CATARC提携レポート 中国新エネルギー車 (NEV)動向 2017年5月
4月の新エネルギー車生産は前年同月と同水準
2017/06/06
中国国内生産 (概要)
このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。
過去のCATARC提携レポートはこちらをご参照ください。
2017年4月の新エネルギー車 (EV、PHV、FCVが対象で、鉛酸電池搭載車は含まない)生産台数は、前年同月とほぼ同じ水準であった。EVとPHVの比率は8対2で、依然としてEVが新エネルギー車の主力となっている。車種別では乗用車の比率が91%で、バスと特殊車両はそれぞれ3%と6%であった。
中国国内生産
EV
2017年4月のEV生産台数は前月とほぼ同水準であったが、EV乗用車は前年同月の1.5倍となった。4月は18社がEV乗用車を生産した。最も生産されたモデルは北汽新能源のEC180で、4ヵ月連続で月次EV乗用車生産の首位となっている。4人乗りのEC180は補助金適用後の価格が5万元超と、価格の面で競争力があることが販売好調に繋がっている。2位と3位は浙江吉利の帝豪 (Emgrand) EV300、比亜迪 (BYD) e5となった。搭載電池は三元系のリチウムイオン電池が中国メーカーの主流となっている。
2017年4月のEVバス生産台数は前年同月比で95%減と大きく落ち込んだ。一方、EV特殊車両生産は前月の約3倍を記録した。生産メーカーはEVバスが13社、EV特殊車両が26社であった。
PHV
2017年4月のPHV生産台数は前月の1.4倍で、最もPHVを生産したメーカーは上海汽車であった。PHV乗用車を生産したメーカーは7社、PHVバスは9社となった。
FCV
2017年4月のFCVバス生産台数は10台となった。
国内動向
工業情報化部、適合違反メーカー6社の処分を解除
2017年4月18日、工業情報化部は「自動車メーカー6社の新エネルギー車推薦モデルリストへの掲載申請資格取り消し処分の解除」を通達した。工業情報化部の委託を受け、中機車両技術服務中心(China Vehicle Technology Service Center)は、申請資格取り消し処分を受けた金華青年汽車、上汽唐山客車、重慶力帆乗用車、鄭州日産、上海申沃客車、重慶恒通客車の6社に対し、整備・改善状況の現場検証を行った。その結果、6社は整備・改善を十分に行い、製品適合性の規定を満たす生産が可能になったとして、新エネルギー車推薦モデルリストへの掲載申請を再開させるよう提案した。
「車両購入税免除対象新エネルギー車目録」(第10弾)を発表
4月27日、工業情報化部は「車両購入税免除対象新エネルギー車目録」(第10弾)を発表した。リスト入りしたのは計776モデルで、内訳はEV乗用車が63モデル、EVバスが354モデル、EV貨物運搬車が57モデル、EV特殊車両が180モデル、PHV乗用車が9モデル、PHV貨物運搬車が110モデル、FCVバスが2モデル、FCV特殊車両が1モデルとなっている。
天津市、新エネルギー車関連の各種条件を発表
4月27日、天津市工業・情報化委員会は「天津における新エネルギー車の安全サービス強化に関する通知」を発表した。内容は以下の通り。
<アフターサービスに対する要求>
- 自動車メーカーは天津市の管轄区に登記した販売会社で車両を販売する。
- 認可を取得したアフターサービスセンターを新エネルギー乗用車メーカーは3ヵ所以上、新エネルギー特殊車両とバスメーカーは2ヵ所以上天津市に設置する。アフターサービスセンターは1ヵ所をアフターサービス専用の施設とし、一定数の専門技術者と専用の修理設備を配置する。
<製品品質保証>
メーカーは駆動電池、駆動モーター、モーターECU等の部品を対象に品質保証を付ける。品質保証期間は、乗用車が8年以上または12万km、バスと特殊車両は5年以上または20万kmとする。
<安全確保と緊急サポート>
天津で走行する車両は5,000kmまたは6ヵ月ごとに定期検査を行う。特に駆動電池、ワイヤーハーネス、コネクター等の高圧系統の検査を強化する。
<電池の回収>
メーカーが主体となり、「電動自動車動力蓄電池回収利用技術政策(2015年版)」に基づいた使用済み電池の回収処理プログラムを策定する。また、天津の回収処理業者と保管場所を明確にして回収処理を行う。
<新エネルギー車製品に対する要求>
新エネルギー車は中国強制認証 (China Compulsory Certification 略称CCC)を取得し、2017年以降に公布された国の「新エネルギー車普及推薦モデルリスト」或いは同等の検査項目と規準に合致していること。また、国の新エネルギー車関連の現行法規、規準に合致していること。
BYD、新型e6を年内に発売 航続距離は450kmに達する
工業情報化部によると、2017年内に発売予定のBYD新型e6の航続距離は450kmに達する。現行e6は82kWhの電池パックを搭載しており、航続距離は400kmである。新型e6は91kWhの電池パックを搭載することで、航続距離は450kmに達する。
奇瑞、30億元を投じ小型新エネルギー車の工場を河北に建設
5月3日、石家庄市人民政府と奇瑞控股有限公司は新エネルギー車の工場建設で合意した。奇瑞は30億元を投資し、河北省石家庄に工場を建設する。
* CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。