インドネシア:奢侈税改正で優遇対象がLCGCから電動車へ移行
コロナ禍で2020年生産・販売は大幅減の見込み、拡大途上の輸出にも打撃
2020/08/20
- 要約
- 電動化政策:2022年から電動車生産を開始、ニッケル鉱石を利用してバッテリー生産
- 市場動向:2020年の生産は70万-80万台、販売は60万台以下の見込み
- 自動車産業刺激策:ローン金利補助に続いて、70兆ルピアの支援を約束
- 輸出動向:ホンダBrioの輸出がCKD車輸出拡大に貢献
- 生産動向:現代自動車が新工場を建設、国産車メーカーも初の工場を開所
- 国内市場:MPVの販売が全体の43.7%、トヨタAvanza、三菱Xpanderが牽引
- LMC Automotive生産予測:インドネシアの生産台数は2020年に66.7万台に減少
要約
インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)の統計によると、2019年の生産台数は前年比4.2%減の128.7万台、販売台数は10.5%減の103.0万台、輸出台数は完成車(CBU)が前年比25.5%増の33.2万台、CKD車が6.2倍の51.1万台。2019年は大統領選に伴う政治不安が高額商品の買い控えを招き、新車販売は10.5%減少したが、輸出が増加したため、生産は4.2%減にとどまった。
2020年1-6月は、新型コロナウイルスの感染防止や需要減への対応で、各メーカーが4-5月にかけて工場の稼働を停止したため、生産台数は前年比37.8%減の37.0万台、販売台数は46.0%減の26.1万台、輸出台数は完成車が24.4%減の10.4万台、CKD車が45.1%減の14.4万台となった。GAIKINDOの2020年7月時点での予測によると、通年の生産台数は70万-80万台、販売台数は60万台以下、完成車輸出台数は17.5万台の見込み。
インドネシア政府は2022年から電動化車両の生産を開始し、2025年までに生産台数の20%を電動車とする目標を表明。同国に豊富にあるニッケル鉱石の輸出を禁じ、国内でEVバッテリー用に加工・製品化する事業も振興する計画。また、奢侈税を改定し、2021年10月から施行する新規定では、LCGCに対する実質税率を0%から3%に引き上げ、PHV、EV、FCVに対する実質税率を0%とし、優遇対象をLCGCから電動車に移行させる。
インドネシア政府は新型コロナウイルスの影響を受けた自動車産業に対する刺激策として、2020年5月に自動車ローンに対する補助の提供を発表。さらに、経済担当調整庁から70兆ルピアの支援が約束された。GAIKINDOは政府に自動車税の減免や輸入プロセスの簡素化等を要請している。
生産に関する動きでは、現代自動車が年産能力15万台の工場を建設中。三菱自動車はBekasi工場の生産能力を増強。一方、日産は2020年5月にインドネシア工場を閉鎖した。ダイハツは小型商用車Gran Maxを日本に逆輸入して販売するほか、マツダにもBongoとしてOEM供給する。
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インドネシアの自動車生産・販売台数 | Daihatsu Gran Max Cargo (2020年9月から日本へ逆輸入) (写真:ダイハツ) |
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