CATARC提携レポート 中国新エネルギー車 (NEV)動向 2017年2月

2017年1月生産は大幅な減少、新エネルギー車の発展には政策依存からの脱却が急務

2017/03/10

中国国内生産 (概要)



このレポートは北京CATARC科学技術センター*のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。
過去のCATARC提携レポートはこちらをご参照ください

 2017年1月の新エネルギー車 (EV、PHV、FCVが対象で、鉛酸電池搭載車は含まない)生産台数は、2016年12月実績の十分の一にも届かなかった。車種別では、乗用車の比率が過去最高の88%を記録した。バスは5%。特殊車両が7%と、初めてバスを超えた。また、EVは全体の83%を占め、1年以上80%前後を維持している。

 新エネルギー車生産が減少した要因は、政府の政策が不確定なことにある。2016年12月30日、中機車両技術サービスセンター (CVTSC)は新エネルギー車推薦リストの申請業務を見直すと発表した。この発表は2016年の新エネルギー車推薦リスト第1弾から第5弾の審査を覆すものである。2016年にリスト入りした新エネルギー車メーカーは235社、モデル数は2,193に及ぶ。この2,193モデル全てが改めて審査されるため、長い期間を要することになる。また、審査に通らなければ販売が許可されないので、新エネルギー車を生産するメーカーは申請が通るまで、補助金が受けられなくなる。それが1月の生産を大きく落ち込ませた直接的な要因である。



中国国内生産

PHV

 2017年1月のPHV乗用車生産台数は前月の十分の一にとどまった。1月にPHV乗用車を生産したメーカーは6社となった。PHVバスは依然として中・大型バスが主で、メーカーは2社のみであった。エンジンを燃料別で見ると、天然ガスエンジンが97%を占めた。

EV

 2017年1月のEV生産台数は前月の十分の一に達しなかった。EV乗用車を生産したメーカーは13社あったが、1,000台以上生産したメーカーはなかった。駆動電池別では、三元系電池搭載車が過去最高の93%を占めた。三元系電池以外は全てリン酸鉄リチウム電池搭載車であった。EVバス、EV特殊車両を生産したメーカーはそれぞれ8社、24社であった。



国内動向

工業情報化部の苗圩部長が新エネルギー車発展計画の要点を発表

 2017年1月14日、「2017年中国電動汽車百人会論壇(2017 China EV100 Forum)」が北京で開催された。工業情報化部の苗圩部長はこのフォーラムに出席し、新エネルギー車発展計画について次のように述べた。

 「自動車産業中長期発展計画」では2020年までに新エネルギー車生産台数を年間200万台、駆動電池システムのエネルギー密度を260Wh/kgに引き上げ、コストを1元/Whまで引き下げるとしている。2025年には自動車販売台数における新エネルギー車比率を20%に、駆動電池システムのエネルギー密度を350Wh/kgに引き上げる。また、新エネルギー車メーカーの国際競争力を高め、市場シェアをさらに拡大させる。

 計画を実現し、産業の健全なる発展を持続させるため、以下の活動を行う:

1.政策体系の整備。技術成長と市場拡大に繋がる補助金政策を打ち出し、「扶優扶強(優良企業を支援していくこと)」政策を進める。新エネルギー車におけるポイント管理制度の構築を加速させ、メーカーに対する各年度の新エネルギー車目標達成率を明確化する。2020年に補助金を打ち切った後も、これに続く新エネルギー車市場発展のための長期的な仕組みを打ち立てる。

2.法律法規の健全化。「道路機動車両生産管理条例」を打ち出すことで、メーカーと政府機関の法的責任を明確化し、違反企業の懲罰的賠償と市場からの撤退などを制度化する。

3.研究開発支援の強化。国家重点開発計画として新エネルギー車関連の電池、ECU、モーターなどの開発を強化する。

4.充電インフラの建設加速。充電インフラの計画と建設の運営管理を業界の仲介組織や連盟などが指導、監督することで、充電施設の建設・運営を支援する。

5.国際化の奨励。自動車メーカーの海外進出を加速させる。企業が「一帯一路(Belt and Road, B&R)」建設(アジアから欧州に至る国を跨いだ地域経済の一体化を推進する構想)や海外企業との連携で機会を得るよう指導、奨励し、国際的なブランドの育成を進める。また、重点的発展地域に産業パークを建設することで、発展を加速させる。

