IAA Mobility 2021:スタートアップ企業がミュンヘン・モーターショーに参加

ADAS、EV、持続可能性、サイバーセキュリティに関する技術を披露

2021/10/19

要約

IAA 2021 Venue
IAA Mobility 2021 会場(画像:MarkLines Europe GmbH撮影)

  IAA(国際モータショー)は123年の歴史を誇る。70年前から隔年でフランクフルトで開催され、世界最大級の自動車ショーに成長した。ここ数年、来場者数が減少していることから、主催者であるVDA(ドイツ自動車工業会)は会場をミュンヘンに移し、コンセプトを一新することを決定した。

  来場者数が減少している理由としては、自動車業界全体の混乱が挙げられる。これまでのIAAは、自動車メーカーやサプライヤーが最新の製品や技術を紹介する、どちらかというと伝統的なモーターショーであった。

  VDAは今年から、IAAを革新的な新型車だけでなく、二輪車や電動スクーター、さらにはインテリジェントな公共交通機関など、さまざまなモビリティソリューションに焦点を当てたモビリティプラットフォームにしたいと考えた。それに伴い、今年のイベントのテーマを「What will move us next」とし、より持続可能な世界に向けたソリューションが中心となった。

  2021年9月6日から12日まで(6日と7日は報道関係者向け)、ミュンヘンの街は、テクノロジー企業、モビリティサービス・プロバイダー、公共交通機関及びスタートアップ企業が出会い、議論する場となった。

  新しいIAA Mobilityは展示会場だけでなく、ミュンヘン市内でも開催された。「サミット」は、自動車メーカー、サプライヤー、サービスプロバイダー及びスタートアップ企業が最新製品、技術、コンセプトを展示する場であった。2日目にはプレス関係者や来場者を対象に、国際的なディシジョンメーカーや業界のオピニオンリーダーによる、モビリティの未来に関する講演会が開催された。ミュンヘン市内のいくつかの広場、いわゆる「オープン・スペース」では、人々が未来のモビリティ・コンセプトについて意見を交換したり、最新のテクノロジーを体験したりすることができた。また、「ブルーレーン」では、ミュンヘン市内と見本市会場との間で試乗をすることが出来た。

  IAA Mobility 2021では、32カ国から約744の出展者と936人のスピーカーが参加した。ショーには95カ国から40万人以上の来場者が訪れたが、これは2019年に比べて16万人少ない数字であった。しかしながら、会期が2019年の2週間から1週間に短縮されたことを考慮すると、来場者は極めて多かったと言える。来場者の3分の2は40歳以下であった。

  次回のIAA Mobilityは、2023年9月5日から10日までミュンヘンで開催される。

IAA 2021 Startup area
IAA Mobility 2021 スタートアップエリア(画像:MarkLines Europe GmbH撮影)

  今年のモーターショーに参加したスタートアップ企業は76社だった。

  これらの企業は自動車メーカーやサプライヤーとともにメインホールでさまざまなモビリティ分野のコンセプトと製品を出展し、ADASシステムと自動運転、代替ドライブ、持続可能な材料、スマートシティに関連するイノベーションを発表していた。

  展示ホール1bにはDassault Systemsがスポンサーを務めるスタートアップラウンジも設けられた。スタートアップ各社は業界のキーパーソンと接する機会を与えられ、ピッチステージ(オーディション)で自社をアピールすることができた。

  本レポートでは、そうしたスタートアップの一部と、その最新製品や技術の詳細を紹介する。

  BMWはブースに「スタートアップガレージ」を設け、スタートアップが自動車業界に参入する方法を紹介した。

  スタートアップの中には、都市用小型電気自動車(EV)を開発する2社が含まれていた。イスラエルのCity Transformerと、「Microlino」を発表したスイスのM-croである。

  また、既に十分実績があってもスタートアップガレージで製品と技術を紹介している、CognataやInnovizのような企業も見られた。

 

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