LMC Automotive 2018年10月自動車市場月報(グローバル)

2018年10月販売は3.8%減の772.7万台、季節調整済み年率換算販売は9,216万台/年

2018/11/20

グローバル販売状況と直近の市場予測

※当レポートは自動車、パワートレイン分野の市場予測サービス専門の調査会社 LMC Automotive によるライトビークル市場トレンドレポートをマークラインズが翻訳したものです。

世界全体

  • 2018年10月の世界全体のライトビークル販売は、前年同月比3.8%減の772.7万台となった。10月の季節調整済み年率換算販売台数は9,216万台/年となり、9月の9,022万台/年から増加した。
  • 長引く中国市場の失速が世界販売に強い影響を与えたほか、西欧市場もWLTP導入後の販売落ち込みから回復が遅れている。一方で、北米の10月販売がほぼ前年並みだったほか、日本と韓国の販売がやや増加した。



解説

北米

  • 米国の10月のライトビークル販売は、前年同月比0.5%増の135.8万台となった。10月の個人向け販売が前年同月比0.3%減の106.3万台となった一方、フリート販売は3.5%増の29.5万台となった。10月の季節調整済み年率換算販売台数は1,756万台/年となり、9月からは0.3万台減少した。これまでと同様に、10月もSUVの伸びが市場全体の伸びを上回った。
  • カナダの10月の販売も前年同月比0.03%増の16.5万台となり、米国同様にほぼ前年並みとなった。10月の季節調整済み年率換算販売台数は203万台/年で、10月は今年に入って7度目の200万台/年を上回る月となった。メキシコは17ヵ月連続で前年割れとなり、10月単月の販売は前年同月比4.8%減の11.7万台、10月の季節調整済み年率換算販売台数は140万台/年となった。

欧州

  • 西欧の10月販売は、WLTP導入の影響が続く中で前年同月比5.6%減の118.4万台となった。10月の季節調整済み年率換算販売は1,457万台/年で、9月の1,319万台/年から増加した。1~10月累計販売台数は前年同期比1.0%増の1,384万台となった。9月と同様に、WLTPの制度下での販売認可取得が遅れている車種が複数あり、10月の販売に影響した。ただ、この認可取得の遅れは概ね解消しつつあり、LMC Automotiveでは11月~12月の市場はやや上向くと想定する。
  • ロシアの10月の販売は前年同月比8%増となったが、季節調整済み年率換算販売台数は168万台/年と9月の175万台/年から低下した。20191月に消費税が18%から20%へ引き上げられることから、LMC Automotiveではこの増税を前に11月と12月の販売が急増すると予測する。また、ロシアの2018年通年販売は前年比12.5%増、2019年通年販売は前年比7%増と予測する。トルコの販売は直近数ヵ月で急減しており、10月の販売は前年同月比76%減となった。これをうけて、トルコ政府は自動車に関する税率を20181231日までの期間限定で引き下げている。

中国

  • 世界全体で不確実性が高まっている中で、中国の新車販売は減速傾向が続いている。10月の季節調整済み年率換算販売は2,619万台/年となり、9月の2,660万台/年から1%低下した。10月の販売は前年同月比11.0%減の237万台となり、4ヵ月連続で前年割れとなった。小規模都市の経済成長が急激に鈍化したことにより、特に低価格帯の車種の販売が打撃を受けた。通年販売の見通しについて、2018年は中国市場が今世紀に入って初めて前年割れを記録する年になると見られる。
  • 販売減速の背景には、1)(正式アナウンスはされていないものの)政府が自動車購入税を減税するとの期待から、消費者が新車購入を控えていること、2)特に地方部の新車購入を支えているシャドーバンキングの取り締まりを政府が強化していること、3)中古車市場が早いスピードで成長していること、4)2019年に導入が予定される次期排ガス基準「国6」を前に、消費者の購買決定が遅れていること、が主な要因として考えられる。

アジア(中国以外)