6.自動車インテリジェントネットワークの発展と業界を超えた提携の促進。車載インテリジェントネットワークの発展は新エネルギー車を主とする。新たなインテリジェントネットワークを作り出すため、産業を超えた提携とそれに適した法制度の作成を推進する。

新エネルギー車参入管理規定を正式に公布

 2017年1月16日、工業情報化部は「新エネルギー車生産企業及び製品参入管理規定」(以下、管理規定)を公布した。2017年7月1日から施行され、同時に2009年6月に公布された「新エネルギー車生産企業及び製品参入管理規則」(以下、旧管理規則)は廃止となる。

 新しい管理規定は新エネルギー車事業への参入条件を厳格化し、安全管理条件を強化している。主な内容は:

1. 新エネルギー車の定義をPHV (レンジエクステンダーを含む)、EV、FCVとする。

2. メーカーの参入条件を規定。新エネルギー車生産に参入できるのは車両生産資格を持つ自動車メーカー、投資プロジェクト手続きを終えた新規の自動車メーカー、従来の自動車生産企業参入管理規則に合致している自動車メーカー。その他には設計開発能力、生産能力、アフターサービス及び製品安全保証などがあるかについても規定されている。管理規定に付属された「新エネルギー車生産企業参入審査要求」では、さらに17項目の審査条件が規定されており、参入条件を明確化した。

3. 参入条件を整備。申請した新エネルギー車は「新エネルギー車製品専門検査項目及び依拠規準」及び同類の従来基準に合致し、検査機関による検査に合格しなければならない。同時に管理規定に付属する「新エネルギー車製品専門検査項目及び依拠規準」の中でさらに39項目の検査規準を設け、参入条件を明確化した。

4. 走行安全の監視システムを構築。メーカーはユーザーとの協議に基づき、販売した車種の安全性を監視するシステムを作り上げる。

5. 検査措置を整備。工業情報化部は資料審査、実地検査などでメーカーが「参入審査要求」を満たしているか検査する。工業情報化の主管部門は当該行政区域内のメーカーの生産状況について調査を行う。生産を1年以上停止している企業は工業情報化部が特別公示を発し、生産再開前に参入審査要求を満たしているかを確認する。

6. 法的責任を強化。事実を隠蔽し、虚偽の資料で参入申請した場合、警告として1年間は再申請を認めない。詐欺、賄賂など不正な手段を用いて参入許可を得たメーカーは参入許可を取り消し、3年間は再申請を認めない。「道路機動車両生産企業及び製品の公告」に入っていない生産企業の新エネルギー車は、工業情報化部が道路交通安全法に基づき処罰する。

 既に参入許可を得た新エネルギー車メーカーは、新しい管理規定の第29条に準じなければならない。また、本規定の施行日から6か月以内に審査計画を提出し、24ヶ月以内に審査を通過しなければならない。

「新エネルギー車普及応用推薦車リスト」(2017年第1弾)を公布

 2017年1月23日、中国工業情報化部は「新エネルギー車普及応用推薦車リスト」(2017年第1弾)を公布した。本リストには185車種、うち乗用車が74、物流用車両が35、バスが76車種掲載されている。

新エネルギー車の適合違反で7メーカーを処分

 2017年2月4日、工業情報化部は自動車メーカー7社に対し、行政処分を決定したと発表した。製品適合性の規定に違反した7社に対し、問題となった車種の生産許可を取り消し、新エネルギー車推薦リストへの掲載申請を一時停止する。処分を受けるのは金華青年汽車、上汽唐山客車、重慶力帆乗用車、鄭州日産、上海申沃客車、南京特種汽車、重慶恒通客車の7社。

