CATARC提携レポート 中国新エネルギー車 (NEV)動向 2017年7月

6月の新エネルギー車生産は着実に増加

2017/08/07

中国国内生産 (概要)



このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。
過去のCATARC提携レポートはこちらをご参照ください

  2017年6月の新エネルギー車 (EV、PHV、FCVが対象で、鉛酸電池搭載車は含まない)生産台数は前月比で16%増、前年同月比で19%増となった。EVとPHVの比率は9対1。車種別では乗用車の比率が76%、バスと特殊車両がそれぞれ13%と11%であった。



中国国内生産

新エネルギー車の車種別生産台数 (2017年6月、概数)

(单位:台)

EV PHV FCV
乗用車 30,000 6,000 0
バス 5,000 1,000 0
特殊車両 6,000 0 28

注) EVとPHVは百の位を四捨五入した数値

EV

  2017年6月のEV生産台数は前月比18%増、前年同月比30%増となった。乗用車、バス、特殊車両の全車種が増加し、最も増加率が高かったのはEVバスであった。EV乗用車生産をモデル別に見ると、江淮汽車 (JAC)のA0セグメント車「悦悦 (Yueyue)」のEV「iEV6E」が3,000台程生産され、1位となった。2位と3位は奇瑞 eQ1、BYD e5と続く。駆動電池の種類別では、6月生産の77%が三元系で、リン酸鉄リチウムが20%、マンガン酸リチウムが3%となった。

  2017年6月のEVバス生産台数は前月の3.4倍となったが、前年同月比では37%減であった。6月にEVバスを生産したメーカーは31社で、2017年上半期で最も多かった。

  EV特殊車両の生産台数は前月の2倍であった。生産メーカー上位5社は東風汽車、陝西通家、上汽商用車、山西成功、福建新龍馬で、1,000台超を生産したのは東風汽車だけであった。用途別では貨物運搬用が94%を占めた。

PHV

  2017年6月のPHV生産台数は前月からやや増加した。6月にPHV乗用車を生産したメーカーはBYD西安、上海汽車、BYD深圳、広汽乗用車、上汽GMの5社であった。駆動電池の種類別では三元系が95%、リン酸鉄リチウムが5%を占めた。

  2017年6月のPHVバス生産は前月の3.8倍となった。生産メーカーは前月と同じ10社で、100台超を生産したメーカーは鄭州宇通客車、北汽福田、廈門金旅、廈門金龍の4社であった。

FCV

  2017年6月のFCV生産は全て特殊車両で、2017年になって初めてFCV特殊車両が生産された。



国内動向

工業情報化部、4社の新エネルギー車推薦モデルリスト掲載申請を再開

  2017年6月29日、工業情報化部は「新エネルギー車メーカー4社の整備・改善状況に関する公示」を発表した。対象は金龍聯合汽車工業(蘇州)有限公司 (HIGER BUS Company Limited)、河南少林客車股份有限公司 (Shaolin Bus)、奇瑞万達貴州客車股份有限公司 (Chery & Wanda Guizhou Bus)、深圳市五洲龍汽車有限公司 (Shenzhen Wuzhoulong Motors)の4社で、2016年12月19日に工業情報化部より6か月間の行政処分が下され、新エネルギー車推薦モデルリストへの掲載申請資格が取り消されていた。専門家の改善状況検証報告に基づき、上記4社が行政処分に対する整備・改善を行ったと判断され、新エネルギー車推薦モデルリストへの掲載申請を再開することとなった。

上海市2017年新エネルギー車補助金、中央政府の50%を上限

  2017年6月20日、上海市政府は市の新エネルギー車補助金政策を調整すると発表した。条件を満たした新エネルギー車に対し、「暫定方法」の関連規定に基づき補助金を給付する。市の補助金は中央政府の補助金の50%以下。2017年12月31日まで実施される。

杭州市「2017-2018年新エネルギー車補助金政策」を発表

  2017年6月19日、杭州市政府は「新エネルギー車補助金政策(パブリックコメント募集稿)」を発表した。

  1. 消費者は杭州市で新エネルギー車を購入した場合、小型EVは中央政府の補助金の25%を地方補助金として支給する。1台あたりの補助金は最大1万元。その他の車種は中央政府の50%を支給する。そのうち、新エネルギー貨物輸送車と特殊車両は1台あたり最大3万元。
  2. 国と地方の補助金の総額は車両販売価格(販売価格は市場適正価格に一致すること)の50%以下とする。
  3. 充電施設の建設に対する各種投資を奨励する。市の公用、共用充電・電池交換施設を建設する場合、投資額の25%を補助する。

吉利新能源商用車、南充新工場が稼働

  2017年7月9日、吉利四川商用車は四川省南充市の新工場が稼働し、遠程(Yuancheng)のEV軽トラックE200をラインオフした。遠程は吉利の新エネルギー車専用ブランドで、今回ラインオフしたEV軽トラックE200は遠程ブランドの第1弾。航続距離は200km。

  吉利南充工場は吉利新能源商用車が四川省に建設した初の新エネルギー商用車工場で、晋中工場、英Coventry工場、2018年稼働予定の浙江省義鳥工場と合わせて4工場が吉利新能源商用車の拠点となる。南充新工場は2015年7月に着工。年産能力は10万台。工場にはプレス、溶接、塗装、フレーム、組立、パワートレイン組立などに加え、新エネルギー商用車の研究・開発拠点とテストコースもある。南充工場では第2期工事が計画されている。68億元を投資して、年産1万台のクリーンエネルギーバスと新エネルギー商用車パワートレインの工場を建設する。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

* CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。