  • 日本の販売は10月に加速し、10月の季節調整済み年率換算販売は554.4万台/年になった。売手優位な状況にある労働市場と賃金の緩やかな上昇が消費者心理と支出を下支えしている。10月の販売は前年の販売が日産の不正検査問題の影響から急落していたこともあり、前年同月比12.4%増の41.4万台となった。
  • 韓国では昨年10月にあった秋夕節連休が今年は9月にあったことが影響し、10月の販売は前年同月比23.4%増となった。ただ、9~10月平均の季節調整済み年率換算販売は177万台/年となり、一時的に自動車取得税引き下げが実施されたものの、特段高い水準とはなっていない。

南米

  • ブラジルでは、極右のジャイル・ボルソナロ下院議員が次期大統領に選出された影響から、金融市場が活況を呈したのみならず、新車販売も増加した。10月の季節調整済み年率換算販売は2015年初以降で最も高い290万台/年まで急上昇した。ただ、失業率が高止まりしているほか、政府の緊縮政策を勘案すると、このペースの好調さは維持困難とみられる。
  • アルゼンチンの10月の季節調整済み年率換算販売は54.5万台/年となり、不調であった9月からわずかに増加した。だが、10月の販売は長引く財政危機の影響から前年同月比37%減となり、急激な減少が続いている。悪化が続く経済情勢は、新車市場の底打ちがまだ先であることを示唆している。

グローバルライトビークル販売

販売(台) 季節調整済み年率換算販売(台/年)
2018年
  10月
2017年
  10月
増減 2018年
累計
2017年
累計
増減 2018年
  10月(*1)
2018年
累計(*2)
2017年
通期(*3)
増減(*4)
WORLD 7,726,637 8,033,465 -3.8% 78,825,106 77,991,035 1.1% 92,158,443 96,033,605 95,293,268 0.8%
USA 1,358,202 1,351,774 0.5% 14,265,083 14,193,402 0.5% 17,562,957 17,184,906 17,189,409 0.0%
CANADA 164,836 164,781 0.0% 1,754,098 1,758,530 -0.3% 2,028,660 2,049,075 2,042,737 0.3%
WESTERN EUROPE 1,184,409 1,255,107 -5.6% 13,836,177 13,701,325 1.0% 14,574,151 16,543,722 16,203,654 2.1%
EASTERN EUROPE 338,219 386,819 -12.6% 3,472,978 3,367,691 3.1% 3,662,535 4,386,339 4,222,523 3.9%
JAPAN 413,964 368,445 12.4% 4,383,093 4,374,349 0.2% 5,544,357 5,232,544 5,164,249 1.3%
KOREA 157,443 127,543 23.4% 1,459,765 1,441,546 1.3% 1,998,346 1,786,319 1,751,938 2.0%
CHINA 2,371,105 2,663,683 -11.0% 22,551,396 22,610,484 -0.3% 26,188,373 28,392,040 28,608,998 -0.8%
BRAZIL / ARGENTINA 291,169 271,292 7.3% 2,729,462 2,512,796 8.6% 3,436,206 3,295,156 3,029,738 8.8%
OTHER 1,447,290 1,444,022 0.2% 14,373,054 14,030,912 2.4% 17,162,858 17,163,504 17,080,022 0.5%
注記: (*1) 当該月の販売実績をベースとした季節調整済み年率換算販売台数。
(*2) 当年累計期間の販売実績をベースとした季節調整済み年率換算販売台数。
(*3) 2017年通期(1~12月)の販売実績。
(*4) 2018年累計の季節調整済み年率換算販売の対前年実績比増減率。
販売報告の遅い国々や推測したものは“Other(その他)”に含まれる。
東欧はトルコを含む。
中国のデータは、ライトビークルの輸入推計を含む。

LMC Automotive社による、モデル別、パワートレインタイプ別(エンジン、トランスミッション)などのより詳細な予測データ(~2025年)もご提供 しております。
詳しくはこちらをご覧ください。

また、LMC Automotive 社はお客様からのご要望に応じた個別のコンサルティングサービスも提供しております。
お気軽にお問い合わせ下さい。

●お問い合わせ先

マークラインズ株式会社営業部
TEL: 03-4241-3902
Email: LMC@marklines.com