CATARC提携レポート 中国新エネルギー車動向 2014年10月

2014年9月の新エネルギー車生産は1万台を突破し、過去最高を記録

2014/11/12

中国国内生産 (概要)

このレポートは北京CATARC科学技術センター*1のレポートをマークラインズが編集・翻訳したものです。



図1  電動車の車種別生産台数 (2014年1~9月)

  2014年9月の中国における電動車生産台数は前月比86.4%増の11,513台となった(一部の鉛蓄電池搭載のEV、外資メーカーの乗用HVを含む)。生産拡大の要因は、中国政府が新エネルギー車の取得税免除政策を実施したことで、自動車メーカーが生産を増強したためである。内訳はEVとPHVが10,925台(うち、鉛蓄電池搭載の乗用EVは873台、同特殊車両は83台)、HVが586台で、EVとPHVは前年同月比で7倍増、前月比で2倍増となり、単月の台数としては初めて1万台を超えた。9月の電動車生産を車種別に見ると、乗用車は7,387台で64.2%、バスは3,961台で34.4%、特殊車両は163台で1.42%を占めた。2014年1~9月のEVおよびPHVの生産台数では5.3万台を超えた。




中国国内生産

乗用EV

  2014年9月の乗用EV生産台数は4,465台となり、前年同月比で4.7倍増、前月比で63.8%増であった。乗用EVと乗用PHVの9月生産はともに過去最高を記録した。生産拡大の要因は、2014年9月に実施された新エネルギー車に対する取得税免除政策が背景にある。さらに、2015年から新エネルギー乗用車に対する国および地方政府からの補助金が引き下げられるため、自動車メーカーは新エネルギー車の新規投入および生産増強を推進している。北京汽車のE150は2014年第4四半期までに出荷予定で、2014年9月に発売されたBYDとDaimlerの合弁会社が販売する騰勢(Denza) EV、東風日産が販売する啓辰(Venucia) 晨風(e30)は2014年末までにさらなる拡販を見込んでいる。

  康迪(Kandi) K10(中国名:小電?)は8月に続き生産台数が最も多く、2014年1~9月の生産台数は9,726台となった。康迪K10は杭州の近距離公共交通機関「微公交」やカーシェアリング用の車両として採用されており、今後杭州以外の都市にも採用される見通しである。そのため、康迪K10のようなエントリークラスEVは更なる販売拡大が見込まれる。

  航続距離別に見ると、航続距離150~200kmと80~100kmの乗用EV生産はそれぞれ2,000台前後で、4割強を占めている(表1を参照)。今後、康迪K10、衆泰汽車E20、江淮汽車iEVシリーズ、北京汽車E150等の販売が拡大すると、航続距離150~200kmと80~100kmの販売比率は更に拡大し、メーカー間での販売競争が激化すると考えられる。

  電費性能が最も良いモデルは、マンガン酸リチウムイオン電池を搭載した衆泰汽車のE20で、電費は13km/kWhと、リン酸鉄リチウムイオン電池搭載車より高い数値となっている(表2を参照)。北京汽車E150はエネルギー密度が高い三元系リチウム電池を搭載しているが、電費性能の高い上位5モデルには入っていない。

航続距離 
(km)
7月生産台数
(台)
比率
(%)
8月生産台数
(台)
比率
(%)
9月生産台数
(台)
比率
(%)
主要用途
300超 79 2.0 29 1.1 188 4.2 タクシー
200~300 1 0.0 0 0 74 1.7 個人利用
150~200 2,670 66.2 2,041 74.9 1,912 42.8 タクシー
個人利用
レンタカー
100~150 104 2.6 13 0.5 220 4.9 個人利用
80~100 1,181 29.3 643 23.6 2,071 46.4 個人利用
合計 4,035   2,726   4,465    

表1. 乗用EVの航続距離別生産台数と比率 (2014年7~9月)

 