 2016年9月8日、財政部により新エネルギー車補助金を不正受給した問題で蘇州金竜、河南少林客車、奇瑞万達貴州客車、深圳市五洲竜の4社が行政処分を受けている。

北京市、地方補助金政策を公布 電池の安全性がリスト申請審査の核

 2017年2月9日、北京市科学委員会は市財政局、市経済情報化委員会とともに、関連自動車メーカーを招集し会議を開いた。財政部、科学技術部、工業情報化部、発展改革委員会が発表した「新エネルギー車普及のための財政補助金政策調整に関する通知」の内容を参照し、市の補助金規準を中央政府の50%とすることが確定した。北京市財政局は小型バスの補助金をナンバープレート交付年度に基づき決定し、消費者は補助金適用後の価格で購入する。国と市の補助金は販売価格の60%を超えないものとする。この草案はすでに批准されており、近々公布されることになっている。また、北京市の推薦リストは全て再審査を廃止する。リスト入りの申請に対する第一の審査要素は安全面で、駆動電池の安全性が核になるとしている。

国能新能源汽車、9社目のEV乗用車生産資格取得企業に

 2017年1月25日、全国投資プロジェクトオンライン審査プラットフォームは国能新能源汽車 [National New Energy Vehicle Co., Ltd.]の新エネルギー車生産拠点建設案件の批准を公示した。同社は、北汽新能源、長江汽車、前途汽車、奇瑞新能源、敏安汽車、江鈴新能源、万向集団、金康新能源に続き、9社目のEV乗用車生産資格取得企業となった。

 国能新能源汽車はNational Electric Vehicle Sweden(以下、NEVS)の子会社で、2015年6月、天津市濱海新区に国能汽車技術 [National Auto Technology Development Co., Ltd.]とともに設立された。資本金は24億元で、持ち株比率はNEVSが50%、国研科技集団 [State Research Information Technology]と北京中域緑色投資管理有限公司 [C.Domain]が50%。

 NEVSが検査用に出したEV乗用車はGN7001 EV 15台で、検査結果は安全性、信頼性、動力性、軽量化、経済性、衝突試験などのあらゆる分野で高水準であった。例えば最高速度は150.8km/h (標準値は >120km/h)、0 - 100km加速時間は10.81秒 (標準値 12秒)、航続距離は276.4km、車両重は1,755kg、100kmあたりの電力消費は14.1kWh(標準値 <20kWh)、回生ブレーキ回生率34.7%( (標準値 15%)となっている。

  NEVSはSAAB買収後の2015年6月、天津に国能新能源汽車 [National New Energy Vehicle Co., Ltd.]と国能汽車技術 [National Auto Technology Development Co., Ltd.]を設立し、同年10月に天津工場の第一期建設工事を開始した。2017年末に生産開始予定。完成すれば年産5万台のEV乗用車生産が可能となる。

雲度新能源、10社目のEV乗用車生産資格取得企業に

 2017年1月26日、国家発展改革委員会は福建省汽車工業集団の雲度新能源汽車股份有限公司 [YUDO New Energy Automobile Co., Ltd.]にEV乗用車工場建設案件の批准を公示した。同社は10社目のEV乗用車生産資格取得企業となった。

 雲度新能源は2015年12月4日に設立したEVのSUVに特化した新エネルギー車メーカー。総投資額が約20億元、敷地面積が266,666平方メートルのEV工場を建設する。完成すれば年産8万台の生産能力を有することになる。

BYD、2017年に新車8車種を投入

 BYDは2017年に新エネルギー車8車種を投入する計画であると発表した。EV航続距離100kmの唐100、秦100、宋、元のDMハイブリッドを投入する計画である。新型の宋EVと元EV、第2世代の唐と秦も順次投入する。2020年までには中国の自動車メーカーとして初めて米国へEVバスを輸出する計画である。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

* CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。
CATARCが提供する新エネルギー自動車産業向けの情報サービス「省エネ・新エネルギー車ネットワーク (Energy-saving and new energy vehicle network)」は中国の省エネ・新エネルギー車関連の情報をタイムリーに提供する情報サービスで、マーケティングおよび技術コンサルティングや調査・研究、予測等も行います。