BMWグループ:電動化を加速、2030年までに販売台数の50%以上をEVへ
ハンガリーにEV専用工場を新設、中国では華晨BMWと光束汽車が工場新設
2022/08/02
- 要約
- 2025年までにEVの累計販売台数200万台を達成へ
- 生産工場を再編成してEV生産を強化
- 自動運転:レベル2/3の自動運転システムをQualcomm及びArriverと共同開発
- モビリティサービス:BMWとDaimlerの合弁会社Share NowをStellantisに売却
- 中国事業: 2022年に5車種のEVを投入、華晨BMWを連結対象へ
- BMWグループの2021年販売台数は8.4%増の252.2万台
- 2022年第1四半期の売上高・EBITは華晨BMWの連結により大幅増加
- LMC Automotiveの生産予測:BMWグループのライトビークル生産台数は2025年に284万台に増加
要約
BMWグループは2030年までに車両1km当たり走行時のCO2排出量を2019年比で50%以上削減するという目標を達成するため、電動化を加速している。2022年には15車種のEVを投入し、現行セグメントのEV設定比率が約90%に到達する見込み。2025年までにEVの累計販売台数200万台達成を目指し、2030年までには販売台数の50%以上がEVになると見込んでいる。今後10年間で合計約1,000万台のEVを販売する計画。
加速する電動化計画に伴い、最も古いMunich工場から2025年に開設予定のハンガリーのDebrecen工場まで、すべての生産工場を再編成し、EVの生産体制を強化する。Debrecen工場はEV専用工場で、2025年に次世代EVのNeue Klasseシリーズの生産を開始する予定。EV向けバッテリーについては、自社生産を拡大すると共に、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)や米国のOur Next Energy (ONE)と提携し、供給を受ける計画。
自動運転技術の分野では、複数の企業と提携し、共同開発を行っている。カナダのBlackBerryとはレベル2/2+の自動運転機能の開発支援について契約を締結。Qualcomm Technologies及びArriver Softwareとはレベル2/3の自動運転システムの技術の共同開発で提携する。
モビリティサービスでは、BMWとDaimler AGが2018年3月から事業を統合し、5つの合弁会社を通じて事業を展開していたが、2022年5月、カーシェアリングの合弁会社Share NowをStellantisに売却すると発表。BMWとDaimlerは今後、マルチモビリティアプリを提供するFree Nowと充電サービスを運営するCharge Nowに注力する。
BMWの最大市場である中国では、2022年に華晨BMWが建設した里達工場、拡張工事を完了した大東工場、光束汽車が建設中の新工場の稼働を開始する。中国市場でも電動化を加速させており、里達工場では中国市場専用モデルのミッドサイズEVセダン「i3」、光束汽車の新工場ではMINIのEVを生産する。2022年2月に華晨BMWへの出資比率を75%に引き上げ、連結対象とした。
BMWの2021年の世界販売台数は前年比8.4%増の252.2万台。半導体不足の影響が比較的小さく、高級車ブランドの世界販売で6年ぶりに世界首位となった。2021年の売上高は前年比12.4%増の1,112.4億ユーロ、EBITは177.4%増の134億ユーロ。2022年第1四半期の販売台数は前年同期比19.0%減の54.2万台となったが、売上高は16.3%増の311.4億ユーロ、EBITは12.1%増の33.9億ユーロ。華晨BMWが連結対象になったことと価格引き上げが寄与した。BMWグループが2022年7月に発表した予測によると、2022年の世界販売台数はロシアのウクライナ侵攻による影響等により、前年並みにとどまる見込み。自動車部門の売上高とEBITは、華晨BMWが連結対象となったため、大幅増となる見通し。
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2022年11月に投入予定のBMW i7 (BMWのフラッグシップセダンのEV)(出典:BMW) |
中国市場専用モデルのBMW i3 (ミッドサイズセダンのEV)(出典:BMW) |
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