LMC Automotive2016年2月自動車市場月報(グローバル)
2016年2月販売は2.7%増の660万台、西欧と北米は好調、中国は微増
2016/03/17
グローバル販売状況と直近の市場予測
※当レポートは自動車、パワートレイン分野の市場予測サービス専門の調査会社 LMC Automotive によるライトビークル市場トレンドレポートをマークラインズが翻訳したものです。
世界全体
- 世界全体のライトビークル市場(乗用車・小型商用車を指す。中大型商用車を除く)は拡大基調を維持し、2016年2月は前年同月比で約3%増の660万台となった。2月の季節調整済年率換算販売台数は約9,000万台/年となり、2015年12月の記録的高水準(9,500万台超/年)からはやや後退した。
- 地域別に見ると、西欧と米国が引き続き好調であった一方、中国はほぼ前年並みとなった。ブラジルとロシアは更なる市場縮小に見舞われたほか、日本も前年割れであった。
地域別販売状況と直近の市場予測
北米
- 米国の2月の販売台数は134万台、季節調整済年率換算販売台数は1,750万台/年となった。SUV、バン、ピックアップトラックなどのセグメントが対前年で特に強い伸び率を示した。2月の個人向け販売台数は6.3%増であったが、フリート販売はこれを上回る伸び率を見せ、市場全体では7.0%増となった。失業率、燃料価格、金利が低い水準にとどまっていることは、(金利については緩やかに上昇しつつあるが)、自動車販売や2月にやや悪化した消費者心理へのプラス要因と言える。
- カナダの2月の販売台数は12万台となり、過去最高だった前年2月から更に9%以上増加した。
欧州
- 西欧の2月の販売はほぼ全ての国で増加し、引き続き好調であった。LMC Automotiveは、2016年の西欧全体のライトビークル市場について、1,560万台超と予測している。これは、2016年1月や2月の季節調整済年率換算販売台数を下回る水準であり、比較的慎重な見方であると言える。しかし、西欧域外で世界経済の成長が失速しているほか、西欧域内でも6月に英国がEU離脱を決める可能性があり、自動車販売のダウンサイドリスクは無視できない状況となっている。ただ、これらを勘案しても、2016年の販売が2015年比で堅調に増加する可能性は高いと見られる。
- ロシア市場は引き続き低調だが、2月販売は前年同月比の減少率が13%にとどまったほか、季節調整済年率換算販売台数も160万台/年となり、1月の140万台/年からやや好転した。2月の販売は予想外の改善が見られたが、経済の見通しが上向かない中で、2月の販売ペースは持続困難と見られる。その他の中東欧の国では、ウクライナ市場が急伸した一方、トルコ市場は微減となった。
中国
- 速報値によると、中国の2月の季節調整済年率換算販売台数は2,490万台/年となり、2,930万台/年を記録した2015年12月から引き続き減速した。この数値は、下方修正された1月の数値から更に3.7%減となり、2015年9月(小型乗用車向け減税措置導入の前の月にあたる)以降で最低の水準となった。
- 中国の経済については、引き続き減速の兆候を示している。輸出が2月に急減したほか、中国公式の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2月に節目の50を割り込み、更に悪化した。一方でサービス業購買担当者景気指数も悪化しているものの、50の水準は上回っている。こうした中、中国人民銀行は景気刺激に向けて市中銀行への資金供給を拡大している。また政府は2016年のGDP成長率の目標を6.5%~7.0%と発表しているが、この数値は強気過ぎるとの見方が広がっている。
アジア(中国以外)
- 日本の2月の販売は、前年同月比で6%減少した。1月に発生した愛知製鋼の爆発事故がトヨタの車両供給に影響を及ぼし、2月の販売へもいくらかの影響があったと見られる。ただ、2月の季節調整済年率換算販売台数は470万台/年の水準となり、そう悪い数字ではなかった。
- 韓国の2月の販売は、1月に一旦打ち切られた消費税減税措置が再導入されたことが追い風となり(*)、低調であった1月から急回復した。ただ、1~2月の累計販売を見ると、依然として前年同期比で微減となっている。
(*)消費税減税は2016年6月までの延長が決定済み。
南米
- ブラジル市場の2月の季節調整済年率換算販売台数は220万台/年となり、非常に低調な状態が続いているが、1月の190万台/年からは改善した。また、2月の販売は前年比で2割減となっており、3割減~4割減が続いてきた最近の水準からはやや改善したと言える。ただ、景気後退が深刻化する中で、依然として市場に底打ちの兆候は見えていない。
- アルゼンチン市場は不安定な状況が続いているが、2月も大きな動きがあった。2月の季節調整済み年率換算販売台数は65万台/年となり、1月の水準から50%近く増加した。アルゼンチン経済には依然として多くの課題が残るものの、2015年12月のマクリ新大統領就任以降、投資家心理は急速に改善している。
グローバルライトビークル販売
販売(台) | 季節調整済み年率換算販売(台/年) | |||||||||
2016年 2月 |
2015年 2月 |
増減 | 2016年 累計 |
2015年 累計 |
増減 | 2016年 2月 |
2016年 累計 |
2015年 通期 |
増減 | |
WORLD |
6,602,865
|
6,429,653
|
2.7%
|
13,855,374
|
13,578,829
|
2.0%
|
89,560,476
|
89,596,228
|
89,104,292
|
0.6%
|
USA |
1,343,063
|
1,255,510
|
7.0%
|
2,490,195
|
2,405,629
|
3.5%
|
17,517,947
|
17,540,551
|
17,444,835
|
0.5%
|
CANADA |
119,201
|
109,029
|
9.3%
|
227,741
|
207,974
|
9.5%
|
1,788,430
|
1,858,078
|
1,896,788
|
-2.0%
|
WESTERN EUROPE |
1,130,071
|
993,562
|
13.7%
|
2,266,212
|
2,060,160
|
10.0%
|
15,894,845
|
15,754,861
|
14,837,712
|
6.2%
|
EASTERN EUROPE |
269,988
|
282,000
|
-4.3%
|
485,691
|
527,231
|
-7.9%
|
4,030,060
|
3,858,076
|
3,894,122
|
-0.9%
|
JAPAN |
440,047
|
468,609
|
-6.1%
|
813,351
|
863,159
|
-5.8%
|
4,670,536
|
4,706,256
|
4,896,387
|
-3.9%
|
KOREA |
124,587
|
117,864
|
5.7%
|
245,287
|
247,255
|
-0.8%
|
1,748,548
|
1,679,459
|
1,798,047
|
-6.6%
|
CHINA |
1,657,751
|
1,648,292
|
0.6%
|
4,233,602
|
4,041,993
|
4.7%
|
24,876,337
|
25,380,784
|
24,924,220
|
1.8%
|
BRAZIL / ARGENTINA |
187,983
|
219,509
|
-14.4%
|
391,357
|
524,381
|
-25.4%
|
2,833,931
|
2,561,190
|
3,086,206
|
-17.0%
|
OTHER |
1,330,173
|
1,335,279
|
-0.4%
|
2,701,938
|
2,701,047
|
0.0%
|
16,199,841
|
16,256,973
|
16,325,975
|
-0.4%
|
注記: | 最後の列の増減は、季節調整済み年率換算の販売累計の平均と昨年1年間の販売と比較したものである。 販売報告の遅い国々や推測したものは“Other(その他)”に含まれる。 東欧はトルコを含む。 中国のデータは、ライトビークルの輸入推計を含む。 |
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