ブランド車型モデル種類電池セル容量(Ah)電池容量(kWh)航続距離(km)電費 (km/kWh)
衆泰汽車 (Zotye) JNJ7000EVZ2 E20 マンガン酸リチウム 10 19.2 250 13
江淮汽車 (JAC) HFC7000AEV 和悦iev リン酸鉄
リチウム
12.5 19 152 8
啓辰
(Venucia)
DFL7000B2BEV 晨風E30 リン酸鉄
リチウム
33 24 175 7.29
賽欧(Sail) SGM7001EV 賽欧 リン酸鉄
リチウム
20 21.4 152 7.1
康迪 (Kandi) SMA7000BEV K10(小電?) リン酸鉄
リチウム
66 21.12 150 7.1

表2. 電費性能の高い上位5モデル

乗用PHV

  2014年9月の乗用PHV生産台数は前月比48.6%増の2,365台となった。BYD 秦(Qin)の生産が最も多いが、生産能力は月間2,000台弱に留まっている。広東省深セン市の電池工場が2014年末に稼働すると、秦の生産能力不足も解消される見通しである。上海汽車のPHV 栄威(Roewe)550は9月の生産台数が600台超であった。

乗用HV

  2014年9月の乗用HV生産台数は558台で、全モデルがトヨタ車である。中国では、マイルドおよびフルHVを生産する自動車メーカーが少なく、HVの月次販売台数は500~600台の規模で推移している。EVやPHVの販売が好調な一方で、中国における乗用HV市場の先行きは暗い。

HVバス

  HVバスの生産台数は2014年6~8月の3ヵ月間、生産されていなかったが、9月は27台が生産された。

EVバス

  2014年9月のEVバス生産台数は2,073台で、前年同期比で20倍弱、前月比で12倍強増加した。9月に生産されたEVバスの全長は6~12mである。9月はBYDの他に、鄭州宇通(Yutong)、安凱汽車(Ankai)、中通客車(Zhongtong Bus)、第一汽車(FAW)などがEVバスの生産を開始した。中でも、鄭州宇通が生産する航続距離300km超のEVバス(型式:ZK6125BEVG6)は注目を集めている。EVバスの生産が拡大した背景には、中国政府が掲げている主要都市におけるEVバスの普及がある。

PHVバス

  2014年9月のPHVバス生産台数は前月比で2.2倍増、前年同月比で66倍増の1,861台となった。PHVバスを生産するメーカーは12社ある。奇瑞汽車(Chery)傘下のバスメーカー 奇瑞万達貴州客車股?有限公司は9月にPHVバスの生産を開始し、9月は44台のPHVバスを生産した。PHVバスの電池は、中通客車などがマンガン酸リチウムイオン電池を採用しているが、その他のメーカーは全てリン酸鉄リチウムイオン電池と電気二重層コンデンサーを組み合わせた電池を採用している。

電動車輸入

  2014年9月の乗用EV輸入台数は1,000台超となり、過去最高となった。乗用EV輸入の98%はTesla MotorsのModel Sが占めている。



国内動向

上海市、第8期の個人利用新エネルギー車に対する購入補助金対象車を発表

  上海市政府は2014年8月、第8期となる個人利用の新エネルギー車に対する購入補助金の対象車を発表した。第8期で対象に選ばれたのは江淮汽車(JAC) iEV4と啓辰(Venucia) 晨風(e30)。両車は中国および上海市政府から補助金が受けられる他、メーカーの新車保証として3年または走行距離6万kmまでの保証が付く。

  上海市は2013年1月に第1期の補助金対象車を発表。第8期までに計13モデル(うちEVが11モデル、PHVがBYDの2モデル)が選ばれた。EV11モデルのうち、3モデルは上海の自動車メーカーである。

武漢市、新エネルギー車の普及に関する方針を発表

  武漢市政府は2014年6月、新エネルギー車の普及に関する方針を発表した。同方針では新エネルギー車の購入に対し、中国政府と同額の補助金を販売価格の最大60%まで支給する。また、車船税(Vehicle and Vessel Tax)、道路・橋梁・トンネルの通行料、市内での通行規制が免除される他、一部の公共充電施設が無料で利用できる。武漢市政府は新城区で運行しているタクシーを全て新エネルギー車に切り替える計画を打ち出している。

  武漢市は充電施設が設置された集合住宅および大規模な駐車場の比率を20%とする計画。一般入札を実施し、充電スタンドの設置に対する設備投資額の20%、最高300万元を補助する。充電施設設置への補助は2016年6月まで実施される。

