuga 上級セダン

(注)日産NV200のOEM調達を機に、マツダボンゴのOEM調達(三菱デリカバン/トラック)は終了した。

開始時期 車種/車名 供給先 備考
自動車メーカー 車種/車名
三菱自が
OEM供給
2003年 軽自動車 日産 軽自動車 eKワゴン(日産Otti)など
2007年7月 Outlander PSA 4007/
C-Crosser
三菱自のオランダ工場で生産
2010年末 i-MiEV PSA iOn/C-Zero 2015年までに10万台規模
2012年初頭 RVR PSA コンパクトSUV 年5,000台程度
2012年度中 MINICAB-MiEV 日産 未発表 軽商用EV
未発表 Pajero(有力) 日産 SUV 中東市場向け

資料:三菱自動車中期計画 2011.1.20、広報資料 2100.9.22、日本経済新聞 2011.1.18/2011.8.6/2011.9.23

 



販売台数増により、2010年度実績、2011年度業績予想は増収増益

 三菱自動車の2010年度小売販売台数は、日本を除く世界主要各地で拡大し、前年度の96万台から110.5万台に増加した。

 2010年度決算は、「円高の影響を販売台数増加とコスト削減により打ち返し増収・増益となった(三菱自動車発表)」。工場が日本の西部に位置することが幸いし、震災の影響も他社より軽微であったとしている。

 6月に発表した2011年度業績予想も、小売販売台数が世界各地で拡大するとして(三菱ブランド車のみで98.7万台から107.5万台に拡大、下表ご参照ください)、売上高が19,500億円、営業利益は500億円を見込む。8月の第1四半期決算発表時に、2011年度上期については、売上高を200億円増やすなど業績予想を上方修正したが、年度通期予想は、為替相場など不透明な要素が多いとして6月発表を据え置いた。

主要国別小売販売台数

(1,000台)
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
(注2)
2011年度
予測
2010年度
4~6月期
2011年度
4~6月期
カウントの方法(注2) 旧カウント 新カウント
日本 小型車 84 54 65 60 64 15 13
軽四輪車 135 114 106 104 100 23 21
219 168 171 164 164 38 34
北米 米国 124 84 54 62 73 13 24
北米計 160 119 88 94 108 21 31
欧州 ドイツ 32 29 24 29 30 6 8
英国 31 17 18 20 16 5 4
ロシア 107 96 39 55 69 10 21
ウクライナ 32 34 10 8 11 2 2
欧州計 341 272 170 218 227 46 64
アジア他 中国 94 88 143 168
(新)65
83 15 17
台湾 39 31 43 47
(新)36
27 9 10
タイ 27 19 23 48 64 9 19
インドネシア 34 40 40 59 73 13 17
フィリピン 18 25 33 34 8 8
マレーシア 13 11 17
(新)12
13 3 3
オーストラリア 66 57 59 63 70 18 16
ブラジル 50 43 38 46 56 11 14
UAE 37 29 28 26 8 6
640 507 531 (旧)629
(新)511
576 125 138
世界合計 1,360 1,066 960 (旧)1,105
(新)987
1,075 230 267
資料:三菱自動車決算補足資料
(注) 1. 各地域の合計台数は、その地域の他の国の台数を含む。
2. 従来は、三菱自動車が設計した商品で、ロイヤリティ収入がある場合は他社ブランドも小売販売台数にカウントしていたが、2011年度から、自社ブランド車のみカウントするように変更した。2010年度実績は、新カウントによる数値も併記した。差が生じたのは中国(東南汽車ブランドの旧Lancer(V3)など)、台湾(中華汽車ブランドの軽ベース商用車(Veryca))、マレーシアの3カ国で、合計118千台。

 

三菱自動車の連結業績

(100万円)
2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
予想
2010年度
4~6月期
2011年度
4~6月期
売上高 2,682,103 1,973,572 1,445,616 1,828,497 1,950,000 403,733 431,949
営業利益 108,596 3,926 13,920 40,274 50,000 (4,495) 12,233
経常利益 85,731 (14,926) 12,980 38,949 40,000 (5,791) 10,301
純利益 34,710 (54,883) 4,758 15,621 20,000 (11,756) 4,270
設備投資
減価償却費
研究開発費
56,700
71,900
77,600
71,900
79,000
64,000
47,100
69,000
44,400
52,500
62,700
49,400
99,000
67,000
64,000
7,300
15,800
11,900
8,400
13,700
13,300
為替レート(US$) 115円 101円 92円 85円 80円 93円 82円
為替レート(EUR) 162円 144円 130円 113円 115円 119円 118円
資料:三菱自動車2010年度及び2011年度4~6月期決算発表資料
(注) 1. 2010年度の営業利益は、2009年度139億円から403億円に264億円増加した。要因は、為替影響で343億円マイナスだが、台数・車種構成等で533億円、コスト低減で211億円のプラスとなった。
2. 6月および8月時点での2011年度通期業績予想は、新中期計画に沿った水準だが、為替と中国市場の状況が大きな課題としている。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>