重量車(トラック、バス)の電動化に関する技術動向

~ キャパシタフォーラム・公開セミナーから ~

2020/06/03

要約

  キャパシタフォーラム(会長:堀 洋一 東京大学教授)はキャパシター関連の電機メーカーや研究者などを会員として2008年に設立、大容量キャパシターを使用した電気エネルギーの効率的活用に関する調査や情報の収集/提供を行っており電動車との関連も深い。

  毎年5月に年次大会と公開セミナーが行われていたが今年は新型コロナウイルスの感染防止のため通常の開催が不可能となり、初めての試みとしてWeb上(ZOOM)で2020年5月15日に開催された。Web開催となったこともあって公開セミナーは例年より多い187名の参加があり、キャパシターサプライヤーによる新技術紹介や移動中給電技術に関する講演も行われた。


  本稿では日本自動車研究所(JARI)の森田賢治氏による「重量車の電動化に関する技術動向」を紹介する。重量車(トラック、バス)は乗用車と比べるとHEV化してもアイドリングストップやエンジン運転負荷の最適化による燃費改善効果が小さいが、制動エネルギーの高効率回生による燃費改善効果は期待出来る。回生エネルギーは走行パターンの影響を大きく受け、重量車でも都市内走行が中心となる配送トラック、塵芥車、路線バス等は燃費改善が期待出来るが、都市間走行が中心となる都市間バスや長距離トラック等のエネルギー回生による燃費改善は難しい。

  また、重量車のHEVは市販されているものの、燃料費削減率が限られるため車両価格上昇分がなかなか回収できないという課題もあり、バッテリー・モーター等のコスト低減やバッテリーの性能・耐久性向上、インフラ系の改善が期待される。BEVの関連では静止中超急速充電技術や走行中給電技術の取り組みが各国で行われており、事例が紹介された。まとめでは、重量車の電動化にあたっての電動車両技術との適性が語られ、都市内走行中心の重量車は超急速充電や電池交換式のBEV、都市間走行が中心となるバスや長距離トラックはHEVや走行中給電が適しているとの調査結果を示していた。

 

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