BMWがi3とi8を中国で発売

  BMWの中国法人は9月21日、中国でEVのi3とPHVのi8を発売すると発表した。販売価格はi3が44.98万元、i3のレンジエクステンダーモデルが51.68万元、i8が198.8万元。i3はBMWの先端駆動技術「eDrive」と小型電池パックを採用することで、航続距離160kmを実現した。i3のレンジエクステンダーモデルの航続距離は285kmである。i3のボディにはカーボンファイバーを採用することで軽量化を実現。0 - 100km/h加速は7.2秒。i8は3気筒の「TwinPower Turbo」ガソリンエンジンとBMW製の駆動モーターを搭載。0 - 100km/h加速は4.4秒で、総合燃費は2.1L/100km。

青島市、低価格EV向けの新世代リチウムイオン電池を開発

  青島市の産業技術研究所は新世代のリチウムポリマー電池を開発した。同電池は性能と安全性が大幅に向上されており、まずは低価格EV用電池としての採用を目指す。

青年汽車、蓮花(Lotus)ブランド車にナノカーボン電池技術を採用

  青年汽車(Youngman)はナノカーボン電池(青年汽車での名称)を開発していることを明らかにした。将来的には、新開発のナノカーボン電池を蓮花(Lotus)ブランド車に搭載していく。青年汽車は現在、ナノカーボン電池を搭載した路線バスで、実証実験を行っている。同路線バスは4分27秒の充電で、200~300kmの走行が可能。充放電回数は10万回以上と、一般的なリチウムイオン電池(2000回前後)に比べ寿命が大幅に改善されている。

鄭州市、新エネルギー車の充電施設を拡充、2015年までに充電スタンドを3,700ヵ所設置

  鄭州市は新エネルギー車の充電施設を拡充し、2018年までに2万台の新エネルギー車に対応した充電施設を整備することを明らかにした。計画によると、2015年までに、5ヵ所の路線バス用充電施設、3ヵ所の路線バス用電池交換施設、11ヵ所のタクシー用充電施設、800ヵ所の路線バス用充電スタンド、2,900ヵ所の一般充電スタンドを設置する。これにより、平均4kmごとに1ヵ所の急速充電器が設置されるため、6,000台分の充電需要に対応できるようになる。2017年までには、22ヵ所の路線バス用充電施設、5ヵ所の路線バス用電池交換施設、75ヵ所のタクシー用充電施設、15ヵ所の特殊車両用充電施設、6,900ヵ所の充電スタンドを設置し、新エネルギー車14,000台分の充電需要に対応していく。2018年には、市街地と空港周辺との間で5分間、その他の都市部との間で10分間の走行で1ヵ所の急速充電器を設置し、2万台の新エネルギー車の充電需要に対応できる充電施設を整備していく。

浙江省、2017年までに4万ヵ所の充電スタンドを整備し、タクシーの8割をEVまたは天然ガス車に切り替え

  浙江省は2017年までに、8.4万台の新エネルギー車の普及、150ヵ所の路線バス用電池交換施設、400ヵ所の充電または天然ガス充填施設、4万ヵ所の充電スタンドを設置する計画を表明した。2017年までに、80%以上のタクシー、50%以上の路線バスはEVまたは天然ガス車に切り替えられる。さらに、2023年までには16.6万台の新エネルギー車の普及に加え、90%以上のタクシー、60%以上の路線バスをEVまたは天然ガス車とすることを目指している。浙江省は杭州、金華、寧波、湖州、紹興の5都市を中心に充電およびガス充填施設を整備していく。

出典:
Energy-saving and new energy vehicle network www.chinaev.org
CATARC Beijing Operations

*1 CATARC (China Automotive Technology & Research Center; 中国自動車技術研究センター)は国務院国有資産監督管理委員会に所属する国営企業で、自動車業界標準及び技術法規の策定、製品認証テスト、 品質保証システム認証、業界企画及び政策研究、情報コンサルティングなどを行う。北京CATARC科学技術センター(CATARC自動車産業発展研究所)はCATARCの北京事務所で、中国自動車産業推進政策及び方針の研究、自動車業界標準及び技術法規の策定を行う。