2016年の新興国最低賃金比較 -自動車生産10カ国12地域

2016/01/15

要 約

 マークラインズ株式会社は、自動車工場が集積している新興10カ国12地域について、2016年1月時点の最低賃金をとりまとめました。

 ・メキシコの最低賃金は、都市部で前年比4%増の日額73.04ペソ(月額約90ドル)、地方で3%増の日額68.28ペソ(月額約85ドル)。比較対象国では最低水準で、上昇率も他国と比べ低く安定しています。但し、日給は休日も含めた支給が義務付けられるほか、最低賃金に含まれない各種手当があり、製造業一般工職の月額平均賃金は260~360ドルと、下限値ではインドネシアやフィリピン、上限値ではインドやタイと同水準になっています。

中国の最低賃金は、上海で前年比11%増の月額2,020元(約310ドル)、広州で22%増の1,895元(約290ドル)。比較対象国では最高水準で、2010年比でそれぞれ2倍以上となっています。平均賃金はブラジルロシアを下回りますが、ASEAN諸国、インド、メキシコよりも高い水準です。但し、先進国の下限値と比べても、最低賃金で半分以下、平均賃金で3分の1程度に留まっています。

ベトナムの最低賃金は、第2地域(ダナン市など)で前年比13%増の月額310万ドン(約140ドル)に引き上げられました。現地通貨建てで2010年値の2.6倍上昇していますが、最低賃金と平均賃金がほぼ同水準で、平均賃金は比較対象国の中で最も低くなっています。

インドネシアの最低賃金は、西ジャワ州カラワン県で前年比13%増の月額333万ルピア(約240ドル)。現地通貨建てで2010年値の約5倍も上昇し、比較対象国で突出した上昇率になっていますが、平均賃金はベトナムに次いで2番目に低い水準です。

フィリピンの最低賃金は、マニラ首都圏で2015年4月に15ペソ増の日額481ペソ(月額約225ドル)に引き上げられましたが、対応できない企業は1年の猶予が認められています。上昇率は比較対象国の中で最も低く安定しています。

マレーシアの最低賃金は、2013年にマレー半島全域で月額900リンギット(約200ドル)に設定されましたが、 2016年7月に1,000リンギット(約230ドル)に引き上げられる予定です。

タイの最低賃金は、2013年から全国一律で日額300バーツ(月額約180ドル)に設定され、2016年6月まで据え置かれることが決定しています。但し、自動車業界での賃上げ要求は激しく、実質賃金は年率7~8%増で推移しています。

インドの最低賃金は、各州政府が業種別に決定し、最低5年に1回改定されます。首都ニューデリーの最低賃金は2013年10月に月額8,086ルピー(約120ドル)に改定後据え置かれています。なお、最低賃金を全国一律化する草案が2015年12月に内閣に提出されています。

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